遺言書に預貯金額を具体的に書いた方が良いのか?ポイントを行政書士が解説!

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遺言書に相続させる預貯金額を書いた方が良いのか? ポイントを行政書士が解説!

 

遺言書に銀行口座の残高を書いてもいい?

口座残高の一部を特定の相続人に譲りたい場合はどう書けばいい?

遺言書を作成するとき、遺産の詳細をどこまで書けばいいかという悩みは案外少なくありません。

せっかく遺言書を書くので遺産を明確にしておきたいものの、預金残高が減ってしまって無効になったりしないかという不安をお持ちの方もいます。

ということで、今回は遺言書と貯金残高の関係について、クイズ形式で楽しく学んでいきましょう。

 

本記事は、通常の法律の文章は難しいことから、楽しくわかりやすくお伝えするためにクイズ形式にしています。

そのため、法律的な表現が少し変、厳密に言うとこうだ!等あるかと思いますが、そこは温かい心で読んでいただきつつ、ぜひご参考にして頂ければと思います。

 

では、クイズ形式で出題しますので、家族やご友人とチャレンジしてください。さあ、あなたのまわりで、遺贈クイズ王になるのは誰だ⁉

今回も、司会の私と、解説の行政書士長岡さんでお届けしいたします! 長岡さん、よろしくお願いします!

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遺言書で預貯金額を書くリスク

遺言書を書く大きなメリットに、遺産分割協議を避けられることが挙げられます。遺産分割協議では相続人全員が集まって遺産の分割案を協議しますが、相続人全員が合意に至る必要があります。

どんなに仲良い家族でもお金がからんでくると、なかなか意見が合致せずもめてしまう…なんてことも。家族がバラバラになってしまったりと思わぬ結果を招かないよう、しっかりと遺言で自分の意思を伝えることが大事ですね。

合わせて読みたい:遺産分割協議とは?流れとポイントを行政書士が解説

ではここで第1問です!

Q:遺言書に預金残高は記載すべき。〇か×か?

遺言書に預金額は記載しないほうがいい

実務上、遺言書に相続させる具体的な預貯金額を書くことはあまりしません。というのも、遺言書書いた当時と遺言書が効果を生じる頃には当然金額に変動があるからです。

答えは×ですね。長岡さん、解説をお願いいたします!

長岡「はい、よろしくお願いします。結論から言うと、やはり預金残高を遺言書に記載するのは避けたほうがいいと考えられます。死亡時に預金残高が増えているケースと減っているケース、それぞれで理由を考えてみましょう。」

遺言書記載の預貯金額より増えている場合

遺言書を書いた当時より金額が増えていることも考えられます。ではこの増えた分はどうなるのでしょうか?例えば、○○銀行の1500万円を○○に相続させると書いたとき、それ以上金額があり、遺言書の他の記載から増えた分の扱いが書いていない場合、困ってしまいますね。この点、次のような方法で解決を図ることとなります。

  • 超過分が遺言書に記載のない財産という扱いになる
  • 超過分につき別途相続人全員による遺産分割協議をしなくてはならない

遺言書記載の預貯金額より減っている場合

  • 遺言の書き方により他の遺産より補填する可能性がある
  • 遺言の書き方により遺言者の生前処分として撤回されたものと解釈される可能性がある
  • ただし他の遺産が既に他の相続人に割り振られていたら補填できない
  • 預金残高が不足したまま相続を進めると、相続人間で不満の種になりかねない

なるほど…。記載した金額と違うことによって、遺産分割協議をしなくてはいけなくなったり、他の遺産からの補填でトラブルになる可能性が出てくると言うわけですか。

長岡「そういうことなんです。だから、具体的な金額を記載しないほうがいいんですね」

遺産分割協議って、どうも壮絶なバトルのイメージが浮かびやすいんですよね…。

長岡「すべての遺産分割協議がもめるとは限らないですよ(笑) 中には円満に進むこともあります。でも、全員参加と同意が必須なので、やはり負担にはなりやすいですよね」

遺言書で預貯金を相続させたいときの書き方

先ほど、実務では遺言書に具体的な金額は記載しないとお話しいたしました。ただし、例えば持っている預金が8000万円あり、そのうち預貯金から100万円を相続させたいような場合は、明らかに少額で保有している可能性が高いので書いても良いかもしれません。実際には、金額ではなく割合で示すことが多いと言えます。

そうですね。ではここで第2問です! 預貯金に関して遺言書にどのような文を書くべきか、以下から間違っているものをひとつ選んでください。

  1. 銀行・支店・口座ごとに相続人を指定する内容
  2. 預貯金全部を合計して割合で指定する内容
  3. 暗号を解読しなければ預貯金のありかがわからない方法

遺言書で預貯金を口座別及び銀行別での書き方

正解はCですね。

長岡「そうですね。暗号解読って、インディ・ジョーンズじゃないんだから(笑) 具体的には問題のAとBの方法をお勧めします。それぞれに具体的な文例もありますので、見ていきましょう」

《銀行ごとに指定する文例》
第1条 遺言者は、死亡時に有するA銀行の全ての預金を長男 △△△△に相続させる。
第2条 遺言者は、死亡時に有するB銀行の全ての預金を次男 □□□□に相続させる。

《口座ごとに指定する文例》
第1条 遺言者は、死亡時に有する下記の口座を長男△△△△に相続させる。
A銀行B支店 普通預金 口座番号 ×××××××
第2条 遺言者は、死亡時に有する下記の口座を次男□□□□に相続させる。
C銀行D支店 普通預金 口座番号 ×××××××

遺言書で預貯金を割合で指定する書き方

《預貯金を合計して割合で指定する文例》
第1条 遺言者が死亡時に有する全ての預貯金の合計額の2分の1を長男△△△△に、同じく2分の1を次男□□□□に相続させる。

なるほど。これだと具体的でわかりやすいですし、もめる要素も見当たりませんね。

長岡「そうなんです。ほかにも、預貯金を割合で指定しつつ、最低限の金額レベルを特定の相続人に保障するなんてこともできます。例えばこんなふうに」

《預貯金を割合で指定し、最低限の金額レベルを特定の相続人に保証する文例》
遺言者が死亡時に有する全ての預貯金の合計額の3分の2を長男△△△△に、3分の1を次男□□□□に相続させる。
ただし、長男が相続する預貯金が300万円以下になる場合には、300万円を長男に相続させ、残りの預貯金の金額を次男に相続させる。

長岡「もっとも、遺産を特定の相続人に集中させるときは各相続人の遺留分に注意しなくてはいけません

合わせて読みたい:遺留分とは?具体例や侵害された遺留分請求方法を分かりやすく解説!

遺言書に預貯金を相続させたいときは書き方に気を付ける

遺言書において、預貯金額を相続させるときはやはり割合で記載することがベストだと言えます。割合であれば、金額が少なくても渡せなくなることはありません。

せっかく遺言書を作ったのにそれをもとにトラブルになってしまっては嫌ですよね。

 

わかりました。やはり遺言書に預金残高は書くべきではないということがよくわかりましたね!

長岡「ほかにも預金を相続させる書き方はいくつかありますので、ご自身の状況に応じて使い分けてみるほうがいいですね」

その場合は自分の遺志と違う形になってしまわないよう、やはり専門家に相談したほうが間違いないですね。長岡さん、ありがとうございました!

 

いかがだったでしょうか、クイズ形式で分かりやすくお伝えさせていただきました。

遺言書も書き方で気を付けなければいけない点がございます。

もしご不安に思われた方がいましたら、遠慮なく横浜市の長岡行政書士事務所にご相談ください。

 

この記事を詳しく読みたい方はこちら:遺言書に預貯金残高は記載しておくべきなのか?遺言記載例も行政書士が解説!

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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