遺言書はパソコンで書ける?有効な例・無効な例を行政書士が解説!

記事更新日:

自筆証書遺言を作成する際はパソコンを使用できるのか?

「遺言書を書きたいけど、パソコンは使っていい?」

上記のような疑問や悩みを抱えている人がいるのではないでしょうか。

遺言書は、3つの種類(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)があります。実はこれら種類によって、パソコンを使っても有効な場合もあれば、パソコンを使うと無効になってしまうこともあるため、注意しなければなりません。

そこで今回は、横浜市で遺言書作成をサポートしている行政書士として、遺言書作成にパソコンを使用できる例・できない例を紹介します。

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パソコンを使うと無効になる遺言

相談者様:60代男性

こんにちは。実は先日60歳になりました。

なるべく元気なうちに自筆証書遺言を作成しようと思っていますが、作成の際にパソコンを使用することは可能なのでしょうか?

 

回答:長岡行政書士事務所

こんにちは。この度はご相談ありがとうございます。

結論から申し上げますと、自筆証書遺言はパソコンで作成することができません。自筆証書遺言は、遺言者本人が手書きで作成しなければならないのです。

以下の民法968条で定められています。

 

(民法第968条)自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

出典:e-Govポータル

上記の法律により、自筆証書遺言については遺言者本人が遺言書を手書きで書く必要があります。

パソコンを使うと、無効になってしまうということです。

合わせて読みたい>>自筆証書遺言書の正しい書き方|失敗例から注意点を学ぼう!

自筆証書遺言書の正しい書き方|失敗例から注意点を学ぼう!

ただし、自筆証書遺言に添付する財産目録に関してはパソコンでの作成が認められています。※手書き以外で作成した財産目録は、すべてのページに署名捺印が必要など、いくつかルールがあるため注意しなければなりません。

なお、過去にあった自筆証書遺言の実例で、実際に検認をし、封を開封し中身を見てみると、なんと本文が全文PCで作成しているものがありました。

名前の部分だけ自署しておりましたが、衝撃を受けました。

おそらく、ご本人が専門家に相談せずに作成したものと思われます。

遺言書自体は当然無効なわけですが、実際の遺産分割はその遺言書の趣旨に沿って進められて事なきを得ました。

もちろん、このような良い方向性で終わらないケースもありますので、

作成の際は専門家に相談されていただければと思います。

横浜市の長岡行政書士事務所でも、遺言書作成をサポートしておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。初回相談は無料です。

パソコンを使っても有効な遺言書

回答:長岡行政書士事務所

他にパソコンで作成できるものとして、秘密証書遺言があります。秘密証書遺言は、遺言者本人が手書きで作成しなくても問題ありません。さらに、本人以外が遺言書を作成しても構いません

秘密証書遺言は、民法で以下のように定められています。

 

(民法第970条)秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
1 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
2 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
出典:e-Govポータル

秘密証書遺言は、本人が署名押印する必要はありますが、本文は自筆ではなくパソコンで作成してもいいですし、他人がその部分だけ書いても大丈夫な遺言書です。

遺言書に署名・押印したら、封入・封印をして、公証役場へ提出します。

なお、公証役場とは、公証人が職務を行う場所です。そして公証人とは、法律に関する文書に、公的な認証を与える人です。

関連記事:遺言作成を依頼できる「公証人」とは?依頼できること・できないことを行政書士が解説!

パソコンを使っても有効となると、秘密証書遺言は一見、便利なように思えます。

しかし、公証役場で手続きするのであれば、専門家に遺言内容を確認してもらえて、なおかつ偽造・変造のおそれがない「公正証書遺言」を作ったほうが安心です。

関連記事:公正証書遺言とは?要件や注意点・メリット・デメリットを行政書士が分かりやすく解説!

このため実務的には、秘密証書遺言はあまり利用されていなく、長岡行政書士事務所でも一度も取り扱いがありません。(長岡行政書士事務所でサポートする事例は、ほとんどが公正証書遺言の作成です)

パソコンではなく、行政書士に遺言書を作成してもらったほうが安心

遺言書作成にパソコンを使えるのか、という疑問に対する答えをまとめます。

  • 秘密証書遺言は、パソコンで作っても有効。ただし秘密証書遺言を作るなら、おなじく公証役場で手続する「公正証書遺言」を作ったほうが安心
  • 自筆証書遺言は、財産目録のみパソコンで作ってもいい。本文は自筆する必要がある。さらに手書き以外で作成した財産目録は、すべてのページに署名捺印が必要など、いくつかルールがあるため要注意

結論としては、法律の専門家ではない方が遺言書をパソコンで作るのは、リスクが高いと言わざる得ません。

遺言書が無効になるリスクを取るくらいなら、パソコンではなく、行政書士に遺言書を作成してもらったほうが安心いただけるのではないでしょうか。

横浜市の長岡行政書士事務所は遺言書の作成や相続に関する相談や依頼を受けており、柔軟に対応できます。ご相談者様との打ち合わせの際には、状況や意向を確認した上で最適なプランを提案します。

また、ご依頼者様に代わり、手続きを進めることも可能です。遺言や相続に関する問題を抱えている人は、一度長岡行政書士事務所へご相談ください。初回相談は無料です。

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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