公正証書遺言と自筆証書遺言に優劣はない!公正証書から自筆に変更する時の注意点を行政書士が解説

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遺言書を全部書き直す時の注意点とは?公正証書から自筆にするポイントを解説

 

よく遺言書は何度でも書き直せると聞くと思います。もちろんその通りなんですが、では、公正証書遺言から自筆証書遺言への変更は可能なのでしょうか?公正証書遺言と自筆証書遺言に優劣はあるのか、気にしている方が多いことも事実です。

もし公正証書遺言から自筆証書遺言への書き直しが可能だとしても、何か注意点はあるのでしょうか。

この記事では、遺言書の書き直しについて「物語風」に解説します。公正証書遺言から自筆証書遺言への書き直しのポイントについて分かりやすく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

神奈川県横浜市、ごく平凡な家族・餅田家が暮らしています。

餅田家の主役はなんといっても、来年小学校入学を心待ちにしている5歳の餅田きなこちゃん。

きなこちゃんは、とっても大好きな家族と仲良く暮らしています。

パパ:豆夫
ママ・さくら
母方の祖父:信玄おじいちゃん
母方の祖父:牡丹おばあちゃん
犬:あんころ

さてさて、「小学校に入る前から字を勉強する」とはりきっているきなこちゃん。

書道の先生でもある牡丹おばあちゃんに字を習ってからは、家じゅうあちこちに字を書いてはもう大変。

ママの家計簿にも、パパのゴルフで一番スコアがよかったカードにも字を書いて…とうとう、おじいちゃんの遺言書にまで!

「あわわわ、わしの大事な遺言書が~!」

さてさて、今回の大騒動はどうなることやら?

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遺言書の書き直しは可能

ママ「困ったわねえ、おじいちゃんの遺言書…」

おばあ「これはやっぱり書き直しじゃないですかね。まあでも、おじいさん、遺言書の内容を書き直したいと言っていたからちょうどいいんじゃない?」

きなこ「きなこ、悪い子になっちゃった…?」

おじい「そんなことないんじゃよ、きなこ! ほうれおじいちゃんがチュッチュしてあげるからこっちへおいで」

きなこ「くちくさい、きなこ、いや」

おじい「……」

ママ「心臓麻痺にならないでね、おじいちゃん…」

パパ「まあまあ。だから今日は仁くんを呼んだんじゃないか。なにせ公証役場の幸祥仁といったら、人気の公証人なんだろ?」

幸祥「公証人に人気があるかどうかはわかりませんが…皆様のお役に立てていれば何よりです」

パパ「さっそくなんだけど、実際、遺言の書き直しはできるのかい?」

幸祥「結論から言うと、自筆証書遺言と公正証書遺言、ともに書き直しはできます。遺言書の形式に関係なく、いつでも書き直しは可能です。もっとも、遺言書を書き直すときのルールを踏まえないといけないんですけどね」

おじい「ルール?」

幸祥「ひとつめは、遺言書の日付です。遺言は複数作成してはいけないということはなく、何通でも書くことはできるんです。でも、最も日付が新しいものが有効という判断になるんですね」

ママ「じゃ、古い遺言書はどうなるの?」

幸祥「古い遺言を、新しい遺言で取り消したと考えるんです。つまり、遺言書を書き直すということは「①元の遺言書を書き替える(直接修正する)」「②全く新しい遺言書を作成して新しい日付を加えることで書き換えたのと同じ効果を得る」という2つの選択ができるわけなのです」

パパ「ふうん。新しいものが優先されるのか。だったら、うちで一番新しいきなこが一番優先される人だな」

きなこ「あざざます」

パパ「…どっかで聞いたな、それ」

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公正証書遺言を書き直す方法

おばあ「確か、おじいさんの遺言書は公正証書遺言でしたわね。仁くんに協力して作ってもらった」

おじい「そうじゃ。のう、仁くん、公正証書遺言を書き直す場合には何をどうしたらいいんじゃ?」

幸祥「公正証書遺言は作成した後は、原本が公証役場に保管されていますよね。ですので、公正証書遺言を直接自分で書き換えを行うことはできません

パパ「あれ? じゃあ、きなこが落書きした遺言書ってなんなんだ?」

おじい「ありゃ。これ遺言書じゃなくて、何を書くかメモしておいたネタ帳じゃった!」

ママ「遺言書のネタ帳って…」

おばあ「ほんと、ぶっ●したいほどおっちょこちょいですね…」

幸祥「ですので、公正証書遺言を書き直す方法としては、次のいずれかを選ぶことになります」

  • 再度公正証書遺言を作り直す
  • 自筆証書遺言を新たに作成する

再度公正証書遺言を作り直す

幸祥「一度作成した公正証書遺言の内容を公正証書で変更したいのであれば、再度公正証書遺言を作り直すことになるんですね。でも公正証書遺言を作成するためには証人を二人準備したり費用が掛かったりと手間と費用が発生しますいが、大丈夫ですか?」

おじい「どのみち、内容を変えたいと思っていたからのう。手間と費用はまあいいんじゃが、書き直すことでよからぬことになったりはしないのかのう?」

パパ「つまりデメリットはないかってことか?」

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幸祥「デメリットは特にはないです。自筆証書遺言のように検認をしなくてはいけないこともないですし、ご存じのように公正証書遺言には改ざん・隠ぺい・形式不備のリスクがありませんから」

おじい「自筆証書遺言は自分で書くことができるから手軽だけど、最初に見つけた人がこっそり内容を変えてしまう危険があると言っていたの」

おばあ「おじいさんの場合は、内容を変えられる危険より、どこにしまったか忘れてしまう可能性のほうが高いですけどね」

ママ「あと、自分勝手な書き方して形式不備になったりね」

おじい「…ぐうの音も出ぬ」

パパ「公正証書遺言であれば、仁くんのような公証人に口述して書いてもらえるうえ、公証役場に原本を保管してもらえるので改ざん・隠ぺい・形式不備のリスクがないもんな」

自筆証書遺言を新たに作成する

幸祥「公正証書遺言と自筆証書遺言に優劣はありませんから、自筆証書遺言を新たに作成する方法でも、自分の最新の遺志を残すことができます。

先ほど最も日付が新しいものが有効と紹介したとおり、公正証書遺言と自筆証書遺言の2つが存在している場合は、日付の新しい方が有効です」

公正証書遺言から自筆証書遺言へ書き直すときに注意するポイント

おばあ「そういえば、老人会のメンバーの花子さんが、公正証書遺言を書いていて、同じように書き直しをしようか悩んでいたわ。

でも公正証書遺言をもう一度作るのは大変だから、自筆証書遺言で書き直したいと言っていたけど、その場合にはどんなことに気をつければいいのかしら?」

公正証書遺言から自筆証書遺言へ書き直すときに注意するポイントとしては、次のような項目が挙げられます。

  • 公正証書遺言の謄本を確認する
  • 自筆証書遺言の内容に不備がないか専門家にチェックしてもらう

公正証書遺言の謄本を確認する

幸祥「まず、元の遺言の内容を正確に把握するために公正証書遺言の謄本(コピー)が手元にあるかどうか確認するのが第一ですね」

おじい「謄本のう。確かに公正証書遺言を作ったときに交付してもらっておるな」

幸祥「手元にあればいいんですが、紛失してしまったりした場合は作成をした公証役場で再度謄本を交付してもらうんです」

おばあ「それは、花子さん自身が手続きをしなきゃいけないのよね?」

幸祥「そうですね。遺言者本人が公証役場に出向き、実印、印鑑証明書、身分証明書を提示しなくてはいけません

パパ「で、その謄本をもとに、新しい遺言書を自分で書くことができるわけか。でも不安があるんじゃないかな」

自筆証書遺言の内容に不備がないか専門家にチェックしてもらう

幸祥「ええ、可能であれば専門家のアドバイスを求めて、自筆証書遺言の内容に不備がないかをチェックしてもらうことをお勧めします

自筆証書遺言は日付や署名の方法、全文を自書しなければならないなど、多くの要件が定められています。

1つでも要件を満たしていないと無効となってしまいますから、できれば行政書士など専門家にサポートしてもらった方が安心です。

もっともそこまでやるなら、公正証書遺言のほうが間違いがないし、いいんじゃないかという話でもあるんですけどね」

書き直した自筆証書遺言に不備があって無効になるケースでは、結局元の公正証書が有効となり、そちらを執行せざるを得ない、なんか話も聞いたことがあります。よっかたら次の記事も読んでみてください。」

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公正証書遺言から自筆証書遺言へ書き直すときは行政書士などの専門家に相談を

ママ「いずれにせよ、自分の判断だけでなく行政書士などの専門家のアドバイスをちゃんと聞くということが大事なのね」

おじい「餅は餅屋と言うからのう。でも、きなこが落書きしてくれたおかげで、わしらもこうして勉強になって、よかったじゃないか」

きなこ「きなこ、えらい?」

ママ「でももう、やたらめったら落書きしないようにね」

きなこ「これにも書いちゃダメ?」

パパ「あーっ! こっそり隠していた、新しいゴルフのアイアンに…! きなこ、ちょっと待ってくれ…」

ママ「へーえ。いつ買ったのかしら。聞いておりませんですけど?」

パパ「…ちょっと待ってくれ」

公正証書遺言と自筆証書遺言に優劣はなく、最新の日付の遺言書が有効となります。

作成した公正証書遺言の内容を、公正証書で変更したいのであれば、再度公正証書遺言を作り直すことになるため、負担に感じる方もいるかもしれません。

もちろん、新しく自筆証書遺言を作れば、その自筆証書遺言が有効とされます。

しかし自筆証書遺言は要件が厳しく、要件不足で無効となるケースも珍しくはありません。

また、自分が書いた文章が、法律的に見ると曖昧な内容となっており、意図せずして相続手続きが難しくなってしまうケースもあります。

スムーズな相続手続きを実現するためにも、公正証書遺言から自筆証書遺言への書き直しを検討している方は、ぜひ横浜市の長岡行政書士事務所へご相談ください。

状況をお聞きし、もう一度公正証書遺言として作り直す方法も視野に入れながら、最適な方法をご提案いたします。初回相談は無料なので、お気軽にお問い合わせください。

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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