特定財産承継遺言と不動産登記の執行方法について行政書士が解説!

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特定財産承継遺言の執行方法について行政書士が解説! 不動産編

 

「特定財産承継遺言なんて初めて聞きました」

「不動産の相続について従来と何か変わったのでしょうか」

「なぜわざわざ登記が必要になったの」

 

2019年の民法改正により、特定財産承継遺言という呼称が登場するようになりました。

ただ、この特定財産承継遺言と聞いてもあまりピンとこない方も多いのではないでしょうか。

 

本日はこの特定財産承継遺言とは何かという説明と、特定財産承継遺言が不動産の相続、さらには不動産登記にどう影響を及ぼすかの解説を致します。

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特定財産承継遺言とは何か

特定財産承継遺言とは、「特定の財産を特定の相続人に相続させる内容」の遺言のことを指します。

 

元々遺言は「東京の○○にある財産を長男である△△に相続させる」のように特定の財産を特定の相続人に相続させたい旨を書くことが一般的でした。

そのため、この特定財産承継遺言とは新たに作られたカテゴリーではなく、既にある遺言の類型に改めて名前がつけられたということになります。

そして、呼称が新設されたのと同時に法的効力の変更がなされました。

 

2019年の民法改正以前は、この「相続させる」旨の遺言では、相続発生と同時に財産の所有権がその指定された相続人に当然に移転するとされていました。

よって、故人が不動産を遺してくれていた場合、不動産の相続登記をしていなくても当然に相続人は遺産を取得した旨を主張することができるとされていましたのです。

 

実際に平成14年6月10日の最高裁判決では、「相続させる」遺言により不動産を取得した者は登記なくしてその権利を第三者に対抗することができるとの見解が示されています。

 

最高裁判所ウェブサイト>>> 「相続させる」趣旨の遺言による不動産の取得と登記

 

しかしながら、登記は重要な権利や義務などを社会に対して公示する制度です。

その登記が前所有者(被相続人)の名義のままであっては、登記を信じて取引に入った第三者の利益を害するおそれがあります。

また、相続の当事者ではない第三者に対し遺言の存在と内容を知ってから取引に入ることを求めるのは現実的ではなく、第三者の権利保護が危うくなります。

 

このような実務上の要請に基づき、2019年の民法改正では「特定財産承継遺言」であっても、法定相続分を超える財産については登記・登録等がなければ対抗できないということになりました。

合わせて読みたい>>>今更聞けない!特定財産承継遺言とは何か?旧法と現行法の違いも解説!

特定財産承継遺言が不動産にまつわる遺言執行に及ぼす影響

それでは具体的に遺言を執行する上で、この不動産の相続に相続登記が必要となったという事がどう影響してくるのでしょうか。

主なポイントは次の2点です。

  • 遺言執行者も相続登記が可能になった
  • 登記しなければ相続不動産の権利を第三者に対抗できなくなった

それぞれのポイントについて解説します。

遺言執行者も単独での相続登記が可能になった

従来の相続登記の実務では、相続させる旨の遺言で遺言執行者が指定されていた場合でも、遺言執行者が相続人の代わりに相続登記を申請する行為は認められていませんでした。

 

合わせて読みたい>>>遺言執行者としての手続きとは?遺言者が死亡したらやるべきこと

 

遺言執行者は遺言の執行の為に広範な権限を持ちますが、この相続登記申請が認められなかった理由として、相続開始とともに不動産は相続人に承継されるため遺言執行の対象ではなくなるからとされていました。

 

新民法適用後の相続登記実務では、相続人が第三者に対して主張するための対抗要件に関して遺言執行者が必要な行為を行うことができる、と新たに規定しています。

 

登記は対抗要件なので、遺言執行者も相続登記を行うことができることになりました。

 

民法 第1014条 (特定財産に関する遺言の執行)1項省略
2 遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第八百九十九条の二第一項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。

 

民法 第899条の2
相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。

なお、この第1014条と第899条2を条文通りに読むと、遺言執行者の権限は法定相続分を超える部分にしか及ばないように読めますが、相続登記の実務では法定相続分と超える部分を分けて申請することは手続上出来ません。

 

また、法改正の趣旨が遺言執行者の権限の適用範囲を広げて取引安全の保護をはかることであることから、法定相続分の限度に係わらず遺言執行者が相続登記を行うことができると解釈することが自然と思われます。

登記しなければ相続不動産の権利を第三者に対抗できなくなった

繰り返しになりますが、登記は重要な権利や義務などを社会に対して公示する制度です。

その登記が亡くなった方の名義のままだと、登記を信じて取引した第三者の利益を害するおそれがあります。

 

2019年の民法改正で「特定財産承継遺言であっても法定相続分を超える財産については登記・登録等がなければ対抗できない」と定められたということは、「相続登記をしなければ法定相続分以上の権利について家族以外の人に主張できない」ということです。

 

土地を含めた不動産は、先に登記をした人が権利を主張できます。そのため通常、不動産売買が行われると、買主はすぐさま登記するのです。

不動産を「特定財産承継遺言」によって相続した場合も、権利を安定させるためになるべく早く登記しましょう。

遺言を作成するときは信頼できる専門家に相談することが大事

このコラムで本日学んだことをまとめると、以下の3点に要約されます。

 

  1. 呼び名は変わったが、以前からある「相続させる」遺言が2019年の民法改正により特定財産承継遺言と呼ばれることとなった。
  2. 特定財産承継遺言において、遺産に不動産が含まれる場合は相続登記をしないといけない。
  3. 相続登記は遺言執行者が単独で申請できるようになった。

 

遺言の作成及び執行は実は専門家でなくても可能です。

 

ただ、今回説明した特定財産承継遺言と相続登記の義務化のように、法律の改正とその影響を正確に把握して有効な遺言を作成、執行するためには専門家のサポートが必要となります。

 

この特定財産承継遺言のケースでも、不動産を相続したまではいいとしても、相続登記もしないといけないことを知らずに放っておいたらどうなったでしょうか。

 

仮に前の所有者の名義のままになっている登記を信じて不動産取引に入った第三者がいた場合、対抗できずに不測の損害を被る可能性があります。

 

また、2024年の4月より、過去に相続した不動産も含めて相続登記が義務化されますのでこのまま相続登記をしないでいると罰金が科される可能性があります。

 

このように、不動産の相続一つとってみても様々な法律の知識や経験を必要とします。

 

横浜市の長岡行政書士事務所は相続の経験が豊富にあり、とことん相談者様に寄り添う事をモットーにしております。

不明な点や不安がありましたら、是非当事務所にご相談ください。

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行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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