公正証書遺言作成のポイント!遺言関連法改正5種類を行政書士と確認  

記事更新日:

事件簿シリーズ⑯ 続 公正証書遺言作成のポイント!ひまり、遺言関連法改正を確認

「法改正があったなら、どのような背景で何が変わったの」

「その改正がどう私に影響してくるのか、わかりやすく知りたいな」

「遺言書を作成するうえで関連法改正を知っておきたい」

 

相続を考えた時、遺言関連の法改正は気になりますよね。

黙っていれば誰かが教えてくれるわけではないので、常にアンテナを張り巡らせておく必要があります。特にひまりたちの様な行政書士事務所は専門家としてアドバイスを求められることもしばしばなので、なおさら気が抜けませんね。

 

おやおや・・・ちょうど今、法改正に関する調査をしているようですよ。

 

遺言のご相談
LINE導線
お問い合わせフォーム
受付時間:平日9時-21時(土日祝予約制)メール・LINEは24時間受付
対応エリア:横浜市・神奈川県全域・東京23区

遺言関連法改正の中身

人を教えるという事は大変なのね・・・と珍しくシリアスに考えるひまり、視線の先にはつい先日入所した新人、マキの姿がある。

性格もいいし、触れ込み通り確かに経験者ではあるのだが、だが、何か違うのよねえ・・・とひとりごちるひまり。

うまく言えないが、浮世離れしてるというか。

 

マキ:「ひより先輩、どうしたんですか遠くをみて。何か視えるんですか」

 

ひまり:「私はひまりね、マキさん。ひよりだと別の意味になっちゃうから」

 

マキ:「すいませんー。私前からものを覚えるの苦手で。寝るとすぐ忘れちゃうんです」

 

ひまり:「そのうち3歩歩くと忘れちゃうかもね。さ、仕事仕事!」

 

今頃ヨーコさんはハニムーンとやらでハワイだろうか、裏切り者め。

意外とオニもいなければいないで寂しいものね・・・と思いながらマキの焼いてくれたパウンドケーキをほおばるひまりであった。

これはこれで金欠のひまりの貴重な栄養源なので、あまりマキに強く言えないのである。

 

今日は長岡先生から最近の遺言関連の法改正を調べておくようにと言われるんだっけ。

マキと一緒にやりますか。

 

本日説明する遺言法改正点は下記5点です。

  • 法改正①特定財産承継遺言
  • 法改正②遺留分減殺請求権
  • 法改正③自筆証書遺言の方式緩和
  • 法改正④自筆証書遺言の保管
  • 法改正⑤配偶者居住権

では見ていきましょう。

 

遺言法改正①特定財産承継遺言

マキ:「ひより先輩、えーと、特定財産承継遺言に関してまとめてるんですけど、もともと特定の人に特定の財産を遺す遺言は存在して、それを改めて2019年7月1日に施行された改正民法から「特定財産承継遺言」と呼ぶことになったのですよね。呼び方以外に何が変わったのでしょうか」

 

ひまり:「ひまりね、マキさん。呼び方の変更と同時に、この「特定財産承継遺言」の法的効力について変更がなされました。それまでは、この「相続させる」遺言があった場合、相続発生と同時に財産の所有権がその指定された相続人に当然に移転するとされていました。その場合どんな問題が生じると思いますか?」

 

マキ:「登記ですね! 所有権がすぐに相続人に移転してたとしても、外から見ている第三者はわかりません。でもこれだと、第三者は相続人に権利を主張できず不公平ですよね」

 

ひまり:「そうね。 そこで今回の改正において、「特定財産承継遺言」があっても、法定相続分を超える財産については登記・登録等がなければ対抗できないということになったんです。なので、遺言又は遺産分割により遺産を取得した相続人、特に不動産を相続した人は、速やかに相続登記をすべきということになりますね」

 

この記事を詳しく読みたい方はこちら:今更聞けない!特定財産承継遺言とは何か?旧法と現行法の違いも解説!

遺言法改正②遺留分侵害額請求

ひまり:「遺留分侵害額請求に関する法改正もあって、それが2019年7月1日から施行されたんだけど調べました?」

 

マキ:「忘れてました!」

 

ひまり:「・・・ダメじゃない。いい、遺留分とは、一定の相続人(遺留分権利者)について、被相続人(亡くなった人)の財産から法律上取得することが保障されている最低限の取り分のことです。例えば被相続人が財産を遺留分権利者以外に贈与又は遺贈したことで相続人が遺留分に相当する財産を受け取ることができなかった場合、遺留分権利者は、贈与又は遺贈を受けた者に対し、遺留分を侵害されたとして、その侵害額に相当する金銭の支払いを請求することできるんですよ」

 

マキ:「んー、つまり、法律上もらえるはずだったのに遺言でもらえなかった人は、もらった人から私の権利分は返せとお金で請求できる、ってことですか」

 

遺留分減殺請求権と遺留分減殺請求権の違い

ひまり:「・・・簡単な言葉で言うのうまいわね。じゃ、遺留分という考え方が理解できたところで、遺留分減殺請求権と遺留分侵害請求権の違いを教えるわね」

 

マキ:「なんですか、その物騒な感じの言葉は」

 

ひまり:「おだまりなさい。遺留分減殺請求は法改正以前の制度、遺留分侵害額請求権は新制度、です。どちらも遺留分を侵害された人が贈与や遺贈を受けた人に請求できるという点では同じですが、旧法下では贈与や遺贈を受けた財産そのものを返還するという「現物返還」が原則で金銭での支払いは例外という位置づけでしたが、改正後は金銭請求に一本化されました」

 

マキ:「そっか、不動産の一部分だけ返すのも難しいけど、金銭がOKであれば、相続で受け継いだ不動産はそのままで遺留分は現金を用意して支払いに充てる、ってこともできますものね」

 

ひまり:「そうそう、で、遺留分侵害額請求を受けた人が金銭を直ちに準備することができない場合には、裁判所に対し支払期限の猶予を求めることができるようになりました。これも法改正前にはなかった新しい制度です。最後に、遺留分侵害額を請求できるのは被相続人とどんな関係にある相続人でしょうか?」

 

マキ:「はい、以下の人たちです」

遺留分減殺請求権の請求権者

  • 配偶者
  • 子及びその代襲者、再代襲者
  • 直系尊属(父母、祖父母など)

 

マキ:「兄弟姉妹及びその代襲者には、遺留分はありませんよ。ひっかけ問題ですね!」

 

ひまり:「別にひっかけようとはしてないんだけどね・・・」

 

この記事を詳しく読みたい方はこちら:遺留分とは何か?遺留分の割合と遺留分侵害請求について解説!

遺言法改正③自筆証書遺言の方式緩和

マキ:「でも、自筆証書遺言の方式が緩和されたのは調べておきましたよ!」

 

ひまり:「あら、すごいじゃない」

 

マキ;「へへ、私は褒められて伸びる子なんです!」

 

ひまり:「・・・なんか数年前に同じセリフを口にした子がいたような。まあいいわ、で、具体的にどう緩和されたの?」

 

マキ:「はい、以前は自筆証書遺言を作成する場合には全文自書する必要がありました。添付される財産目録も全文自書です。これは結構大変で自筆証書遺言を作成する際に大きな障害となっていました。2019年1月13日の施行後は遺言書自体は自筆が要件のままですが、財産目録に関しては自筆でなくてもよくなりました。つまり、パソコンで目録を作成したり、通帳のコピーを添付することも可能になったんです」

 

ひまり:「そうですね、財産目録を全部手書きってのはちょっときついもんね」

 

マキ:「うちのおじいちゃんは手が腱鞘炎になったって言ってましたよ、書くものが多すぎて」

 

ひまり:「・・・そう。財産目録は手書きじゃなくていいけど、各ページに署名押印するのも忘れないでね」

 

この記事を詳しく読みたい方はこちら:行政書士が解説!自筆証書遺言を作成する際はパソコンを使用できるのか?

遺言法改正④自筆証書遺言の保管

マキ:「ついでというか、自筆証書遺言つながりでその保管に関しても改正があったのを調べておきました!」

 

ひまり:「うんうん、そうそう、やっぱり新人はこれね。言われる前にやる。私が入所したての時はそれはもう鬼のような・・・」

 

マキ:「すいません、続けていいですか? 2020年7月20日に施行されたのですが、具体的には法務局で自筆証書遺言の保管をしてくれる、という制度です」

 

ひまり:「それのどこがメリットなの?」

 

マキ:「はい、メリットとしてはまずは遺言書がなくなったり、相続人が遺言書を発見できない事態を回避できることが挙げられます。また、遺言書が生前に発見されて相続人に内容がばれてしまうリスクも避けられます。もう一つ付け加えると自筆証書遺言だけど家庭裁判所の検認手続きが不要になります。デメリットとしては保管してくれるようになっても遺言書の内容や書き方、形式はチェックしてくれないので、最悪遺言書が無効になってしまう可能性がある、ということでしょうか」

 

ひまり:「そのとおりですね。ところで、検認ってなんだっけ?」

 

マキ:「相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。 遺言の有効・無効を判断する手続ではありません」

 

ひまり:「正解。私も検認の定義を壁に向かって暗唱させられたなあ・・・」

 

マキ:「いつの時代ですか!?」

 

ひまり:「ついこの前まではうちの事務所は軍隊式だったの」

 

この記事を詳しく読みたい方はこちら:自筆証書遺言の保管方法を行政書士が解説!

遺言法改正⑤配偶者居住権

ひまり:「じゃ、最後、配偶者居住権に関しては調べました?」

 

マキ:「まだです!」

 

ひまり:「んー、そうか。じゃ、一緒にやりましょう。配偶者居住権とは、亡くなった人が所有していた建物に、亡くなった人の配偶者が住み続けられる権利です。ポイントとしては建物を所有しているのは別の人、という事が挙げられます」

 

マキ:「どういうことでしょうか? 別の人?」

 

ひまり:「例えば、配偶者居住権を活用すると、夫を亡くした妻は自宅に住み続ける権利を手に入れ、息子は配偶者居住権の負担のついた自宅の所有権を手に入れることができます。この制度自体は2020年4月1日に施行された改正民法によって新設されましたんだけど、これまでは亡くなった人が所有していた家に配偶者が住み続ける従来の方法は、主に以下の3つでした」

 

  • 配偶者が家の所有権を相続する
  • 家を相続した人から配偶者が無償で借りる(使用貸借)
  • 家を相続した人から配偶者が有償で借りる(賃貸借)

 

ひまり:「例えば最初の配偶者が家の所有家を相続する場合だけど、家が相続財産のほとんどを占めているような場合は他の相続人が相続できなくなってしまいますよね。そうするとバランスをとるために配偶者が預貯金をあきらめざるを得なくなって生活費に困る事態になったりするかもしれません」

 

マキ;「なるほどです」

 

ひまり:「次の無償で借りる場合は、家を相続した人が不動産を売却したら使用借権だと第三者に対抗できないんです。もし新しい所有者に退去を求められた場合、配偶者は退去を迫られてしまいます。最後の賃借権だと住居を安定させることができますが、毎月賃料の支払いが発生するのが難点ですよね。多くの場合亡くなった人の配偶者は高齢なので、お金の管理も難しいかもしれないし、これまで住んでいた家に対して家賃払うことに抵抗がある方もいるでしょうし」

 

マキ:「そっか! だからさっき先輩は建物の所有をしているのは別の人、と言ったんですね。つまり、家は別の相続人のものになっても配偶者は無償で今まで通り家に住み続けることができれば負担は少ないだろうし、そうなれば家以外の遺産、例えば預貯金を配偶者が相続すれば当面の生活費も安定しますものね」

 

ひまり:「その通り。高齢化社会に対応した法改正と言えるわね」

 

マキ:「よくわかりました! ありがとうございます、ひより先輩」

 

ひまり;「ひまりです。ちょっと給湯室来なさい」

 

この記事を詳しく読みたい方はこちら:行政書士が解説!法改正で新設された配偶者居住権とはなにか

遺言法改正の5種類総まとめ

マキがひまりに怒られたところで本日の総まとめです。

本日説明した遺言法改正5種類は以下の通りです。

使いやすくなったとも思いますし、実体に即して法改正があったものといえます。

遺留分侵害額請求権なんかは、金銭的な権利となったのは相続遺言実務でも大きく、不動産も無意味に共有にならず済みました。

 

遺言法改正に不明な点があれば長岡行政書士事務所まで

いかがでしたでしょうか。本文にあるとおり、様々な法改正により法の方から実際の社会に寄り添う変化をしようとしてる気がしませんか?

 

ぜひこれら法改正を有効に活用し、より実りの多い相続を目指しましょう。

 

もしご不明点や質問等がございましたら是非長岡行政書士事務所にお問い合わせください。

経験豊富なスタッフがお話をうかがわせていただきます。

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
遺言に関するお問い合わせ

初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

ご相談はご来所のほか、Zoom等のオンラインでの相談も承っております。

お電話でのお問い合わせ

「遺言のホームページを見た」とお伝えください。

受付時間:平日9:00-21:00(土日祝予約制)
メールでのお問い合わせ

    初回相談は無料です。お気軽にご相談ください。ホームページからのご相談は24時間受け付けております。

    お問い合わせ種別必須

    プライバシーポリシー

    長岡行政書士事務所(以下「当事務所」といいます)が運営する「横浜で遺言の遺言を専門家が支援」(以下「当サイト」といいます)は、以下のとおり個人情報保護方針を定め、個人情報保護の仕組みを構築し、全従業員に個人情報保護の重要性の認識と取組みを徹底させることにより、個人情報の保護を推進致します。なお、本プライバシーポリシーにご同意いただける場合にのみ当サイトをご利用くださるようお願いいたします。ご利用された方は、本プライバシーポリシーの条件にご同意いただいたものとして取り扱いさせていただきます。

    個人情報の管理

    当事務所は、お客さまの個人情報を正確かつ最新の状態に保ち、個人情報への不正アクセス・紛失・破損・改ざん・漏洩などを防止するため、セキュリティシステムの維持・管理体制の整備・従業員教育の徹底等の必要な措置を講じ、安全対策を実施し個人情報の厳重な管理を行ないます。

    個人情報の利用目的

    お客さまからお預かりした個人情報は、当事務所からのご連絡や業務のご案内やご質問に対する回答として電子メールや資料のご送付に利用いたします。利用目的は主に以下に定めるものに限ります。

    • 行政書士法に定められた業務及びそれに付帯する業務を行うため

    • 当サイトを通じたサービスの提供

    • 当サイトの品質向上とそれに基づくお客様の声の実施

    • その他、当事務所の業務の適切かつ円滑な遂行

    個人情報の第三者への開示・提供の禁止

    当事務所は、お客さまよりお預かりした個人情報を適切に管理し、次のいずれかに該当する場合を除き、個人情報を第三者に開示いたしません。

    1. お客さまの同意がある場合

    2. お客さまが希望されるサービスを行なうために当事務所業務を委託する業者に対して開示する場合

    3. 法令に基づき開示することが必要である場合

    個人情報の安全対策

    当事務所は、個人情報の正確性及び安全性確保のために、セキュリティに万全の対策を講じています。また、当事務所は個人情報の取扱いに関し、従業員全員に対し適切な監督をします。

    ご本人の照会

    お客さまがご本人の個人情報の照会・修正・削除などをご希望される場合には、ご本人であることを確認の上、対応させていただきます。

    法令、規範の遵守と見直し

    当事務所は、保有する個人情報に関して適用される日本の法令、その他規範を遵守するとともに、本ポリシーの内容を適宜見直し、その改善に努めます。

    個人情報保護に関するお問い合わせ

    当事務所の本プライバシーポリシー(個人情報保護指針)に関するお問い合わせ、連絡、意見などは下記までご連絡ください。

    長岡行政書士事務所 代表 長岡真也
    233-0003
    横浜市港南区港南5-1-32港南山仲ビル202
    電話 045-844-5616



    ページトップへ戻る