「遺言執行者は単独で手続きを執行できるのか…」
「どのような手続きを執行できるのか知りたい!」
「遺言執行者が執行できる手続きを教えて欲しい!」
上記のような疑問や悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか。
遺言執行者が単独で行える業務は多々ありますが、いきなり遺言執行者になった方は不安も多いでしょう。
今回は遺言執行者が単独で執行できる手続きや、遺言執行で困った時に役立つ情報について解説します。遺言執行者について悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
目次
遺言執行者とは
遺言執行者は遺言の内容に従い、相続等の手続きを進めることができる人物です。
生前、遺言者は遺言書に遺言執行者の指定や指名が可能です。他にも、遺言書で指名した第三者や家庭裁判所が決めることができます。
就任した遺言執行者は相続人に代わり、相続の手続きを進めます。相続人は遺言執行者が執行できる業務を把握しておくことで、安心して任せられるでしょう。
合わせて読みたい>>遺言執行者とは?実行する内容・権限の書き方を行政書士が分かりやすく解説
簡単にいうと、遺言を実現してくれる人=遺言執行者です。
遺言執行者がいない場合は相続人や受遺者全員が協力して手続きを進めることになりますが、遺言の内容に納得しない相続人がいたりすると、スムーズに手続きが進まないこともあります。
しかし、遺言執行者がいれば遺言内容をスムーズに実現できることが特徴です。
そのため、遺言執行者には中立・公平な立場で遺言を実行する権利と義務があります。
遺言執行者は相続人への通知義務がある
長岡:「こんにちは!横浜市の長岡行政書士事務所・代表の長岡です。」
Aさん:「こんにちは!よろしくお願いします。今回は、遺言執行者に関することで質問があります!」
長岡:「はい、わかりました!」
Aさん:「遺言執行者は、遺言の内容に従い執行してくれますよね?
ちなみに、相続等の手続きを進める際は、相続人に相談する必要があるのでしょうか。
相続人に何も言わない状況では、手続きを進めにくい気がするのですが…それとも、単独で各種手続きを進められるのでしょうか。」
長岡:「わかりました。確かに、気になるポイントですね!遺言執行者は相続人に相談せず、単独で相続等の手続きを進めることが可能です。
ただし、遺言執行者に就任した時は相続人に対し、通知する義務を負っているのです。以下のように民法に定められています。」
民法1007条(遺言執行者の任務の開始)
遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。
出典:e-Govポータル
遺言執行者が単独で対応できること
長岡:「遺言執行者が単独で執行できる業務として、以下の項目が挙げられます。」
- 特定財産承継遺言による相続登記
- 預貯金の解約・預貯金の名義変更・株式や証券の解約
- 遺贈
- 子どもの認知・相続人の廃除
特定財産承継遺言による相続登記
2019年7月1日以降に作成された特定財産承継遺言であれば、遺言の内容によっては遺言執行者が単独で相続登記できます。
特定財産承継遺言とは、「特定の財産を特定の相続人に相続させる内容」の遺言のことです。
合わせて読みたい>>特定財産承継遺言とは?遺贈との違いや作成時の注意点を行政書士が解説
じつはこれまで相続登記の実務では、相続させる旨の遺言で遺言執行者が指定されていても、遺言執行者が相続人の代わりに相続登記を申請する行為は認められていませんでした。
しかし、2019年の法改正により、遺言執行者が単独で申請できるようになったのです。
合わせて読みたい>>特定財産承継遺言の執行方法について行政書士が解説!~不動産編~
ただ、ここまで紹介したとおり、特定財産承継遺言による相続登記制度は簡単ではありません。法律に詳しくない方が、いきなり実行することは難しいでしょう。
横浜市の長岡行政書士事務所では、このような遺言・遺言執行にまつわる相談にも対応しているので、もしお悩みの方はお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。
預貯金の解約・預貯金の名義変更・株式や証券の解約
遺言執行者が単独で対応できる各種手続きとしては、「預貯金の解約」・「預貯金の名義変更」・「株式や証券の解約」などがあります。この手続きは、相続人でも執行することが可能です。ただし、遺言執行者が執行すると円滑に手続きを進められるでしょう。
遺言執行者による預貯金の解約等も、法改正がありました。
詳しくはこちら:民法改正!遺言執行者の権利義務とは?明確になった立場を行政書士が解説!
相続に関する知識や経験がある遺言執行者であれば手続きできるかもしれませんが、相続人を代表して遺言執行している方は不安を感じるかもしれません。
このような金融機関への手続きに不安を感じている方も、一度長岡行政書士事務所へ相談してみてください。
遺贈
長岡:「次に、遺贈について解説します。」
遺贈に関することが遺言書に記載している場合は内容に従い、単独で手続きを進められます。ただし、相続人の遺留分を侵害する遺贈が執行されると、遺留分侵害額の請求を受ける可能性があります。
遺贈をする場合は遺言執行者が手続きを進めることで、相続人同士のトラブルを防ぎながら執行できるでしょう。
合わせて読みたい:公正証書遺言作成のポイント!遺言関連法改正5種類を行政書士と確認
合わせて読みたい:特定遺贈とは?包括遺贈との違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説
子どもの認知・相続人の廃除
その他の遺言執行にまつわる行為としては、子どもの認知や相続人の廃除などが挙げられます。この2つの行為は、遺言執行者のみが単独で執行できます。
遺言書に「子どもの認知」と「相続人の廃除」に関することを記載する場合は、必ず遺言執行者を選任してください。
長岡:「遺言執行者は、単独で上記の各種手続きを進められます。」
Aさん:「なるほど。遺言執行者のみが執行できる業務もあるんですね!」
長岡:「はい、そうです!」
遺言執行者は代理人に執行を依頼できる(復任権)
ここまで遺言執行者が単独でできる業務について紹介しましたが、難しく感じている方が多いのではないでしょうか。
法律の専門家ではない方が「遺言執行者に選任されたけど誰かに代わって欲しい」と思うことは自然なことです。
実は遺言執行者は、代理人に執行を依頼できます。
遺言執行者の職務を包括的に他の人に委ねる権利のことを「復任権」と言い、法改正によって「やむを得ない事由」がなくても遺言執行者の責任・裁量で復任することができるようになりました。
この復任の際には、他の相続人や受遺者の同意は不要なこともポイントです。
もし第三者に遺言執行者の職務を交代してもらいたいという方は、横浜市の長岡行政書士事務所へご相談ください
合わせて読みたい>>遺言執行者に選任されたけど誰かに代わって欲しい!法改正があった執行者の代理人
遺言執行者は行政書士へも依頼可能
今回の記事では、遺言執行者が単独で執行できる手続きについて解説しました。遺言執行者は相続人に代わり、複数の手続きを執行できます。また、遺言執行者を選任することで、中立な立場で相続人同士のトラブルを防げるでしょう。
遺言執行者は、「子どもの認知」や「相続人の廃除」の手続きを執行する際に必要不可欠です。遺言書の内容にその旨を記載する場合は、遺言執行者の指定と指名を忘れないようにしてください。
身近な人を遺言執行者に指名することもできますが、法律に詳しくないと執行を負担に感じるかもしれません。
遺言執行者としての職務を第三者に依頼することも可能ですが、はじめから行政書士などの専門家を指定しておいてもいいでしょう。
長岡行政書士事務所は遺言や相続の事案に対し、迅速に対応できます。
ご依頼者様の状況によって、遺言執行者を務めることが可能です。遺言や相続に関する悩みを抱えている人は、一度長岡行政書士事務所へご相談ください。