遺言の「撤回の撤回」は認められる?効力やトラブルを避ける方法を行政書士が解説!

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遺言の「撤回の撤回」は認められるのか?

 

「遺言を撤回してなかったことにしたい。」
「一度書いた遺言を撤回して書き直したい。」
「一度遺言を撤回したけれど、その遺言を撤回してもとの遺言を有効にしたい。」

 

遺言を一度書いた場合でも、状況が変化したり考え直したりして、内容を書き換える必要がでてきたり、熟考したいために一度なかったことする必要がでてくることがあります。

 

そのような場合、一度書いた遺言を撤回することが考えられます。

 

またさらには、一度撤回したけれども、やはり最初の遺言通りにしたいために、撤回したことを撤回したい、つまり遺言の「撤回の撤回」という場合もあるかもしれません。

 

今回は、遺言の撤回、特に「撤回したことを撤回すること」について解説していきたいと思います。

ご相談事例

ご相談者様:60代女性

私の夫はすでに亡くなっており、現在自宅を引き継ぎ、一人暮らしをしています。
息子と娘が一人ずついて、それぞれ結婚して独立しています。

 

以前、自身の預貯金については娘に相続させる遺言を作成しましたが、娘の配偶者が相続によりそれなりの金銭を受け取ったため、

遺言を撤回して、預貯金は息子に相続させる遺言を新たに作成しました。

 

しかし、娘の家庭では教育費が多額にかかっていることもあり、後で書いた遺言を撤回して、もとの遺言を有効にしたいと思うのですが、このようなことは可能なのでしょうか。

回答:長岡行政書士事務所 長岡

今回のご相談者様の事例は、最初に書いた遺言を撤回して新たに遺言を作成し、さらにその撤回した遺言を撤回して、もとの遺言を復活させて有効にしたい、というご相談です。

 

遺言の「撤回の撤回」ということになりますが、結論から申し上げると、

ご相談者様の条件においては「撤回の撤回」をしただけでは最初の遺言は復活して有効にならないため、

撤回した二度目の遺言を撤回してから、さらに新たに遺言を作成する必要があります。

 

それでは、今回は遺言の「撤回の撤回」についてくわしく解説したいと思います。

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遺言の撤回は認められている

かつてした遺言の撤回をさらに撤回して、もともとの遺言を復活させることができるのかについて説明する前に、まず、遺言の撤回についておさらいをしておきましょう。

 

遺言の内容は自由に書くことができますから、一度書いた遺言でも、部分的に書き直したり全部を撤回することが可能です。

 

(参考条文)民法1022条
「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。」

 

したがって今回のご相談者様の場合、最初に書いた「娘に預貯金を相続させる」遺言を撤回し、新たに「息子に預貯金を相続させる」とする遺言を作成したことは有効な法律行為で、ご相談時点では、息子さんに預貯金を相続させる遺言の内容となっています。

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遺言の「撤回の撤回」はできない

では、ご相談内容である「撤回後に作成した遺言をさらに撤回した」場合、どうなるのでしょうか。

撤回した遺言をさらに撤回した場合、最初の撤回はなかったことになり、一番最初の遺言が有効になるのでしょうか。

この点、「撤回の撤回」については、民法1025条で規定されていますので、以下でくわしく説明をしていきましょう。

 

遺言の撤回の根拠条文である民法1025条の規定は次のような内容です。

 

参考条文(民法1025条)
「前三条の規定(※1)により撤回された遺言は、その撤回行為が、撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至ったときであっても、その効力を回復しない。ただし、その行為が詐欺又は脅迫による場合は、この限りではない」

 

この条文では、「撤回された遺言」について、その撤回行為をさらに撤回や取消しをしても、「その効力を回復しない」としていますので、つまり原則として、最初の遺言は復活しない、ということを定めています。

 (※1)前三条の規定
1022条 遺言の撤回の規定
1023条 前の遺言と後の遺言の抵触の規定→抵触した部分につい前の遺言が撤回されたとみなされます。
1024条 遺言書又は遺贈の目的物の廃棄→遺言が撤回されたとみなされます。

遺言の「撤回の撤回」の具体例

話がややこしくて分かりづらいので、例を挙げてみてみましょう。

  •  遺言の撤回の撤回をしたけれど問題ない記載内容
  • 遺言の撤回の撤回で問題がある記載内容

遺言の撤回の撤回をしたけれど問題ない記載内容

【第1遺言】和2年11月1日作成
「自宅不動産を長男Aに相続させる。」

【第2遺言】令和3年11月1日作成
「令和2年11月1日に作成した遺言の全部を撤回する。自宅不動産は次男Bに相続させる。」

 

このような遺言がある場合において、第3遺言で第2遺言が撤回された場合、第1遺言が復活するのかどうか、というのが遺言の「撤回の撤回」問題です。

【第3遺言その①】令和4年11月1日作成
「令和3年3月11日に作成した遺言の全部を撤回する。自宅不動産は長女Cに相続させる」

 

第3遺言がこのような内容の場合、『自宅不動産は長女Cに相続させる』の文言があることから、撤回の問題ではなく新たな遺言が作成されたことになりますので、第1遺言が復活するかどうかの問題にはなりません。

遺言の撤回の撤回で問題のある記載内容

では、次のようなパターンはどうでしょうか。

 

【第3遺言その②】令和年11月1日作成
「令和3年3月11日に作成した遺言の全部を撤回する」とだけ書かれていた場合

 

このように遺言には『撤回する』とだけ書かれていた場合は、今回のご相談者様の事例にあてはまります。

「第1遺言を撤回する第2遺言をさらに撤回したのだから、元に戻って第1遺言が復活するのか」という、遺言の「撤回の撤回」問題となります。

 

遺言の「撤回の撤回」については前述した民法1025条で定められていますから、撤回した遺言のさらなる撤回は「その効力を回復しない」とされます。

したがって、単に「第2遺言を撤回する」と記載した遺言の内容では、最初の遺言は原則復活しないと考えられます。

遺言撤回における「詐欺・脅迫の場合」とは(民法1025条但書)

遺言の「撤回の撤回」では「原則」最初の遺言は復活しない、と説明しましたが、ここで「原則」と表現したのは、「例外」の場合があるからです。

この例外については、民法1025条の但書の部分で定められています。

 

但書箇所をもう一度みてみましょう。

「ただし、その行為が詐欺又は脅迫による場合は、この限りではない」(民法1025条但書)

つまり、第2遺言で第1遺言を撤回したのが詐欺や脅迫による場合は、第3遺言で「第2遺言を撤回する」としただけでも、第1遺言が回復する場合がある、ということです。

 

例えば前述した事例でいうと、第1遺言で不動産が長男に渡ることを良く思わなかった次男に、脅されたり騙されたりして第2遺言を作成してしまった場合、それらを理由に第2遺言を取消した場合は、最初の第1遺言が復活すると考えられるのです。

遺言の「撤回の撤回」では最初の遺言は有効にならない

一度作成した遺言を書き直したり撤回することは法律で認められています。

 

しかし、一度撤回した遺言をもう一度撤回しても、撤回しただけでは最初の遺言が復活して有効になることは、通常はありません。

 

遺言は自分自身の最後の意思を示す大切なものですから、多少手間はかかったとしても、伝えたい内容をはっきりと明確に記した内容の遺言を新たに作成し、残された人たちの相続がスムーズに執り行われるよう配慮することが大切です。

 

長岡行政書士事務所では、遺言書の作成に親身・丁寧な対応を心がけておりますので、遺言について分からないことやお悩みがある場合には、ぜひお気軽にご相談ください。

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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