遺言書を用意するとき、気軽に作成したいから自筆証書遺言を選んでいませんか?
自筆証書遺言は、自分で保管するのが、今まで一般的でした。
でも、自宅で保管すると、紛失や盗難など何かと不安…。
そんな不安を払拭できる、自筆証書遺言保管制度というものがあります。
ということで、自筆証書遺言保管制度について、クイズ形式で楽しく学んでいきましょう。
本記事は、通常の法律の文章は難しいことから、楽しくわかりやすくお伝えするためにクイズ形式にしています。
そのため、法律的な表現が少し変、厳密に言うとこうだ!等あるかと思いますが、そこは温かい心で読んでいただきつつ、ぜひ相続登記のご参考にして頂ければと思います。
では、クイズ形式で出題しますので、家族やご友人とチャレンジしてください。さあ、あなたのまわりで、自筆証書遺言保管制度クイズ王になるのは誰だ⁉
目次
自筆証書遺言保管制度によって解消された主な問題は?
今回も、司会の私と、解説の行政書士長岡さんでお届けしいたします! 長岡さん、よろしくお願いします!
では、第1問です!
Q:自筆証書遺言を法務局で自筆証書を保管してくれる自筆証書遺言保管制度。この制度が開始されたのはいつ?
A:寛永2年7月
B:令和2年7月
C:元禄2年7月
法務局に保管することで自筆証書遺言の紛失や偽造変造を防ぐ
正解は、Bです! ほか2つは江戸時代ですね(笑) ということで、長岡さん、ご解説をお願いします。
長岡「従来、自筆証書遺言はご自宅で保管あるいは弁護士や信託銀行に預けるくらいしか方法がないものでした。なので自宅に保管するケースが多かったんですね。しかし、遺言者以外の誰かが発見して偽造変造されるリスクや、そもそも発見されないリスクもあるので、トラブルが心配される局面は否定できなかったんです」
せっかく書いたのに、見つけられなかった…では、本末転倒ですものね。
長岡「ですので、令和2年7月に、自筆証書遺言に関するトラブルを回避し、遺言者の意思を確実に実現するために自筆証書遺言保管制度ができたんです」
合わせて読みたい:基礎から知りたい!!自分で作成する自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言保管制度の通知制度
法務局に預けて管理してくれるんですから、もう鬼に金棒ですよね!
長岡「いえ、でもまだ懸念があるんです。というのも、遺産分割時までに、遺言書の存在を相続人等に知ってもらわなくてはいけないんですよ」
といいますと?
長岡「遺言書の内容を相続人等が知らなければ、遺言書の内容を実現することは不可能ですよね?」
そうか、知らないんですから、そもそも遺言書なんてなかったことになってしまう!
長岡「ですので、遺言書が見つからないうちに遺産分割がなされてしまい、後から遺言書が発見されると大問題です。再度遺産分割手続きなんてことにもなりかねませんから」
遺産分割協議のやり直しって、けっこうハードですよね…。確実に遺言書の存在に気づいてもらわなきゃ…。ということで、ここで第2問です。
Q:確実に遺言書の存在に気づいてもらうために、自筆証書遺言保管制度ではどんな工夫がされているでしょうか?
A:相続人等に遺言書のコピーを渡しておく
B:相続人等に事前に保管を知らせる
C:相続人等に通知をする
相続人等に保管していることを通知する
正解は、Bです! 遺言書を保管している法務局から通知をする仕組みがあるんですね。
長岡「はい、関係遺言書保管通知と、死亡通知の2種類の通知があります」
それぞれどんな通知なのですか?
合わせて読みたい:遺言書保管所に預けた遺言書を閲覧する方法を行政書士が解説!
関係遺言書保管通知
長岡「関係遺言書保管通知様式は、遺言者の相続人等が保管されている遺言書の閲覧をした場合か、遺言者の相続人等が遺言書情報証明書の交付を受けた場合に、自動的に通知が発せられます」
自動的ってのがいいですね。
長岡「そう、全ての関係相続人等に対して遺言書が保管されていることも大きなポイントです。一部の相続人が他の相続人に黙って遺言書の内容を実行するようなことができなくなりますからね。ちなみに、通知内容は以下の通りです」
《関係遺言書保管の通知内容》
・遺言者の氏名
・遺言者の出生の年月日
・遺言書が保管されている遺言保管所の名称
・保管番号
※遺言の内容を確認することはできない。確認したい場合は、通知を受けた人が個別に遺言書保管所で遺言書の閲覧、遺言書証明情報の交付を受ける必要がある
死亡時通知
では、もうひとつの死亡時通知とはどんな通知でしょうか?
長岡「遺言者があらかじめ指定した人(3名まで指定可能)に通知を希望している場合に通知されるものです。つまり、死亡時通知を出すためには、遺言者が遺言書の保管の申請時に手続きをしないといけないんですね」
《死亡時通知の内容》
・遺言者の氏名
・遺言者の生年月日
・遺言書が保管されている遺言保管所の名称
・保管番号
※遺言の内容を確認することはできない。確認したい場合は、通知を受けた人が個別に遺言書保管所で遺言書の閲覧、遺言書証明情報の交付を受ける必要がある
つまり、本当に信頼できる人だけにお知らせすることができるわけですか。
自筆証書遺言保管制度の利用後にすること
長岡「そうです。どちらの通知にせよ、遺言書の存在が知らなければ、遺言書に記載された遺言者の意思が実現されることはほぼ不可能です。自筆証書遺言保管制度に規定されている通知は、確実に関係相続人等の元へ届かなくてはなりません。ですから申請時に、指名する方の氏名や住所などを間違えないように慎重にしてほしいですね」
あとは、指名する方の引っ越しなどにも注意しなくてはいけませんね。
長岡「ええ、変更の届出をする必要がありますからね。変更の届出は、全国どこの遺言書保管所でも手続きが可能ですし、郵送でも可能です」
では、ここで最後の問題です!
Q:関係遺言者保管通知と死亡時通知を受け取ったら、受取人は何をしなくてはいけないでしょうか?
A:閲覧や遺言書情報証明書の交付請求
B:故人の思いに報えるよう神仏に誓う
C:通知到着記念パーティを盛大に開催
遺言の内容を確認するために閲覧や遺言書情報証明書の交付手続きへ
正解はAです! まあ、Bも、その気持ちは大事ですけどね!
長岡「そうですね(笑) 関係遺言保管通知や死亡時通知だけでは遺言書の内容は分かりません。ですから、最寄りの遺言保管所で、遺言の内容を確認してほしいのです。そのためには、まず閲覧や遺言書情報証明書の交付の請求を行ないます」
合わせて読みたい:遺言書保管所に保管した遺言書を撤回する方法とは?行政書士が解説!
自筆証書遺言保管制度を利用の際は行政書士に相談を
いやあ、本日も勉強になりました。自筆証書遺言保管制度、便利な制度ですね。自筆証書遺言のデメリットがかなりなくなっているのではないでしょうか。
長岡「その通りです。でも、この制度は人生において何度も利用するようなものではないでしょうから、わからないことも多いと思います。そういうときは、ぜひ行政書士などの専門家に相談してみてくださいね」
そうですね! 長岡さん、今回もありがとうございました!
この記事を詳しく読みたい方はこちら:自筆証書遺言保管制度の関係遺言書保管通知と死亡時通知とは?