遺言に書かれた金額が足りない場合・多い場合どうする?決まった額の現金相続について行政書士が解説

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遺言に書かれた現金、残ってる?遺言で現金〇〇円を相続することになった場合について解説!

「現金を決まった金額だけ相続させたい場合、遺言書はどう書くの?」
「次男には現金100万円だけを相続させたい。遺言書に金額は書くの?」
「現金200万円を相続させる遺言、他に財産があったらどうなるの?」

 

遺言書では、ご自身の財産を誰にどれだけ渡すのかを書き記しますが、そのとき、「次男に現金100万円を相続させる」というように、具体的な金額を指定している場合があります。

けれども、相続財産が現金以外にもあるときや、指定されていた現金が不足する場合、その現金を相続することになっていた相続人はどこまでを相続できるのでしょうか。

今回は、遺言で「現金〇〇円を相続させる」と書かれていた場合について掘り下げて考察していきたいと思います

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遺言書で指定された金額より多い現金の遺言執行

それではまず、遺言で指定された現金が残されていた場合の事例をみてみましょう。

ご相談者様:60代女性

先日、実家に母と二人で暮らしていた父が他界し、公正証書遺言が残されていたため、遺言による相続をすることとなりました。相続人は私と母の他に兄がおりますが、遺言書の内容は、母に不動産、兄にA銀行の預貯金、私に現金200万円を相続させる、というものでした。
けれども調べたところ、実家の金庫内には現金が300万円ほど残されていました。この場合、私の現金の相続は200万円なのでしょうか?それとも残されていた300万円なのでしょうか?

回答:長岡行政書士事務所 長岡

今回のご相談者様の事例は、遺言書に「現金〇〇円を相続させる」と具体的な金額が記されていた場合、実際に残されていた現金についていくらまで相続できるのか、というご相談内容でした。
結論から申し上げますと、今回の事例においてご相談者様が遺言書に基づいて相続する現金は、たとえ金庫に現金が300万円残されていたとしても、遺言書で指定された200万円となります。
それでは、この事例について、次項でもう少し詳しく説明させて頂きたいと思います。

遺言書に記載された金額がその人の相続分

遺言書で預貯金や現金を相続させる旨記載することは、とてもよくあることです。
ただ、その記載の仕方は様々であり、今回のご相談者様の事例のように具体的に「現金〇〇円」と記載することもあれば、「現金その他一切の財産」などというように、金額を指定せずに記載する場合もあります。

 

遺言書で金額の指定をせずに、「現金その他一切の財産」と記載した場合は、今回のように金庫内に指定された金額以上があった、という事態にはならず、残された現金すべてが相続の対象となります。

 

しかし、「現金〇〇円」と具体的な金額を指定した場合は、たとえそれ以上の現金があったとしても、遺言書に記載された金額がその人の相続分となります

遺言書の指定より多い財産は法定相続か遺産分割協議で配分

では、今回の事例では、ご実家の金庫内に残されていた300万円のうち、ご相談者様が遺言により相続する200万円を除いた100万円は、どうなるのでしょうか。

 

遺言書が作成されており、遺言書に記載されていない財産が発見された場合、その記載されていなかった財産については、法律に基づく法定相続か、相続人間で配分を決める遺産分割協議によって相続することになります。

したがって、今回の事例で金庫内に残されていた100万円については、遺言書にその相続について記載されていないことから、相続人である妻、お兄様、ご相談者様の3人で法定相続分による相続をするか、3者で話し合って誰がどう相続するかを決めることとなります

なお、遺産分割協議による場合には、話し合いの内容をまとめ、各相続人が署名・押印(実印)した遺産分割協議書という書面を作成することも必要となります。

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遺言書で指定された金額が不足していた場合の遺言執行

さて、今回のご相談者様の事例のように、指定された現金が残されていた場合、その相続人が困ることはそれほどないと言えます。

しかし、実際には、指定された現金が残されていなかった、あるいは現金が不足していた、という場合もあり得ます。

では次に、遺言書で指定された現金が残されていなかった、あるいは不足していた場合について例をみてみましょう。

ご相談者様:50代女性

私は3人兄妹の長女で、兄と弟がおります。
先日、施設に入所していた高齢の母が亡くなりました。父はすでに他界しております。
公正証書遺言が残されていましたので確認したところ、次のような内容でした。
・自宅不動産(土地・建物)は売却して換価したうえ、長男・次男で2分の1ずつ相続させる。
・長女には現金1000万円を相続させる。

ところが実家を確認したところ、実家の金庫内には現金100万円しか残されていませんでした。
そのほかに財産を調べましたら、預貯金が800万円ほどあることが分かりました。
私の相続分はどうなるのでしょうか。

回答:長岡行政書士事務所 長岡

このご相談事例では、遺言書では現金を1000万円相続させる旨記載されていますが、実際には100万円が残されており、900万円不足しております。
ただし他に、遺言書には記載されていなかった預貯金が800万円ほどあります。
このような事例では、結論から申し上げますと、預貯金の800万円を現金と合わせて相続することとなります。
では、次項でもう少し詳しく説明をしたいと思います。

遺言書で指定された現金が残っていなかった場合、他の財産を処分してお金をつくり、そこから不足分を充当することが考えられますが、他の財産がない場合もあります。

ますは、他の財産があった場合についてみてみましょう。

他の財産がある場合は処分して充当する

遺言書で「現金〇〇円を相続させる」と記載されており、実際にはその金額が不足していた場合、ほかの財産で補えないか検討することになります

 

次のような財産あった場合、そこから不足分を補うことができます。
・預貯金
・株式
・貸金庫にあった金
・自動車

 

ただし注意が必要なのは、それらの財産が、遺言書で特定の人に相続させる旨記載されていた場合、その財産はその人に相続させることになるため、そこから補うことはできない、という点です。

 

不足分を補うのは、あくまでも遺言書で特定の人へ相続させる旨、記載されていない財産からとなります。

 

また、遺言書で遺言執行者が指定されている場合は、遺言内容を実現するために、この遺言執行者が「不足する分を現金にする手続き」を行ってくれますが、遺言執行者が指定されていない場合は注意が必要です。

 

相続人間で話し合うこともなく独断で財産を処分してしまうと、いくら遺言書で指定された金額にするためとはいえ、相続人間で「確かな手続きをしたのか、公正に行ったのか」等、不信感を持たれたり、トラブルになってしまうことも考えられます。

 

遺言執行者がいない場合でこのような手続きをする場合は、相続人間で話し合い理解を得てからすることが大切です。もしそれが難しい場合は、家庭裁判所に遺言執行者の選任を求めることも解決方法の一つと言えます。

他の財産がない場合は不足したままの金額を相続する

それでは、他に補える財産がない場合や、今回のご相談事例のように補っても不足する場合はどうなるのでしょうか。
また、他に財産があっても遺言で特定の人が相続することになっていた場合については、そこから補うことはできるのでしょうか。

 

今回のご相談者様の事例では、預貯金を充てても100万円不足しますが、その不足分について、長男と次男が相続する不動産から充当すれば、遺言書通りの1000万円を相続することができます。

 

しかし、ご相談者様の現金の相続が、長男・次男の不動産の相続よりも優先される理由はないため、そのように他の相続人の財産から充当することは認められません。

 

状況的には、遺言者が遺言を書いたときには、遺言書に記しただけの(あるいはそれ以上の)預貯金や現金があったことが想定され、それが相続までの間に残高が少なくなっていったと考えられます。
遺言者としては、「長男・次男に不動産を相続させ、その不動産以外の範囲内で現金1000万円を相続させることにした」と解することができます。

遺言者が生前処分により、その減少した額を民法1023条2項に基づき撤回したと解釈出来ます。

第1023条 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2 前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。

 

したがって、他の相続人が相続することになっている財産しかない場合や、他にまったく財産がない場合には、遺言で指定された金額に不足するとしても、その範囲で相続することになると考えられます

遺言書作成時は金額の記載に注意

今回は、「現金〇〇円」というように、具体的な金額を記した遺言について解説させて頂きました。

遺言作成時に手元に現金があったとしても、実際に相続が発生するまでの間に、減ってしまったりなくなってしまったり、あるいは増加したりする可能性があるでしょう。金額は一定ではなく、変動するものといえます。

遺言書に書かれた金額より多い財産が残っている場合は、次のように相続します。

  • 遺言書に記載された金額がその人の相続分
  • 遺言書の指定より多い財産は法定相続か遺産分割協議で配分

一方、遺言書に書かれた金額より少ない財産しか残っていない場合は、次のように相続します。

  • 他の財産がある場合は処分して充当する
  • 他の財産がない場合は不足したままの金額を相続する

 遺言書に書かれた金額より、実際に残されている金額が多い場合も少ない場合も、スムーズな相続手続きは難しいです。

ご自身の亡き後に残った現金を相続させたいという場合には、「現金その他遺言に記載されていない一切の財産」というような書き方をした方が、現金が減ってしまった場合や増えていた場合も、迷わずに相続することができ、よりスムーズな遺言の実現を図ることができます。

現金の相続について遺言で記そうとお考えの方は、ご自身の思いを実現できる遺言内容となるよう、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。

長岡行政書士事務所では、遺言や相続のご相談、遺言書作成に丁寧に対応しておりますので、分からない点やお困りごとがありましたら、一度お気軽にお話をお聞かせください。

今回もお読み頂きありがとうございました.

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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