遺言書の作成件数は増えている?普及していない?データでわかる遺言書の重要性を行政書士が解説

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【続・三匹のこぶた~スピンオフ~】赤ずきんちゃんの遺言書セミナー 遺言書作成は増えているのに普及してない? データでわかる遺言書の大切さ

遺言書を用意しようかと考えているものの、実際どれくらいの人が遺言を書いているのか気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では実際のデータを用いて、遺言書を用意することの重要性を物語形式で紹介します。

赤ずきん「こんにちは! 今日はいつもの「続・三匹のこぶた」のような感じではなく、トークライブ形式でお送りしたいと思います! 司会は私、赤ずきんと…」

漁師「この漁師ずら! そしてゲストには、本編である「続・三匹のこぶた」から、兄ぶた、弟ぶた、末っ子ぶたのみなさんに集まってもらったずら」

兄ぶた「いつも母さんがお世話になっています!こうして兄弟3人顔を合わせるのも久しぶりなので、楽しみだな」

弟ぶた「本当に…母も浮かばれるってものだよ」

末っ子豚「いや、母さんまだ生きてるから!」

赤ずきん「ほんと、いままでのエピソードから、母ぶたさんが兄弟ぶたさんたちのことを本当に思っているのがわかるわ」

漁師「気になる人はバックナンバーを見てずら。じゃさっそく赤ずきんちゃん、よろしくずら!」

赤ずきん「任せて! では、さっそくみなさん考えてみて。遺言書があることで、相続のトラブルを回避することができるのは知っていると思うけど、遺言書の作成数自体は増えているでしょうか? 減っているでしょうか?」

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遺言書の作成数をデータで確認

赤ずきん「実は、遺言書の利用自体は確かに増えているんだけど、十分に普及してるとは言えないの」

兄ぶた「えっ、どういうこと?」

赤ずきん「遺言書で主に利用されているのは自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類よね」

ここからは、自筆証書遺言・公正証書遺言それぞれの件数について、データを用いて紹介します。

自筆証書遺言の検認申立件数は毎年11万件くらい

まずは自筆証書遺言の件数から見ていきましょう。

漁師「自筆証書遺言というのは、自分で書く遺言ずら」

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赤ずきん「自筆証書遺言は自分で書くわけですから、実数を計ったデータがないの。でも検認という手続きを家庭裁判所に行ってもらわないといけないから、その検認の件数から自筆証書遺言の数を調べられるのね」

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弟ぶた「実際に検認の数は増えているのかい?」

検認の申し立て件数は、増えているわけ。2011年に約74000件を上回って、そこから2015年まで増加して11万4000件近くになったわ。以降、横ばいや、ちょっとした上下があるけど、ざっと11万件くらいにはなるわね」

 

(出典:司法統計)

 

漁師「2011年から10年間で、検認の申立件数はほぼ1.3倍になったずら。2020年には遺言書保管制度の影響で、一時的に少なくなったけど、また増加しているずら」

公正証書遺言の作成件数も毎年11万件くらい

末っ子ぶた「ぼくは公正証書遺言のほうが気になるね」

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赤ずきん「公正証書遺言は、2011年には8万件弱だったのから2015年には11万件に達して、4年間で3万件近くも伸びているの。その後は、同じようにほぼ横ばいになって、2020年に遺言書保管制度の影響で減少してまた増加というのは自筆証書遺言と同じパターンね」

(出典:日本公証人連合会統計)

死亡者数と遺言利用者数を比較すると遺言利用は進んでいない

兄ぶた「自筆証書遺言も公正証書遺言も着実に増えているということだから、遺言は普及していると言っていいんじゃないの?」

赤ずきん「そこがポイントなのよ。死亡者数と遺言利用者数を比較すると、2011年からの10年間で総死亡者数における遺言利用者の割合は12%から16%の間に収まったままなの。」

(出典:政府統計ポータルサイト)

漁師「もちろんすべての死亡者が相続に該当するわけじゃないけど、死亡者数と遺言利用者数を比較すると、普及していると公言しきれないずら」

兄ぶた「2020年の遺言書保管制度の改革があったのに?」

赤ずきん「それも裏を返せば、あまり遺言の利用が進んでいないから政府が対策を講じる必要があったとも解釈できるわよね」

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遺産分割事件は増加傾向

漁師「さて、遺言が普及していないという話の怖いところはここからずら」

末っ子ぶた「こ、怖いところ…?」

漁師「遺産分割事件の件数ずら」

兄ぶた「なんだい…それ? 事件って、穏やかじゃないね」

赤ずきん「遺産分割事件というのは、家庭裁判所の調停又は審判の手続を利用した件のことね」

漁師「つまり、遺産の分割について相続人の間で話合いがつかないので、裁判所のお世話にならざるをえないトラブルに発展してしまった相続というわけずら」

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赤ずきん「この件数が、2011年には1万1000件弱だったのが、2015年には1万2500件に増えて、一時下がったものの、2018年には1万3000件にまでなってしまったの」

(出典:裁判所ホームページ、司法統計年報家事事件編(令和元年度)ほか)

末っ子ぶた「そんなに件数があるの…? 世も末だね、末っ子だけに」

弟ぶた「お前…腕上げたな…!」

末っ子ぶた「ありがとう!」

兄ぶた「何をのんきなこと言ってるんだ。この1件1件にそれぞれトラブルのドラマがあると考えると、確かに恐いな…それが増えているわけだし」

赤ずきん「そうね。円滑な相続が好ましいのは言うまでもないんだけど、遺産分割事件になったら、それはそれで大変なのよ」

漁師「家庭裁判所での調停や審判が行われた場合、1年以内に審理を終えた数が全体のおよそ70%ずら。相続税の申告期限は相続開始から10か月だから、この間に申告を行わないと、相続税額が減額される特例が適用できないずら」

(出典:裁判所ホームページ)

兄ぶた「ってことは、相続発生からの期間が1年を超えると…」

赤ずきん「多額の相続税を負担しなくちゃいけないのよおおおおおおお!!!」

兄・弟・末っ子「ギャアアアアーーーーーッ」

漁師「梅図かずお先生のマンガみたいなノリ、ありがとうずら」

赤ずきん「何が言いたいかっていうと、トラブルに巻き込まれるとなかなか解決せず相続税の支払いも増える可能性があるわけ。親族の間に溝ができて禍根を残してしまうこともあるのに、遺言書の普及は十分ではないってことになるわけじゃない」

漁師「まさしくミステリーずら」

弟ぶた「ぼくたち兄弟にはそんなトラブル全然なかったからピンとこないな」

末っ子ぶた「アイドルのCDに1枚ずつつけて配れば普及率はあがるんじゃない? 僕だったら、シンデレラちゃんの新しいシングルに遺言書の容姿みたいなのが入ってたら、すぐ遺言書書くよ」

兄ぶた「握手会のチケットじゃないんだから…それに、どう考えてもシンデレラを主役にしたコラムが、近く登場するって前フリだよな、これ」

末っ子ぶた「うふふ、さてどうかな? でもさ、どうして遺言書は普及しないの?」

遺言書が普及しない理由

赤ずきん「遺言書が普及しない原因として、いろいろ理由はあるわね。遺言書を書くほどの財産がないとか、家族仲が良いので問題ないとか、早くから遺言書を書くのは縁起が悪いとか。例えば以下の通りよ」

  • 財産が多くないから問題ないと思っている
  • 法定相続分に則って分ければいいと思っている
  • 家族がみんな仲がいいと思っている
  • 遺言書を早くから書くのは縁起が悪い・遺言書を書くハードルが高い

ここからは、遺言を用意しないよくある考えと、それでも遺言を用意した方がいい理由について紹介します。

財産が多くないから問題ないと思っている

それほど財産が多くないと考え、遺言がなくても問題ないと思っているケースは多々あります。

弟ぶた「財産って、どれくらいあったら遺言書を書いたほうがいいとかあるの?」

漁師「一般的には、家庭裁判所の調停事件は1000万円以下が全体の約32%、5000万円以下が全体の約77%ずら」

赤ずきん「財産額が1000万円以下でも3割近くが調停事件に発展するのであれば、一般的な家庭であれば当てはまる範囲よね」

兄・弟・末っ子「…うち、きっとそこまでないけど」

遺産分割事件は一般的な家庭でも起こりうる問題です。トラブルを防ぐためには、遺言書を用意しておいた方が安心でしょう。

法定相続分に則って分ければいいと思っている

漁師「あと、法律(法定相続分)に則って分ければいいから遺言書を書かなくていいという人もいるずら」

兄ぶた「法律が遺産の分割の仕方を決めてくれるなら、確かにそれに従えばトラブルにはならないように思うよね」

赤ずきん「ところがどっこい、民法は各相続人の相続割合(法定相続分)は定めているけど、具体的な遺産分けについては一般的な指針しか定めていないのよね」

末っ子ぶた「どういうこと?」

赤ずきん「法の基本的な考え方は、あくまで相続人が話し合った結果が優先するというものなの。言うなれば、相続人同士の話し合いを先にやりなさいよというのを前提にしているのが法だから、法律に則って遺産を分ければいい、というのはスマートな相続を放棄しているようなものなのね」

漁師「他力本願ならぬ他法本願はよくないってことずら」

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家族がみんな仲がいいと思っている

赤ずきん「あと、遺産争いで悲惨な状態になっているのは、最初から仲の悪かった家族だけではないってことに注意ね」

弟ぶた「え? 僕らみたいに仲良かった家族もモメたりするの?」

漁師「…本来は仲がよかった家族…その絆を引き裂くのが…相続問題ずら!」

兄・弟・末っ子「ギャアアアアーーーーーッ」

赤ずきん「それもういいから(笑) 相続問題は、双方ともにそれなりの言い分があるケースが多いのね。相続人ではなく、相続人の配偶者が意見を言ってくることだってわるわけで、そうすると、相続人同士の問題では収まらなくなるのよ」

兄「とりあえず僕たちは独身でよかったな」

漁師「そこ、喜ぶところずらか…?」

遺言書を早くから書くのは縁起が悪い・遺言書を書くハードルが高い

赤ずきん「遺言書が浸透しない理由は、ほかにも、早くから遺言書を書くのは縁起が悪いという思いがあったり、つい先送りしてしまったりとかかな」

末っ子ぶた「でも生命保険は若くて健康なうちから契約するのに、遺言書だけが縁起悪いっておかしい話だよね」

弟ぶた「あと、遺言書ってなんだか身構えるというか、ハードルが高いイメージだからつい先送りしてしまう気持ちはわからなくもないけどね。身体が不自由だと、何かと大変だし」

目や耳が不自由だったとしても、遺言書を用意することは可能です。

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また、余命わずかなケースで遺言を完成させた事例もあるので、お気軽にご相談ください。

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遺言書は大事な人を守るものだからこそ必要

赤ずきん「だからこそ、行政書士さんに相談してフォローしてもらうのが一番なのよ。法律のアドバイスもそうだけど、やはり寄り添う姿勢ときめ細かなサポートがあれば、だいぶやりやすくなるはずよ」

兄・弟・末っ子「ありがとう、赤ずきんちゃん!」

 

いかがだったでしょうか。

今日は可愛らしい子ぶたさん達と童話の世界風にお話ししてきました。

遺言書は法定相続分に優先するものであり、あなたの大事な人を守るものでもあります。

 

財産があまりない、うちは仲がいいから・・・と言わず、大事な方のために考えてみてはいかがでしょうか。

遺言書の作成は長岡行政書士事務所でもご相談を承っておりますので、気軽にご連絡ください。

 

この記事の画像はこちらから引用しました:長岡行政書士インタビュー:遺言書を作ることの大切さをデータから読み解く!

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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