異説・ロミオとジュリエットに学ぶ! 法改正で新設された配偶者居住権とは?

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異説・ロミオとジュリエットに学ぶ! 法改正で新設された配偶者居住権とは?

 

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■もしもロミオとジュリエットが行政書士事務所に来たら?

ジュリエット「ああ、ロミオ、あなたはどうしてロミオなの♡」

ロミオ「ジュリエット、私は君の小鳥になりたい♡」

ジュリ「ロミオ、バラと呼ばれるあの花は、ほかの名前で呼ぼうとも、甘い香りは変わらないわ♡」

ロミオ「ジュリエット、あなたの愛が得られぬならいっそ命を終わらせるほうがまだましだ♡」

 

あの…いいですか?

 

ジュリ「来て、やさしい夜。来て、すてきな黒い夜、私のロミオをよこして♡」

ロミオ「たとえあなたが最果ての海の彼方の岸辺にいても…♡」

ジュリ「やだ、素敵なまなざし…♡」

ロミオ「これほどの宝物、手に入れるためなら危険を冒しても海に出ようじゃないか♡」

ジュリエット「よして、ロミオ♡ あなたに危険が…あら、何かしら? この人が私たちをじっと見つめてる…」

 

…話を始めてもいいですか…?

 

ロミオ「ああ、これは失敬! 長岡さん、ぼくたち、あまりの愛の深さについ…」

ジュリ「そうだったわね、行政書士さんに相談に来てるんだった」

 

遺言書関連法改正により創設された権利

長岡「改めまして、横浜市港南区の行政書士長岡です。今回のご相談は、もしロミオさんが亡くなったら、ロミオさん名義のお城…じゃなくて自宅にジュリエットさんが住み続けられるかどうかですね」

ロミオ「ええ、ぼくたちはもうモンタギュー家とキャピュレット家とも関係ない! 自由と愛を手にしているのだから♡」

ジュリ「そうよ! たとえ家を出ても、あなたは完璧なすばらしさを失いはしないわ♡」

 

長岡「そうさ! きっと君たちは永遠に輝き続け…じゃないでしょ!」

 

ロミオ「おお、ノリツッコミ!」

長岡「危ない、あやうく何かが伝染してきた…。続けていいですか?」

ロミオ「失敬。いえね、夫が亡くなった後は、妻は当たり前のように自宅に住み続けることができるものだと思っていたのですが…」

ジュリ「私たちの仲人になったロレンス上人が、それはできないのではないかと言い出して」

長岡「確かに、夫婦で生活していると、当たり前のようにそう考えても不思議ではないですね。ロレンス上人がおっしゃってるのは、配偶者居住権のことだと思います」

ジュリ「なにかしら、それ? ケーキのお仲間?」

長岡「違います」

■居住用自宅はどうやって相続できる?

ロミオ「居住権ということは、自宅に住む権利みたいなことじゃないか?」

長岡「その通りです。ロミオさん名義の自宅ですから、所有権はロミオさんにあります。ですから、もしロミオさんが亡くなったら相続財産となるんです」

ジュリ「私のロミオを勝手に殺さないで!」

長岡「…例えばの話です」

ロミオ「落ち着いておくれ、ぼくのかわいい小鳥ちゃん♡」

 

配偶者居住権は遺産分割(相続財産)の対象となる

長岡「…相続財産ですから、他の財産と同様、相続人の間で遺産分割の対象となります。ああ、ここまで説明するのにやけに長くかかった…」

ロミオ「ということは、場合によってはキャピュレット家とモンタギュー家にも分割しなくてはいけなくなり、ジュリエットは遺産分割によって自宅には住み続けることができなくなってしまうと?」

長岡「話し合いでまとまらなければ、そうなりますね」

ジュリ「まとまるわけがないわ! だって両家は長年の宿敵同士…ロミオ、お父様と縁を切り、その名を捨てて。それが無理なら、せめて私を愛すると誓って!」

ロミオ「もう愛しているよ、海よりも深くね…さあこっちにおいでジュリエット…」

 

長岡「はいはい! 続けまーす! 続けまーす! そしてもう当事務所内で愛の語らい禁止!!!」

 

ロミオ・ジュリ「…はい」

長岡「ということで、話し合いがうまくいかなければ、遺されたジュリエットが生活に困るかもしれません。そうならないように、配偶者居住権というものがあるんです」

ロミオ「ぜひ詳しく教えてください」

■実は新しい制度である「配偶者居住権」

長岡「実は配偶者居住権は、2020年4月1日から施行された新しい制度なんですよ」

ロミオ「なるほど、だからシェイクスピア先生の原作には書かれていなかったんだな」

長岡「配偶者居住権が新設される前には、こんな例があったんです。お2人にはお子さんがいらっしゃいませんが、わかりやすいように、相続人は妻と息子1人だったと設定しましょう」

ジュリ「うふふ、私たちの子供ならかわいいに違いないわ♡」

 

《ロミオさん宅の例① 法改正前》
ロミオ名義の自宅:3000万円
ロミオの預貯金:1000万円
相続財産:自宅3000万円+預貯金1000万円=4000万円

 

法改正前は自宅を相続しても他の相続人に対して代償金を支払えない時もある

長岡「ジュリエットさんとロミオ・ジュニアくんの法定相続分は1/2ずつですから、つまり、4000万円をどう分けるでしょうか?」

ジュリ「2000万円ね。子供だましみたいな計算だわ。こんな計算ができないのは、バカな従兄弟のティボルトくらいなものよ」

長岡「そう、ジュリエットさんもジュニアくんもそれぞれ2000万円を受け取ることになりますね。でも、自宅は3000万円ですから、1000万円ぶん相続の持ち分を超えていることになります」

ロミオ「確かに。ということは、代償金の支払い、つまり息子に1000万円を払わなくてはいけないわけですね?」

長岡「はい」

ジュリ「さすがヴェロナの街で一番の知性と言われただけあるわ、ロミオったら」

長岡「ジュリエットさん名義の預貯金が足りない場合は、結局自宅を売却しなければならないわけなんです」

ジュリ「私たちは、両家だけでなく法にも追われてしまうのね…」

長岡「あくまで配偶者居住権が新設される前のことですよ。お2人に限らず、高齢の妻が住み慣れた自宅を売却し、新しい住まいを見つけることは大変なことですよね。預貯金から支払った場合には、それだけ老後の生活費がなくなりもしますから」

 

配偶者居住権は無償で居住することができる権利

ロミオ「その通りですね。でももしぼくの預貯金が3000万円あったら話は違ってきますね。ジュリエットは自宅3000万円を相続し、息子は預貯金3000万円を相続すれば…1/2ずつになる」

長岡「その場合、ジュリエットさんはジュニアくんに金銭を支払う必要はありません。でも結局、自宅は確保できたとしても金銭の相続はありませんから、老後の生活費に充てられる資金がなくなるのは変わりありません」

ジュリ「あんまりだわ! ねえロミオ、何とかならないの?」

ロミオ「だから、配偶者居住権が新設されたのさ!」

長岡「…それ私のセリフだと思うのですが。まあ、ジュリエットさんが住み慣れた住居で生活を続けながら、老後の生活資金として預貯金等の資産も確保できるように、遺言や遺産分割の選択肢が広がったんですよ」

ジュリ「なるほど、住み慣れた住居に無償で居住する権利を取得できるのね。素敵な話だわ」

■配偶者居住権と不動産の所有権の違い

長岡「もう少し詳しく話をしますね。配偶者居住権は、配偶者が無償で自宅に居住する権利を言います。不動産の所有権とどう違うのかはわかりますか?」

ジュリ「ぜんぜーん♡」

長岡「不動産の所有権は、不動産を使う(=住む)、売却などの処分をするという権限になります。配偶者居住権は、このうち使う(=住む)権利のみを配偶者に相続してもらう権利です」

ロミオ「住む権利以外の所有権はどうなるんですか?」

長岡「配偶者以外のその他の相続人が相続することになります。自宅不動産3000万円を、配偶者居住権と所有権の2つに分離させるとします。わかりやすいように配偶者居住権が1500万円で所有権が1500万円としましょう」

配偶者居住権を遺贈した場合の具体的な計算

《ロミオさん宅の例② 法改正後》
ロミオ名義の自宅:3000万円
ロミオの預貯金:1000万円
相続財産:ジュリエットが自宅不動産の配偶者居住権1500万円を、息子が所有権1500万円を相続。ジュリエットと息子が預貯金1000万円のうち1/2をぞれぞれ相続。

 

ロミオ「やあやあ! これならジュリエットは自宅に住み続けられるし、預貯金500万円を相続できますね」

長岡「はい。配偶者居住権の存続期間は終身ですから、ジュリエットさんが亡くなるまで権利が続きます。ジュリエットさんの権利が消滅したら、ジュニアくんは配偶者所有権のついていない、もともとの不動産の所有権を無税で取得できるんです」

ジュリ「法改正前と後、つまり配偶者居住権ができる前と後ではずいぶん違うのね。サービス精神の旺盛さはロレンス上人以上ね」

長岡「もっとも、配偶者居住権が認められるには3つの条件を満たしていることが必要なんです」

《配偶者居住権の要件(民法1028条)》

①相続開始時に配偶者が自宅に住んでいたこと
自宅の所有者であった一方の配偶者が亡くなったとき、その自宅に住んでいたこと。別居をしていた夫婦間では認められない。

②相続開始時に被相続人が配偶者以外の者と建物を共有していないこと
配偶者間での共有の場合は認められるが、配偶者以外の者と共有していた場合は認められません。

③以下のいずれかで設定されたこと(自動的に付与されるわけではない)

  • 遺産分割により配偶者居住権を取得するものとされた。
  • 配偶者居住権が遺言により遺贈の目的とされた。
  • 生前、配偶者居住権について死因贈与契約を結んだ(相続人同士で話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所による調停・審判の場合も)。

 

ジュリ「もし②でロミオに愛人がいたとしたら、2人とも八つ裂きにして末代まで呪い続けてやるわ…」

ロミオ「い、いるわけないでしょ…その顔、こわいよ、ジュリエット」

 

配偶者居住権は登記が必要

長岡「ちなみに、民法1031条で配偶者居住権と登記について定められています。遺産分割協議などで配偶者居住権の相続が決まったとしても、登記をしなければ効力を発揮しませんから注意が必要です」

ジュリ「効力を発揮しないというのは、要するにどういうことなの?」

長岡「登記しないままでいた場合、新しい所有者である子供が勝手に売却してしまう可能性があるということです」

ジュリ「なんですって! まったくうちの息子ときたら、親の心子知らずとはこのことね! ちょっとこっちに来て座りなさい。ママのお説教よ!」

ロミオ「…ジュリエット、まだ子供はいないでしょ…」

ジュリ「あら、そうだったわね」

長岡「…というわけで、配偶者居住権の登記は、建物所有者と共同で申請手続きをする必要があるんです」

■配偶者居住権の注意点

ロミオ「ねえ、長岡さん。配偶者居住権は素晴らしい制度だけど、デメリットもあったりするのかな?」

長岡「おっしゃる通り、メリットばかりではないことに注意が必要です。特に次の5つのポイントはしっかりと覚えておいたほうがいいでしょう」

 

《配偶者居住権5つの注意ポイント》

①配偶者は注意をはらって居住建物の使用をする(民法1038条)
配偶者は、居住建物について従来通りの使用方法を守る必要がある。また、しっかりと注意を払って建物を使用しなければならない。

 

②建物の修繕はできるが増改築は勝手にしてはいけない(民法1032条、1033条、1034条)
居住建物の修繕は、配偶者が自分の負担で行う。また、配偶者が相当の期間内に必要な修繕をしない場合は、建物の所有者が自ら修繕できる。建物の改築や増築については、建物の所有者の承諾がなければできず、バリヤフリーのために必要な改築等であっても承諾が必要。

 

③配偶者所有権の譲渡はできない。(民法1032条、1036条)
配偶者居住権は「住む権利」なので自宅を売却することはできない。また、第三者に配偶者居住権を譲渡することも認められていない。もし自宅を売って老人ホーム等の施設に入所したくなってもNGとなる。ただし、所有者の承諾を得て第三者に自宅を賃貸することは可能であり、賃料収入を介護施設資金にすることはできる。もちろん所有者の承諾は必要。

 

④固定資産税の支払い
固定資産税は建物の所有者に課されるため、納税通知書は所有者に届く。しかし所有者から実際に住んでいる配偶者に請求できるので、請求された配偶者は固定資産税を払う必要がある。

 

⑤配偶者居住権の生前放棄と税金
配偶者が生前に配偶者居住権を放棄した場合、税金が発生する。配偶者が配偶者居住権を放棄し、所有者が対価を支払って完全な所有権を手に入れた場合、所有者に贈与税はかからない。しかし、配偶者が受け取った金額が譲渡所得の収入として課税対処となる。所有者が対価を支払わなかった場合、所有者に贈与税が課税される

 

配偶者が安心して住むためにも配偶者居住権は遺言書で

ジュリ「自宅とはいえ、自由にならないことも多いのね。②と③については、けっこう勘違いしてしまいそうなケースも多いんじゃないかしら?」

ロミオ「そうだね。だからこそ、ぼくたちのように、事前に行政書士さんに相談しておくことが大事なんだよ。デートの時間を削ってでも、ここに来た理由をわかってくれたかい?」

ジュリ「もちろんよ、私のロミオ♡」

長岡「ご理解いただけてよかったです。配偶者居住権は、長年住み慣れた自宅に居住し続けられるメリットがありますが、老後、どのように生活スタイルが変化するかがわかりません。なので、安易に設定してしまうと、かえって不便になることもありますからね」

ロミオ「そうですね。どうだい、ジュリエット、わかったかい?」

ジュリ「ありがとう、ロミオ。私の気前のよさは、海のように果てしなく、愛する気持ちも海のように深いわ。私が死んだら、ロミオをあげる。ばらばらにして、小さな星にするといい…♡」

ロミオ「ジュリエット、夜空にまたたく灯火は燃え尽き、陽気な朝日が靄のかかる山の頂から爪先だって顔をのぞかせているよ…♡」

 

長岡「はい、終了でーす!!! ありがとうございましたー!!!」

 

この記事を詳しく読みたい方はこちら:行政書士が解説!法改正で新設された配偶者居住権とはなにか

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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