法定相続人の範囲を司法試験から読み解く|養子・甥姪・欠格事由・相続放棄・胎児

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新人補助者ひまりの事件簿⑥司法試験から読み解く法定相続人の範囲~総まとめ編~

「姪に相続が発生するのはどんな場合」

「死亡時に胎児だった子は相続できるのでしょうか」

「相続放棄した場合はその子に相続が発生するの」

 

今回は法定相続人に関して総まとめをします。

実生活では色々なケースが発生します。

学んだことを一つ一つ当てはめて、一緒に考えていきましょう。

今日も長岡行政書士事務所は朝からにぎやかですよ。

ひまり:「マリさん、おはようございます。朝はやっぱり淹れたてのコーヒーとジュリスト(注1)ですね」

 

マリ:「ひまりちゃん、すごいわね! もうすっかり一人前じゃない」

 

ひまり:「まあ、私もアサップでキャッチアップ・・・うぅっ!!!」

 

(何かを思い出し、震え始めるひまり)

 

マリ:「ひまりちゃん!? どうしたの、すごい汗。」

 

ひまり:「い、いえ、なんでもありません・・・(注2) あれ、マリさんは何を読んでいるのですか」

 

マリ:「うん、これはチャンプ〇―ドっていう雑誌の復刻版(注3)。昔を思い出すなあ。」

 

ひまり:「・・・青森に帰りたいです」

 

マリ:「なーに言ってるの。さ、始めましょ」

 

 

注1)有名な法律家御用達の雑誌、始業前から熟読するには少しカタい

注2)ひまりの事件簿⑤参照

注3)漢字が多い雑誌

マリ:「さて、これまで相続に関して色々と勉強してきましたが、今日はケースを使って実際に考えることで知識の定着をを図りましょう」

 

ひまり:「その点問題ございません。下北半島のスーパーコンピュータと呼ばれてました」

 

マリ:「また給湯室に連れていかれるわよ。」

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養子の連れ子の相続|法定相続人の範囲①

さて、これは再婚した相手が養子になり、且つ連れ子がいたケースです。

 

A:今回亡くなった方

B:Aの配偶者

CとD:どちらもAとBの子

E:Dの配偶者。前夫である第三者Fとの間に子GをもうけたのちDと再婚。また、Dと婚姻後にABと養子縁組をしたが、Aが亡くなる前にEは亡くなってしまった。

 

 

マリ:「このケースの場合、Aの相続人は誰ですか」

 

ひまり:「まず配偶者であるBは必ず相続人になります」

 

マリ:「そうですね」

 

ひまり:「あとは、子であるCとDも直系卑属として相続できます。ただEは・・・ABと養子縁組してるから実子であるCやDと同等の扱いですが、Aが亡くなる前にEは亡くなってしまったのですよね。さらにEには子であるGがいる」

 

マリ:「このように相続人が被相続人より早く亡くなってしまって、且つ相続人に子がいるパターンは何と言いますか」

 

ひまり:「代襲相続です! あれ、でもこの子Gは前夫との間の子で、Dと再婚する前ですね・・・だから代襲相続が成立しないのではないでしょうか」

 

マリ:「よく気が付きましたね、そのとおりです。GはEがDと再婚する前にすでにいたので直系卑属とはカウントされません。なので代襲相続が発生せずGに相続権はないのです」

 

ひまり:「なるほど・・・確かに代襲相続だけでなく、再婚、養子そして連れ子といくつか要素が絡むと急に複雑になる気がします」

 

マリ:「そうですね、ただ、法律の原則は変わらないので、一つ一つ紐解いていけばちゃんと理解できますよ」

(参考:平成25年司法試験問題 民法 第34問 オ)

 

この記事をもっと詳しく知りたい方はこちら新人補助者ひまりの事件簿④ 法定相続人の範囲~養子縁組と代襲相続編~

 

甥・姪の代襲相続|法定相続人の範囲②

マリ:「さて、次は甥・姪が相続できるかを問うケースです」

 

A:今回亡くなった方。配偶者及び父母を含めた直系尊属はいない

B:Aの兄、Aの前に既に亡くなっている

C:Bの子

マリ:「さて、CはAの相続人になれますか」

 

ひまり:「はい、なれます。代襲相続ですね」

 

マリ:「では、Cもすでに亡くなっていた場合、Cの子Dは」

 

ひまり:「えーと・・・確か兄弟の代襲相続はその子の代までなので、この場合Cまでは相続できますがDはできません」

 

マリ:「当たりです!」

 

ひまり:「はい、以前代襲相続を学んだ時に例外としてメモしておきました」

 

マリ:「すっかり得意分野ね(微笑) さ、次のケースを見てみましょう」

(参考:平成30年司法試験問題 民法 第32問 ア)

 

この記事をもっと詳しく知りたい方はこちら新人補助者ひまりの事件簿③ 法定相続人の範囲~配偶者と兄弟編~

祖父は相続人になれるか|法定相続人の範囲③

マリ:「では、祖父は相続人になれるでしょうか」

 

A:今回亡くなった方。配偶者及び父母はいない。

B:Aの祖父

 

マリ:「この場合、祖父BはAの相続ができますか」

 

ひまり:「できます。配偶者、第一順位の直系卑属がいないので直系尊属であるBは相続できます。父母を飛び越えてるから代襲相続・・・ではなく、被相続人に近いという直系尊属内の相続順位の問題ですね」

 

マリ:「そのとおり、祖父、祖母は代襲相続でなく、相続順位による相続になりますね。よく勉強できてますよ」

 

ひまり:「ふふ・・・私は昔から褒められて、あ、いえ、毎日諸先輩方から勉強させていただいております!」

 

マリ:「?」

(参考:平成30年司法試験問題 民法 第32問 イ)

 

この記事をもっと詳しく知りたい方はこちら新人補助者ひまりの事件簿② 法定相続人の範囲~配偶者と両親編~ 

 

相続人の欠格事由と代襲相続|法定相続人の範囲④

マリ:「さて、相続人の欠格事由と代襲相続は少し難しいですよ」

 

A:今回亡くなった方

B:Aの子、ただ、欠格事由に該当し相続権を失っている

C:Aの死亡前にBが養子縁組してBの子となった

マリ:「この場合、CはAの相続人になれますか」

 

ひまり:「えー・・・養子が実子と同じ扱いになるのは言わずもがなですが、Bはすでに欠格事由により相続権を失ってるのでその子であるCには代襲相続はできないのではないでしょうか」

 

マリ:「それが、この場合はCは代襲相続ができるのです。比べてみるためにまずは『相続放棄と代襲相続』のケースを見てみましょう」

(平成30年司法試験問題 民法 第32問 ウ)

相続放棄と代襲相続|法定相続人の範囲⑤

マリ:「こちらはこのようなケースです」

 

A:今回亡くなった方

B:Aの子で、相続放棄をした

C:Bの子

 

ひまり:「これもA->B->Cという流れで同じような代襲相続の問題に見えますが、違いは前回は欠格事由で今回は相続放棄ですか・・・」

 

マリ:「そうですね、さて、どう考えますか」

 

ひまり:「うーん・・・相続放棄には当人Bの意思がありますが、欠格事由にBの意思はありません。なので自分で相続を拒否したBの子Cには守られるべき権利がないので相続できないと考えるのが妥当ではないでしょうか。もしくは、親であるBが相続を拒否するほどの理由があるのでその子Cには代襲相続させない、とか」

 

マリ:「あら、急にすごいわね。民法939条の相続の放棄の効力には以下の様に書かれています」

 

第939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

 

マリ:「なので、相続放棄をすると「最初からなかったこと」になるので当然にその子にも相続の権利は引き継がれません。それに対し欠格事由は当人の相続権を消滅させますが、その子への代襲相続は可能です」

 

ひまり:「なるほど、よくわかりました!」

(参考:平成30年司法試験問題 民法 第32問 オ)

胎児の相続(権利)能力|法定相続人の範囲⑥

マリ:「さて、今日は最後に胎児の相続能力をみてみましょう」

 

A:今回亡くなってしまった方

B:Aの配偶者。子はいないがAの子Cを懐妊中

(参考:平成30年司法試験問題 民法 第32問 エ)

マリ:「この場合、Bは配偶者として相続人になるけど、まだ生まれてきてないCは相続人になれるでしょうか」

 

ひまり:「うーん、まだ生まれてきてないから相続はできないのでは」

 

マリ:「では、一緒に民法を見てみましょう」

 

第3条1項 私権の享有は、出生に始まる

 

マリ:「このように、民法では人間、法律用語でいうところの自然人の権利能力の発生は出生から始まる、と定めています」

 

ひまり:「はい、なのでまだ生まれてない子は相続する権利もないのではと」

 

マリ:「ところが、別の条項では相続に関してのみ例外を認めています」

 

第886条 1.胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす
2.前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない

 

マリ:「なので、このケースではまだお腹の中にいるCも相続人になれるのです。生まれる前に既に相続する権利があるか、それとも生まれると相続開始の時にさかのぼって権利が発生するかは学説が分かれるけど、今日はお腹の赤ちゃんも相続できる、と覚えておいてくれればいいですよ」

 

ひまり:「わかりました。でも、2項の死体で生まれた時は適用しない、というのは流産とかでしょうか。なんかかわいそうですね」

マリ:「そうね、でも法律はきちんと状況に応じてどうなるかを決めておかないと、結局皆の利益にはならないのです。ではここで質問、胎児は出生をもって権利能力を取得しますが、出生とは体が全部出てきたとき(全部露出)か、一部でもでてきたとき(一部露出)でしょうか?」

 

ひまり:「いや・・・いままで考えたことがなかったです。人の、自然人のスタートがいつかという事ですよね。うーん、全部露出した時では・・・?」

 

マリ;「その理由は?」

 

ひまり:「私が生まれた時のことを思い出しました。実は私海外で生まれで、出産にお父さんが立ち会いました。海外の病院だと生まれた子のへその緒をお父さんが切って子供を母体から分離してあげる、つまり父が命を母から分離して初めて出生となる、という風習があるようでして」

 

マリ:「へえー、そうなんだ?!」

 

ひまり:「そう考えると、この質問にへその緒は関係ないですけど、全部露出して初めて自然人になる、という考えがしっくりくるような気がします」

マリ:「なるほどね。今、私は理由を聞いたけど、実は筋道が通った理由がちゃんと言えるかどうかが法律を学ぶ上でとても大切だからなんです。さて、この質問だけど、実は民法では全部露出説が通説になっています。つまり一部出た時点で急いで権利を認めてあげる必要はないし、仮に一部露出で死産だったとすると権利関係が複雑になるからです(一度相続して、直ぐに死んでしまったことになるため)。一方、刑法では一部露出説が有力です。なぜなら少しでも出てきた赤ちゃんに対し攻撃可能なので、すぐにでも保護してあげる必要があるからです」

 

ひまり:「ふーん! 興味深いですね!」

 

マリ:「何を保護すべきで、そのためには法律をどう解釈するか、また社会の変化に対応するため法曹界では常に活発な議論が続けられています。あれ、ひまりちゃん愛読のジュリストにこういうのたくさん載ってると思うけど・・・」

 

ひまり:「え、ええ、そうですね。ちゃんと読んでますよ!ちゃんと読んでるんですから!」

養子、欠格事由、相続放棄、懐妊中の相続は複雑

実際のケースでは養子、欠格事由、相続放棄、懐妊中の相続など様々なパターンが考えられます。また、同時発生的に上記パターンやそれ以外の事情も絡み合い、一見して複雑に見えることも多いです。

 

一つ一つ法律の原理原則を当てはめていけば道筋は見えてきますが、もし不明な点や自信がつかない場合は相続の経験豊富な長岡行政書士事務所にご相談いただければ幸甚です。

 

皆様の想いに寄り添って、一緒に考えていければと考えております。

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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