遺言信託とは?金融機関に遺言書作成を依頼するメリット・デメリットを行政書士が解説!

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金融機関に遺言書作成を依頼する場合のメリットとデメリットを知りたい!

たまにテレビのCMで見る金融機関の遺言信託。

行政書士などの専門家に頼む遺言書の作成と、金融機関に依頼する遺言信託はどのように違うの?そう思われる方もいると思います。

本日はこの金融機関の遺言信託について一緒に見ていきましょう。

ご相談者様:70代男性

先日お付き合いのある銀行の方から遺言信託というサービスの紹介を受けました。
内容がよく理解できなかったのですが、どうも相続に関してなんでもやってくれる便利なサービスであるという印象です。

実は以前より私が亡くなった後の相続に関して漠然とした不安があり、この遺言信託に興味があるのですが、わかりやすく教えていただけませんでしょうか。

他の会社の事を長岡さんにお願いするのは恐縮ですが、他に頼れる方がいないんです。

回答:長岡行政書士事務所 長岡

恐縮だなんてとんでもない、ご相談いただきとても嬉しいです。

実際のところ、金融機関から遺言信託というサービスの紹介を受けて興味を感じている高齢の方も多いですが、いろいろご不明な点もあるようです。

例えば遺言信託と言っても具体的に遺言書の作成となにが違うのか、本当に何でもやってくれるのか、あとは費用はいくらくらいになるのか、などですね。

本日は、この金融機関の遺言信託サービスのメリットとデメリットに関してご説明差し上げたいと思います。

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遺言信託とは

金融機関が提供する「遺言信託」とは、さまざまなサービスを組み合わせたパッケージ商品の名称です。

実は遺言信託という言葉は法律用語で、遺言する人が信頼できる人に、特定の目的に従って財産の管理等する旨を定める信託のことを指しています。

ところが金融機関がサービスを展開するにあたり、この法律用語と同じく「遺言信託」という商品名を名付けたために、「商品としての遺言信託」の方が一般化してしまいました。

この記事の解説では、金融機関の商品としての遺言信託を解説いたします。

金融機関の遺言信託の提供サービス

結論から申し上げますと、金融機関が取り扱っている遺言信託は、我々行政書士や税理士といった専門職による遺言書の作成及びアドバイス業務と仕事の内容に変わりはありません。

すなわち、金融機関でなければ遺言信託ができないわけではないのです。

では、実際に遺言信託の内容を見てみましょう。

主な提供サービスは、次の3種類です。

  •  遺言書作成とコンサルティング業務
  • 遺言書の保管
  • 遺言の執行

遺言書作成とコンサルティング業務

遺言を検討している本人に対して、金融機関及び顧問弁護士や顧問税理士が聞き取りを行い、どのような遺言を作りたいかのすり合わせを行います。

その際に、今後の人生設計や生前贈与等を含めた遺産承継対策の全般にわたってのアドバイスも受けることになります。

実際に遺言書を作成する段階になったら、金融機関職員と共に公証役場に行き公正証書遺言を作成します。公正証書遺言には2名以上の証人が必要ですが、証人の手配は金融機関の方で行ってくれます。

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遺言書の保管

作成した公正証書遺言書を金融機関で保管してくれるサービスです。

ただ保管するだけでなく、保管期間中は毎年、財産状況や遺言内容に変更がないかどうかといったお伺いが手紙で来ます。

遺言の執行

本人が亡くなったら金融機関が遺言執行者となり、遺言執行者の権限に基づき作成しておいた公正証書遺言の内容の執行を行います。

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遺言執行業務には、遺産の目録作成や名義変更、換金処分、引き渡しがこの遺言の執行に含まれています。

相続税申告が必要な場合には税理士に支払う費用が、不動産の名義変更が必要な場合には司法書士に払う費用が別途発生します。

金融機関に遺言信託を依頼するメリット

それでは、金融機関が行う遺言信託と、専門家が遺産相続のお手伝いを行った場合の比較をしたときのメリットについて紹介します。

金融機関に依頼するメリットは以下の3つが代表例です。

  • 誰もが知っている有名会社なので安心感がある
  • 資産の有効活用に関するアドバイスを受けることができる
  • 個人の専門家に比べて長期的なサポートが期待できる

誰もが知っている有名会社なので安心感がある

名の知れている金融機関に相談に乗ってもらえる、相続の手配をしてもらえるという事に安心を感じられる方もいらっしゃると思います。

相続はご本人が亡くなった後のことなので自分で見届けることができませんから、安心感に価値を見出す方もいらっしゃると思います。

資産の有効活用に関するアドバイスを受けることができる

金融機関のネットワークを活用して様々な専門家のアドバイスを受けることができます。

例えば相続税に関してであれば、金融機関から税理士を紹介してもらい相談に乗ってもらうことができます。

個人の専門家に比べて長期的なサポートが期待できる

個人事務所に比べて、金融機関は組織も大きく会社としての永続性に信頼があります。

遺言書を作成して5年、10年と経っても変わらず存在してくれることは大きなメリットです。

ただ、サポート内容は組織としてマニュアルで決められた内容となるので、例えば細かに連絡をくれたり、ちょっと顔を合わせて話をしながら最近の状況を伝えたり、といったきめ細かいサービスは期待できないでしょう。

金融機関に遺言信託を依頼するデメリット

それでは、ここからは金融機関に遺言信託を依頼した場合のデメリットを、専門家に依頼した場合と比べながら解説していきます。

  • 専門家に依頼した場合と比べて、費用がとても高くなる
  • 公正証書遺言の場合は銀行に保管をしてもらう意味はない
  • 銀行は株式会社なので、資産をすべてさらけ出すことはリスクが伴う
  • 遺言者本意の遺言書が作れない可能性がある

専門家に依頼するより費用が高い

実際のところ、金融機関に遺言信託を依頼したとしても、遺言書作成の実務などは専門家である士業に依頼しています。

先に述べたような遺言書作成のアドバイスや公正証書遺言の手配、公証役場への付き添い及び証人の手配、そして遺言執行人に就任することも、行政書士などの専門家でも行っているサービスです。(横浜市の長岡行政書士事務所でも対応しています)

そのため一般的に専門家に遺言書作成を依頼した場合と比べて、金融機関では2~10倍の手数料に加え、さらに別途専門家に対する報酬も発生します。これらはすべて依頼人の負担となります。

金融機関へ遺言信託を依頼するケースでは、最低でも100万円以上の費用を見ておく必要があります。

また、遺言執行時に費用を支払うのは相続人です。

遺言者が生前に契約した高額な遺言執行費用を回避するため、金融機関に遺言執行者を辞退してもらう際の手間やトラブルが今後、多発する可能性があります。

公正証書遺言なら銀行に保管をしてもらう意味はない

金融機関への遺言信託にあたって、遺言書を銀行に保管してもらえることに魅力を感じる方もいるかもしれません。

しかし公正証書遺言書の謄本と正本を、金融機関に保管してもらう意味はありません。公正証書遺言書は公証役場に原本が無料で保管されるからです。

 合わせて読みたい>>公正証書遺言の「原本・正本・謄本」とはなに?この3種類の違いを教えて!

また、日本公証人連合会が構築した遺言検索システムも無料で使用できますので、どの公証役場にて保存されているかがすぐに判明します。

 合わせて読みたい>>遺言書の有無はどう調べる?遺言書の探し方と遺言検索システムについて行政書士が解説

 

銀行へ資産をすべてさらけ出すことはリスクを伴う

多くの銀行・金融機関は、実は株式会社です。

株式会社という大きな組織に対し自身の資産状況をすべて開示すると、個人情報が筒抜けになってしまいます。

資産情報を提供することで、不要な金融商品を勧められたりする可能性も否定できません。

 

例えばですが、「お客様の資産状況をよく検討した結果、より良い相続のためにもこの商品のご購入をお勧めします」、と言われると、どこまでがアドバイスでどこまでがセールスなのか判断が難しくなります。

遺言者本意の遺言書が作れない可能性がある

相続人が遺言書の内容に納得せず遺言書についての訴えを起こす可能性もゼロではありません。

金融機関からすると、遺言執行者に就任したはいいがトラブルになり更に訴訟になるのは避けたいところです。

その場合、遺言書を作成する段階で、トラブルを避ける総花的な(無難な)内容になるようアドバイスされることもあり、遺産の内容が元々本人の考えていたものとは違うものになる可能性があります。

たとえば「配偶者に全財産を渡したい」「支持する団体に寄付したい」などといった遺言書を作成したい場合は、行政書士などの専門家へ依頼した方が親身になってもらえるでしょう。

金融機関の遺言信託が必要な人

100万円を超えるような金融機関の遺言信託は、資産10億円を超えるような方にとっては必要かもしれません。

このようなケースでは元から金融機関とのお付き合いもあるでしょうから、金融機関の助言に従う選択肢をとってもいいでしょう。

しかし、セカンドオピニオンとして、行政書士などに相談することもあります。

金融機関の遺言信託が必要ない人(行政書士などに依頼した方がいい人)

 金融機関の遺言信託が必要ない、つまりは行政書士などに遺言書作成依頼したほうがいい方としては、次のような例が挙げられます。

  • 財産以外(身分行為)について記載したい
  • 遺言執行業務まで安心して任せたい

財産以外(身分行為)について記載したい

遺言書には財産についてのみならず、「子の認知」に関しても記載できます。

さまざまな事情があり、父親が生前に認知ができない場合もありますが、遺言書で認知することも可能なのです(遺言認知)

このような身分行為が必要なときは、金融機関の遺言信託ではなく、横浜市の長岡行政書士事務所のように遺言書作成を専門とする士業事務所へ相談したほうが安心です。

合わせて読みたい>>遺言による認知とは|遺言で子を認知する時の注意点を行政書士が解説!

遺言執行業務まで安心して任せたい

相続発生時に相続人(家族)が揉めると、銀行は遺言執行者を辞任してしまう可能性があります。

そのため遺言執行業務まで安心して任せたい場合にも、遺言書作成から相続手続きまで一貫してサポートしている専門家に依頼するべきです。

横浜市の長岡行政書士事務所では、印鑑一本で実現する相続手続きを目指しておりますので、安心してご依頼ください。

遺言書作成は行政書士へ依頼できる

数億円を超える規模の資産活用のアドバイスが必要なケースでは、金融機関に遺言信託を依頼するのも一つの手段です。

また、金融機関に依頼することによる「安心感」が欲しい方もいるかもしれません。

しかし、自分の考えで遺言書を残したいと考えている方であれば、はじめから行政書士などの専門家に相続の依頼をした方が、費用、手間、ご家族の負担、後日の契約トラブルもすべて防止する事ができます。

横浜市の長岡行政書士事務所では数多くの遺産相続のお手伝いをした経験があり、とことん誠実に、あなたの人生に寄り添う、をモットーに仕事をしております。

是非ご相談いただき、ご相談者様にとってベストな相続を一緒に考えていけたら幸いです。初回相談は無料で対応しています。

 

合わせて読みたい:行政書士が解説!銀行の視点から見た遺言執行者からの預貯金解約払戻し

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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