付言事項の文例とは?ケース別に具体的な記載例を行政書士が解説!

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「続・三匹のこぶた」で学ぶ! 遺言者の想いが詰まった「付言事項」

今回は遺言書作成においてよく出てくる「付言事項」についてお話ししていきます。

遺言書は、自己の財産を「誰に」「何を」「どのぐらい渡す」ことを記載するものです。

 

民法では法定遺言事項として、遺言書に書くことで法律上の効力があること、ないことが決まっています。

では、法律上の効力はないけれど、遺言書に書けることとはどのようなものでしょうか。

今回はこの法律上の効果はないけれど遺言書に書けることである「付言事項(ふげんじこう)」についてお話ししていきます。

 

本記事は、通常の法律の文章は難しいことから、楽しくわかりやすくお伝えするために童話形式にしています。

そのため、法律的な表現が少し変、厳密に言うとこうだ!等あるかと思いますが、そこは温かい心で読んでいただければ幸いです。

 

では、童話の世界へお進みください。

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付言事項とは

まずは付言事項について、実際に遺言書を作成するシーンになぞらえて紹介します。

 

むかしむかし、あるところに、三匹のこぶたがいました。

 

ワラの家を作った末っ子ぶた、木の家を作った弟ぶた、そして石の家を作った兄ぶたの兄弟は、自分たちを食べようと狙ってくるオオカミをやっつけて、無事に大きく育ちました。

 

大人になった弟ぶたと末っ子ぶたは、それぞれ町に出て仕事に就き、兄ぶたが年老いた母ぶたのお世話をしながら、暮らしていました。

 

そんなある日のこと。母ぶたは思いました。

 

「そろそろあの子たちに財産をどう残しておくか、決めておかないと。財産を横取りしようと、またあのオオカミが来てもいけないからねぇ…」

 

そこで、母ぶたは、遺言書をしたためることになりました。

 

「みんなかわいい私の子たち…財産を三人平等に分けてあげたいところだけど、お兄ちゃんは私の介護でだいぶ苦労をかけているからねぇ」

 

母ぶたは、兄ぶたの家計の負担を減らすために、弟ぶたと末っ子ぶたより、少しだけ多く分けてあげたいと思いました。

 

「でも、それだと兄弟の仲がおかしなことにならないか…心配だよ。そういえば、隣村の赤ずきんちゃんの仲良しの漁師さんが、この前、遺言書の相談をしたと言っていたね。ひとつ教えてもらえないかねぇ」

 

母ぶたは、赤ずきんちゃんと漁師さんに手紙をしたためました。

 

数日後、コンコンと石の家のドアをノックする音が聞こえました。

 

「ひっひっひ…遺言書のことでお困りだと聞いてやってきましたよぅ…」

「おや、ずいぶん早いお付きですね、どうぞどうぞ」

「そりゃお金のことなら…いえいえ、ひひひ、財産の分配のことでお悩みなんですってねえ?」

「預貯金2/3を兄ぶたに、あとを弟と末っ子ぶたで分けてもらおうと思いましてねぇ。でもそれだけだと『どうしてお兄ちゃんばっかり!』とけんかにならないか心配で…」

「ひっひひ…そんなの気にせず、私が決めたことに文句を言うなと書いちゃえばいいんですよ。そうしたら兄弟仲たがいして、弱ったところをペロリ…ああ、いやなんでもないですよぅ」

 

そのときでした。ドアから大男と小柄な少女が飛び込んできました。

 

「また悪さをしてるのね! 今度という今度は許さないわよ」

 

飛び込んできたのは、なんと赤ずきんちゃんと、漁師さんでした。漁師さんは、人に化けていたオオカミを、家の外に放り出しました。

 

「ウソを教えるなんてとんでもねえずら! 反省しろずら!」

「ひええ、バレたら仕方ねえや、覚えてやがれ」

 

オオカミは、しっぽを丸めて山の中へ逃げ帰りました。

お母さんぶたと、赤ずきんちゃんと、漁師さんと、おおかみ

「母ぶたさん、もう大丈夫よ。それとね、さっきのオオカミの言っていることは信じちゃダメ。兄弟のために、遺言書にちゃんと理由を書けるのよ」

「ありがとうねえ、赤ずきんちゃん…騙されるところだったよ」

 

赤ずきんちゃんは、母ぶたの頬をつたう涙をやさしく拭きながら言いました。

 

「母ぶたさんの気持ちや、兄弟みんなに伝えたいことを、ちゃんと書き残すやり方があるの」

「赤ずきんちゃんには、もうおばあちゃんがいないから、そのぶんここで孝行してあげたいって、一緒に来てくれたずら」

「これで兄弟がけんかするようなことはないから、安心してね」

「ありがとうね…赤ずきんちゃん、漁師さん」

 

こうして、遺言書の「付言事項」について教えてもらった母ぶたは、満足のいく遺言書をしたためることができました。

 

さて、赤ずきんと漁師が母ぶたに教えた遺言書の「付言事項」とはどんなものでしょうか?

 

赤ずきん「まず遺言は自由に内容を書けるんだけど、法律にのっとった事項を押さえておかないと、効力が出ないのは知ってる?」

 

母ぶた「そうなのかい?」

 

赤ずきん「それを法定遺言事項というの。いろんな指定事項をきちんと決めて、曖昧な遺言にならないようにするためのものなの」

法定遺言事項の種類は次のとおりです。

  1. 財産に関する事項:相続分の指定、遺産分割方法の指定、遺贈など
  2. 身分関係に関する事項:遺言認知、未成年後見人の指定・未成年後見監督人の指定など
  3. 遺言執行に関する事項:遺言執行者の指定など

 

赤ずきん「これに加えて、遺言者…つまり母ぶたさんから兄弟ぶたへの感謝の気持ちや、この遺言内容にした理由を書くのが付言事項なの」

ここまでの内容をまとめると付言事項とは、法定遺言事項ではないものの、遺言者から残された方へ伝えたいメッセージのことを指します。

付言事項に書くべき要素

漁師「付言事項は必ず書かなくちゃいけないものではないから、法的な効力はないけど、書けばいいこともいっぱいあるずら」

赤ずきん「付言事項に書くのは、たとえばこんな風なことね」

  • 家族への感謝の気持ち:感謝を添えて遺言書を特別なものに感じてもらえる
  • 遺言書の動機:遺言書を作った理由を分かち合い、理解してもらいやすくなる
  • 財産の分け方の理由:不利益を生じる相続人に理解をうながせる
  • 遺品の処分方法:思い出の品を大切に扱ってもらえる
  • 葬儀方法についての希望:家族が自分の希望を把握しやすくなる
  • 遺された家族への希望や願い:相続人の手続きや処理の悩みを減らすことにつながる

 

母ぶた「なるほどねえ…つまり私の気持ちが、あの子たちに伝わっていくわけなんだねぇ。付言事項ってのは、お陽さまの光みたいなものなんだねえ。」

付言事項には法的拘束力がないため、従うかどうかは相続人の意思に委ねられます。しかし実際のところ、遺言者がメッセージを残すことで、家族でもある相続人に想いが届くことも珍しくありません。

遺言書を作成した経緯・理由・気持ちなどを伝え、たとえ不公平な遺言内容でも納得しやすいよう、付言事項を記載しておくことが望ましいです。

付言事項の書き方・文例

母ぶた「 肝心の付言事項の書き方はどうすればいいんだい?」

赤ずきん「書き方はいろいろあるけど、文例を見たほうがわかりやすいわね。こんな書き方があるのよ」

  • 遺言を作成するに至った経緯を記したい場合
  • 財産の分け方の理由を記したい場合
  • 葬儀方法についての希望を記したい場合

遺言を作成するに至った経緯を記したい場合

「私の相続に際して、相続手続きが円滑に行われることを願って、この遺言書を作成しました。老後の世話及び入院等、金銭面だけでなく心身ともに支えてくれた兄ぶたには心から感謝しています。家族それぞれ思うこともあるかと思いますが、弟ぶたも、末っ子ぶたも、くれぐれも喧嘩だけはせず、お互いを思いやって下さい」

財産の分け方の理由を記したい場合

「このような遺言書を遺したのは、長男である兄ぶたに、私自身の介護について負担をかけていたため、それに報いてあげたいと考えたからです。私にとっては弟ぶたも末っ子ぶたも大切な愛する子どもです。相続に関して争うことなく、兄弟でいつまでも仲良く幸せに暮らしてください」

葬儀方法についての希望を記したい場合

「私の葬儀は、葬式や告別式などは行わずに、家族、そして赤ずきんちゃんと漁師さんだけでささやかに済ませてください。葬儀のことで家族に気苦労をかけたくないと思っていますので、穏便に、ささやかな葬儀を済ませてほしいです。いつまでもみんなの幸せを願っています」

 

漁師「うっうっ…泣けてくるずら…」

赤ずきん「ほら漁師さん、しっかりして! まだ大切なことをお伝えしなきゃいけないでしょ」

付言事項の注意点

漁師「付言事項を書くときには『否定的なことをなるべく書かない』ということと『長くなったり、項目が多くならないようにする』ということに気を付けてほしいずら」

 

赤ずきん「母ぶたさんにとっては、ありえない話なんだけど、家族への不満とか愚痴をあてつけたりすると、いやな気持になるでしょ? それがもとで協力してくれなかったり、逆にけんかになっちゃうこともあるの」

 

母ぶた「そんなのは嫌だねぇ…」

 

赤ずきん「基本は感謝を伝えるのが一番ね。あと、長すぎると本当に伝えたいことが伝わらなかったりして、遺言者の意思を汲み取るのが大変になるの」

 

漁師「一番伝えたいことに絞って、わかりやすく簡潔に伝えるのがいいずら」

 

母ぶた「困ったわ…私、いつも話が長いって言われてるの。あの子たち、ちっちゃいころ、私のお説教の途中でいつも眠りこけちゃってたんですもの」

 

赤ずきん「たくさん伝えたい場合は、エンディングノートなんかを使ってもいいわね。いろいろ方法があるから、行政書士さんに聞いてみるのがいいかもよ?」

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母ぶた「そうかい。なら、今日はいいお天気だから、お茶を飲んだ後にでも行ってみようかねぇ。さあさ、ケーキがあるのよ。漁師さんもどうぞ」

 

赤ずきん「ありがとう! 兄弟ぶたさんたちに、母ぶたさんの気持ちをちゃんと伝えようね」

 

こうして、母ぶたは、赤ずきんちゃんと漁師さんに行政書士を紹介してもらい、無事に遺言状を書くことができましたとさ。

付言事項のある遺言書の作り方

最後に、付言事項のある遺言書の作り方を紹介します。

まずは財産の分け方を検討しましょう。

多少の偏りが生まれたとしても、付言事項で理由を加えることで不公平感を抑えることができます。

つづいて遺言書の形式を検討します。一般的に利用される遺言書としては自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類が挙げられます。

自筆証書遺言は自分ですぐに書けるため手軽な一方、要件を満たしていないと無効になってしまいます。

公正証書遺言は証人や公証役場の関与が必要になるため費用・手間がかかりますが、無効になる可能性が低く安心です。

長岡行政書士事務所では、公正証書遺言での作成をオススメしています。

最後に遺言書内に、付言事項として「遺産の分け方の理由」「遺言書作成に至った経緯」「葬儀の希望」などを記載します。

横浜市の長岡行政書士事務所にご相談いただければ、スムーズな相続手続きのことまで考慮して遺言書作成をサポートいたします。初回相談は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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