2018年(平成30年)の遺言・相続の法改正!施行によるの各制度の取り扱いについて解説

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遺言の法改正による施行日前後の各制度ごとの取り扱いについて

 

「遺言や相続について、法律はどのようなものがあるの?」
「遺言を書こうと思うけれど、注意点はあるの?」
「遺言や相続の分野で近年法改正があったらしいけれど、どのような内容なのか?」

 

遺言を作成するときや相続が発生したとき、それらの内容や手続きなどは、法律の定めに従って行うことになります。

法律に反したり、法律を無視した内容や手続きで行った場合は、それらの行為は無効となりますので、「法律ではどのように定められているのか」を知っておくことが必要となります。

 

また、法律は一度定められたらずっとそのままとは限りません。
時代の変化に伴った見直しが図られ、内容が改正される場合があります。

 

したがって、「今現在の法律はどうなっているのか」を知ったうえで遺言や相続の手続きをすることが大切になってきます。

この点、近年では2018年(平成30年)7月6日、約40年ぶりに相続法の分野で大きな法改正がありましたので、今回は、この法改正についてまとめた内容を解説したいと思います。

昔知った古い知識で遺言を書かないよう、ぜひ最後までご覧ください。

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2018年(平成30年)遺言・相続における主な法改正の内容

2018年の法改正では様々な内容について改正があり、本コラムでも今までに、遺言・相続に係る制度の改正について、いくつか取り上げてきました。

それぞれの改正については、いつから実施するのか施行日が異なるものもあり、施行日前後で取り扱いも異なってきます。

今回は、各制度の改正について、それぞれの概要と、施行日前後の取り扱いの違いをそれぞれまとめていきたいと思います。

まず、遺言・相続に関する法改正について、本コラムで触れた主な制度等には以下のものがあります。

 

  1. 配偶者居住権の創設
  2. 自筆証書遺言の方式緩和と保管制度
  3. 遺留分制度の見直し
  4. 相続させる旨の遺言と対抗要件
  5. 遺言執行者の権限強化

 

今回の改正法が成立したのは2018年7月6日ですが、成立日と実際の施行日は異なります。
上記の制度のそれぞれの施行日は次の通りです。

前述した主な制度について、施行日は以下の通りです。

施 行 日制 度 の 内 容
2019年(平成31年)1月13日2自筆証書遺言の保管制度
2019年(令和元年)7月1日1配偶者居住権  3遺留分制度の見直し

4相続させる旨の遺言と対抗要件

5遺言執行者の権限強化

2020年(令和2年)7月10日2自筆証書遺言の方式緩和

法律の成立は2018年7月6日ですが、制度によって施行日が異なることが分かります。

なお、改正法の成立日とは、改正法の内容について審議を経た後、国会で採決されて成立した当日のことをいい、施行日とは、成立した法律の効力が発生する最初の日のことです。

そこで、それぞれの制度と施行日前後の取扱いについて、事項以降でくわしく説明していきたいと思います。

配偶者居住権の新設

配偶者居住権は、2018年(平成30年)の法改正によって新設された制度です。

 

【概要】
被相続人の配偶者が相続開始時に居住していた被相続人の所有建物を対象として、終身又は一定期間、
配偶者にその使用を認める権利。

 

【施行期日】
2020年4月1日

 

【期日前後の取扱い】
2020年4月1日以降に亡くなられた方の相続から配偶者居住権の設定ができます。

・遺産分割協議による場合→亡くなった日が2020年3月以前の場合、遺産分割協議が
2020年4月1日以降であっても配偶者居住権は設定できません。

・遺言で遺贈する場合→2020年4月1日以降に作成された遺言であることが必要です。

自筆証書遺言の方式緩和と保管制度

自筆証書遺言については、法改正により方式の緩和がされ、さらに新たな保管制度が創設されましたので、双方について説明しましょう。

自筆証書遺言の方式緩和

自筆証書遺言では、遺言者自身が遺言の全文及び日付・氏名を「自書する」ことが必要とされています。

「自書」とは自分自身の手で書くことですので、パソコン等で作成することはできません。

また、自書すべき対象は、遺言自体と遺言に添付する財産目録も含まれましたので、財産の一覧表をパソコンで作成したり、通帳のコピーを使用することは認められず、それらについても自書することが必要とされていました。

しかしこの遺言の財産目録について、以下のように一部方式が緩和されました。

【概要】
自筆証書遺言の財産目録については自書ではないもの(パソコンで作成したもの、通帳のコピー等)を認める。ただし、財産目録の各頁に署名押印する必要がある。

 

【施行期日】
2019年1月13日

 

【期日前後の取扱い】
2019年1月13日以降開始された相続ではなく、施行日以降に作成された自筆証書遺言について効力をもちます。

相続開始が施行日以降でも、遺言の作成が施行日以前であれば、改正法の適用を受けませんので注意が必要です。

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自筆証書遺言の保管制度

自筆証書遺言の保管は、遺言者自身が自宅で保管するものとされていました。

これに対して公正証書遺言は公証役場で保管されます。

自筆証書遺言は公正証書遺言に比べると、保管という点からも、紛失や盗難、偽造や発見されない、というリスクがありました。

 

この点について、自筆証書遺言の保管制度が、法改正により創設されました。

 

【概要】
自筆証書遺言を法務局で保管する公的な保管制度で、作成した本人が遺言書保管所に来所し、申請手続きを行います。
遺言者の死亡後は、全国にある遺言書保管所において、遺言書が保管されているかどうかを調べることができ、遺言書を閲覧することもできます。
保管制度を利用している遺言書については、家庭裁判所の検認が不要となります。

 

【施行期日】
2020年7月10日

 

【期日前後の取扱い】
2020年7月10日以降に法務局に保管を申請された遺言が対象となります。
遺言書の作成日などとは関係なく、施行期日以降であれば遺言書の保管の申請を法務局にすることができますので、施行期日以前に作成され自宅で保管されていた遺言でも、申請することが可能です。

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遺留分制度

遺言では、遺言者が自分の財産の処分について自由に内容を書くことができますが、その一方で一部の法定相続人には「遺留分」の制度が定められており、最低限度の財産を受け取る権利が認められています。

 

遺言の内容がこの「遺留分」を侵害する場合、遺留分を侵害されている者は、遺留分を侵害している者に対して、自身の遺留分の権利を守るための請求をすることができますが、この請求権の内容が法改正により見直されました。

 

【概要】
・「遺留分減殺請求権」から「遺留分侵害額請求権」へ改正されました。
・改正前の「遺留分減殺請求権」は「自分の持ち分の相続財産」を請求する権利で、請求という一方的な意思表示により、相続財産に対して共有持分を持つことになりました。
・改正後の「遺留分侵害請求権」は、遺留分に相当する「金銭の支払い」を「請求する」ことができる権利です。遺留分減殺請求と異なり、請求することでそのものを共有することにはなりません。

 

【施行期日】
2019年7月1日

 

【期日前後の取扱い】
・「遺留分侵害請求権」は、2019年7月1日以降に発生した相続(=被相続人が亡くなった日が2019年7月1日以降)が対象となります。
・例えば、遺留分を侵害する生前贈与が施行日前に行われていたとしても、相続の開始が施行日以降であれば、改正後の「遺留分侵害請求権」の対象となります。
・2019年6月30日までに発生した相続については「遺留分減殺請求権」が適用されますので、過去にさかのぼって遺留分請求を行う場合には、改正前の「遺留分減殺請求権」の対象となります。

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相続させる旨の遺言

遺言の定め方として、特定の相続人に対し、特定の財産を「相続させる」とするものがあります。

一般的には「相続させる旨の遺言」とよばれています。

この「特定の相続人に対し特定の財産を相続させる遺言」が、法改正により「特定財産継承遺言」として規定されました。

 

【概要】
・相続させる旨の遺言により承継された財産について、法改正前では、登記がなくても第三者に対抗できるとされていました。
・法改正後の特定財産継承遺言では、法定相続分を超える部分の承継については、登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗できないこととなりました。

 

【施行期日】
2019年7月1日

 

【期日前後の取扱い】
2019年7月1日以降に開始した相続が対象となります。
遺言が施行期日前に作成されたものであっても、相続開始が施行日以降であれば、改正後の規定が適用されます。
従って、施行期日以降の相続で特定財産承継遺言により不動産を取得した場合は、すみやかに登記をする必要があります。

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遺言執行者の権限

遺言執行者とは、被相続人が残した遺言の内容を実現するために、遺言に基づき各種の相続手続きを進める人のことをいいます。

 

法改正前では、遺言執行者は「相続人の代理人」とみなされていましたが、法改正により、遺言執行者に「遺言の内容を実現するために相続財産の管理その他の遺言執行に必要な一切の行為」ができるという遺言執行者の権利義務が明確に認められました。

 

【概要】
≪任務開始の通知義務≫
・遺言執行者が遺言の執行を開始した場合、相続人に対する任務開始の通知義務があります。

 

≪特定財産継承遺言に関する権利≫
・特定財産承継遺言があった場合、遺言執行者が相続登記の申請をすることができるようになりました。
・特定財産承継遺言に記載されている財産が預貯金の場合には、解約や払い戻しが法律上当然できるようになりました。

 

≪復任権≫
・遺言者は、遺言書で禁止されていない限り、自己の責任で第三者に任務を任せることができるようになりました。

 

【施行期日】
2019年7月1日

 

【期日前後の取扱い】
≪任務開始の通知義務≫
施行日前に相続を開始した場合でも、施行日後に執行者となるときは適用されます。
施行前に執行者に就任した場合通知義務は課されませんが、施行後に就任した場合には必ず相続人に通知することが必要となります。

 

≪特定財産継承遺言に関する権利≫
施行前に作成された遺言には適用されず、施行後に作成された遺言に適用されます。
施行前の「相続させる旨の遺言」の場合、相続人が登記等の申請をしなければなりません。
施行後の特定財産継承遺言の場合には、遺言執行者は相続登記を申請することができます。

 

≪復任権≫
施行日前に作成された遺言の執行者には適用されません。遺言の作成が施行日以後の場合のみ適用されます。

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遺言・相続にまつわる法改正の施行時期は必ず確認

以上のように、2018年の相続法の改正で遺言や相続に関する規定が一部変わり、これまで面倒だった手続きや不明瞭だった仕組みなどについて改善が図られました。

しかし改正法の適用については、その制度ごとに時期が異なっています。

 

新しい制度の運用にあたっては、各制度についてその適用関係をしっかり把握しなければ、思わぬトラブルを招くことも予想されます。

 

改正前後の法適用について分からない点や疑問がある方は、遺言や相続にくわしい行政書士などの専門家に相談することをおすすめいたします。

ぜひ、長岡行政書士事務所へご連絡ください。

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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