不動産を相続させる遺言書の書き方を行政書士が解説|自宅をスムーズに相続する方法

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実際の書き方を知る!不動産がメインで預貯金が少ない場合の遺言書作成

「相続人が複数いるけれど、不動産の相続はどうしたらよい?」

「たくさん不動産がなければ、遺言書を書く必要はないのではないか?」

 

ご自身亡き後の相続を考えた際、預貯金などの現金の財産は少ないため、遺言書を残す必要や相続で揉めることはないだろう、と感じている方もいらっしゃるかもしれません。

けれども、たとえ預貯金が少なかったとしても、自宅不動産を所有している、という場合は多いのではないでしょうか。

このように、預貯金は少ないが自宅不動産を所有している、という場合、スムーズな相続手続には遺言書を作成しておくことが有効です。

今回のコラムでは、不動産を相続させる遺言書の書き方について説明していきたいと思います。

 

長岡:「こんにちは!今日もよろしくお願いします。」

 

Aさん:「よろしくお願いします。早速ですが、質問があります。」

 

長岡:「どのようなことでしょうか。」

 

Aさん:「先日、父親に遺言書を作っておくことを勧めたら、自分にはたいした財産はないので、そんな必要はない!と一蹴されてしまいましたが、不動産も立派な相続財産ですよね?」

 

長岡:「もちろんそうです。けれどもたいした財産がない、ということは、お父様の自宅は賃貸ですか?」

 

Aさん:「いえ、それが自宅の土地建物は自己所有のものなのです。ですので、相続の際どうしようと考えているのかな、と思ったのですが、たいした財産はないと言われてしまいまして・・・。」

 

長岡:「それは、現金預金はたいして持っていない、という意味でしょうか。」

 

Aさん:「そうだと思います。相続と言えば、預貯金などのお金が問題となると思っているので、不動産についてはあまり意識がいっていないようです。」

 

長岡:「なるほど。お父様の状況としては、預貯金は少ないけれども、自己所有の土地建物がある、ということですね。」

 

Aさん:「はい、そうです。でもこのままだと子どもは私含めて3人いますし、相続の際どうなるのか心配です。遺言書で何か対策をとっておくことが必要かと思うのですが、ポイントなどを教えていただけますか?」

 

長岡:「わかりました。では今回は、相続財産について不動産がメインで預貯金が少ない場合の遺言書作成について解説していきましょう。」

 

Aさん「よろしくお願いします。」

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不動産メインの相続で遺言書がないと起こる問題

不動産メインの相続の場合こそ、遺言書の作成が必要です。

長岡:「Aさんのお父様のように相続財産のメインが不動産の場合、相続人が一人であればそこまで不都合はありませんが、相続人が複数いるケースでは、相続の際悩ましい問題となることがあります。」

 

Aさん:「我が家は3人兄妹です。遺言がないと、自宅を相続する際にどのような問題があるのでしょうか。」

 

不動産メインの相続で遺言がないと起こる問題としては、次の2つが挙げられます。

  • 不動産が共有状態になる
  • 遺産分割協議がまとまらない可能性がある

不動産が共有状態になる

長岡:「遺言書を作成していなかった場合、法定相続や遺産分割協議による相続となります。法定相続により不動産が共有状態となることで、後々の処分の際に手続きがスムーズにいかないことがあります。」

 

Aさん:「不動産が共有状態になることがあまりよくないのですね。」

 

長岡:「では、この点についてもう少しくわしく説明しておきましょう。」

法定相続では相続人の相続割合が決まっておりますので、土地などの不動産を相続した場合、各相続人がその持分通りに分割して相続し、相続人全員の共有状態となります。

共有状態となった不動産は、売却したり賃貸に出す際、相続人全員の合意や過半数の合意が必要となりますので、相続人一人の意思で単独で行うことができません。

したがって、相続人間で意見が一致しなければ、不動産を有効活用することが難しくなってしまいます。

さらにそこで共有者の一人が亡くなった場合、その亡くなった共有者の相続人が共有持分を相続することになりますので、不動産の名義関係が複雑になり、その後の処分手続きが複雑になってきます。

このような問題は、相続人が一人であれば起こらない内容ですが、相続人が複数いる場合は起こり得るものです。

この点、遺言書で不動産の相続の仕方を記載しておけば、法定相続によらずに遺言書通りの遺産分割が実現します。

したがって、不動産が相続財産のメインでかつ相続人が複数いる場合は、遺言書を作成して事前に対策を立てておくことが大切であると言えます。

遺産分割協議がまとまらない可能性がある

長岡:「遺産分割協議は、どのように相続するのか、話し合いがまとまらない可能性もあるのです。」

遺言書が作成されていない場合、前述した通り、相続は法定相続分か遺産分割協議による分割方法となります。

合わせて読みたい>>遺産分割協議とは?流れとポイントを行政書士が解説

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共有状態になることを避けるために遺産分割協議をすることもありますが、遺産分割協議の場合は、協議内容に納得できない相続人がいると協議がなかなかまとまらない、という事態となる可能性もあります。

遺産分割協議がまとまらないことは、相続人同士の関係を考えても好ましい状態とは言えません。

遺言書で不動産を分ける方法

Aさん:「なるほど。預貯金が少ないから遺言はいらない、のではなく、不動産がメインだからこそ、「不動産の共有状態」や「遺産分割協議がまとまらない」こをと防ぐために遺言書で対策をとっておくことが必要なのですね。」

 

長岡:「そうですね。複数の相続人の場合は作成しておくことをおすすめします。」

 

Aさん:「では、遺言では具体的にどのような分け方を書いておくことが良いでしょうか。」

 

長岡:「不動産がメインの場合、大きく2種類の分け方がありますので、くわしく見ていきましょう。」

不動産を分ける遺言書には、主に次のどちらかで記載します

  •  不動産を特定の者に相続させる
  • 不動産を換価処分(売却)して相続させる

不動産を特定の者に相続させる

不動産を相続させる際の分け方として、まず一つ目に特定の相続人に相続させる方法があります。

 

これは、例えば子どものうち一人が親と同居し、親の世話や介護をしてきたような場合が当てはまります。

このようなケースでは、同居していた子は親の介護のために十分な収入が得られるほど働けなかった状況も想定され、法定相続や遺産分割協議によって住む家を失ってしまっては、その後の生活が困難になることが考えられます。

 

このとき、遺言書で長年世話や介護をしてきた子に不動産を相続させることを記しておけば、その者の生活の基礎を確保しておくことができることになります。

 

他にも、残される妻の住居を確保するために妻に相続させたり、疎遠になっている子ではなく、身近にいて日常的に交流のある子のみに相続させるなどといった場合が考えられます。

 

不動産を換価処分(売却)して相続させる(清算型遺贈)

特定の相続人に相続させる遺言は、前述したような「子どものうち一人が親と同居している」など特別な背景があれば問題となることは少ないかもしれません。

けれども特段の事情がなく複数の相続人のうちの一人だけに相続させるような場合、他の相続人に不公平感を持たれ、争いの原因となることもあります。

争いとは、具体的には遺留分の請求をされる可能性が考えられます。

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遺留分とは、法定相続人に認められた最低限度の割合で遺産を受け取ることのできる権利のことをいいます。

 

遺言書に基づいた相続であっても、受け取った財産がこの遺留分に満たない場合、多く受け取った相続人に遺留分に不足している分の金銭を支払うよう請求できるのです。

それでは、前述したような特段の事情がない場合、不動産の相続はどのようにするのが良いかというと、不動産を換価処分(=現金化)し、現金化した財産を相続人で等分する方法がもっとも不公平感が少なく、相続人が納得しやすい分け方と言えます。

このように不動産を換価処分して現金化し、被相続人の債務等を差し引いたのち遺贈させる遺言を、「清算型遺贈」といいます。

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ここで、数字を入れた具体例を挙げておきましょう。

 


【具体例】
遺言;土地・建物の不動産を換価処分のうえ、換価した現金を3人の子どもに1/3ずつ遺贈する。
土地・建物の売却額:3000万円
相続人:子A、子B、子Cの3人
被相続人に弁済すべき債務は無し


上記の例の場合、子A、子B、子Cはそれぞれ1000万円ずつ相続することになります。

 

また不動産が相続財産のメインで、その不動産に引き続き住み続ける必要のある相続人がいない場合は、この清算型遺贈の遺言をとることで、相続財産である不動産が空き家になることを防いだり、不要な固定資産税の負担や土地建物の維持管理費の負担をなくすことができます。

不動産をスムーズに相続するために遺言執行者の指定をしておく

長岡:「以上が、財産が不動産メインの場合の遺言書での財産分与の方法になります。」

 

Aさん:「なるほど。現金化すれば分けやすくなり、相続人にどのような割合で分けるのか自由に決めることができ、幅が広がりますね。」

 

長岡:「そうですね。そしてここで補足ポイントですが、これらの遺言を作成する際には、不動産をスムーズに相続するためにも同時に遺言執行者を指定しておくことをおすすめいたします。」

 

Aさん:「遺言の内容を実現するために手続きしてくれる人ですね。以前のコラムで学びました!」

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遺言執行者の権限を遺言書に明記する書き方|行政書士が分かりやすく解説!

長岡:「遺言執行者は遺言を実現するために動きます。例えば換価処分に反対する相続人がいたとしても、遺言書を根拠に手続きを進められることがポイントです。遺言執行者がいれば、遺言内容をスムーズに実現できます。」

 

Aさん:「一つ目の方法である「不動産を特定の相続人に相続させる場合」も、遺言執行者がいれば、登記手続きなど馴染みのない手続きを相続人自身が進めなければならないという負担が減りますね。」

 

長岡:「そうですね。相続手続きは複雑で難しいことが多いですので、私たち行政書士などの専門家を遺言執行者に指定していただけると良いかと思います。

自宅不動産を所有している場合は遺言書で対策を

今回は、相続財産が不動産メインの場合の相続について、遺言書での財産の分け方について説明いたしました。

預貯金が少ないから遺言書を書く必要はないということはなく、不動産を所有している場合は相続人の状況を考慮した相続方法を検討し、遺言を作成しておくことが、相続の際争いごとになることを避けることができます。

 

長岡行政書士事務所では、遺言書作成について親切・丁寧な対応を心がけております。遺言書作成を検討されている方、どのような遺言を書けばよいのか分からない方など、遺言作成についてお悩みのある方は、ぜひ一度お気軽にご相談にいらして下さい。

今回もお読みいただきありがとうございました。

 

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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