遺言に基づいた預貯金相続の手続き手順とポイントを行政書士が解説

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遺言に書かれていた預貯金の相続、手続き時のポイントを解説!

「遺言書で預貯金を相続した。手続きはどうすれば良い?」
「遺言執行者に指定されていた。預貯金の相続手続きがよくわからない。」
「遺言書に基づく預貯金の相続手続、準備する書類はたくさんあるの?」

 

相続においては、遺言書が作成されており、そこで預貯金を相続させる旨の記載をされていることが多くあります。

では実際に相続が開始され、遺言書の内容を実現しようとしたとき、預貯金の相続手続きはどのように行うのでしょうか。

 

今回は、遺言書で預貯金の相続が記載されていた場合の具体的な手続きについて解説したいと思います。

相談者:50代女性
私は2人兄妹の妹ですが、先日、父が亡くなりました。母はすでに他界しております。
父は公正証書遺言を作成しておりましたので内容を確認したところ、不動産を兄に相続させ、預貯金を妹である私に相続させることとなっておりました。手続きについては、不動産は兄が、預貯金は私が担当することになりましたが、どうすれば良いのか見当もつきません。
遺言書で書かれていた預貯金を相続する際の手続きについて教えていただけますか。

 

回答:長岡行政書士事務所 長岡
相続の手続きは、相続する財産によって様々なものがありますが、中でも預貯金の相続は比較的よく見られるものです。今回の相談者様の事例のように、遺言書で預貯金を相続させることはよくあることですが、実際に相続が発生したとき、相続人はどうしてよいのか分からないことも多いと思われます。預貯金の手続きは細かい点では各銀行で異なることもありますが、大枠を知り、手続きのポイントを押さえておくことで、そこまで身構えることなく手続できることも多いです。それでは、遺言書で相続した預貯金の手続きについて、ポイントを押さえつつ、くわしく解説していきましょう。
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遺言に基づいた預貯金相続の手順

遺言に基づいた預貯金相続手続きは、次の手順で進めます。

  • 事前に必要な金額を口座から引き出しておく
  • 銀行へ電話をする
  • 誰が亡くなった(被相続人)のか伝える
  • どのような相続手続きになるのかを伝える
  • 手続に必要な書類を郵送してもらう
  • 戸籍謄本などの公的書類の準備
  • 残高証明書発行依頼書の記入
  • 銀行所定の相続届出書等の記入
  • 銀行の窓口で手続き

以上をまとめると、相続発生の連絡は、「誰が亡くなり、誰が連絡しているのか」「遺言書があること」を伝えることを念頭にしておくと、話がスムーズに進みます。

その点を焦らず伝えられるよう、事前にそれらの内容を明確にしてから連絡をすると落ち着いて対応できます。

各手順の詳細は次の通りです。

事前に必要な金額を口座から引き出しておく

遺言書に基づき預貯金の相続をする場合、まずは銀行に相続が発生した旨の連絡をすることから手続きがスタートします

この連絡をすることで、被相続人が亡くなったという事実が銀行に伝わります。その結果、その口座は「凍結」され、口座からの引き落としや払い出し等、口座を通じた取引ができなくなります。

 

この際気を付けたいことは、銀行に連絡するタイミングです。

例えばご夫婦の一方が亡くなられて、生活費の口座として使用していたものを相続する場合、すぐさま連絡を入れると口座が使用できなくなり生活に困る事態になることがあります。

生活費の他にも、葬儀費用や亡くなった方の施設利用料や医療費の支払いが残っている場合などがあります。

そのような場合には、事前に必要な金額を口座から引き出しておき、その後に銀行に連絡を入れるなどの対応をとることが必要となります。

遺言書に記載されている銀行へ電話をする

電話で連絡をする際には、遺言書に記載されて相続することとなった銀行に電話で一報を入れます。

このとき、通帳に記載されている支店の電話番号にかけるのが一般的です。

支店の番号がわからない場合には、本店や本部、相続センターなど調べてわかる番号に連絡します。

口座名義人が亡くなり、相続が発生した旨を伝えると、相続担当に回してもらえます。

誰が亡くなった(被相続人)のか伝える

金融機関に相続発生の連絡をする際には、何をどう話したら良いのか不安になるかもしれません。次のポイントが分かる資料やメモ書きを用意しておくと、焦らずに対応することができます。

  • 被相続人の通帳(開設している口座の内容がわかるもの)
  • 被相続人の住所、生年月日
  • 被相続人の死亡日

電話では、被相続人の住所や生年月日、死亡日などが聞かれますので、手元の資料をもとに、質問に落ち着いて答えれば大丈夫です。

どのような相続手続きになるのかを伝える

相続には、遺言書がある場合とない場合があります。遺言書のある・なしで手続きが大きく異なりますので、この点を伝えることになります。(遺言書がない場合、一般的には「遺産分割協議書」による手続きになります。)

 

電話でこちらから伝えなくても聞かれますので、聞かれたことに答えれば大丈夫ですが、慣れないことですので、何を聞かれているのかよく分からない、ということもあるかもしれません。

 

遺言書があり、口座を解約する手続きをする、ということを頭に入れておけば大丈夫です。

 

また詳しくは後述しますが、このとき、残高証明書の発行を希望する旨も伝えておくことも大切です。

相続手続に必要な書類を郵送してもらう

以上の連絡をすると、相続に必要な書類を郵送してくれます。郵送先を聞かれますので、ご自身の住所と名前を伝えます。
概ね1~2週間ほどで書類が届きます。

電話で相続発生の連絡をした後、手続きに必要な書類が郵送で届きます。

今後の手続きは、次の2つを行うことになります。

  1. 残高証明書の発行依頼
  2. 被相続人の口座解約手続きと振込手続

これらの手続きには、銀行から送られてくる書面の提出と、相続人自身が用意する公的書類が必要です。

必要な書類は郵送されてくる冊子等で説明されていますが、分かりづらいこともあるかもしれませんので、ここでご説明いたします。

戸籍謄本などの公的書類の準備

預貯金の相続手続きに必要な公的書類は銀行により異なりますが、多くは次のような書類となります。

  1. 被相続人の戸籍謄本(死亡の記載のあるもの)
  2. (遺言執行者が指定されていない場合)預金の相続人(受遺者)の印鑑証明書
  3. (遺言執行者が指定されている場合)遺言執行者の印鑑証明書

遺言書がある場合の大きなポイントは、多くの銀行で「相続人全員の印鑑証明書は不要」であることです。

 

相続人全員の印鑑証明書が不要な場合は、例えば相続人は長男、長女、次男の3人で、遺言書で預貯金を相続することとなった相続人は長女と次男の2人だった場合、印鑑証明書は長女と次男の分で足ります。

これは、遺言書で相続する人が特定されているため、相続人全員を特定する必要がないからです。

 

また遺言で遺言執行者が指定されている場合、遺言執行者が手続きを行いますので、印鑑証明書は遺言執行者のもので足りるのが一般的です。

合わせて読みたい>>遺言執行者の権限を遺言書に明記する書き方|行政書士が分かりやすく解説!

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加えて、銀行によっては預金の相続人(受遺者)の戸籍謄本(または住民票)が必要となる場合があります。

手続きする銀行へ問い合わせるか、書類と同封されてくる説明書きを確認するようにしましょう。

残高証明書発行依頼書の記入

残高証明書は、財産目録作成や相続税の申告の際必要となります。

相続する財産全体の金額が大きくなく相続税が生じないような場合でも、被相続人の死亡時に口座の残高がいくらあったのかの証明資料となりますので、取得しておくことが大切です。

 

最初の電話連絡の際に残高証明の発行依頼もあることを伝えておくと、郵送で発行依頼書も送られてきますので、記入例を参考に記載をします。

 

残高証明書の発行依頼書を記入する際には、残高証明書で証明してもらう日付(証明日)は、被相続人の「死亡日」ですので、この点に気を付けます。

 

もし電話で残高証明書も必要なことを伝え忘れていた場合、電話をして追加で送ってもらうか、あるいは解約の手続時に窓口で依頼書をもらい、その場で記入して提出することもできます。

インターネットが使える場合は、ホームページから依頼書をプリントアウトすることができる場合もあります。
銀行により対応は異なりますので、まずは電話で連絡をすると良いでしょう。

銀行所定の相続届出書等の記入

相続に関する手続書類の名称は「相続届」「相続関係届出書」など銀行により様々ですが、ここでは仮に「相続届出書」と呼ぶこととします。

 

被相続人の預貯金を相続する手続きは、被相続人名義の預貯金口座を解約し、解約した預貯金を相続人の口座に振込みすることですが、郵送されてきたこの相続届出書に記入・押印をし、公的書類・遺言書原本と共に、銀行窓口に持参して手続きをとることになります。

 

相続届出書の記入の仕方は、郵送で見本が送られてきますのでそれを参考にします。
遺言書に基づく場合は、それほど記入は難しくありません。

 

前述した公的書類を準備しておくことで、記入はスムーズにできます。
記入の内容は銀行により異なりますが、多くは次の点を記入することになります。

 

銀行所定の相続届出書の主な記入事項

1.被相続人の情報

  • 住所
  • 生年月日
  • 死亡日

次の2または3

2.遺言執行者がいない場合

  • 預貯金を相続する人の代表者の情報(住所、連絡先)と実印
  • 預貯金の相続人(受遺者)の住所と実印

 

3.遺言執行者がいる場合
・遺言執行者の情報(住所、連絡先)と実印

 

4.解約する口座の内容

 

5.受取方法の記入

銀行の窓口で手続き

手続きに必要な書類が手元に届き記入が完了し、公的書類も準備したら、いよいよ具体的な手続きを銀行の窓口でする段取りとなります。

先述した通り、手続としては、主に下記2つを行います。

  1. 残高証明書の発行依頼
  2. 被相続人名義の口座解約と解約金の振込手続き

これらの手続きは、主に口座を開設していた支店の窓口に赴き行います。

(銀行によっては、どこの支店の窓口でも受け付けてくれます。)

また、手続き日時を予約することが必要な場合もありますので、事前に確認しておくとスムーズです。

なお、相続の担当窓口は限られますので、予約は1か月ほど先になる場合もあります。事前に予約をしておき、その間に書類の記入などをじっくり行うと、段取りよく手続きを行うことができます。

 

解約手続きを実際に窓口で行う際には、以下の書類等を持参します。

  • 準備した公的書類
  • 遺言書原本(※1)
  • 記入した相続届出書
  • 記入した残高証明発行依頼書

(※1)自筆証書遺言の場合は、検認手続きがなされている遺言書原本であることが必要です。
公正証書遺言の原本とは、「正本」と記載のあるものです。

残高証明書の発行には、手数料が発生します。金額は銀行により異なりますが、概ね1通550円~1,100円程度となります。

この手数料の支払いは、被相続人の口座に残高がある場合、そこから引落になるか、あるいは窓口で現金を支払うか、金融機関の指定する口座に振込をすることになります。

 

残高証明書の発行は、多くの銀行で依頼書を提出してから2週間程度かかります。

 

窓口での手続は、以上の書類が受理されて完了となります。実際に口座が解約され、受取指定した口座に入金となるのは、概ね2週間ほどかかります。

手続が完了すると、書面で通知が郵送されます。

預貯金の相続手続きにおける注意点

預貯金の相続手続きを進める際は、下記の点に注意してください。

  • 引き出した預貯金の履歴・使途を記録
  • ゆうちょ銀行は相続手続きが異なる

引き出した預貯金の履歴・使途を記録

ご夫婦の一方が亡くなられて、生活費の口座として使用していたものを相続する場合、事前に必要な金額を口座から引き出しておき、その後に銀行に連絡を入れることも多いです。

ただし、預貯金はあくまでも「相続財産」ですので、不明瞭な引き出しとなってしまっては、他の相続人とトラブルになることも考えられます。

 

そこで、事前に引き出をする際には、他の相続人にも情報を共有し、次の点に留意しておくことが大切です。

  • 引き出した金額の履歴を残す(通帳を記帳する)
  • 何に使ったのか、領収書などを残す

ゆうちょ銀行は相続手続きが異なる

さて、ここまで主だった銀行の手続き方法を説明しましたが、手続きする銀行が「ゆうちょ銀行」の場合、スタートとなる最初の手続きが少し異なりますのでここで説明しておきましょう。

 

一般的な銀行の場合、電話連絡からスタートすることを説明しました。

 

ゆうちょ銀行の場合、まずはどこの窓口でも大丈夫ですので、郵便局の窓口に赴き、相続が発生した旨を伝えます。そうすると、「相続確認表」という書面をもらえますので、この用紙に記入をし、窓口で提出することが必要です。

 

この用紙は、いわば一般的な銀行に電話連絡した相続発生連絡の、紙で提出バージョンのようなものになります。

 

またこの「相続確認表」はゆうちょ銀行のホームページからも印刷することができ、オンライン上で入力して提出することも可能です。パソコンやインターネットが使用できる場合は、窓口に赴く手間を省いて必要書類の送付を依頼することができます。

 

この用紙を提出すると、1~2週間で「必要書類のご案内」が郵送されてきます。記入が必要な書類も同封されていますので、これを記入し、必要な公的書類等と共に郵便局の窓口に持参することになります。

 

なお、郵便局では銀行のような窓口予約は不要です。

遺言による預貯金相続は書類を整えていけば安心

相続手続は普段の生活では関わりのないものですから、手続きをしなければならなくなったときには、何から手を付けるべきなのかわからず、負担に感じてしまうこともあるかもしれません。

けれども遺言書がある場合は、手続きはそこまで複雑ではありません。

 

大まかには、預貯金を相続することになった相続人の印鑑証明書と、亡くなった方の戸籍謄本を準備し、銀行からもらう書類に記入をして提出をする流れとなります。

 

遺言書による相続手続が発生した際には、今回の記事を参考に、不安は持たず落ち着いて対応して頂ければと思います。

 

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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