会社経営者が子に事業を承継させたい!遺言の活用方法を行政書士が解説【遺言創作小噺】

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会社経営者が子に事業を承継させたい!遺言の活用方法を行政書士が解説【遺言創作小噺】

 

近年特に中・小規模事業者の経営者様の高齢化が進む中、事業承継は重要な経営課題のひとつです。

経営状態は問題なし…でも後継者不在により廃業になってしまう中小企業が社会問題化してもいます

もちろん、優秀な子が会社を継ぐ意思を持っているという恵まれたケースもありますが、親子の思いが一致していても、事業承継に失敗してしまうというケースもあります。

そこで今回は、事業承継をスムーズに行うコツについて、行政書士の監修のもと、落語調のストーリー形式で解説します。

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優秀な後継者がいても事業承継に失敗する

なんでも「親の因果が子に報う」などと申しますが、親がやったことが子に影響を与えるというのはよくある話でございまして。

因果というと悪行のように思うかもしれませんが、親がうっかり見落としてしまったことでも、子にとって苦しみを生む要因になるなんてこともあるものです。

子どものことを考えて親ができることを、いま一歩踏み込んで考えていきたいものですが…。

おかみ「ちょっと驚いたなんてもんじゃないよ、あんた!」

ご主人「どうした、血相を変えて。うちの庭でツチノコでも見つかったかい?」

おかみ「そんなのんきなことを言っている場合じゃないよ! 隣町の乾物問屋さん、看板をおろしちまうんだって」

ご主人「なんだって! だって、丁稚奉公に出ていた長男坊が立派になって、跡目も安泰だってこないだ話していたばかりじゃないか」

事業承継は適切な手続きをしないと失敗の危険がある

おかみ「詳しくはわからないんだけど、どうもその長男坊への譲り方でしくじっちまったそうなんだよ」

ご主人「譲り方? なんだかよくわからねえが、法にでも触れちまったのかねえ」

おかみ「うちは大丈夫なんだろうねえ? あんたも近々、家督をせがれに譲るとか言っていたからさ…。もし同じようなことになったら、あたしゃご先祖様に顔向けできやしないよ」

ご主人「そうさなあ、うちのせがれはただでさえぼんやりしてやがるから、ここは一丁、調べておく必要があるかもしれねえな」

おかみ「そうだと思って、横浜市にある行政書士の長岡屋さんのところに使いを出したんだよ。そろそろ来てくれるはずなんだけど…ああ、長岡さん、こっちこっち!」

長岡「お待たせいたしました、早速ですが、隣町の乾きもの問屋さん、大変だったそうで」

おかみ「そこですよ、長岡さん。何か知っているんですか?」

長岡「私も詳しくはわからないんですが、噂だと、遺言書がなかったために法定相続が発生して、長男さんと次男さんが対立し、刃傷沙汰になったとかどうとか」

おかみ「ひえええ」

ご主人「そうならないために、うちができる準備を教えておいてくださいな」

長岡「ええ、では早速」

事業を引き継ぐ場合にやっておきたい3つの承継

長岡「事業承継、つまり次の方に事業を引き継ぐ場合、主に次の3つの承継が必要となるのです」

人、資産、無形資産の承継を考えておく

  • 人(経営)の承継
  • 株式・事業用資産・資金といった資産の承継
  • 経営理念・従業員の技術・ノウハウ・経営者の信用・取引先の人脈・顧客情報・知的財産・許認可といった無形資産の承継

長岡「特に問題になりやすいのが、株式・事業用資産・資金といった資産の承継なんです。もしかしたら乾物問屋さんの家中騒動の原因はこれかもしれませんね」

ご主人「経営に必要な株式その他の資産を集中させる…そりゃいったいどうすればいいんですか?」

長岡「先代が何の対策もせずに亡くなったら、株式も含めた財産の相続は民法の定めに従うことになります」

おかみ「お上のお定め…」

長岡「ですので、法定相続人が法定相続分に従って相続を行うことになるのです。もちろん、相続人の間で遺産分割協議を行うことにより後継者を決めることができれば問題ありません。でも…」

ご主人「でも、何ですか?」

長岡「遺産分割協議は相続人全員の合意がなければ成立しないんですつまり、1人でも反対する相続人がいれば遺産分割協議は成立しません」

ご主人「乾物問屋さんの場合、次男坊が反対したのかもしれませんな…」

長岡「ですから、法定相続分を前提とした遺産分割では、特定の者に経営に必要な株式その他の資産を集中させることは難しいのが一般的です」

おかみ「あんた! だったら事業承継できないってことじゃないの!」

ご主人「あわわわ…」

長岡「まあ落ち着いてください(笑) そこで遺言という手段を用いることが得策かと存じます」

ご主人「遺言って、あの遺言ですか?」

長岡「さようでございます」

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遺言を用いてスムーズに事業承継をすることはできる

おかみ「でもですよ、長岡さん。遺言書といえどもやはり遺産をもらえなかった人には不満が残りやしませんか?」

長岡「残らないと断言することはできないでしょう。遺言書そのものの有効性を争い、裁判になる可能性もないとは言えません」

ご主人「お裁きは嫌だなあ…」

おかみ「遺言書そのものの有効性というのは、どうやったら認められるんです?」

長岡「事業承継において最も安心なのは、公正証書遺言ですね。公正証書遺言は遺言者が遺言の内容を公証人に伝え、公証人がこれを筆記して遺言書を作成する方式の遺言なのです」

ご主人「つまり、お上のお役人さんが確かなものを作って保証してくれるってわけですかい?」

長岡「ありていに言えば、そういうことです。多少の費用はかかりますが、公証人が作成し公証役場で遺言は保管されるため、検認手続(※1)の必要もなく、遺言書の無効等で争われる可能性も低いことから、安全性が高いんですよ。もうひとつ自筆証書遺言という方法もありますが、事業継承のような繊細な話をするためには公正証書遺言のほうがいいでしょう」

※1)遺言書の発見者や保管者が家庭裁判所に遺言書を提出して相続人などの立会いのもとで遺言書を開封し、遺言書の内容を確認すること

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事業承継を遺言書でする場合に気を付けるべき遺留分

おかみ「やれやれ、じゃああんた、長岡さんに教えてもらって、ナントカ証書遺言を作ってもらえば一安心ってわけだね」

ご主人「ああ、一時はどうなる事かと思ったよ。長岡さん、お礼と言っちゃなんだが、新鮮な鮎を塩焼きにしてるから、一献どうです?」

遺留分は後継者以外の相続人の最低限の取り分のこと

長岡「ありがたいのですが、もう少しだけお話をお付き合いください。事業承継を遺言書でするときには、遺留分に気を付けるということを付け加えなくては」

ご主人「遺留分?」

長岡「遺留分というのは、法律で保障された、後継者以外の相続人の最低限の取り分です。つまり、いくら遺言でも遺産を丸ごと全部1人の後継者に集中させることはできないんです。要は、他の相続人にもある程度の遺産を分けてあげないといけないんですね」

おかみ「まあ、それくらいの情けはあってもいいかもしれないけど」

ご主人「うちでは構わないが、もしもその遺留分として分け前を遺さなかったらどうなるんです?」

長岡「仮にこの遺留分を侵害してしまっても遺言自体は無効になることはありません。でも、侵害された相続人が遺留分侵害額請求を行うことにより、ひと悶着起きるかもしれません」

ご主人「ひえええ…」

おかみ「あんた、さっきから泡吹いてばっかりだね…」

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事業承継目的の遺言で必要な遺留分対策

長岡「事業継承に必要な遺産を後継者に渡してもまだ遺産が残るような場合は、遺留分を考慮して、遺言内で他の相続人に遺産を分割しておくという手を打てます。そのためにも、遺産をどう分けるか、専門家としっかり話をしたほうがいいですね」

おかみ「専門家というのは、長岡さんのような行政書士さんってことだね」

他の相続人に遺留分を考慮した遺言書を作成する

長岡「そうです。後継者に経営に必要な資産を承継させた後、残る相続財産の合計額がその他の相続人の遺留分に足りないときに問題になります

ご主人「といっても、無い袖は振れないでしょうよ」

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遺留分対策①代償金を遺言書に明記

長岡「このような場合は、後継者からその他の相続人に代償金(※2)を払うことを遺言に示しておくことで、遺留分侵害による悶着を防ぐことができます

※2)相続人のうち1人または数人が遺産を現物で取得する際、代わりに他の相続人に対し債務を負担するという遺産の分割方法

ご主人「そうか!一度後継者に遺産を集中させておき、その他の相続人の遺留分は後継者からあとで払うということですね?」

長岡「はい、その通りです」

おかみ「でも、それじゃ後継者にとって金銭の負担が出てきやしませんかね?」

遺留分対策②生命保険金にて支払い

長岡「例えば1つの方法ですが、生命保険金はかけられておられますよね?」

ご主人「ええ、それはもう怠りなく」

長岡「生命保険金は遺留分算定の基礎となる財産には含まれないんです。つまり、後継者を生命保険金の受取人に指定しておくという方法があります」

おかみ「受取人にするとどうなるんです?」

ご主人「なるほど! 後継者以外の相続人から遺留分侵害額請求をされた際の支払い原資を確保できるってわけですね!」

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安心で円滑な事業承継の第一歩で遺言書を検討する

長岡「これで胸のつっかえがとれましたかね、ご主人、おかみさん」

ご主人「ええ、さすがは長岡屋さんだ。円滑な事業承継のためには遺言を書く、これぞ逆を言うと、経営者最後の鉄則とも言えるかもしれませんな!」

おかみ「でもさ、どの遺言形式を使うのか考えたり、書類を集めたり、関係者の日程を調整したりと、決めるべきこと、やるべきことは多いから、こんがらがっちゃいそうだねえ…」

ご主人「何言っているんだい。目の前にこんがらなくて済む相談相手がいるじゃないか」

おかみさん「ああそうか、そうだったね!」

長岡「はい、そのための専門家、私ども行政書士ですので、鮎の塩焼きがない時でもお気軽に(笑)」

 

この記事を詳しく読みたい方はこちら:会社経営者が子に事業を承継させたい!遺言の活用方法を行政書士が解説

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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