「遺言書が見つかったけど、すぐに検認してよいのか…」
「検認前に注意しておくことがあるのか…」
「遺言書を検認する前に注意するべきポイントを教えて欲しい!」
上記のような疑問や悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか。
自宅等で遺言書が見つかった場合、家庭裁判所にて検認してもらわなければなりません。申立人は家庭裁判所に必要な書類を提出し、検認の手続きを進めます。ただし、遺言書を検認前にいくつか注意するべきポイントがあります。
申立人は家庭裁判所に遺言書を提出する前に検認に関する知識を身につけ、誤解や勘違いがないようにしましょう。
今回は、遺言書を検認する前に注意するべき4つのポイントを解説します。検認手続きをスムーズに進めたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
検認する必要がある遺言書
検認とは、遺言書の保管者や発見者が遺言者の死後に家庭裁判所へ遺言書を提出し、相続人立会いのもと遺言書の内容を確認する手続きのことです。
参考:自筆証書遺言の検認とは?目的や必要な状況・流れを行政書士が解説!
検認は全ての遺言書が対象ではなく、以下の2つの遺言書に限られます。
- 自筆証書遺言(自筆証書遺言書保管制度を利用していない場合)
- 秘密証書遺言
自筆証書遺言を作成した場合は、「自宅」もしくは「法務局」のどちらかで保管・管理できます。自宅にて遺言書を保管した場合は、検認しなければなりません。(法務局での自筆証書遺言保管はこちらの記事をご相談ください|自筆証書遺言書保管制度はすべき?法務局へ保管するメリット・デメリットを解説!)
秘密証書遺言に関しても見つかった場合には、申立人が速やかに検認の手続きを進める必要があります。
仮に、検認を怠ると5万円以下の過料に科せられる可能性があるため、注意してください。
民法1005条(過料)前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。
出典:e-Govポータル
URL:https://www.e-gov.go.jp
申立人は家庭裁判所へ申請を行い、相続の手続きを進めましょう。
なお、公正証書遺言は検認の必要がありません。法的に有効かつ効力のある遺言書を作成する場合は、公正証書遺言をおすすめします。
合わせて読みたい>>公正証書遺言と自筆証書遺言に優劣はない!公正証書から自筆に変更する時の注意点を行政書士が解説
遺言書を検認するときに知っておくべき注意点
遺言書を検認する場合は、その検認手続きにどのような意味があるのか、理解しておく必要があります。
仮に、遺言書の検認の認識が誤っているとトラブルになりかねません。検認前に、以下のポイントを把握した上で手続きを進めましょう。
- 遺言書の有効性や効力を判断しない
- 全ての遺言書を検認する必要がある
- 申立人は必ず出席しなければならない
- 申請の手順を把握する
注意するべき4つのポイントに注目しましょう。
検認では遺言書の有効性や効力を判断しない
検認の手続きでは、遺言書の有効性や効力を判断しません。
家庭裁判所は遺言書の内容や存在を明らかにするために検認手続きを進めるからです。検認後、家庭裁判所は遺言書の検認済証明書を発行しできます。
たとえ検認しても、遺言書の様式が法的要件を満たしていなければ、その遺言書は無効になります。そして遺言書の有効性を争う場合は、別途裁判を起こさなければならないのです。
申立人は遺言書の検認済証明書を申請することで相続手続きを進められますが、遺言書の有効性の有無は検認において判断できないことを覚えておきましょう。
全ての遺言書を検認する必要がある
自宅等で複数の遺言書が見つかった場合は、家庭裁判所に全ての遺言書を提出し検認を受けてください。見つかった遺言書は検認より遺言の内容を確かめ、その存在を証明します。
ただし先述したとおり、それぞれの遺言書の、有効性の有無は判断するわけではないため、注意してください。
検認後、全ての遺言書の内容を確認し、法的に有効な遺言書であるのか判断します。遺言の内容が重複していない場合は、全ての遺言書が有効となるケースもあります。重複した部分に関しては、日付が新しい遺言書の方が優先されます。
合わせて読みたい:遺言書が複数枚ある時はどれが優先される?要件・効力も合わせて解説
そのため、全ての遺言書を検認し、内容と存在を明確にしましょう。遺言書の内容によっては、相続人間でトラブルに発展する場合もあります。
申立人は必ず出席しなければならない
検認期日、申立人は家庭裁判所へ出向き、出席しなければなりません。相続人に関しては、当日出席するのか自由に判断できます。
例えば、複数人の相続人がいる場合、出席する人数に決まりはありません。当日、申立人が出席していれば、相続人全員が欠席した状態であっても問題ありません。仮に、1人の相続人と申立人が出席することも認められています。
検認の手続きの前に申立人を選任する際は、スケジュールの調整がつきやすい人物を選んでください。申立人は検認期日に必ず出席し、検認の手続きを進めましょう。
なお、申立人の対象者は、「遺言書の保管者」もしくは「遺言書を発見した相続人」です。
参考:遺言書の検認は相続人全員が出席する必要がある?欠席したら罰則は?行政書士が解説
申請の手順を把握する
申立人は、検認前に一連の流れを把握しておくと良いでしょう。
検認をする場合は、複数の工程を1つずつ進める必要があるからです。申立人が行うべき手続きの流れを、以下にまとめています。
- 相続人等が遺言書を発見する
- 申立てを行う家庭裁判所を決める
- 申立人が家庭裁判所へ申請する(必要な書類を作成・用意する)
- 家庭裁判所から検認日の通知を受ける
- 検認期日、家庭裁判所にて手続きを進める(検認する遺言書が必要)
- 検認完了後、検認済証明書を発行してもらう
- 相続の手続きを進める
円滑に検認を進める場合は、必要な書類を確実に用意してください。また、検認に必要な費用(※収入印紙)や印鑑を忘れないようにしましょう。
検認の申立人を選ぶポイント
自宅等で遺言書を発見した場合は、速やかに家庭裁判所で検認してもらいます。
その際には申立人が検認の申請を行いますが、申立人として選任する人物によって相続に影響を及ぼす可能性があります。
申立てを選任する際は、以下のポイントに注目しましょう。
- スケジュールの調整がしやすい人
- 法律的な知識や経験を有している人
- 誠実な対応を行う人
申立人を選任する人として、誠実な対応を行う人が望ましいでしょう。検認の手続きを進める際は、請求書の作成や必要書類の収集などを行い、指定日に家庭裁判所へ足を運ばなければなりません。そのため、手順に沿いながら進めてくれる人が適任です。
他の適任者として、法律的な知識や経験を有している人が挙げられます。検認や相続の手続きでは専門的な用語を使用するケースが多く、ある程度の法律的な知識を持っている人の方が円滑に進めやすいです。
申立人を選任する場合は、スケジュールの調整や人柄などを考慮しましょう。
遺言書を発見したら速やかに検認をする
今回の記事では、遺言書を検認する前に注意するべき4つのポイントを解説しました。複数の遺言書が見つかった場合は、全ての遺言書を検認しましょう。全ての遺言書が有効なケースもあるからです。
仮に、遺言書を開封してしまった場合は速やかに検認の手続きを行い、家庭裁判所に提出してください。決して、意図的に開封した遺言書を廃棄したり、改ざんしたりする行為は止めましょう。家庭裁判所にて適切に手続きを進めた上で、遺言書を開封してもらってください。
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