遺言書に受遺者の情報はどこまで書くのか~記載方法も行政書士が解説~

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遺言書に受遺者の情報はどこまで書くのか 記載方法も行政書士が解説

 

「遺言書に財産を受け取ってくれる人を書きたいけど、どうすればいい?」
「受遺者という言葉の意味を知りたい。遺言書にどう関係する?」
「遺言書を作るにあたって、正しい記載方法を学んでみたい。」

大切な財産を未来に託す「遺言書」には、財産を受け取る方を書き遺すことが可能です。財産を受け取る方を「受遺者」と呼びますが、正しく遺言書の中に記載するためにはどうすれば良いでしょうか。この記事では受遺者について、遺言書に書き遺す方法や、情報をどこまで書くのか詳しく解説します。

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遺言書に書き遺す「受遺者」とは?

遺言書にはさまざまな事柄を記載できますが、誰にどのような財産を遺すのか、明確に記載する必要があります。遺言書では、財産を相続人以外(相続人も可)に遺贈する場合、遺贈された財産を受け取る方を「受遺者」と言います。この章では受遺者について詳しく解説します。

特定受遺者

受遺者には2つの立場があります。まず1つ目は「特定受遺者」です。特定受遺者とは、遺贈する遺贈者が、あらかじめ財産を特定した上で遺贈を行います。特定受遺者は特定された財産以外は受け取れません。

合わせて読みたい:特定遺贈とは?包括遺贈との違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説

包括受遺者

包括受遺者は、相続財産の全て、あるいは相続財産を割合化した一部を受け取る方です。家、車、など指定された財産を受け取る特定受遺者とは異なります。すべての相続財産を包括受遺者として受け取る場合には、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産も含まれるため注意が必要です。

合わせて読みたい:包括遺贈とは?特定遺贈との違いと包括受遺者の権利義務について行政書士が解説!

法定相続人との違いとは

受遺者は法定相続人とは明確に区別されています。受遺者は相続人ではないため、亡くなっている場合に代襲相続が発生しません。また、受遺者以外に相続人がいる場合、相続放棄があったとしても、受遺者が受け取れる財産が相続放棄後に加算されるわけではありません。

その他の違いについては以下の図をご参考ください。

受遺者法定相続人
代襲相続ないあり
相続放棄後の受け取れる財産の増加ないあり
法人による相続財産の受取ありない(法人は法定相続人にはなれない)
財産の放棄できるできる
遺産分割協議への参加包括受遺者のみ参加要参加要

団体などは受遺者になれるのか

法定相続人は血族関係(法定血族含む)や被相続人の配偶者しかなれません。しかし、受遺者には団体などがなることも可能です。遺言書に記載できます。

たとえば、個人である相続人へは不動産、団体である法人を受遺者に指定し、現金を受遺させる旨の遺言書も遺すことが可能です。

合わせて読みたい:遺産を団体に遺贈寄付したい時はどうすればいい?長岡行政書士に聞いてみた

遺贈と死因贈与契約との違い

受遺者についてネット上で調べていると、「死因贈与契約」という言葉に出会うことがあります。では、遺贈と死因贈与はどのように異なっているのでしょうか。

遺贈は贈る、という言葉が使われているとおり、財産をギフトする意味があります。一方の贈与は生前贈与と同様に当事者間で契約が必要です。

つまり、死因贈与は贈与者と受遺者の間で、契約が交わされている必要があります。また、死因贈与の場合は口頭での当事者間での約束が可能ですが、遺贈の場合には書面が必要です。

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受遺者の情報を正しく遺言書に記載する方法

遺言書で財産を受遺者に渡したい場合には、遺言書に受遺者の情報を詳しく記載する必要があります。では、実際にはどのように記載すれば良いのでしょうか。以下にて記載方法を紹介します。

団体への遺贈をする際の記載例

遺贈は寄付をしたいと考えている団体を選ぶことがあります。その際には、以下のように記載しましょう。

   遺言書

遺言者 田中 〇〇は、次の通り遺言する。

第一条 私は社会福祉法人■■(代表社員:○○○○、所在:神奈川県横浜市××区〇〇12345)に現金3,000万円を遺贈する。

第二条 私は第1条に記載した財産を除く、一切の財産を私の配偶者田中 △△に相続させる

第三条 遺言者は、この遺言の執行者として次の者を指定する。
神奈川県横浜市港南区5丁目1-32 港南山仲ビル202
長岡行政書士事務所

行政書士 長岡 真也(昭和59年12月8日)

日付
住所

          氏名 田中  〇〇  印

相続人と遺贈の違いを明確にする

相続人以外に財産を渡す時は、相続させる、と言う言葉ではなく遺贈するという言葉を使って遺言します。相続人と遺贈を混在させる時は、明確に分けて記載します。また、団体へ遺贈させたい場合には、正しい団体名と住所を記載し、遺言執行者を指定しておく記載がおすすめです。

遺留分に注意して記載する

遺贈は団体を指定して財産を受遺させることができます。育英基金のような団体や、お世話になった介護施設へのお礼も良いでしょう。しかし、大切な財産を団体に分け、相続人にも財産を遺す場合には、「遺留分」に注意した記載が必要です。遺留分に考慮しない遺贈をしてしまうと、団体と相続人間でトラブルになるおそれがあります。

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無効にならないように記載する

遺言書は丁寧に記載し、正しく保管しなければ無効となるおそれがあります。せっかく作ったのに、自宅のタンスに眠ってしまっていると、相続開始後に遺言書を見つけてもらえないかもしれません。以下に挙げるケースでは、遺言書が無効になりやすいため注意しましょう

・自筆証書遺言のため書き漏れが多い
・家族に預けたが汚れてしまい読めない
・訂正してあるが内容が不明瞭
・夫婦が一緒に作ってしまった(※共同作成の遺言書は無効です)

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遺言書で受遺者を指定する際の注意点

大切な財産を託す場合には、どのような点に注意するべきでしょうか。この章では受遺者を指定する際の注意点を紹介します。

受遺者が遺産分割トラブルに巻き込まれる

受遺者の中でも、包括受遺者に指定する場合には、遺言内容によっては遺産分割協議に参加が必要です。(相続人がいないなどのケースでは不要)

相続人と面識のない方が、ある日突然遺産分割協議に参加することは大きな負担です。また、遺留分に配慮が無い場合には、遺留分の侵害を受けた相続人が訴えを起こしてくる可能性があります。受遺者を無為なトラブルに巻き込まないためには、遺言書の作成時に細やかな配慮が必要です。

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受遺者が遺贈を放棄してしまう

包括受遺者に指定された場合、マイナスの財産も含めて遺贈されてしまいます。受遺者にとってはマイナスの財産を受け取ることは大きな負担であり、財産の全てを放棄する可能性もあります。負担のない遺贈を目指す場合には、特定遺贈を検討してみましょう。また、個人や団体の方針によっては、遺贈を拒否する可能性もあります。

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不動産登記手続きが複雑

遺言で不動産を遺贈する場合には、登記手続きが通常の相続よりも複雑になることを知っておきましょう。まず、遺贈で不動産を受け取る場合には遺言執行者の指定が望ましいのです。相続人以外への遺贈の場合、遺言執行者が居なければ、遺贈による不動産の登記の申請に、「相続人全員の同意」を得る必要があります。

遺言執行者は被相続人の死去後に家庭裁判所へ選任申立てをすることも可能ですが、時間がかかります。負担の大きい不動産そのものの遺贈が本当に望ましいのか、十分に検討することがおすすめです。なお、不動産の遺贈には「換価型」と呼ばれる方法もあります。

※令和5年4月1日の法改正により、相続人への遺贈登記と共同相続登記後の所有権更正登記については、単独申請ができるようになりました。

換価型とは

換価型は遺言執行者が不動産の売却を執行し、得た売却代金から債務などを清算した後に受遺者へ渡してくれるものです。面識のない団体や、相続人間のトラブルを避けた不動産の遺贈として、検討すべき方法でしょう。

合わせて読みたい:清算型遺贈とは?押さえておきたいポイントを行政書士が解説

遺贈を検討する遺言書のご相談は長岡行政書士事務所へ

この記事では、遺言書に記載する受遺者の情報について中心に、記載方法や遺贈時の注意点も詳しく解説しました。遺贈時に団体名を記載する際には、ぜひ本記事をご参考ください。また、遺贈の際には解説のとおり、不動産登記の複雑さや、包括遺贈時のマイナスの財産の取り扱いなども十分に踏まえた上で遺言書を作ることがおすすめです。

遺贈を検討する遺言書の作成は、専門家に相談をしましょう。お気軽に長岡行政書士事務所にお尋ねください。

 

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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