相続の生前対策は誰に相談できる?民法と相続税法の対策を行政書士が解説!

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相続の生前対策とは?民法上の対策と相続税法上の対策の概要を行政書士が解説!

「生前に相続対策したいけど、誰に相談すればいいのか」

「相続では民法と相続税法が関係するらしいけど、この二つの法律はどういう関係なの」

「どんな時にどちらの法律が適用されるのでしょうか」

「具体的にどのような対策を講じておくべきですか」

 

相続には民法だけでなく相続税法も関係してきます。

そして、同じ財産に民法と相続税法では異なる解釈が発生したりします。

例えば、後述しますが生命保険金は民法上は相続財産に含まれないけど相続税法上は含まれる、といった具合です。

いったいこれはどういうことでしょう。

何を根拠にこのような違いが生じて、どのように対策を講じるべきなのでしょうか。

 

本日はなぜ民法と相続税法の二つが存在するのかの説明をし、具体例を用いて理解を深めてどのような対策をすべきか、日ごろ行政書士として遺言書作成・相続手続きをサポートしている観点から解説を行います。

もし記事内で紹介する内容よりも踏み込んだ生前の相続対策を検討しているのであれば、横浜市の長岡行政書士事務所へご相談ください。

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相続には民法と相続税法の二つが影響する

相続では、なぜ民法と相続税法の二つが影響するのか疑問に感じる方もいるでしょう。

実は民法と相続税法では趣旨が違います。

 

民法は社会秩序を維持する役割があるため、相続においては相続人間の公平を主眼においています。公平であれば当然に相続人間の納得感も高まり、争いも生まれにくくなるからです。

 

一方で税法では相続税の担税力、つまり税金を納めることのできる能力に注目しています。

税金を払えるだけの資力を手に入れたのであれば、それに応じて税金を払ってください、という考え方です。

 

それでは民法と相続税法、この二つの法律が競合してしまったらどうなるのでしょうか?

 

法律には特別法優先の原理、つまり「特別法は一般法に優先する」というルールがあります。

このルールにあてはめると、二つの法の関係は以下の通りになります。

 

民法=一般法、つまり通常は民法を適用

相続税法=特別法、相続税に関係してくる場合は相続税法を適用

 

例えば同じ相続財産という名目でも、税法上の相続財産と民法上の相続財産では、具体的に含まれる財産の範囲が変わってきます

 

遺言書を書いたり遺産分割協議をしたりする場合の相続財産は民法に基づきますが、相続税の申告をする場合には相続税法に則った相続財産を基に記載をする必要があります。

民法と相続税法の双方が関係する事例

それでは、民法と相続税法によりどのような違いがうまれるのかを例を用いて解説します。

 

例として夫が亡くなった時に妻が受け取る生命保険金は、民法と相続税法で扱いが異なります。

 

民法
受取人固有の財産なので、生命保険金は相続財産には含まれません。
つまり、妻が元々持っていた財産とみなされるのでこの生命保険金は相続財産に含まれず、遺産分割の対象とはなりません。仮に夫が遺言を遺しておく場合もこの生命保険金は記載する必要がありません。

 

相続税法
生命保険金も相続財産に含まれ、相続税の課税対象となります。
相続税申告をするときにはこの生命保険金を記載する必要があります。

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民法と相続税法から見る相続の対策例

では、民法と相続税法の違いから何を学ぶことができ、どのような対策を講じることができるのでしょうか。

民法と相続税法の違いをふまえて、いくつか相続対策例を紹介します。

  • 生命保険金の受取人には必ず金銭を受け渡せる
  • 相続放棄した場合でも生命保険は受け取ることができる
  • 生命保険は代償分割や遺留分侵害請求対策用の原資となる

生命保険金の受取人へは必ず金銭を受け渡せる

遺言がない場合は遺言分割協議をする必要がありますので、相続人同士で話し合うことになります。

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財産の分け方はあくまでも話し合いの結果次第なので、故人が遺産を遺したいと思っていた相手(例えば長年連れ添った配偶者)にも、遺言書がなければ十分な遺産を渡すことができないかもしれません。

 

しかし、金銭を受け取ってもらいたい方を生命保険金の受取人にしておけば、その生命保険金は民法により受取人固有の財産として扱われますので、遺産分割の対象になりません。

また、他の相続人から遺留分の請求を受けることもありません。

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ただ、生命保険金を受け取ったあとは相続税法に則り相続税の申告が必要なことは注意してください。

相続放棄した場合でも生命保険は受け取ることができる

相続する財産はプラスの財産だけでなく、借金やローンといったマイナスの財産も含みます。

プラスの財産だけ引き継ぐという「いいとこどり」は許されず、プラスとマイナスの両方を相続した結果合計してマイナスになってしまったという場合もあります。

 

このような事態を避けるために相続放棄という制度があり、相続の開始があったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所に申請をすれば、相続を放棄することができます。この場合プラス・マイナスに係わらずすべての相続財産を放棄することになります。

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しかし民法上生命保険金は受取人の固有の財産となるので、相続放棄をした場合でも生命保険金を受け取ることができます。

 

(ただし、生命保険金を受け取った後は相続税法により相続税の申告が必要となります。)

生命保険は代償分割や遺留分侵害請求対策用の原資となる

生命保険は代償分割や遺留分侵害請求対策用の原資となることも覚えておきましょう。

代償分割とは、不動産のように物理的に分割できない遺産があるときに、1人の相続人が不動産を相続したあと現金で他の相続人の相続分に見合った金額を払う、という方法です。

 

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また、遺留分侵害請求とは、民法で決められた取り分をもらえなかった相続人が他の取り分をもらった相続人に対して現金を請求する権利です。

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どちらも現金で払う必要があり、手元に現金の用意がないとせっかく遺産を受けとった相続人にとって負担となってしまいます。

 

生命保険金をうまく使えば相続財産とは別に現金を特定の相続人に渡せるので、その相続人が代償分割の清算金や遺留分を払う時に役立ちます、

生前に贈られた資産(生前贈与)の相続時の扱いと対策例

本人が生前に特定の相続人に資産を渡していた場合は、どのように扱われるでしょうか。

ここからは生前贈与と相続時の扱い、そして知っておくべき対策例について紹介します。

民法と相続税法における生前贈与の扱い

例えば兄弟がいて、父の生前に兄は留学資金で1000万円を受け取っていたとします。

つまり1,000万円の生前贈与が行われたということです。

 

民法
この1000万円は相続財産の前払いとして相続財産に含まれる。
つまり、兄は既に遺産から1000万円を受け取っているとみなされる。

 

相続税法
既に贈与税を払っているので、相続財産とみなされず相続税の対象にはならない。

 

この例で仮に父が死亡時に総額9000万円の遺産があり遺言はなく兄弟で等分する場合、遺産相続では民法が適用されるので兄は既に1000万を受け取っているので4000万円、弟はまだ何も受け取っていないので5000万円を遺産として受け取ることになります。

 

最初に触れた通り、民法の目的である公平性が保たれていると言えます。

 

翻ってこの1000万円が父から兄に贈られた時のことを考えると、年110万円以上の贈与なので既にこの時点で贈与税を払っています。なので既に税金を払っている以上相続財産とみなさず相続税はとらないことで、税の二重取りを防いでいます。

相続税と贈与税の比較検討をする

相続税法では3,000万円+600万円×法定相続人の数の非課税枠があります。

例えばこの父と兄弟の場合は3,000 + (600 x 2) = 4,200万円までは相続税が非課税となります。

留学資金や結婚資金のように急ぎの用でない場合は事前に資産額と相続人数を計算し、非課税枠内であれば相続時に遺産を譲った方が節税することができます。

 

ただ、相続開始3年以内の贈与は相続税の対象となることに注意してください。

生前にできる相続対策の種類

ここまで紹介した情報もふまえ、生前にできる相続対策の種類としては次の3つが挙げられます。

  • 相続トラブル対策
  • 節税対策・納税資金対策
  • 認知症対策

スムーズに相続手続きを進めるためにも、可能な限り対策しておきましょう。

相続トラブル対策

遺産をどのように分けるのか決めておかないと、財産の分け方で相続人が揉めてしまうことがあります。遺言書がないと遺産分割協議が必要になるため、その過程で争いが表面化することもあるでしょう。

 

遺言書を残しておけば、その遺言書に沿って財産分割を進めるため、相続人同士の負担を減らせることがポイントです。

また、財産が不動産しかなく分割できない場合なども、清算型遺贈を活用することで金銭を相続させることもできます。

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これら相続をスムーズに進めるためには、各種制度を活かした遺言書を作るとともに、遺言書の内容を実現してくれる「遺言執行者」を定めておく必要があります。

横浜市の長岡行政書士事務所は遺言書作成・遺言執行業務の双方に対応しているので、お気軽にご相談ください。

節税対策・納税資金対策

相続の生前対策では、節税対策・納税資金対策も必要です。

相続税法では3,000万円+600万円×法定相続人の数の非課税枠と紹介しましたが、生命保険を活用する場合は、さらに500万円に相続人の数をかけた額までは死亡保険金に相続税がかかりません。

また、相続税評価額が時価よりも低いため、現金が多い場合は不動産を購入して対策することもあります。

しかし相続税は現金で納める必要があるため、金銭についても用意しておかなければなりません。

このように節税対策・納税資金対策に必要な知識は多岐にわたりますから、専門家に相談した方がいいでしょう。横浜市の長岡行政書士事務所は税理士のご紹介も可能です。

認知症対策

意外と漏れがちなのが認知症対策です。認知症になると、生きている間の財産管理にも不都合が生じます。

認知症になる前に遺言書を用意しておくことはもちろんですが、介護施設に入るための資金を本人口座から用意するなどの手続きに対応するためにも、任意後見制度などを活用することをおすすめします。

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長岡行政書士事務所では任意後見契約の手続きにも対応しているので、制度について詳しく知りたい方も一度ご相談ください。

相続の生前対策には行政書士や税理士など専門家のサポートを有効活用する

一般法としての民法は公平性を念頭において遺産分割協議といった相続全般の手続きに、相続税法は特別法として相続税の申告時に適用されます。

 

相続には相続人達への遺産の承継だけでなく、税金対策という側面もあります。

相続人へ公平に財産を渡しつつ、さらに相続税も対策するとなると、亡くなる前からある程度前もって対策を始める必要がありますし、また税金の計算と対策には税理士の協力も不可欠です

 

横浜市の長岡行政書士事務所は、遺言書作成から相続手続きまで多くのサポート実績があり、生前対策の専門知識や経験が豊富にあります。提携する税理士とともに、包括的に相続対策できることが特徴です。

不明点や不安なことがありましたら、是非ご相談ください。初回相談は無料で対応しています。

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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