
「遺言書を公正証書遺言で作りたいけれど、何から手を付けて良いのかわからない。」
「公正証書遺言の作成はなんだか難しそう・・・。」
「士業でなくとも、自分で公正証書遺言を作れるの?」
遺言書の作成を検討する場合、主に自分自身で作成する「自筆証書遺言」か、公証人が作成する「公正証書遺言」によることになります。
しかし、公正証書遺言の作成方法はよく分からず、ためらわれてしまう方も多いかもしれません。
今回のコラムでは、「公正証書遺言を自分で作成したいけれども、どのように進めていくのか分からない」という方のために、公正証書遺言の作成方法や作成の流れを解説していきたいと思います。
※ただし、公証人は中立の立場のため、遺言書の内容についてのアドバイスは受けられません。家族構成、財産状況、特別な思いなどを反映した遺言書の原案を作成し、それをもとに公正証書遺言を作りたい場合は、ぜひ当事務所へご相談ください。
あわせて読みたい>>公正証書遺言の作成は誰に相談する?公証人のみに相談するリスクを行政書士が解説!
目次
公正証書遺言は自分でも作れる
さて、冒頭でのコメントにもある通り、「公正証書遺言は、行政書士のような士業に依頼するもので、個人で作成するのは自筆証書遺言になる」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、公正証書遺言は、士業などの職業についていなくても、ご自身で作成することができます。
ただし、公正証書遺言の作成にあたっては、公証人とのやりとりが必須となりますので、日常生活であまり馴染みのない公証役場や公証人とのやりとりは不安に感じることもあるかと思います。
また、記事冒頭でも触れたとおり、公証人は中立の立場のため、遺言書の内容についてのアドバイスはしてくれません。財産調査や文案作成も、自力で行う必要があり、これが大きな負担となります。
そのため実際には、当事務所のような専門家へ相談して、公正証書遺言をお作りになる方が多いです。たとえば当事務所は、遺言書の文面案を作成することはもちろん、公証役場との日程調整や打ち合わせ、遺言作成時の証人手配といったことまで、ワンストップ対応しております。
公正証書遺言が完成するまでの流れ
公正証書遺言は行政書士などに相談して作るのが一般的といっても、自分で作ってみたい!と思う方もいるでしょう。また、自分で作れるかどうか、もう少し詳しい情報をもとに判断したいという方もいるかもしれません。
そこでここからは、公正証書遺言を作成する際の大きな流れを説明します。
- 自分の財産を洗い出し、把握する
- 誰に何を相続させたいか決める
- 公正証書遺言の証人2名を誰にするのか決める
- 遺言書の原案を考え、必要書類を揃える
- 公証人と遺言の内容についての打合せをする
- 遺言書作成当日、公証役場で遺言書に署名・押印する
それでは、それぞれの作業について、詳しく見ていきましょう。
公正証書遺言記載の財産の洗い出し
公正証書遺言は公証人が関与して作成するものですが、何も決まっていない状態で、何の財産を誰に渡すべきなのか、決めてくれるわけではありません。
まず前提として、遺言者自身が自分自身の財産を把握し、誰にどれだけ渡したいのか決める必要があります。
したがって公正証書遺言を作成するにあたっては、最初の作業として、預貯金や株式、不動産など、ご自身の財産を洗い出す作業からスタートすることとなります。
遺言書に記載する財産は、一般的には大きく以下の3種類です。
1.預貯金
2.株式等の有価証券
3.不動産
それぞれ、次の書類等を確認します。
1.預貯金→通帳
2.株式等→証券会社からの「取引残高報告書」の他、信託銀行からの配当通知等
3.不動産→固定資産税納税通知書
公正証書遺言の内容を考える(誰に何を相続させたいか決める)
ご自身の財産を洗い出し状況を把握した次は、どのような遺言にするのか、内容を大まかに決める作業になります。
遺言の内容を大まかに決める作業では、どの財産を誰にどれくらい渡すのかを決めます。
【公正証書遺言の内容具体例】
例えば、次のような決め方をしておきます。
- 不動産については妻へ、それ以外の財産は子ども2人で2分の1ずつ。
- 全財産を子ども3人で按分する。
【公正証書遺言の内容の注意点】
次のような内容を遺言に記載することは、避けた方が良いです。
- 子ども2人に現金を1000万円ずつ。
具体的な金額の指定はせず、割合で指定しておくことが大切です。具体的な金額を記載した場合、将来その金額が残るか不確実なため、遺言内容を確実に実行できるものとするためにも大切なポイントとなります。
関連記事:遺言書に預貯金はどう記載する?文例、残高の記載可否を行政書士が解説!
関連記事:遺言に書かれた金額が足りない場合・多い場合どうする?決まった額の現金相続について行政書士が解説
公正証書遺言の証人2名を誰にするのか決める
さて、次に決めておきたい大切なことは、公正証書遺言の「証人」となる人です。
公正証書遺言は公証役場で作成しますが、そのとき、遺言の内容が本人の意思を反映していることを確認する証人2名の立会いが必要となります。
この証人の立会いは、法律で定められているため省略することができません。
参考条文:民法第969条
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
なお、次の三者は証人となることが認められていません。
- 未成年者
- 遺言者が亡くなった時に関係者になる人たち(相続人となる人、財産をもらう人等)
- 公証人の関係者(配偶者や四親等以内の親族等)
さらに、証人には費用がかかりますので、この点も含めて誰にするのか検討することになります。
さて、公正証書遺言の証人の決め方には、次の3パターンがあります。
①行政書士などの士業に依頼する
証人は、行政書士や司法書士、弁護士など士業に依頼することができます。
この場合の費用の目安は1人当たりおおよそ1万円です。
②公証人役場で紹介してもらう
頼める人がいない場合、公証役場で紹介してもらうことができます。費用は公証役場によって違いますが、1名つき7,000円~1万5,000円程度をみておくと良いでしょう。
③知人にお願いする
信頼でき、引き受けてくれる知人がいる場合、その人にお願いすることもできます。
この場合、費用は絶対に払わなければいけない、ということはありませんが、お礼の金額として1人当たり5,000円~1万円程度渡すと良いと言えます。
知人にお願いする場合、後々トラブルとならないためにも、確実に承諾を得ることが大切です。
公正証書遺言の原案を作成しつつ必要な資料を揃える
ご自身の財産状況を把握し、何を誰にどれだけ渡したいのか大まかに決まったら、次は遺言書の原案を作成します。
繰り返しとなりますが、公正証書遺言は公証人が関与して作成しますが、公証人がゼロから原案を作成してくれるものではありません。
自身の財産の相続方法を原案というかたちで文書にして記すことが必要となります。また同時に、遺言書に書かれた財産を確認するための資料を揃える必要もあります。
原案は、行政書士などの専門家が作成する場合は比較的完成に近い形の書面で作成したりもしますが、個人で作成する場合は、形式にとらわれず、財産内容と誰にどれだけ渡すのかを書き記すと良いでしょう。
公正証書遺言原案の具体例
| 遺言書(案) 遺言者 証人(2人分) 財産 ※遺言執行者を指定する場合、その者の氏名、職業、生年月日(※1) |
(※)
遺言執行者は、遺言の内容を実現するために手続きを行う権限を持つ者をいいます。この遺言執行者は、未成年者と破産者でなければ誰でもなることができます。ただし、お願いする場合は事前に承諾を得ておくことが必要です。
関連記事:遺言執行者とは?実行する内容・権限の書き方を行政書士が分かりやすく解説
公正証書遺言に必要な書類の例
前述の原案の作成には、財産のくわしい内容も必要となります。また、原案と合わせて財産を確認できる資料の提出も必要となりますので、原案作成をしつつ、必要な書類を揃える作業をしていきます。
主に必要となる書類は、次の通りです。
| 遺言者の本人確認書類 | 遺言者自身の印鑑証明書、顔写真付きの公的な身分証明書(例、マイナンバーカード、運転免許証等) |
| 相続人の資料(※) | 遺言者との続柄が分かる戸籍謄本 |
| 相続人以外に遺贈する場合(※) | その者の本籍地記載の住民票 |
| 財産に不動産がある場合 | 登記事項証明書、固定資産評価証明書 |
| 財産に預貯金がある場合 | 通帳(コピーでも可) |
公証人と打合せ
原案を作成し、必要書類も準備できたら、次は公証人との打ち合わせをします。
打合せは、事前に公証役場に連絡をして面談予約をとります。
日本公証人連合会のWEBサイトから最寄りの公証役場を探すことができますので、ご自宅から通いやすい公証役場に連絡すると良いでしょう。
また、健康上の理由などで公証役場に行くことが難しい場合は、自宅や病院、施設などへ出張してもらうこともできますので、面談予約の際にその旨伝えます。
ちなみに、長岡行政書士事務所は、横浜市の尾上町公証役場などでの作成をサポートするケースが多いです。
打合せ当日には、ご自身で作成した原案と、必要書類を持参します。
この打合せで、遺言書の文言を細かく確認していき、法的に間違いのないものにしていきます。
打合せの内容や回数は、遺言書の内容や公証人によっても異なりますが、1~数回程度、期間的にはおおよそ2週間から1か月程度が必要となります。
最後に、実際に遺言書を作成する日程を決めます。
公正証書遺言作成当日、署名・押印する
公正証書遺言の作成当日は、公証役場で行います。
※面談予約と同様、病院や施設に出張して作成することも可能です。
このとき、遺言者及び公証人と証人2人が同席します。また、公証人手数料の支払いもこの日にします。
関連記事:公正証書の手数料が変わった?公証人手数料令の改正を行政書士が解説!
当日の流れはおおむね次のようになっています。
- 公証人のあいさつ
- 遺言者と証人2名に対して、公証人による本人確認をする。
- 公証人が筆記した遺言書内容を、遺言者と証人の前で読み上げる。
- 遺言者と証人が筆記の正確なことを承認し、電子サインする(※本人確認書類として印鑑登録証明書を提出した場合は、実印の押印が必要)
- 公証人が、方式に従い真正に作成された旨を付記し、電子サイン・電子署名する。
- 原本(電子データ)は公証役場で保管される。遺言者には、従来の正本・謄本にあたる「公正証書正本情報」「同一事項証明書面」などが交付される。
このように、公正証書遺言の作成は、デジタル化が進んでいることが特徴です。デジタル化によるメリットや注意点については、下記記事もご参考ください。
関連記事:公正証書遺言のデジタル化がスタート!メリットや注意点を行政書士が解説
当日は公証人が質問等をしますが、遺言内容についての確認となりますので、難しいことはありません。
公証人が読み上げ等を行い進めてくれますので、ぜひ緊張せず、落ち着いて当日を迎えてください。
公証人との打ち合わせまでに公正証書遺言原案をたてることが必要
公正証書遺言の作成は、自筆証書遺言の作成に比べて難しそうで、ご自身での作成をためらってしまうかもしれません。
事前にご自身の財産を把握するために確かな資料を揃え、誰に何をどれだけ渡したいのか、この点をしっかり押さえて案をたてさえすれば、自分で作ることも可能です。
しかし、この「公正証書遺言原案」を作ることが、意外と大変なのです。
そのため、公正証書遺言を作成したいけれどもご自身での作成が難しい、もしくは自分で途中までやってみたけど負担が大きすぎる、などと感じた場合は、専門家に依頼することも検討してみると良いかもしれません。
横浜市の長岡行政書士事務所では、これまで多くの公正証書遺言を作成してきましたので、ぜひ一度ご相談にいらしてください。初回相談は無料です。









