親所有の土地に子名義の家があると問題?相続対策を行政書士が解説!

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【遺言創作小噺「目先の目利き」】親の土地に立っている自宅の相続対策は?

親所有の土地に子名義の家があると問題になるのでしょうか。

この記事では親の土地に立っている自宅の相続対策について、行政書士の監修のもと、落語調のストーリー形式で解説します。

なんでも「タダより高いものはない」なんて申しますが、ただで何かをもらうと、かえって費用がかかってしまうなんてのはよくある話でございまして。

銭金で解決すればいい話ですが、特に肉親の、親子の間柄ともなればそう簡単にいかないというのも世の常。目先のことばかり考えておらず、少し先のことも考えて、大事のないように動きたいものですが…。

 

おかみ「ねえあんた、大変だよ、えらいことになっちまったよ」

 

ご主人「なんだい、やぶからぼうに。なにがあった?」

 

おかみ「はす向かいの三河屋さんが言ってきたんだよ。お宅の主さんももう歳だから、太郎ちゃんの家のことも考えてるのかい、って」

 

ご主人「どういうことだい? あたしが歳だなんて、こう見えてもまだまだ芸者衆には評判がいいんだよ」

 

おかみ「何を色気づいたこと言ってるのさ。そうじゃなくて」

 

ご主人「なんなんだい?」

 

おかみ「ほら、うちの敷地に太郎の家を建てたじゃないか」

 

ご主人「ああ、太郎名義でな。あの子は昔から体が弱かったから、どうも目の届かないところにいたら心配だからねえ」

 

おかみ「それがさ、親の土地に子どもの自宅が建っていることが問題になるかもしれないから気を付けてというんだよ」

 

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親の所有する土地にに子名義の家があると兄弟間で相続問題になる可能性がある

ご主人「親の所有する土地に子ども名義の家があって何が問題なんだい。うちの敷地に、うちの子の家を建てているだけじゃないか。ははあ、あれかい。三河屋のやつ、自分のところの土地が狭いもんだから妬いているんだね」

 

おかみ「あのね、妬かれるほど広いこたあないよ。妬かれるほど稼いできてほしいもんだよ」

 

ご主人「なんだい、えらくつっかかるじゃないか。だから、同じ敷地に太郎名義の家があることの何がいけないんだい?」

 

おかみ「あんまり気になったから、横浜市にある行政書士の長岡屋さんのところに行ってみたんだよ」

 

ご主人「うん、そしたら?」

 

おかみ「将来、相続の時にややこしいことになるかもって。ほら、弟の次郎との間で」

 

ご主人「ああ、丁稚奉公の修行をしている次郎かい」

 

おかみ「兄弟がいるんだから、何も手を打たずにいたら、もしかして太郎と次郎との間でやっかいごとになるかもしれないって言うんだよ」

 

ご主人「なんだって? 太郎はあたしが目に入れても痛くないほどかわいがってきたんだよ。太郎だって、こんなちっちゃいころから、父上父上って…かわいかったなあ」

 

おかみ「思い出に浸ってる場合じゃないよ。あたしゃもう何が何だかわからないから、ちょいと横浜市にいる長岡屋さんのところについてきておくれな」

 

ご主人「ふうん。まあそりゃ構わねえけど、何なんだろうねぇ?」

遺言がないと相続手続きが煩雑になる

ご主人「…そんなわけでね、長岡さん、うちのやつの説明だとちっとも話が進まなくてね」

 

おかみ「太郎と次郎の間でやっかいごとになるかもしれないってのはどういうことなんですか?」

 

長岡「ええ、すぐにすぐ何かあるというわけではないんですが、遺言などの用意を何もしないでおくということが心配でしてね」

 

ご主人「何もしなければ今のままじゃないんですかい?」

 

長岡「将来、もし太郎さんが家を売りたいと言うときがきたら、手続きが煩雑になったり、意見がまとまらず処分ができない場合などがあるかもしれないんです」

 

ご主人「なんでそうなるのか、わけがわかりませんや。だって、太郎がそんなこと言い出すわけがないでしょう」

 

長岡「ですから、もしもの話です。それ以前に、もしご主人が亡くなったら、法定相続になるんです」

 

おかみ「法定ってことは…お上が関わってくるんです?」

遺言書がないと法定相続が発生する

長岡「法律で相続人と持ち分が決められていますからね。それにもし太郎さんと次郎さんの間で遺産分割協議になると、ややこしくなる可能性があるんです」

 

ご主人「ちょ、ちょっと待っておくんなさいよ。あたしゃ太郎に財産を譲ると決めてるんだ。主のあたしが言うんだから、そりゃ絶対でしょうよ」

 

長岡「ところがどっこい」

 

ご主人「…えらく古い言い方ですな。いったいなんです?」

 

長岡「法定相続では、財産を相続することのできる相続人の範囲とその相続人が相続できる財産の割合が法律で定められているんです」

 

おかみ「つまり、次郎がその気になれば、相続の権利を主張できるってわけです?」

長岡「早い話がそういうことです。ちょっと調べさせてもらいました」

《太郎さんと次郎さんの相続財産》
土地:父親名義1000万円 ※父名義の土地に、長男名義の建物あり
建物:父親名義1000万円
預貯金:1000万円

 

長岡「今回は話を分かりやすくするために、おかみさんが亡くなったあと、ご主人だけの財産を相続するという話にしますね」

 

ご主人「あと100年は生きてくれそうなほど気が強いですがねえ」

 

おかみ「うるさいねえ」

 

長岡「相続人が子供だけの場合、法定相続では子の人数で等しく分割することになりますので、法定相続分は太郎さんと次郎さんそれぞれ1/2ずつになります」

 

ご主人「兄弟で半分こか。まあ道理ですな」

相続時に土地が共有されると権利関係が複雑になる

長岡「問題は敷地内の建物です。ご主人の理解や勧めもあって、お互いに問題なく父親の土地上に自宅建物を建てて住むことができたかもしれません」

 

ご主人「まったく問題なかったですな。そもそも次郎は別の大店に修行に出しているわけですし、そこで一人前になれば自分で店をやるでしょう」

 

長岡「でも相続により土地が共有状態となると、権利関係が複雑になります。もし、ご主人亡き後、太郎さんにもしものことがあれば、「太郎さんの奥さんとお子さんVS次郎さん」という争いがおこるかもしれないんです」

 

ご主人「えっ、太郎のやつ結婚していたんですか? しかも子供まで…まったく気付かなかった。ああ見えて私の若いころに似ているからモテ…」

 

おかみ「お前さん、太郎は独り身ですよ」

 

ご主人「ああそうか、いけないいけない。でも太郎と次郎の間でいさかいは起きてほしくないなあ…もし遺言がなくて、相続がうまくいかない場合は何が起きるんです?」

 

長岡「通常は遺産分割協議によって相続する財産を決めることになりますね」

 

ご主人「そりゃいったい何なんです?」

遺言がない場合は遺産分割協議が行われる

長岡「通常は遺産分割協議によって相続する財産を決めることになりますね」

 

ご主人「遺産分割協議?そりゃいったい何なんです?」

 

長岡「相続人の誰がどの財産をどれだけ相続するのか、相続人間の話し合いで決めることです」

 

遺産分割協議については「遺産分割協議とは?流れとポイントを行政書士が解説 – 横浜で遺言のご相談」という記事もご覧ください。

遺産分割協議とは?流れとポイントを行政書士が解説

 

おかみ「話し合いなら平和な解決方法じゃないですか。あたしゃてっきり斬り合いだの果たし合いだのと思っちまいましたよ」

 

長岡「例えば、土地・建物は長男が相続し、預貯金は次男が相続するという分割方法だったら、不動産の名義はすべて長男になりますから、土地上に太郎さん名義の家が建っていても、権利関係は複雑にならないでしょう」

 

ご主人「そりゃそうです」

 

長岡「でもここが落とし穴でしてね。不動産の財産的価値は、一般的には高額なものです。つまりお金に置き換えて考えたら、不動産を相続できないのは不公平だという見方をしてもおかしくはない」

 

ご主人「そうか、それで話し合いがまとまらない可能性も考えられるわけですねえ」

 

長岡「ですから、今のうちに手を打つべきなんです」

 

おかみ「どうやって? 太郎の家を別のところに移すとでも?」

親所有の土地に子名義の家がある場合の遺産相続対策例

親所有の土地に子名義の家がある場合の遺産相続対策例には、次のような方法があります。

 

  • 不動産以外の財産を作る
  • 代償分割を行う
  • 生前贈与を行う
  • 相続時精算課税制度を使う

不動産以外の財産を作る

長岡「家を他に移すのは難しいですから、まずはご主人が不動産以外の財産をしっかり作っておくことですね」

 

ご主人「不動産以外の財産ねえ」

 

おかみ「そうそう、長岡さんの言う通り!」

 

ご主人「うるせえやい」

 

長岡「まあまあ。ご主人の場合は、今の状態からしても土地と建物合わせて3000万円の財産が太郎さんに相続されるのは既定路線ですよね。ということは、1000万円もらえる次郎さんとの間で差が出てしまいます」

 

《太郎さんと次郎さんの相続財産》
土地:父親名義2000万円 ⇒太郎が相続
建物:父親名義1000万円 ⇒太郎が相続
預貯金:1000万円    ⇒次郎が相続

 

ご主人「次郎が相続する預貯金を2000万円足すというわけですかい?」

長岡「そうです。このように不動産以外の財産があれば、親所有の土地に子名義の家がある場合の遺産相続対策になります」

代償分割を行う

長岡「もしくは相続した後に、太郎さんが次郎さんに1000万円を支払うかですね。不動産のように簡単に分割できない財産の場合、他の相続人に相応の代償金を支払うんです。代償分割といううやり方ですね」

 

ご主人「なるほど、それなら2000万円ずつトントンだから次郎も不満はないはずだ」

 

長岡「でも代償分割をする場合、遺産分割協議書というものを作って、そこに代償分割にする旨を記載しないと、代償金の支払いが贈与であると見なされてしまうんです」

 

おかみ「どうして贈与じゃいけないのかしら?」

 

長岡「贈与税が課税されてしまうことがあるんですよ。だから遺産分割協議書で、『代償として支払うこと』をしっかり主張しておくことが大事なんです」

 

ご主人「そうか。そりゃ気を付けないといけないですね」

 

長岡「あとは事前に遺言書を作成しておくことでも、太郎さんと次郎さんに厄介ごとを残さなくて済むようになりますよ。遺留分を侵害しないように気を付けることが前提です。」

 

合わせて読みたい>>遺言書の書き方・方式・注意点を行政書士事務所の事例と共に解説!

遺言書の書き方・方式・注意点を行政書士事務所の事例と共に解説!

 

ご主人「遺留分?」

 

長岡「遺留分とは、一定の相続人に保障される、相続財産を最低限受け取ることのできる割合のことです。「吾輩家族の遺言事情」などほかのコラムでも出てきていますから、ぜひ見てみてください」

 

遺留分について知りたい方はこちら:【吾輩家族の遺言事情3】遺留分を侵害していたら遺言は無効になる?

生前贈与を行う

長岡「親所有の土地に子名義の家がある場合の遺産相続対策例としては、生前贈与という手も考えられると思います」

 

ご主人「生前贈与ということは、あたしが生きている間に何かするということですかい?」

 

長岡「そうですね。相続の際面倒になりそうだから、生前贈与してしまおうという人も少なくはないんです。でも、生前贈与を行う場合に気をつけなくちゃいけないのが相続税です」

 

おかみ「また税金が出てきた」

 

長岡「まあまあ。生前贈与も税金が課せられますが、比較的大きな金額の基礎控除があるんです。3000万円+600万円×相続人の数ですから、今回の場合は4200万円です。つまり4200万円までは相続税がかからないんです」

 

おかみ「なるほど、ということはうちは今のところ税金がかからない範囲ですね、よかったよかった」

 

長岡「贈与税は1年間の贈与につき110万円の基礎控除がありますので、その範囲で毎年少しずつ贈与すれば税金がかかりません。でも今回みたいに土地を贈与する場合は一度に大きな金額の贈与になりますから」

 

ご主人「贈与税はきっちりかっちりかかってくるわけか」

 

長岡「贈与税の税率は、相続税の税率よりも高いのが一般的ですから、通常は生前贈与より相続の方が税金は低く抑えられると考えられもします」

 

ご主人「なんだい、ってことは、生前贈与じゃないほうがいいじゃないですか」

 

長岡「これもまたいろいろ制度がありましてね」

相続時精算課税制度を使う

長岡「相続時課税制度というのがあるんです。生前贈与は2500万円までを非課税で、贈与者が亡くなったときに、相続財産にその生前贈与した価額を合わせて相続税を課税することになるんです」

ご主人「へえ、2500万円までは税金がかからないとな」

長岡「とはいえ、税金がかからないように見えても、実質的には課税の先送りと言えますので、次の点に注意が必要です」

相続時課税制度の注意点

  • 2500万円を超える部分については一律20%の贈与税が課税される
  • 贈与税の基礎控除110万円は利用できなくなる
  • 相続時の財産に加算されるため、相続税の基礎控除額を超える場合がある
  • 一度選択した場合、取り消すことはできない

相続時課税制度の特別受益

  • 不動産の生前贈与が特別受益に該当した場合、生前贈与していても、各相続人の計算基礎となる相続財産に含まれる
  • 特別受益の持ち戻しとして、贈与した者の意思表示で免除することができる
  • 免除しても遺留分を侵害することはできません

長岡「つまりは、不動産の価額や将来見込まれる相続財産の価額などを見越して、相続にするか生前贈与にするか、この目利きが肝になるんです」

 

相続は元気なうちの「今」動くことが大事!行政書士に相談を

ご主人「なるほど。そういう先を見越した目利きも行政書士にしたらいいってわけですかい」

おかみ「こうなったら善は急げだよ、お前さん」

ご主人「長岡さん、もうひとつ頼まれてくれねえか」

長岡「ええ、なんでも」

ご主人「誰か行政書士を知らないですか?」

長岡「…目の前にいるでしょうに」

 

この記事で紹介した通り、親所有の土地に子名義の家があるのに対策を何もしていないと、相続時に問題となる場合があります。

既に家を建てた方は、土地や不動産以外の財産をどのように相続するか、遺言で遺しておくと安心です。

また、これから家を建てる人も、できれば建てる前に遺言書を書いておいた方がよいでしょう。

長岡行政書士事務所では、遺言書の作成についても承っております。少しでも不安なことがある方は、一度お気軽にお問い合わせください。

さらに詳しく知りたい方はこちら:親の土地に自宅が建っている!相続対策はどうしたら良い?

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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