特定財産承継遺言の執行方法について行政書士が解説!遺産に預貯金があった場合

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特定財産承継遺言の執行方法について行政書士が解説!遺産に預貯金があった場合

 

「特定財産承継遺言で預貯金がある場合は何か特別な手続きが必要なの」

「遺言執行者に指定されたのだけど、預貯金の払い戻しを単独でできるのかな」

「不動産には登記という対抗手段があるけど、預貯金の場合は対抗手段はないのかな」

 

・・・

 

2019年の民法改正によって特定財産承継遺言という言葉が使われるようになりました。

 

この特定財産承継遺言は何かからまずは学んでいきましょう。

 

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特定財産承継遺言とは何か

特定財産承継遺言とは、これまでは「相続させる旨の遺言」と呼ばれていたものです。

 

例として、「〇〇銀行△△支店の預金は相続人Aに相続させる」「株式会社○○の全株式を相続人Aに、自宅の土地と建物は相続人Bに相続させる」といった遺言が挙げられます。

 

既にお気づきの通り、このような相続させる旨の遺言は真新しいものではなく、むしろこれまで既に存在している遺言の類型に特定財産承継遺言という呼称を新設したと言えます。

 

ここで厳密に言うと、財産を全て、といった具合に包括的に相続させる旨の遺言は特定財産承継遺言ではなく、従前の通り「相続させる」旨の遺言と解するこができます。

 

より特定された、〇〇銀行△△支店の預金は相続人のAへ、のような遺言が特定財産承継遺言となります。

 

さて、別コラムでは特定財産承継遺言において不動産が相続の対象となっている場合の解説を致しました。

 

あわせて読みたい>>>特定財産承継遺言の執行方法について行政書士が解説!~不動産編~

 

本日はこれから特定財産承継遺言において預貯金の相続が発生した場合の影響と、遺言の執行にどう影響を及ぼすのかの解説を致します。

 

特定財産承継遺言が預貯金の場合の影響

まず、預貯金と不動産の一番の違いに、不動産には登記といって公にその不動産が自分のものであれると主張できる制度があります。

 

つまり不動産を相続してすぐ自分の名義で登記しておけば、仮にあとから第三者がその不動産の所有権を主張しても対抗できます。

 

この状態を「対抗要件を備えている」と言います。

 

ところが預貯金には登記という制度がありません。

 

特定財産承継遺言によって預貯金を取得した場合は、第三者に所有権を主張することができるよう、すぐに対抗要件を取得する必要があります。

特に相続人間で遺産の分割内容に不満がある場合等はなおさらです。

 

一例として、他の相続人が遺産分割成立前の預貯金の仮払い制度を用いて預貯金の一部を引き出し特定財産承継遺言の内容を知らない第三者に支払ってしまうと、その支払われた預貯金の所有権を第三者に主張することができません。

 

相続で得た正当な権利は自分で守る必要があります。

 

あわせて読みたい>>>今更聞けない!特定財産承継遺言とは何か?旧法と現行法の違いも解説!

特定財産承継遺言の預貯金の対抗方法

預貯金の取得とは、厳密に言うと当該預貯金を預け入れた金融機関に対する預貯金の払戻請求権の取得の事を指します。

 

2019年の民法改正以前は、この預貯金の払い戻し請求権に関する対抗要件を取得するために相続人全員から故人(被相続者)の預貯金を有する金融機関に対し、当該相続人が預貯金を取得したことを通知しなければなりませんでした。

 

特定財産承継遺言により相続人が単独で手続可能

民法改正により、預貯金の相続人が単独で金融機関に通知をすれば足りることとなりました。

 

関連する民法の条文を見てみましょう。

第899条の2第1項(共同相続における権利の承継の対抗要件)
相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。

ここでいう「次条及び第901条の規定により算定した相続分」とは、法定相続分(900条)と代襲相続(901条)の事を指します。

 

法定相続分と代襲相続に関しては下記コラムでも解説しております。

あわせて読みたい>>>新人補助者ひまりの事件簿① 法定相続人の範囲~配偶者と子供編~

 

つまり、この条文では法定相続分や代襲相続といった法律で認められた分以上のものを得た人は、自分で対抗要件を備えて守らないと第三者に対抗できませんよ、と言っているのです。

 

そして例外規定として設けられた民法第899条の2第2項が続きます。

第899条の2第2項
前項の権利が債権である場合において、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する。

ここでいう債務者とは、預貯金なので金融機関の事を指します。

 

相続人全員でなく、当該預貯金債権を取得した相続人だけで、遺言又は遺産分割の内容を金融機関に通知すれば対抗要件を取得できるということです。

 

本来は特定の相続人が預貯金を取得したことを共同相続人全員が金融機関に対して通知する必要がありますが、実は他の共同相続人にとって金融機関に通知を出すことは義務ではありません。

 

生活や仕事が忙しかったりそもそも相続に納得してない相続人がいると、なぜ他の相続人のために通知してあげないといけないのだという事態になりかねません。

 

通知を出してもらえなければ債権を取得した相続人の地位は不安定なものになってしまうため、相続人が単独で対抗要件を備えることが認められたのです。

 

ちなみに、法改正以前は金融機関は共同相続人の一人から相続があった旨の通知により預貯金を凍結するという対応を取っておりました。実務上の要請に基づいた措置だと言うことができます。

 

特定財産承継遺言の遺言執行者による預貯金の取り扱い

「遺言執行者」とは、遺言を遺した故人の意思を実現させるために、本人が亡くなって遺言が発効したあと遺言の内容を執行する人の事を指します。

 

遺言執行の為に広範な権限を与えられているのが特徴です。

第1012条
遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。

 

遺言執行者については別コラムでも解説しています。

あわせて読みたい>>>遺言執行制度と遺言執行者の義務について行政書士が解説

 

遺言執行者による預貯金のが払い戻しが認められた

今回の改正により法律上正式に、遺言執行者に預貯金の払戻・解約の権限も認められました

 

特に遺言書の中で払い戻しや解約の権限を遺言執行者に与えるものと記載していなかったとしても、遺言執行者は権利を行使できます。

 

ただ、従来から金融機関は実務上遺言執行者に預貯金の払戻し・解約権限を認めていましたので、改正による影響はほとんどないと言っていいでしょう。

 

注意すべき点として、遺言執行者が解約や払戻ができるのは預貯金債権、つまり銀行に預けているお金だけだということです。

 

投資信託の受益権や有価証券に関する権利など預金以外の金融商品は対象外です。

 

預金以外の金融資産について、遺言執行者が行使できる権利の内容と範囲は遺言にどのように定められているのかによります。専門家が遺言の作成に関与していた場合は預貯金以外の遺言執行者の権限にも触れていると思いますので、再度遺言内容の確認をしてください。

 

あわせて読みたい>>>遺産相続における現金・預貯金の取り扱いとは?遺言書の注意点を行政書士が解説

特定財産承継遺言における預貯金の取り扱いがより明確となった

特定財産承継遺言とは、特定の財産を指定した相続人に承継させる旨の遺言の事です。

 

相続させる旨の遺言は以前からありましたので、新たに作られた遺言のタイプではなく、既にある遺言のタイプに新しい名前がつけられより内容が明確になったという事です。

 

相続人が預貯金を取得したら対抗要件を備えるため、以前は相続人全員から金融機関に通知をしていましたが、法改正後はその預貯金を相続した相続人が単独で通知を行えば済むこととなり、より利便性が増しました。

 

また、実務に追いつく形ですが、法改正により遺言執行者が単独で預貯金の払戻や解約ができるようになりました。

 

このように、法改正により手続きが変更になるケースは多々あります。

 

全てを自分で知ろうとするのではなく、必要な部分を噛み砕いて説明してくれるような、普段から話のできるかかりつけの法律の専門家を持つようにしましょう。

 

長岡行政書士事務所は相続の経験が豊富にあり、相談者様に寄り添った相続をモットーとしております。

相続に関し、不安を感じたり不明点がある場合は、是非ご相談ください。

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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