遺言書に預貯金残高は記載しておくべきなのか?遺言記載例も行政書士が解説!

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遺言書に預貯金残高は記載しておくべきなのか?遺言記載例も行政書士が解説!

 

「遺言書に残高を書くとなにか不都合があるのでしょうか」

「死亡時にどれくらい残高が残っているのかわかりません」

「口座残高のある一定の割合を特定の相続人に譲りたい場合はどう書けばいいのでしょうか」

遺言を書いている、または書こうとしている方からよくいただく質問が「遺言書に預金残高まで書いておくべきか」です。

 

せっかく遺言を書くのでなるべく自分の遺産を明確にしておきたいという気持ちがある反面、自分の預金残高が減っていることが判明したり、もしくはもっと多かったりしたらどうなるのだろうと考えてのご質問のようです。

 

このコラムでは遺言書に預金残残高を書くべきかの説明と、実際に預貯金について記載する場合の遺言書の文例をいくつか紹介したいと思います。

 

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遺言書には預貯金残高は記載しない

結論から先に言うと、遺言書に預金残高は記載すべきではありません。

 

遺言書を書く大きなメリットの一つは、遺産分割協議を避けられることです。

遺産分割協議では相続人全員が集まって遺産の分割案を協議し、相続人全員が合意に至らないといけません。

 

どんなに仲良い家族でもお金絡みの話となると意見が合致せずトラブルになったり、家族がバラバラになってしまったりと思わぬ結果を招きかねません。

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預貯金額が遺言書記載の額より増えている

遺言書は本人の最後の意思なので遺産分割の際に最も尊重され、基本的にその通りに遺産は分割されますが、預金残高を遺言書に書いてしまい本人死亡時に預金残高が増えていた場合は、その超過部分について遺言書に記載のない財産という扱いになってしまいます。

 

そして、その超過分につき別途相続人全員による遺産分割協議が必要になります。

 

預貯金額が遺言書記載の額より減っている

では、実際の預金残高が遺言書の預金残高より少なかった場合はどうなるのでしょうか。

 

このときは、遺言書作成時より死亡時に預貯金額が少ない場合は民法1023条2項によりその差額が生前処分として撤回されたと解釈することができます。

第1023条 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2 前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。

ただし、遺言書の書き方によっては他の遺産より補填する可能性がありますが、他の遺産が既に他の相続人に割り振られていたら持ってくることはできません。状況にもよりますが預金残高が不足したまま相続を進めることとなり、相続人間で不満の種になる可能性があります。

 

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もちろん遺産分割協議が揉めるとは限りませんが、全員の参加と同意が必要なので相続人にとって大きな負担になる可能性があります。

 

せっかく遺言を書くので、遺産分割協議は避けられるように配慮すべきです。

 

預貯金に関する遺言書の文例を紹介

それでは、預貯金に関して遺言書にどのような文を書くべきかの具体的な例を紹介します。

 

預貯金の残高が変わっても遺言書を書き直す必要がないような書き方にすることが大切なので、大別すると以下の2通りになります。

 

  1. 銀行・支店・口座ごとに相続人を指定する方法
  2. 預貯金全てを合計して割合で指定する方法

 

銀行・支店・口座ごとに相続人を指定する文例

銀行ごと、口座ごとに相続人を指定する書き方にしておけば、預金残高が増減しても遺産分割協議や預貯金が遺言書の額より不足したままで相続を進める事態を避けることができます。

 

銀行ごとに指定する文例

遺言者 ○○○○は、本遺言により、次のとおり遺言する。

第1条 遺言者は、死亡時に有するA銀行の全ての預金を長男 △△△△に相続させる。

第2条 遺言者は、死亡時に有するB銀行の全ての預金を次男 □□□□に相続させる。

令和X年X月X日

神奈川県横浜市X区X町X丁目X番

遺言者 ○○○○ ㊞

 

口座ごとに指定する文例

遺言者 ○○○○は、本遺言により、次のとおり遺言する。

第1条 遺言者は、死亡時に有する下記の口座を長男△△△△に相続させる。

A銀行B支店 普通預金 口座番号 ×××××××

第2条 遺言者は、死亡時に有する下記の口座を次男□□□□に相続させる。

C銀行D支店 普通預金 口座番号 ×××××××

 

令和X年X月X日

神奈川県横浜市X区X町X丁目X番

遺言者 ○○○○ ㊞

 

預貯金全てを合計して割合で指定する方法

預金を合計することで各口座の増減が遺産分割に影響しなくすることができます。

 

遺言者○○○○は、本遺言により、次のとおり遺言する。

第1条 遺言者が死亡時に有する全ての預貯金の合計額の2分の1を長男△△△△に、同じく2分の1を次男□□□□に相続させる。

令和X年X月X日

神奈川県横浜市X区X町X丁目X番

遺言者○○○○ ㊞

 

また、預貯金を割合で指定しながら最低限の金額レベルを特定の相続人に保障することも可能です。

 

遺言者○○○○は、本遺言により、次のとおり遺言する。

遺言者が死亡時に有する全ての預貯金の合計額の3分の2を長男△△△△に、3分の1を次男□□□□に相続させる。

ただし、長男が相続する預貯金が300万円以下になる場合には、300万円を長男に相続させ、残りの預貯金の金額を次男に相続させる。

 

令和X年X月X日

神奈川県横浜市X区X町X丁目X番

遺言者 ○○○○ ㊞

 

ただ、上記のように遺産を特定の相続人に集中させるときは各相続人の遺留分に注意する必要があります。

 

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遺言を書く時は行政書士などの専門家のサポートを利用

遺言書に預金残高は書くべきではありません。

このコラムで紹介した通り預金を相続させる書き方がいくつかありますので、ご自身の状況に応じて使い分けてみてください。

 

自分で書く遺言書の事を自筆証書遺言と言いますが、この預金残高の様に書き方によって相続に影響が出る場合と、そもそも様式や要件を守らないと遺言書自体が無効になってしまう場合があります。

 

遺言書を作成する本来の目的である円滑な相続を達成するためにも、遺言書は自筆証書遺言でなく社会的に信用のある公正証書遺言にして、専門家のアドバイスを得ながら遺言の内容を吟味すべきだと言えます。

 

あわせて読みたい>>>遺言書を作成する場合は、公正証書遺言と自筆証書遺言のどちらを選べばよいのか?

 

長岡行政書士事務所は相続の相続の経験が豊富にあり、ご相談者様の負担を少しでも軽減するため印鑑一つで達成できる相続を目指しています。

 

ご不明点や不安を感じた際はぜひ当事務所までご相談ください。

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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