このHPでもよくご説明している遺言執行者。遺言書の内容を実現するのが遺言執行者の役割ではありますが、この遺言執行者の就任を行政書士に依頼することも出来ます。そして行政書士に依頼をすれば報酬は発生することが多いですが、いくらぐらいが相場なのか?気になることではないでしょうか。
この記事で遺言執行者のざっくりとした報酬相場についてコミカルな「報道ニュース」風に解説します。行政書士の遺言執行報酬相場について分かりやすく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
皆様、こんばんは。社会の構図をわかりやすくお届けするニュース番組「報道小路」のお時間です。アナウンサーの綾小路遺子です。
おかげさまで「私、調べましたけど」というセリフが、流行語大賞にノミネートされたそうでして、お恥ずかしい限りではございますが…。
今日もしっかりと調べあげて、この合成皮の手帳、通称、白革の手帳にまとめておりますのでご期待ください。
合わせて読みたい:遺言執行者とは?実行する内容・権限の書き方を行政書士が分かりやすく解説
目次
行政書士の遺言執行報酬相場とは
本日の特集は「行政書士の遺言執行報酬相場」です。
「遺言執行をお願いできる専門家、費用はどれくらいかかるのですか」というようなご相談は当番組にも多く寄せられます。
今回は行政書士の皆様にお願いする場合の相場やメリットをご紹介いたしましょう。
コメンテーターとして、業界の動向に詳しい、相葉イクラさんにお越しいただきました。相葉さん、よろしくお願いいたします。
相葉「ゼニのことなら任せておくんなはれ」
合わせて読みたい:遺言執行者の報酬が定められていない場合はどうなるのかを行政書士が解説!
行政書士事務所の遺言執行報酬は大差ない
遺子「さっそくですが、日本の行政書士事務所に遺言執行業務の依頼をする際の報酬を、番組のほうで独自リサーチしてみました。相続財産の総額にもよりますが、こちらになります」
相葉「さすがでんな! こりゃ単位は「万円」でんな。えっと…横浜1の行政書士事務所に依頼すると…」
遺子「遺産総額1000万の方が遺言執行業務を依頼すると27万円が必要となる、ということがわかりますね。なお、事務所ごとに報酬に含まれる項目が違ってきたりしていますので、あくまでも目安としての資料です」
相葉「赤は他事務所と比べても割安で、黄色は逆に割高ちゅうわけですな。ここからわかるのは…」
遺子「遺産総額1000万まではどこの行政書士事務所も大きく報酬が変わらないということですね。遺産総額3000万からバラつき始め、報酬の差が顕著になりますが、含まれているサービス内容に違いがあったりもします」
不動産売却の際は追加で報酬が必要になることも
相葉「…さいでんな。せやけど、遺産総額が高くなっても遺言執行報酬が低い事務所は、但し書きで「不動産の売却を要するときは売却代金の3%を申し受ける」ちゅうふうに書かれてる場合もありますねんで」
遺子「そうですね。仮に家が5000万で売れた場合はこの項目により100万円の違いが出てきますね。ホームページに遺言執行報酬を載せてない事務所もありますから、単純な金額比較は簡単ではないでしょう」
相葉「そもそも、専門家は弁護士はんや司法書士はんらなど、他にもおられますやんか。大事なのは、どうして行政書士に頼むかっちゅうことですねん」
遺子「それを語る際に、切っても切り離せないのが「遺言執行者」というキーワードですね」
遺言で遺言執行者を選任するメリットは3つある
遺子「相葉さんはよくご存じだと思いますが、遺言執行者というのは、遺言内容を実現すべく選任される人のことですね」
相葉「その通り! 人が亡くなったら、財産や権利義務、つまり遺産と呼ばれるものを特定の人が引き継ぎまんねや。その引継ぎ方法が…」
遺子「法定相続、遺産分割協議、遺言の3つ。わかりやすくフリップにまとめるとこのような感じです」
- 法定相続…民法に書かれている相続割合に則って遺産を分ける方法
- 遺産分割協議…遺産を受け継ぐ権利のある人(=相続人)が全員集まって協議の上遺産を分ける方法
- 遺言…亡くなった方(=被相続人)が生前に自分の財産を相続人間で遺産をどうやって分けるべきかを決めたもの
相葉「こりゃ、ぎょうさん勉強しておられますなあ。うっかりしたら、ワテのコメント全部先に言われまいよるで…。ほなクイズや! 被相続人の遺志が一番反映されているのは?」
遺子「むろん、遺言です。赤子の手をこしょこしょして笑わせる如き簡単な質問ですわ」
相葉「さすがや…赤子の手をひねるといったら、今日び虐待っぽいもんな…」
遺言執行者は必ず選任される必要があるわけではない
遺子「先ほど出てきた遺言執行者ですが、こちらを詳しく解説してまいりましょう。そもそも遺言執行者は必ず必要なものなのでしょうか?」
相葉「必ずっちゅうわけでもありまへんな」
遺子「自分の死後に遺言の内容を遺された相続人が忠実に実現してくれるとは限りませんものね。特に遺言の内容によって、特定の相続人が納得しそうもないときは逆に実現の弊害になるリスクが生まれてしまいます」
相葉「う、そやな…(言われてもうた)。遺言執行者は遺言をスムーズに執行するために、相続財産の管理や遺言の執行に必要なすべての行為をする権利と義務がありますのや」
遺子「ですので、相続人は遺言執行者が遺言を執行することを妨げられない…つまり、ある意味で大きな権限を有している立場となります」
相葉「せやけどな。相続人に大きなメリットがあるんですわ。全員の署名が必要な手続きを歩いて集めまわるのは大変でっしゃろ? 日中昼間に役所に行かなければいけない手続きがあったら、仕事してる人はヒイヒイ言うてまいますわ。そんなとき、遺言執行者がおってくれたら全部やってくれて、チャンチャンっちゅうわけでんな」
遺子「そうですね。仮に相続手続きが遅れてしまうと相続税の納付が期限に間に合わくなり、ペナルティの延滞税等が発生してしまうリスクもあります」
相葉「ペナルティ…ワテ、この言葉が一番嫌いでんねや」
合わせて読みたい:遺言執行者は後から選任できるの?遺言執行者選任申立てについて解説
遺言執行者の代表的な仕事内容
遺子「遺言執行者がまとめて手続きを進めてくれるのは、相続人にとっても大きなメリットだと言えるでしょう。参考までに遺言執行者の代表的な仕事内容をフリップにまとめましたのでご覧ください」
- 戸籍等の証明書の収集
- 相続人の調査
- 遺言執行者に就任したことを相続人と受遺者全員に通知
- 相続財産の調査
- 財産目録の作成
- 預貯金の解約手続き
- 売却して分配する財産に関しては換価手続き
- 有価証券等の財産の名義変更
- 不動産の所有権移転登記
- 相続人と受遺者全員に対する完了報告
行政書士が遺言執行者になるメリット
相葉「綾小路はん、遺言執行者には未成年や破産者でない限り誰でも就任できるのは知っておりますやろ?」
遺子「もちろんです。相続人の中から遺言執行者を選んでもかまいませんが、遺言執行者の仕事は多岐にわたり専門性も求められることから、遺言執行者には弁護士、司法書士、行政書士や税理士といった法律や税金の専門家が選ばれることが多いのですよね」
相葉「ホナ、行政書士さんに頼む理由はどんなもんですかな?」
遺子「ふ…相葉さん。私をお試しになっているようですが…私、調べましたけど!」
相葉「うおっ、きた! 白革の手帳!」
遺子「まず前提として各法律系士業の登録者数を比較すると、行政書士が一番多いんです。また行政書士は民間企業出身者が相対的に多い。比較的に依頼者の目線に近い立場と言えなくもないでしょう。もっともこれは私の感覚ですが」
相葉「そこ共感する人は多いと思いますで」
遺子「そのうえで、行政書士は行政手続きが専門なので相続書類の作成や役所への申請に関しては経験豊富です。また銀行手続きも対応可能です」
相葉「いじわるなこと言わせてもらいますけど、行政書士はんは弁護士のように相続トラブルの解決には直接は係れまへんし、税理士のように相続税申告を行うこともおまへんがな?」
遺子「弁護士・税理士の費用が比較的高めになるのは、今相葉さんがおっしゃられた理由もありますよね。でも実際の仕事は、士業同士が横のつながりを活かして必要に応じて依頼しあうことが多いですから、その都度費用を清算すれば行政書士だから問題に対応できないということはないんです」
行政書士は身近な街の法律家
相葉「ま、相続トラブルの芽がない相続もありますし、また遺産が相続税の基礎控除を超えなければ申告義務も発生しやしまへんからな」
遺子「つまり、身近な行政書士に窓口遺言執行者になってもらえば、後は行政書士が必要に応じて他士業と連携をとってくれるんです。その結果、費用が抑えられる可能性も高くなるんですね」
相葉「せやけど、安いは怖いとも言いまんで?」
遺子「安物買いの銭失いとも言いますよね。大事なのは、報酬が安いという理由だけに着目するのではなく、付加価値で決めることです。周囲の人の評判や口コミをしっかりと活用したいですね」
相葉「いやはや、一本取られましたな。この相葉、西園寺ファンになりましたわ」
遺子「相葉さん、本日はとても参考になるコメント、ありがとうございました。最後に、この番組のお約束のセリフ、ご一緒にお願いします」
相葉「もう1回かましはんねやね! ほないきまっせ…」
遺子「私、調べましたけど!!! それではみなさん、おやすみなさい」
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