遺言書を作成すると「相続させる」や「遺贈する」という文言を見かけることがあります。この文言がどのように違うのか、そう考えると不思議ですよね。また「相続させる」という文言は相続人に対してというイメージが付くかもしれませんが、「遺贈する」という文言で相続人に対して書くことができるのか、イメージが付かないかもしれません。
この記事では遺言書における「遺贈する」文言を相続人に対して書けるのか?について「クイズ」風に解説します。遺言書の遺贈するついて分かりやすく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
遺言書を作るにあたって、遺贈と相続の違いを知りたいんだけど?
遺贈と相続にはどのようなメリット・デメリットがあるの?
遺言書のことを語り始めると、必ずと言っていいほど出てくるのが、「遺贈」と「相続」という2つのキーワードです。
確かに似たような言葉である、遺贈と相続。いったい、どのような違いがあるでしょうか?
ということで、遺贈と相続について、クイズ形式で楽しく学んでいきましょう。
本記事は、通常の法律の文章は難しいことから、楽しくわかりやすくお伝えするためにクイズ形式にしています。
そのため、法律的な表現が少し変、厳密に言うとこうだ!等あるかと思いますが、そこは温かい心で読んでいただきつつ、ぜひご参考にして頂ければと思います。
では、クイズ形式で出題しますので、家族やご友人とチャレンジしてください。さあ、あなたのまわりで、遺贈&相続クイズ王になるのは誰だ⁉
今回も、司会の私と、解説の行政書士長岡さんでお届けしいたします! 長岡さん、よろしくお願いします!
目次
遺贈と相続との違いとは?
自分の財産を誰かに託す方法として、遺贈と相続の2つの方法があります。では、まずは遺贈とは一体どのような方法なのでしょうか。実は遺贈とは、自分の財産について財産を受け取る受遺者を指定し、譲ることを意味します。
では、ここで第1問です!
受遺者は法定相続人である必要はある?〇か×か?
遺贈の受遺者は法定相続人である必要はない
答えは×ですね。家族以外の第三者や、団体に対して遺贈することも可能です。では長岡さん、解説をお願いします。
長岡「はい。そもそも相続と遺贈の違いは、「財産を受け取る人」に明確な違いがあるんですね。相続は財産を受け取る方が民法上で定められた「法定相続人」である必要があるんです」
となると、一緒に長年暮らしてきた内縁の妻などは法定相続人にはなれないわけですね。
長岡「そうなんです。一方の遺贈は、相続人以外の方でも財産を受け取れるものです。つまり、内縁の妻でも受遺者になることが可能です」
例えば、どこかしらの団体に財産を渡したい場合はどうなのでしょう?
長岡「遺贈先に指定すれば受遺者として財産を渡すことができます。ただし、団体は相続人にはなれませんので、遺贈のみになります」
ありがとうございます。ではここで第2問にいきましょう!
Q:相続人も遺贈を受けることはできる。〇か×か?
相続人にも遺贈はできる
はい、答えは〇ですね。相続人は法定相続人であり、遺贈を受ける受遺者になることができるんですよね、長岡さん?
長岡「その通りです。遺言をする時、相続人に対しては、「相続させる」と言う言葉をよく使うんですね。でも「遺贈する」と言う言葉で財産を承継させることもできるんです」
そもそも、相続人に遺贈をするメリットってどんなものなんですか?
長岡「相続人は法定相続人という強い立場になります。ですので、あえて遺贈という方法を使っても、別にメリットはないんですよ」
ではデメリットはあるんでしょうか?
長岡「不動産がある相続だと、遺贈を選択してしまうと高い登録免許税を支払う必要があります。相続登記の場合と遺贈による登記の場合では、発生する登録免許の税率が異なるんです」
げげっ、それは大変ですね。ということで、これまでの長岡さんのコメントをヒントに、第3問です!
Q:「法定相続人以外の人・団体」へ財産を渡したいときには、遺贈は適さない。〇か×か?
遺贈で法定相続人以外の法人や団体に渡せる
正解は×です。本来の相続では財産を渡せないような、法定相続人以外の人や団体に財産を渡すときには、遺贈がいいのですよね?
長岡「そうです。ただし、その場合は遺言書でしっかりと遺贈の意向を示しておきましょうね」
例えば、法定相続人以外の人・団体はどんな方であることが多いのでしょうか?
長岡「例えば、このような方々です」
合わせて読みたい:遺産を団体に遺贈寄付したい時はどうすればいい?長岡行政書士に聞いてみた
遺贈先の一例
- 法定相続人以外の家族(例、法定相続人になれない孫や、子の配偶者など)
- 内縁関係の方
- 介護施設などお世話になった施設
- 寄付を募る団体 など
遺言書で遺贈をする際の注意点とは?
これから遺言書を作成し、遺贈をしたいと考えている場合には、「放棄される可能性がある」「受遺者が亡くなったら無効となる可能性がある」「遺留分を争点に相続トラブルになる」という3つの注意点があります。
放棄される可能性があることへの注意点
「この人・団体に財産を受け取ってほしい」と思い、遺言書で遺贈を書き遺す。なんだかドラマチックな話ではあるんですが、放棄されてしまうこともあるんですね?
長岡「ありますね。遺贈を受け取るということは受遺者にとって大きな負担を生場合もあるんです。例えばこのように」
①相続人とトラブルになる
全く面識がない第三者が高額の財産受け取ることになり、他の相続人が不愉快に感じてトラブルに…。「面倒ごとはごめんだ」と放棄されてしまうことも。
②いらない財産だった
縁もゆかりもない遠方の田畑や山、ごみや不法投棄が目立つ空き地などは、売却しようにもできず、受遺者にとっては重い負担となる財産も。
③包括遺贈なら負担になってしまう
包括遺贈を行う場合は、債務も承継させることに。「借金を背負うなら財産はいらない」という選択をする可能性が。
なるほど…。どれも「気持ちはわかる」というものですね。ではここでラストクエスチョンです。
Q:受遺者が先に亡くなったら遺贈は無効になる。〇か×か?
受遺者が先に死亡した場合は無効と定められている
答えは〇ですね。せっかく遺言書の中で受遺者を指定し、遺贈の意向を示しても、自分より先に受遺者が亡くなってしまったら元も子もないということですね?
長岡「はい。受遺者の相続人に財産が渡るわけではないため、注意が必要です。しかも、遺言書で受遺者に多くの財産を遺す内容を書いていたとしても、その他にいる相続人の遺留分を侵害しているならば…」
遺留分を争点に相続トラブルが起きる可能性がある!
長岡「正解です(笑) 遺留分の割合は民法で定められていますから、遺贈により侵害されたら請求を受けるかもしれません」
ヒヤヒヤする話ですね。
長岡「遺留分が侵害された場合は、双方の同意で支払いが完了できれば良いですが、調停や訴訟に移行する可能性もあるため、細心の注意を払っておくことが求められます」
遺言で遺贈をする際は行政書士などの専門家に相談を
遺贈は相続人以外の方に、大切な財産を承継できる素敵な方法ですが、第三者への遺贈は時にトラブルの引き金となることもありますものね。
遺贈を検討するなら、無用なトラブルを防ぐためにも、専門家への相談が必須ですね。長岡さん、本日はありがとうございました!
長岡行政書士事務所は遺言書の作成経験も豊富です。将来の相続に不安や心配を感じている方、または今の夫には前妻に子供がいて相続が不安など、
安心できる将来のために遺言書に関する相談は是非長岡行政書士事務所にご相談ください。
本日もお読みいただきありがとうございました。
この記事を詳しく読みたい方はこちら:遺言書で相続人に対しても遺贈できる?相続との違いを行政書士が解説!