自筆証書遺言保管制度の関係遺言書保管通知と死亡時通知とは?

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自筆証書遺言保管制度の関係遺言書保管通知と死亡時通知とは?

 

ご相談者様:80代女性

そろそろ遺言書を用意したいと思っているのですが、気軽に作成したいので自筆証書遺言の形式で作成したいと思っています。

自筆証書遺言は自身で保管がメジャーなのですよね?

 

でも、自宅で保管することも不安があるし、かといって誰かに預けるというのも抵抗があります・・・

それに家の中に見つからないようにしまい込めば見つけてもらえないのではないかなど、心配事が多くなかなか進みません。

何か良い方法はないかと思いご相談に参りました。

回答:長岡行政書士事務所 長岡

今回のご相談者様は、自筆証書遺言の作成をご希望で、遺言書の保管方法についてご不安ということでご相談にいらっしゃいました。

自筆証書遺言については、令和2年7月より自筆証書遺言保管制度という法務局で自筆証書を保管してくれる制度が開始しています。

 

この自筆証書遺言保管制度を利用することで、自筆証書遺言を安全に保管をしてくれるとともに、一定の条件が揃った場合には相続人等に対して遺言書が存在する旨の通知をしてくれる制度もあります。

今回はこの自筆証書遺言保管制度の『通知』について解説していきます。

 

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一般的な遺言書の種類は2種類

遺言書を作成する場合に一般的に用いられるのが『自筆証書遺言』と『公正証書遺言』です。

この2種類の遺言書の形式のうち、自筆証書遺言保管制度が利用できるのは『自筆証書遺言』のみです。

 

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言は、遺言者が『遺言の全文』、『日付及び氏名』を自筆し、『押印』することで遺言書として成立するものです。

<メリット>
  • 遺言者一人で作成ができる。
  • 思いついたらいつでも作成することができる。
  • 専門家に依頼する必要がないため費用が抑えられる。
<デメリット>
  • 遺言書の形式に則ったものでない場合、無効となってしまう可能性がある。
  • 自ら保管する必要があるため紛失の恐れがある。
  • 書いても見つけてもらえない。
  • 裁判所で検認手続(※1)が必要。

※1 裁判所による検認手続とは・・・

遺言書の発見者や保管者が家庭裁判所に遺言書を提出して相続人などの立ち会いにもとで、遺言書を開封し、遺言書の内容を確認すること。

遺言書の存在を明確にし、偽造されることを防止するための手続きです。

 

自筆証書遺言について、詳しくは以下のリンクからご確認ください。

合わせて読みたい:基礎から知りたい!!自分で作成する自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言保管制度とは

自筆証書保管制度とは、自筆証書遺言を法務局で遺言書保管官として指定された法務事務官が保管してくれるという制度です。

 

従来、自筆証書遺言はご自宅で保管あるいは弁護士や信託銀行に預けるくらいしか方法がなく、自宅に保管するケースが多かったようです。

しかし、ご自宅などで保管されていた場合、遺言者以外の誰かが発見して偽造変造の恐れがあったこと、また、死後に遺言書が発見されることなく相続人間で遺産分割がなされるなど様々なトラブルが心配されていました。

 

自筆証書遺言保管制度は、自筆証書遺言における様々な想定しうるトラブルを回避し、遺言者の意思を確実に実現することを期待して制定された制度なのです。

合わせて読みたい:自筆証書遺言を作成した場合は自筆証書遺言書保管制度を利用するべきなのか?

 

遺言書は相続人に存在を知ってもらうことが大切

自筆証書遺言保管制度によって自筆証書遺言の紛失や偽造変造の恐れはほぼ解消されたと言えます。

 

しかし、もう一つ懸念点があります。

遺産分割時までに、遺言書の存在を相続人等に知ってもらうことです。

 

せっかく遺言書を作成し、保管制度を利用して大切に保管していたとしても遺言書の内容を相続人等が知らなければ、遺言書の内容を実現することは不可能です。

また、遺言書が見つからないうちに遺産分割がなされてしまった場合、後から遺言書が発見されると再度遺産分割手続き・・・となる可能性もあり、相続人等にとっては大変な作業ともなりかねません。

このように、遺言者の意思を相続人等に実現してほしいと希望する場合には、確実に遺言書の存在に気づいてもらう必要があります。

合わせて読みたい:遺産分割協議とは?流れとポイントを行政書士が解説

 

しかし、遺言者が生存している間は偽造変造を防ぐために遺言書は簡単に見つかってはならない。

でも死後はしかるべきタイミングで遺言書を発見してもらわなければならない。

非常に難しい問題です。

 

自筆証書遺言保管制度ではない通常の自筆証書遺言の検認手続きも、

相続人に存在を知らしめる制度であり、偽造変造を防ぐ意味合いがあります。

合わせて読みたい:自筆証書遺言の検認って何のこと? 検認の目的と具体的な流れを解説!

 

そこで、自筆証書遺言保管制度は相続人等に通知をしてくれる制度を取り入れています。

 

自筆証書遺言保管制度は遺言書があることを通知してくれる

自筆証書遺言保管制度は遺言書が相続人等に確実に発見してもらえるように、遺言書を保管している法務局から通知をする仕組みをとっています。

 

『遺言書を作成しても相続人等に発見してもらわなければならない、しかし遺言書が簡単に見つかってはならない。』自筆証書遺言保管制度は、これらの問題を解決するためにも役立ちます

 

通知の種類は2種類

自筆証書遺言保管制度の大きな特徴である『通知』には、『関係遺言書保管通知』と、『死亡通知』の2種類の通知があります。

 

自筆証書遺言保管制度の関係遺言書保管通知とは

全ての相続人等に対して、遺言書が遺言書保管所に保管されている旨を通知するものです。

関係遺言書保管通知様式

関係遺言書保管通知は、実際に書面には『遺言書を保管している旨の通知』と記載した書面が届きます。

 

関係遺言書保管通知が発せられる条件

以下のいずれかの場合に通知が発せられます。

  • 遺言者の相続人等が保管されている遺言書の閲覧をした場合。
  • 遺言者の相続人等が遺言書情報証明書の交付を受けた場合。

『関係遺言書保管通知』を受けるためには特段の手続きは必要ありません

上記条件のような場合に自動的に通知が発せられます。

 

関係遺言書保管の効果

この通知によって全ての関係相続人等に対して遺言書が保管されていることが伝わる仕組みとなっています。

遺言書の存在を一部の相続人しか知らず、他の相続人に黙って遺言書の内容を実行してしまうといった不都合を回避することができます。

 

関係遺言書保管の通知内容

  • 遺言者の氏名
  • 遺言者の出生の年月日
  • 遺言書が保管されている遺言保管所の名称
  • 保管番号

関係遺言書保管通知では、以上のことが通知されます。

しかし、遺言の内容まで確認することはできません

 

そのため、遺言書の本文の内容を確認したい場合には、通知を受けた人が個別に遺言書保管所で遺言書の閲覧、遺言書証明情報の交付を受ける必要があります。

 

自筆証書遺言保管制度の死亡時通知とは

遺言者本人が死亡したとき、事前に本人が指名しておいた者に対して、法務局で遺言書が保管されている旨を通知するものです。

 

死亡時通知様式

死亡時通知は、実際に通知される際には『遺言者が指定した方への通知』と記載された書面が届きます。

 

死亡時通知が発せられる条件

遺言者があらかじめ指定した人(3名まで指定可能)に通知を希望している場合

つまり、死亡時通知は言者が遺言書の保管の申請時に手続きをする必要があります

 

※従来は1名まで指定可能でしたが、令和5年10月2日から3名になりました。

また、従来は指定可能な対象者が受遺者、遺言執行者又は推定相続人とされていましたが、これらの人に限定されず、指定可能となりました。

 

死亡時通知の効果

遺言者が遺言書を遺言保管所に保管していることを一切誰にも伝えないまま亡くなってしまった場合であっても、指定者通知を受領した方に対して遺言書が保管してある旨を知らせることが可能です。

 

死亡時通知の内容

  • 遺言者の氏名
  • 遺言者の生年月日
  • 遺言書が保管されている遺言保管所の名称
  • 保管番号

関係遺言書保管通知と同様に、死亡時通知でも遺言の内容まで確認することはできません。

 

そのため、遺言書の本文の内容を確認したい場合には、通知を受けた人が個別に遺言書保管所で遺言書の閲覧、遺言書証明情報の交付を受ける必要があります。

 

自筆証書遺言保管制度の関係遺言書保管通知と死亡時通知の違い

関係遺言書保管通知と死亡時通知は、通知内容は同じですが以下の点が異なります。

  • 通知のタイミング
  • 通知先
  • 制度の利用条件

関係遺言者保管通知と死亡時通知のタイミング

関係遺言書保管通知死亡時通知

以下のいずれかの場合に通知されます。

①相続人等が遺言書情報証明書を請求

②相続人等が遺言書を閲覧したとき

遺言書保管官が遺言者の死亡の事実を確認したとき

 

関係遺言者保管通知と死亡時通知の通知先

関係遺言書保管通知死亡時通知

以下の全ての者に対して通知されます

  • 相続人
  • 受遺者
  • 遺言執行者
相続人が指定した相手(最大3人まで)

 

関係遺言者保管通知と死亡時通知制度の利用条件

関係遺言書保管通知死亡時通知
一定の条件が生じれば自動的に通知される遺言者の任意の設定により通知される

 

確実に関係遺言者保管通知と死亡時通知が届くために

遺言書は遺言者の意思を実現してもらうために作成するものです。

法律も遺言者の意思を尊重します。

 

しかし、遺言書の存在が知らなければ、遺言書に記載された遺言者の意思が実現されることはほぼ不可能です。

そのため、自筆証書遺言保管制度に規定されている通知は、確実に関係相続人等の元へ届く必要があります。

遺言書の保管の申請時において、氏名する方の氏名や住所などを正確に記載するように注意してください。

 

また、死亡時通知が届くように指定した人の転居などにもご注意ください。

変更の届出をする必要があります。

 

この変更の届出は、全国どこの遺言書保管所でも手続きが可能です。

また、郵送でも可能です。

 

確実に相続人等に対して遺言書を見つけてもらうためにも、通知が届くように手続きをしておく必要があります。

 

関係遺言者保管通知と死亡時通知を受け取ったら

『関係遺言保管通知』や『死亡時通知』は、関係相続人等に対して遺言書が遺言保管所に保管されていることなどを通知するためのものです。

そして、遺言の内容を確認してもらい、ひいては遺言者の意思を尊重するために設けられています。

 

『関係遺言保管通知』や『死亡時通知』だけでは遺言書の内容は分かりません。

もし、これ等の通知を受領した場合には最寄りの遺言保管所において、遺言の内容を確認するために閲覧や遺言書情報証明書の交付の請求を行なってください。

 

自筆証書遺言はご自身だけで作成できるものですし、自筆証書遺言保管制度によって自筆証書遺言のデメリットがかなり解消されたと言えます。

しかし、人生において何度も経験するものではなく、ご心配なこともあると思います。

 

そんなときは行政書士などの専門家へ頼ってみることも一つの有効な手段です。

ご不安なことがあれば、ぜひ長岡行政書士事務所へご相談にいらしてみてください。

 

合わせて読みたい:自筆証書遺言書保管制度の証明書は2種類!遺言書が見つからない場合に活用

 

<参考文献>

常岡史子著 新世社 『今日の法学ライブラリ8 家族法』

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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