遺言執行者が行う推定相続人の廃除とは|手続きを詳しく行政書士が解説

記事更新日:

遺言執行者が行う推定相続人の廃除とは 手続きを詳しく行政書士が解説

 

「遺言執行者が行う手続きの中にある、相続廃除とはどのような手続き?」
「相続廃除をされたら、一体相続手続き上ではどのような変化があるの?」
「推定相続人の中に、財産を残したくない人がいるけど、どうすればいい?」

将来相続を残したくないと考える推定相続人がいる場合、一定の条件を満たしていると「相続廃除」ができる可能性があります。相続廃除とは、相続権を持っている推定相続人から、相続権をなくすことを意味します。この手続きには、遺言執行者が必ず必要です。この記事では、遺言執行者が行う推定相続人の廃除について、手続きを詳しく解説します。

遺言のご相談
LINE導線
お問い合わせフォーム
受付時間:平日9:00-21:00 (土日祝予約制)

資料請求

推定相続人を廃除する方法とは?

将来相続人となる可能性がある方(自身の子など)の中に、相続人になってほしくない方がいる場合、相続権をはく奪することで相続人にはさせない方法があります。この方法を「相続廃除」と言います。では、推定相続人を廃除するためには、どのような方法があるでしょうか。

推定相続人を廃除する「相続廃除」とは

推定相続人を排除する相続廃除とは、2つの方法があります。詳しくは以下です。

  1. 生前廃除
    生前廃除とは 将来の相続に備えて被相続人となる方が生前に相続人の廃除手続きを家庭裁判所に対して行うことです。家庭裁判所に申立てを行い、審判を求めるものです。なお、後述しますが、家庭裁判所に申立てをすれば、必ず相続人の廃除が認められるわけではありません。
  2. 遺言廃除
    遺言廃除とは、遺言書の中で相続廃除の指示を書き遺す方法です。つまり、被相続人が亡くなった後に手続きが始まります。相続廃除が遺言書に遺されていた場合、遺言執行者が家庭裁判所に対して申立てを行います。この方法でも、必ずしも相続廃除が家庭裁判所に認められるとは限りません。

相続廃除を認めてもらう方法

上記で示した通り、相続廃除は2つの方法がありますがいずれの方法も必ずしも相続廃除を認めてくれるものではありません。では、相続廃除を認めてもらうためには以下の条件に該当しているかどうか、慎重に判断されます。

  • 被相続人に対して虐待行為や重大な侮辱があった
  • その他の著しい非行があった

以上の行為に該当しているかどうか、家庭裁判所が判断するものです。「生前にずっと仲が悪かったから、財産をあげたくない」といったものでは認めてくれる可能性が低いと知っておきましょう。遺言による相続廃除の場合、自身が家庭裁判所に申立てをするわけではないため、遺言書内にしっかりと廃除を求める理由を遺しましょう。

非行とは一般的には判断しにくいものですが、被相続人に対する非行以外にも被相続人を含むその他の相続人に対し、財産上や精神上のダメージを与えるような行為も、廃除原因とする判例もあります。(※1)

(※1)参考判例
広島高裁岡山支部昭和53年8月2日決定 家庭裁判月報31巻7号56頁より

相続廃除が認められないケース

では、相続廃除を申立てしても、認められないケースにはどのようなものが該当するのでしょうか。たとえば、被相続人の死期が近いことから財産の取得をもくろみ、生前の被相続人に同意を得ることなく財産を自己や妻子の名義に変えていたようなケースでは、相続廃除が認められています。

一方で、生前に推定相続人が暴力行為を被相続人に対して行っていても、介護を受けていた被相続人の性格にも問題があったとされるケースでは、相続廃除が認められていません。
相続廃除は暴力行為があったら認められる、というものではないのです。一方で財産の着服をもくろんだようなケースでは、相続廃除が認められています。

相続廃除は取り消しできる

相続廃除を生前に家庭裁判所によって認められた場合でも、廃除そのものを取り消すことも可能です。廃除の取消も、生前に行える取り消しと、遺言による取り消しが可能です。
なお、遺言による相続廃除の取り消しも、遺言執行者による家庭裁判所への申立てが必要です。

相続人を廃除するために必要な遺言執行者とは

相続人を遺言書によって廃除する遺言廃除には、遺言執行者の存在が不可欠です。また、先に触れたように遺言による相続廃除の取り消しにも遺言執行者の存在が欠かせません。では、遺言執行者とは一体どのような立場の方なのでしょうか。この章では相続廃除における遺言執行者について詳細を解説します。

合わせて読みたい:遺言執行者とは?実行する内容・権限の書き方を行政書士が分かりやすく解説

遺言相続における遺言執行者の役割

相続は「遺言書」を遺すことで、被相続人となる方は相続への意思表示を死後に示すことが可能です。遺言書の中にはさまざまなことを記載できますが、遺言執行者と呼ばれる遺言手続きを進める人の存在が欠かせない場合があります。以下のケースでは、遺言執行者が必要となるためご注意ください。

  • 遺言廃除
  • 子の認知

こちらの記事もご一読ください 遺言執行者が単独で執行できる手続きとはなにか?行政書士が解説!

遺言執行者になれる人とは

遺言執行者は遺言手続きの舵取りを担う方です。では、どのような方が遺言執行者になれるのでしょうか。遺言執行者になるためのハードルは高くはなく、一部の方を覗いて誰でも遺言執行者になれます。

遺言執行者になれない方とは(民法1009条)

  • 未成年者
  • 破産者

遺言執行者は必ず必要となる相続廃除や子の認知以外でも、高額の財産を多数の相続人に分配したり、多数の不動産を相続人に登記したりするケースなどでも居た方が手続きはスムーズとなるため、遺言書内に遺言執行人を定めることもあります。

遺言執行者が相続廃除の手続きを進める流れ

遺言執行者が相続廃除の手続きを実際に進める場合には、どのような流れでしょうか。この章では実際の相続廃除手続きの流れや必要書類を紹介します。

相続廃除の手続きの流れ

1.相続開始

相続が開始され、被相続人が相続廃除する旨の遺言書が見つかったら速やかに遺言執行者が手続きを開始します。遺言執行者が遺言書にて指定されていない場合は家庭裁判所に遺言執行者の選任申立てが必要です。

 

2.家庭裁判所への申立て

遺言執行者が家庭裁判所への申立てを行います。

 

3.家庭裁判所が審判

家庭裁判所が審判を行います。相続廃除が確定したら、審判書の謄本および確定証明書が作られます。

 

4.市役所への届出

相続廃除が認められたら、被相続人の戸籍がある自治体に相続廃除の事実を届け出る必要があります。相続人の戸籍には廃除された事実が記載されます。

相続廃除の必要書類

相続廃除に必要な書類は以下です。

家庭裁判所への手続き

  • 相続廃除申立書
  • 被相続人の戸籍謄本(死亡が分かるもの)
  • 廃除を求める相続人の戸籍謄本
  • 遺言書もしくは遺言書の検認調書謄本の写し
  • 遺言執行者が家庭裁判所に選任された場合は執行者選任の審判書謄本
  • 印紙800円と指定された郵券

自治体への届出(審判の確定後10日以内)

  • 推定相続人廃除の届出
  • 家庭裁判所が作る相続廃除の事実が分かる審判書の謄本
  • 審判の確定証明書

※(被相続人の戸籍がある届け出方法は各自治体にお問い合わせください)

遺言廃除の注意点

遺言廃除を実行したい場合には、注意点もあります。以下2つの注意点を押さえておきましょう。

認められない可能性もある

遺言による相続廃除が、相続開始後に行われる手続きであり、自身の死後に始まる手続きです。遺言書にしっかりと相続廃除を希望する内容を記載しても、判断をするのは家庭裁判所のため、相続廃除が認められない可能性もあります。

手続きに詳しい遺言執行者が必要

遺言執行は相続開始後すぐに手続きを始める必要があります。また、審判の確定後には10日以内に自治体に届け出を行う必要があります。遺言執行者が指定されていないと、まずは残された家族が遺言執行者の選任手続きを家庭裁判所に対して行い必要があるためご注意ください。

また、法的知識がある方や、あらかじめ遺言執行の手続きを知っているような方でないと、手続きに困ってしまうおそれがあります。できれば遺言書には手続きに詳しい遺言執行者を指定することが望ましいでしょう。

相続廃除にお悩みの場合は生前から行政書士へご相談を

この記事では、遺言執行者が行う推定相続人の廃除について、手続きの流れや必要書類、注意点も加えながら詳しく解説を行いました。相続廃除には遺言による廃除の方法がありますが、相続廃除を求める理由をしっかりと入れた遺言書を作る必要があります。

また、できれば遺言執行者を決めておくことが望ましいでしょう。法的な知識も必要となる遺言書を作るため、まずは遺言書の専門家に相談をすることがおすすめです。お気軽に長岡行政書士事務所へご相談ください。

合わせて読みたい:遺言書を隠したり破棄した場合はどうなるの?相続欠格について行政書士が解説!

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
遺言に関するお問い合わせ

初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

ご相談はご来所のほか、Zoom等のオンラインでの相談も承っております。

お電話でのお問い合わせ

「遺言のホームページを見た」とお伝えください。

受付時間:平日9:00-21:00(土日祝予約制)
メールでのお問い合わせ

    初回相談は無料です。お気軽にご相談ください。

    お問い合わせ種別必須

    プライバシーポリシー

    長岡行政書士事務所(以下「当事務所」といいます)が運営する「横浜で遺言の遺言を専門家が支援」(以下「当サイト」といいます)は、以下のとおり個人情報保護方針を定め、個人情報保護の仕組みを構築し、全従業員に個人情報保護の重要性の認識と取組みを徹底させることにより、個人情報の保護を推進致します。なお、本プライバシーポリシーにご同意いただける場合にのみ当サイトをご利用くださるようお願いいたします。ご利用された方は、本プライバシーポリシーの条件にご同意いただいたものとして取り扱いさせていただきます。

    個人情報の管理

    当事務所は、お客さまの個人情報を正確かつ最新の状態に保ち、個人情報への不正アクセス・紛失・破損・改ざん・漏洩などを防止するため、セキュリティシステムの維持・管理体制の整備・従業員教育の徹底等の必要な措置を講じ、安全対策を実施し個人情報の厳重な管理を行ないます。

    個人情報の利用目的

    お客さまからお預かりした個人情報は、当事務所からのご連絡や業務のご案内やご質問に対する回答として電子メールや資料のご送付に利用いたします。利用目的は主に以下に定めるものに限ります。

    • 行政書士法に定められた業務及びそれに付帯する業務を行うため

    • 当サイトを通じたサービスの提供

    • 当サイトの品質向上とそれに基づくお客様の声の実施

    • その他、当事務所の業務の適切かつ円滑な遂行

    個人情報の第三者への開示・提供の禁止

    当事務所は、お客さまよりお預かりした個人情報を適切に管理し、次のいずれかに該当する場合を除き、個人情報を第三者に開示いたしません。

    1. お客さまの同意がある場合

    2. お客さまが希望されるサービスを行なうために当事務所業務を委託する業者に対して開示する場合

    3. 法令に基づき開示することが必要である場合

    個人情報の安全対策

    当事務所は、個人情報の正確性及び安全性確保のために、セキュリティに万全の対策を講じています。また、当事務所は個人情報の取扱いに関し、従業員全員に対し適切な監督をします。

    ご本人の照会

    お客さまがご本人の個人情報の照会・修正・削除などをご希望される場合には、ご本人であることを確認の上、対応させていただきます。

    法令、規範の遵守と見直し

    当事務所は、保有する個人情報に関して適用される日本の法令、その他規範を遵守するとともに、本ポリシーの内容を適宜見直し、その改善に努めます。

    個人情報保護に関するお問い合わせ

    当事務所の本プライバシーポリシー(個人情報保護指針)に関するお問い合わせ、連絡、意見などは下記までご連絡ください。

    長岡行政書士事務所 代表 長岡真也
    233-0003
    横浜市港南区港南5-1-32港南山仲ビル202
    電話 045-844-5616



    ページトップへ戻る