遺言で相続人を廃除できる?書き方や手続きを行政書士が解説!

記事更新日:

遺言廃除とは? 遺言執行者が行う手続の概要を行政書士が解説!

特定の相続人へ財産を渡したくない、ということもあるのではないでしょうか。

「この人は私のことを罵倒してきた」

「この人にだけは遺産を残したくない…」

「この人の相続権を無くせないかしら」

もしそんな人が身近にいたとしたら、どうすればいいでしょうか?

実は一定の条件を満たせば、相続廃除、つまりその人に相続をさせない(相続権を持っている推定相続人から相続権をなくす)ということができる可能性があるのです。

そこで今回は、相続廃除について、行政書士の監修のもと、落語調のストーリー形式で解説します。

遺言で相続人を廃除する方法や、具体的な遺言書の書き方を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

遺言のご相談
LINE導線
お問い合わせフォーム
受付時間:平日9時-21時(土日祝予約制)メール・LINEは24時間受付
対応エリア:横浜市・神奈川県全域・東京23区

相続廃除とは相続人から相続権を奪うこと

将来相続人となる可能性がある人物(推定相続人)から、相続権をはく奪することで相続人にさせないことを「相続廃除」と言います。

では、推定相続人を廃除するための方法を探っていきましょう。

熊五郎「帰えったぜ、ったく。てやんでえ! べらぼうめ!」

おかみ「どうしたんだい、そんな鼻息荒くしちゃって。もう歳なんだから頭に血をのぼらせてたら、ぽっくり逝っちまうよ」

熊五郎「ぽっくり逝きたくても、未練たらたらってなあ、このことよ」

おかみ「何かあったのかい?」

熊五郎「おうよ。うちの弟の八五郎のやつがよ」

おかみ「ハチさんかい。そういえば、最近、よくない賭場に出入りしているって…」

熊五郎「あの野郎がよ、おいらたちが死んだ後にこの家を売っぱらって金にしたいとかほざいてやがるんだってよ」

おかみ「そのお金、どうせまた博打に使っちまうんじゃないのかい…? 心配だねぇ」

熊五郎「だからよ。おいらァ決めたぜ。ハチの野郎にはビタ一文もやらねえ。だからよ、今日は行政書士の長岡屋さんに来てもらってんだよ。あれ? おうい、長岡屋さん、とっとと入ってくんねえ」

長岡「お邪魔いたします。おかみさん、ご事情は伺ってますよ」

おかみ「ご苦労おかけしますねえ…」

このように特定の相続人へ財産を残したくない場合には、相続廃除の手続きを進めることになります。

相続廃除の方法

熊五郎「さっそくだけどよ。さっき言ってた「相続廃除」とやら、どうやればいいんだい?」

推定相続人を排除する相続廃除には、2つの方法があります。生前廃除と遺言廃除です。

生前に廃除する方法

長岡「まずは生前廃除からご説明しましょう」

おかみ「廃除って、なんだか怖い言葉ねぇ」

熊五郎「何言ってやがる。ハチの馬鹿野郎にゃちょうどいいぜ」

長岡「まあまあ。生前廃除というのは、被相続人となる方が、まだ生きているうちに家庭裁判所へ相続人の廃除手続きを行うというものです」

熊五郎「要するに、ハチの野郎には相続させたくねえって、お役所に訴えるわけだな」

長岡「そうです。でも家庭裁判所に申立てをすれば、必ず相続人の廃除が認められるというものではありません。これはあとでまた説明しますね」

遺言で排除する方法

おかみ「もうひとつの遺言廃除というのはどういうものなんだい?」

長岡「遺言廃除とは、遺言書の中で相続廃除の指示を書き遺すというやり方です。相続というのは、被相続人、つまりクマさんが亡くなってから手続きが始まるんです。遺言書の中に相続廃除について記されていれば、遺言執行者が家庭裁判所に対して相続廃除を申し立てるわけです」

熊五郎「ふうん。つまり、おいらの代行で、その遺言執行者とやらがお役所に訴えてくれるんだな」

おかみ「この方法なら必ず相続人の廃除が認められるのかい?」

長岡「いえ。こちらも必ずというわけではないんです」

熊五郎「おいおい、そいつァ困っちまうぜ。なんとかなんねえのかい、長岡屋さん?」

相続廃除を認めてもらうための条件

生前廃除も遺言廃除も、必ずしも相続廃除を認めてくれるものではありません。では、相続廃除を認めてもらうための条件を見ていきましょう。

長岡「生前廃除も遺言廃除も、こちらの以下条件を満たしているかどうかが家庭裁判所で慎重に判断されるんです」

  • 被相続人に対して虐待行為や重大な侮辱があった
  • その他の著しい非行があった

虐待行為

長岡「ちなみに暴力行為(虐待行為)については、被相続人の性格にも問題がある場合もあるので、必ず認められるような条件にはなりえないんです」

おかみ「なるほど。遺言の場合は、自分の口で説明できないぶん、しっかりと理由を書いておかないといけなさそうだねえ」

長岡「その通りです。『生前にずっと仲が悪かった。だから相続させたくない』というような抽象的な理由だと認められる可能性は低いですね」

その他著しい非行

熊五郎「この相続廃除が認められる非行ってのは、どんなことを示すんだい?」

長岡「一概には線引きできないのですが、相続人に対する非行以外にも被相続人を含むその他の相続人に対し、財産上や精神上のダメージを与えるような行為と考えられます」

熊五郎「いまいちよくわかんねえな。つまりあれか? 頭をリーゼントにして短ラン・ボンタン、カバンには喧嘩売りますの赤テープ…」

おかみ「あんた、このコラムの設定の世界観と全然違うよ…」

長岡「たとえば、財産の取得をもくろみ、生前の被相続人に同意を得ることなく財産を自己や妻子の名義に変えていたりとか

熊五郎「ハチの野郎ならやりかねねえな。あいつァ、昔っから口より先に手が出ちまいような暴れん坊の上、小賢しかったからよ」

 

遺言廃除には遺言執行者が必要

さて、遺言によって相続人を廃除する、つまり遺言廃除には、遺言執行者の存在が不可欠です。では、遺言執行者とは一体どのような立場の方なのでしょうか。

熊五郎「ところでよ、さっき遺言執行者とかいうのが出てきたけど、ありゃいったい何なんでえ?」

長岡「遺言執行者は遺言手続きの舵取りを担う人、と覚えておいてください。一部の方を除いて、誰でもなることができるんです」

合わせて読みたい:遺言執行者が単独で執行できる手続きとはなにか?行政書士が解説!

遺言執行者が単独で執行できる手続きとは?登記や認知について行政書士が解説!

おかみ「遺言執行者になれない人というのは、どんな人?」

長岡「未成年者と破産者ですね」

遺言廃除の手続き方法・流れ

熊五郎「遺言手続きの舵取りとかいうけどよ、遺言で相続廃除する場合、遺言執行者は何をどうするんだい?」

長岡「では、遺言執行者が相続廃除の手続きを進める流れを見てみましょう。このようになります」

  • 相続開始
  • 家庭裁判所への申立て
  • 家庭裁判所が審判
  • 市役所・区役所への届出

相続開始

相続が開始され、被相続人が相続廃除する旨の遺言書が見つかったら速やかに遺言執行者が手続きを開始します。

相続廃除する旨の遺言書であるにもかかわらず、遺言執行者が指定されていない場合は、家庭裁判所に遺言執行者の選任申立てを行うことになります

家庭裁判所への申立て

遺言執行者が家庭裁判所へ相続廃除の申立てを行います

家庭裁判所が審判

家庭裁判所が相続廃除の審判を行います。相続廃除が確定したら、審判書の謄本および確定証明書が作られます。

市役所・区役所への届出

家庭裁判所で相続廃除が認められたら、被相続人の戸籍がある自治体に相続廃除の事実を届け出ます。相続人の戸籍には廃除された事実が記載されることも覚えておきましょう。

相続廃除手続きに必要な書類

長岡「ちなみに、家庭裁判所への相続廃除の手続きに必要書類はこちらの通りです」

  • 相続廃除申立書
  • 被相続人の戸籍謄本(死亡が分かるもの)
  • 廃除を求める相続人の戸籍謄本
  • 遺言書もしくは遺言書の検認調書謄本の写し
  • 遺言執行者が家庭裁判所に選任された場合は執行者選任の審判書謄本
  • 印紙800円と指定された郵券

自治体への届出に必要な書類は以下のとおりです。(審判の確定後10日以内)

  • 推定相続人廃除の届出
  • 家庭裁判所が作る相続廃除の事実が分かる審判書の謄本
  • 審判の確定証明書

※遺言執行は相続開始後すぐに手続きを始める必要があり、審判の確定後には10日以内に自治体に届け出を行わなくてはいけない

遺言廃除の注意点

相続廃除の注意点としては、次のような要素が挙げられます。

  • 相続廃除を認めてもらうことは難しい
  • 代襲相続の対象ではある
  • 相続欠格とは違う
  • 相続廃除は取り消しも可能
  • 相続廃除が絡む遺言執行者は手続きに詳しい専門家を選任する

それぞれの注意点について詳しく解説します。

相続廃除を認めてもらうことは難しい

この記事で紹介したとおり、相続廃除には条件が設けられています。家庭裁判所へ申し立てれば必ず相続廃除が認められるわけではありません。

相続権という権利を奪うことになるわけですから、家庭裁判所で慎重に判断されることになるのです。

実態として、容認される相続廃除は申請の2割程度ともいわれています。

代襲相続の対象ではある

仮に相乗効果が認められたとしても、代襲相続は適用されることも注意してください。

たとえば長男Aの相続廃除が認められたとしても、長男Aの子ども(孫)は代襲相続することは可能です。

代襲相続人も廃除するとなると、代襲相続人からも虐待などを受けていたことを証明し、別途家庭裁判所へ申し立てなければなりません。

遺言書にしっかりと相続廃除を希望する内容を記載しても、判断をするのは家庭裁判所のため、相続廃除が認められない可能性もあります。

そのためにも手続きに詳しい遺言執行者が必要です。

相続欠格とは違う

相続権を失わせる法制度としては「相続欠格」も存在します。相続廃除と相続欠格は異なる制度であることも覚えておきましょう。

相続欠格は、欠格事由に該当する事実があれば「当然に」相続権が失われる制度です。相続欠格に該当する事実としては次のような例が挙げられます。

  • 被相続人や他の相続人を殺害した
  • 遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した
  • 被相続人に詐欺・強迫によって遺言させた

このような事実がある場合、該当したものは欠格者として相続権を失います。

相続廃除は被相続人(本人)の意思に基づいているのに対し、相続欠格は意思とは関係なく相続権が失われることが特徴です。

相続欠格に該当するほどではないものの、相続人へ財産を渡したくないというケースでは、相続廃除を検討しましょう。

相続廃除は取り消しも可能

一度は相続廃除したものの、後から相続廃除を取り消すことも可能です。

生前に相続廃除していたものの、やはり財産を渡しても良いと考えた場合には、遺言で相続廃除の取消意思を表示できます。

遺言書で相続廃除を取り消す場合も、遺言執行者が家庭裁判所へ申し立てることになります。

相続廃除が絡む遺言執行者は手続きに詳しい専門家を選任する

遺言書にしっかりと相続廃除を希望する内容を記載しても、判断をするのは家庭裁判所のため、相続廃除が認められない可能性もあります。

そのためにも手続きに詳しい遺言執行者が必要です。

おかみ「だんだんとハチさんの相続廃除が現実味を帯びてきたねぇ…」

熊五郎「遺言執行者には、一部を除いて誰でもなれるとあったけど、やっぱり手続きに詳しい人が一番だな」

長岡「そうですね。法的知識がある方や、あらかじめ遺言執行の手続きを知っているような方でないと、手続きに困ってしまうおそれがあります

おかみ「ねえ、あんた。ちょっと、ホラ、玄関にハチさんが来てるよ…」

熊五郎「あん? な、ハチ、てめえ! どのツラ下げておいらの前にきやがった! …って、あれ、なんだかしょぼくれてやがるな」

八五郎「あんちゃん、すまねえ。おいら、賭場の連中にすっかり騙されちまってることに気づいたんだ…。お茶屋のお菊ちゃんに思い切り頬を張られちまって、こんなんじゃいけねえなって」

おかみ「あら、お菊ちゃんもいるじゃない。もしかしてあんたたち?」

お菊「はい、八五郎さんと想いあっていましたから、ここで所帯を持って、いちから出なおそうかと思ってるんです」

熊五郎「なんでえ、そういうことだったのかい! おう、ハチ、よく目を覚ましたな! それでこそおいらの弟ってもんよ。これで一件落着じゃねえか」

おかみ「うちは早く気付けてよかったけど、もし相続廃除の手続きを進めていたら、そうはいかなかったかもねえ…」

相続廃除の関わる手続き・遺言書作成も横浜市の長岡行政書士事務所へ

長岡「おかみさん、大丈夫ですよ。相続廃除を生前に家庭裁判所によって認められた場合でも、廃除そのものを取り消すこともできるんです。家庭裁判所に申立てれば、生前に行える取り消しでも、遺言による取り消しでもできますから」

熊五郎「そうかいそうかい。まあ、今日はいろいろ目出てえ日だ。皆で一杯いこうじゃねえか。長岡屋さんも付き合ってくんな」

長岡「ありがとうございます。また何でも聞いてくださいね」

この記事で紹介したとおり、相続廃除は相続人の権利を制限する重大な法律手続きです。

そのため手続きは簡単ではなく、法的観点から注意すべきポイントも少なくありません。

自分の意図しているとおりに財産を残すためにも、相続廃除の関わる手続き・遺言書作成を検討している方は横浜市の長岡行政書士事務所へ相談してください。初回相談は無料で対応しています。

この記事を詳しく読みたい方はこちら:遺言執行者が行う推定相続人の廃除とは|手続きを詳しく行政書士が解説

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
遺言に関するお問い合わせ

初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

ご相談はご来所のほか、Zoom等のオンラインでの相談も承っております。

お電話でのお問い合わせ

「遺言のホームページを見た」とお伝えください。

受付時間:平日9:00-21:00(土日祝予約制)
メールでのお問い合わせ

    初回相談は無料です。お気軽にご相談ください。ホームページからのご相談は24時間受け付けております。

    お問い合わせ種別必須

    プライバシーポリシー

    長岡行政書士事務所(以下「当事務所」といいます)が運営する「横浜で遺言の遺言を専門家が支援」(以下「当サイト」といいます)は、以下のとおり個人情報保護方針を定め、個人情報保護の仕組みを構築し、全従業員に個人情報保護の重要性の認識と取組みを徹底させることにより、個人情報の保護を推進致します。なお、本プライバシーポリシーにご同意いただける場合にのみ当サイトをご利用くださるようお願いいたします。ご利用された方は、本プライバシーポリシーの条件にご同意いただいたものとして取り扱いさせていただきます。

    個人情報の管理

    当事務所は、お客さまの個人情報を正確かつ最新の状態に保ち、個人情報への不正アクセス・紛失・破損・改ざん・漏洩などを防止するため、セキュリティシステムの維持・管理体制の整備・従業員教育の徹底等の必要な措置を講じ、安全対策を実施し個人情報の厳重な管理を行ないます。

    個人情報の利用目的

    お客さまからお預かりした個人情報は、当事務所からのご連絡や業務のご案内やご質問に対する回答として電子メールや資料のご送付に利用いたします。利用目的は主に以下に定めるものに限ります。

    • 行政書士法に定められた業務及びそれに付帯する業務を行うため

    • 当サイトを通じたサービスの提供

    • 当サイトの品質向上とそれに基づくお客様の声の実施

    • その他、当事務所の業務の適切かつ円滑な遂行

    個人情報の第三者への開示・提供の禁止

    当事務所は、お客さまよりお預かりした個人情報を適切に管理し、次のいずれかに該当する場合を除き、個人情報を第三者に開示いたしません。

    1. お客さまの同意がある場合

    2. お客さまが希望されるサービスを行なうために当事務所業務を委託する業者に対して開示する場合

    3. 法令に基づき開示することが必要である場合

    個人情報の安全対策

    当事務所は、個人情報の正確性及び安全性確保のために、セキュリティに万全の対策を講じています。また、当事務所は個人情報の取扱いに関し、従業員全員に対し適切な監督をします。

    ご本人の照会

    お客さまがご本人の個人情報の照会・修正・削除などをご希望される場合には、ご本人であることを確認の上、対応させていただきます。

    法令、規範の遵守と見直し

    当事務所は、保有する個人情報に関して適用される日本の法令、その他規範を遵守するとともに、本ポリシーの内容を適宜見直し、その改善に努めます。

    個人情報保護に関するお問い合わせ

    当事務所の本プライバシーポリシー(個人情報保護指針)に関するお問い合わせ、連絡、意見などは下記までご連絡ください。

    長岡行政書士事務所 代表 長岡真也
    233-0003
    横浜市港南区港南5-1-32港南山仲ビル202
    電話 045-844-5616



    ページトップへ戻る