海外在住の相続人がいる場合の注意点|スムーズに相続手続きするためのコツを行政書士が解説

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グローバル化が進み、近年特にご結婚やお仕事の都合で海外に住んでいる日本人が増えていると聞きました。

では、相続人が海外在住の場合は相続の仕方にどんな違いがでてくるのでしょうか。

海外在住の方がいる相続に関しご経験のある横浜市の長岡行政書士様に、今日はお話を伺ってみたいと思います。

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海外に相続人がいると遺産分割協議が大変

本日はよろしくお願いします。

勝手なイメージで申し訳ないのですが、海外が絡んでくると書類のやり取りや習慣、時差等で大変なことが多いような感じがしますが、実際のところいかがでしょうか。

 

長岡ろくろポーズ②

 

長岡:

こちらこそ、本日はよろしくお願いします。

海外に相続人がいた場合でも、相続手続の大きな流れに違いはありません。ただ、いくつか気をつけておくべき点があり、その点を疎かにしてしまうと後々思わぬ困難に遭遇したり、相続完了までの時間が長引いてしまったりします。

例えばですが、遺言がなく相続が発生してしまうと相続人全員で遺産分割について話し合う遺産分割協議を開催しなければなりません。

ひとりだけ海外にいるとなかなか帰国のタイミングが合わず参加できなかったり、リモートのビデオ電話で参加するにしろ時差の問題で参加が難しくなってしまったりもします。

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うーん、なるほど。日本と時間が真逆な国に相続人がいて、そのため日本の深夜に相続人が集まってパソコンのモニターを見てるという状況はちょっと想像しにくいですね・・・

海外に相続人がいる際に気を付けるべきこと

長岡:

困難が予想される例として遺産分割協議を例に挙げましたが、このように海外に相続人がいる場合はそのような事態を避けるためちょっとした工夫が必要になってきます。

よくわかりました。

では、特にどのような点に気をつけるべきなのでしょうか。

もし相続人が一人でも海外にいる場合、次の点に注意しておきましょう。

  • 遺産分割協議の場が設けにくい
  • 海外在住者には実印と印鑑証明書がない
  • 海外にいても相続税申告が必要
  • 書類の準備とやりとりに時間がかかる

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

遺産分割協議の場が設けにくい

長岡:

先ほど述べた通り遺産分割協議は全員参加が原則ですが、これを避ける方法はまだ触れてませんでしたね。

そうですね、そこは是非伺っておきたいところです。

 

長岡:

失礼しました。

遺言書があれば遺産分割協議は避けることができます。ただ、自分で書く自筆証書遺言も可能ですが、内容に不備があると無効になってしまうので、今回の様に相続人が海外にいる場合は万全を期す意味でも公証人に書いてもらう公正証書遺言がおすすめです。

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海外在住者には実印と印鑑証明書がない

長岡:

さて、相続手続きにおいて実印と印鑑証明書が求められることもあります。

しかし、海外在住者には実印と印鑑証明書が無いということをご存知でしょうか

 

え?! それは知りませんでした。

 

長岡:

日本国内で引っ越しをした時、移転先で市役所等に行き新たに印鑑証明を登録した経験はありませんか? 海外ではこの手続きがないため相続に必須の実印と印鑑証明が用意できないのです。なので、これらに代わる証明書を準備する必要があります。

 

1)署名証明書(サイン証明書)

印鑑証明書に代わるものとして、海外ですと本人の署名及び拇印であることを証明する署名証明書(サイン証明書)を現地の日本領事館等で発行してもらうことができます。

この署名証明書とは日本に住民登録をしていない海外在留者に対し日本の印鑑証明に代わるものとして日本での手続きのために発給されるもので,申請者の署名(及び拇印)を領事の面前でなされたと証明するものです。

申請者自身が在住地の日本領事館等の公館に足を運び、申請する必要があります。

 

海外は印鑑の文化ではないですものね

 

長岡:

ちなみに、署名証明書は日本に一時帰国中でも日本の公証役場で取得することもできます。

その場合は本人確認資料として、1)パスポート、2)海外の住所がわかるもの(在留証明や免許証等)を持参し公証人の目の前で持参書類(契約書、遺産分割協議書、委任状等)に自分で署名することで、それらの書類に本人が自筆で署名したという「サイン証明」を作成することができます。

このサイン証明は日本における印鑑証明書と同じ、公的な証明書類として扱われます。

 

2)在留証明書(住民票の代わり)

長岡:

さらに、遺産に不動産があり、その不動産の相続人になる場合には登記手続きの過程で住所を証明する書面が必要になります。

海外在留者で日本に住所を持たない場合は居住地の領事館で在留証明書を取得しなければなりません。

在留証明書を受けるには、日本国籍を有している、現地で既に3か月以上滞在しその住所を証明できる書類を持参する、などの必要事項がありますので、現地の領事館に事前に確認するべきでしょう。

 

日本だと何をするにも住所がないと不便、と聞いたことがありますが、今それを思い出しました。

 

長岡:

最後にもう一つ注意すべきこと点は、他国でそのまま外国籍を取得した場合です。

通常、日本の相続手続においては相続人であることを確認するために戸籍謄本の提出が必要になる場合が多いです。

しかし、外国籍になり日本に国籍がなくなるとこの戸籍謄本を取得することができません。そこで、この戸籍謄本の代わりとなるものが相続証明書になります。

ここでは便宜上相続証明書といいましたが、相続証明書という名前の書類というわけではありません。

一般的には、出生証明書、婚姻証明書、死亡証明書などが相続証明書に該当します。こちらもご自身が該当するような場合は専門家によく事前相談することをお勧めします。

 

 

海外にいても相続税申告が必要

長岡:

あとは書類以外にも相続税申告が必要なことを忘れてはいけません。

 

海外にいるのに日本の税金を払う必要があるのですか?

 

長岡:

はい、日本にいる被相続人、つまり故人から遺産を受け取った場合、海外に在住している相続人についても日本の相続税が課され税申告が必要となります。

被相続人が保有していた財産であれば、原則日本国内の財産に限らず海外の財産についても課税対象となります。

ただし、被相続人と相続人の両方が10年以上海外に在住している場合は被相続人の日本国内の財産のみ課税対象となり、海外の財産については対象になりません。

 

海外にある財産を海外にいる人が相続しても日本で相続税を払わないといけない可能性があるとは、教えていただくまで想像もつきませんでした。

海外にいる場合は書類の準備とやりとりに時間がかかる

長岡:

ここまで紹介したとおり、相続人が海外にいると日本国内とは用意するべき書類が違ってくるので準備に時間がかかります。

また、その書類も国際間をまたいでのやり取りとなるので、時間がかかるといってよいでしょう。

急ぎの場合は電子化してPDFファイル等でデータを送り、向こう側(海外)でプリントアウトし、確認の上サインするといった工夫をすることで時間短縮につながります。

なるほど、海外に相続人がいる場合でも、色々工夫することでより円滑にできるのですね

遺言書がない場合の相続手続き

海外に相続人がいるにもかかわらず、遺言書を用意していないと、次のような手順を踏むことになります。

  • 遺産分割協議をする(対面、電話、メールなど)
  • 遺産分割協議書を作成して海外に郵送する
  • 必要書類の取得と署名
  • 遺産分割協議書と証明書一式を返送

ここまで述べたように、まず遺産分割協議を開催することが大変です。

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さらに話し合いでまとまった内容を「遺産分割協議書」としてまとめ、海外に送らなければなりません。

かなりの手間と時間がかかりますから、スムーズに相続手続きを進めるためにも、海外に相続人がいる場合には遺言書を用意しておきましょう。

遺言内容を実現してくれる「遺言執行者」も指定しておけば、より安心です。

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海外に相続人がいるケースで遺言書を用意して備えた事例

長岡:

先日ご相談いただいたのは80代になる男性の方で、妻と子2人が相続人、遺産としては預貯金と不動産をお持ちでした。

子のうち1人が海外に長く住んでいてあまり日本に帰ってこないので、後々の遺産相続の事を考えると不安になり御来所いただいた次第です。

 

どのような不安をかかえてらっしゃったのでしょうか。

 

長岡:

海外絡みの相続に関しての漠然とした不安ですね。海外にいる子が毎回帰国する必要があるのか、その子にだけ遺産が渡せないのではないか、海外にまで送金する必要があるのか、具体的にどのような書類が必要か、といったご質問をいただきました。無理もないことですが、経験したことがないのでどうしたらいいかわからない「漠然」とした不安です。

 

なるほど、その不安を長岡行政書士様に相談することで払拭しようとしたのですね。

 

長岡:

そうですね。打ち合わせを重ねご本人様の疑問点や不安点に対して一つ一つお答えし納得していただく事に努めました。また、ご本任様の希望をくみ取り、所有の不動産は売却して換価してそれぞれに分け、海外にいる子には日本にまだ口座があったので海外送金ではなくその子の日本口座に振り込むことを決めました。また公正証書遺言を使うことにし、公証人、証人2名、そしてご本人様の日程調整もこちらで行いました。

遺言書の下書きを作っておいたので当日はご本人様も自信をもって公証人に口述する事ができ、無事署名、捺印まで済ませることができました。

ご本人様も一区切りがついて安心したのかホッとした顔をされていて、私としてはそれが一番うれしかったですね。

相続人が海外にもいるなら遺言書を用意する

海外に相続人がいる場合も基本的には通常の相続手続きと同じですが、遺産分割協議が困難であったり準備する書類が異なったりと気を付けるべきポイントが存在します。

遺言をうまく用いて相続人の負担を減らし、また遺産を分割する際には工夫することで実際の相続手続きを円滑にするようにしましょう。

遺言をうまく用いて相続人の負担を減らし、また遺産を分割する際には、「不動産は日本国内に居住する相続人に相続させる」「預貯金は海外在住の相続人に相続させる」などと工夫することで実際の相続手続きを円滑にするようにしましょう。

経験豊富な専門家にサポートを依頼するのも、確実な相続への第一歩です。

横浜市の長岡行政書士事務所では、海外に相続人がいる場合の対策も承っています。少しでも不安なことがある方は、お気軽にお問い合わせください。初回相談は無料で対応しています。

 

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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