相続財産清算人・相続財産管理人・不在者財産管理人の違いとは?注意点や選び方について行政書士が解説!

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相続財産管理人と不在者財産管理人にはどのような違いがある?

 

「家族が遺した借金が大きく、相続人全員が相続放棄をしたけど、遺された財産は誰が管理するの?」
「相続人の中に、どうしても連絡がつかない人がいて、遺産分割協議ができない。」
「相続財産管理人と不在者財産管理人ってどのように異なるの?」

相続手続きを進めていく際には、さまざまなトラブルが起きてしまうこともあるでしょう。

相続トラブルの解決を目指すためには、「相続財産清算人」「相続財産管理人」「不在者財産管理人」といった、管理人と呼ばれる方の力が必要なケースもあります。

では、この管理人の仕事には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

名前は似ていますが、「相続財産清算人」「相続財産管理人」「不在者財産管理人」は異なる管理人です。

この記事では「相続財産清算人」「相続財産管理人」「不在者財産管理人」の違い、制度利用時の注意点について詳しく解説します。

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相続財産清算人・相続財産管理人とは

相続財産管理人とは、「相続財産を管理する人」を意味します。

本来相続財産を管理するのは相続人です。しかし、何らかの事情で相続人がいない場合には、相続財産を管理する人が必要となります。

合わせて読みたい:相続財産管理人とは?相続人がいない場合の手続きの概要と注意点

令和5年4月1日の民法改正前は相続財産管理人しか定められていませんでした。

しかし令和5年4月1日の民法改正により、新たに相続財産清算人という制度ができました。

相続財産清算人の役割や権限は、民法改正前の相続財産管理人とほとんど同じです

一方、民法改正後の相続財産管理人は、相続財産の管理のみを担当します。ややこしいですが、表にすると次のとおりです。

相続財産の管理・清算相続財産の管理のみ
民法改正前の名称相続財産管理人該当なし
民法改正後の名称相続財産清算人相続財産管理人

民法改正後の相続財産管理人は、相続財産の管理のみを行います。

一方、相続財産清算人は相続財産の管理はもちろん、相続人・債権者を捜索するための公告・債権者などへの弁済も行います。

民法改正後の相続財産管理人と相続財産清算人は、申し立ての時期も異なります。

相続財産清算人の選任は、相続人の有無が明らかでないとき(相続人が存在しているかどうか分からないとき)に限られていることがポイントです。

一方、相続財産管理人は、相続開始の後、次のケース以外ではいつでも申し立て可能です。

  • 相続人が1人で、なおかつ単純承認をしたとき
  • 相続人が複数いるで、なおかつ全ての相続財産について遺産分割が行われたとき
  • 相続財産清算人が選任されているとき

これら以外の状態であれば、たとえば相続人がいるかどうかわからない時・相続人が一人もいない時に、相続財産清算人が選出されます。

不在者財産管理人とは

不在者財産管理人とは、「行方不明の相続人に代わって財産を管理する人」のことを指します。遺産分割協議時などにおいて、どうしても連絡がつかない相続人がいたら、不在者財産管理人が必要となります。

合わせて読みたい:不在者財産管理人とは|相続人が失踪し見つからない時はどうする?

相続財産清算人(相続財産管理人)と不在者財産管理人の違い

相続財産清算人(相続財産管理人)と不在者財産管理人には、具体的にはどのような相違点があるでしょうか。主な違いは、次のとおりです。

  • 相続財産清算人(相続財産管理人)は、相続人がいない(もしくはわからない)場合に、相続財産を清算・管理するために業務を遂行する
  • 不在者財産管理人は、相続人が行方不明となっている場合に、相続財産を管理するために業務を遂行する。

相続財産清算人(相続財産管理人)は、相続人がいない(もしくはわからない)場合に必要です。親族がおらず法定相続人がだれもいない場合も必要ですし、相続放棄に伴って相続人がいなくなった場合にも必要となります。

一方の「不在者財産管理人」は、相続人は特定できているものの、1年以上を目安に行方不明となっている相続人がおり、遺産分割協議などがままならない時に必要となります。同じ管理人と言う名称であっても、必要な場面は大きく異なります。

相続財産清算人(相続財産管理人)と不在者財産管理人は一見似ていますが、相続財産清算人(相続財産管理人)は「そもそも相続人がいない場合」に必要で、不在者財産管理人は「相続人は存在しているものの行方不明の場合」に必要ということです。

また、業務についても性質が異なります。相続財産清算人は利害関係者(債務者)への弁済のために、相続財産を処分する(清算する)ことが目的です。一方、不在者財産管理人は行方の分からない相続人が現れることを信じて、相続財産を保存・管理していくことになります。

相続財産清算人(相続財産管理人)の申立て方法

相続財産清算人(相続財産管理人)の申立てができる人は、利害関係者や検察官です。被相続人・相続放棄した人の債権者や、特別縁故者が該当します。

申立先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

もし相続財産清算人に指名したい人がいれば、候補者として申し立てることも可能です。(候補者がいなければ、裁判所が選んでくれます)

申立て書類や費用は下記リンクをご参考ください。

参考URL   裁判所 相続財産清算人の選任

不在者財産管理人の申立て方法

不在者財産管理人の申立てができる人は配偶者や相続人、利害関係者や検察官などです。利害関係のない人であれば、不在者財産管理人の候補に立てられます。

申立先は不在者の従来の住所地もしくは居住地を管轄する家庭裁判所です。

申立て書類や費用は下記リンクをご参考ください

参考URL   裁判所 不在者財産管理人の選任

財産管理人への報酬

相続財産清算人・相続財産管理人や不在者財産管理人は多くの業務をこなすため「報酬」が必要です。

一般的には相続財産の中から支払われますが、債務が多く見るべき財産が無い場合は、予納金を申立人側で用意する必要があります。

解決までの道のりが複雑かつ時間を要することが見込まれるケースでは、予納金に100万程度の用意が必要となる場合もあるためご注意ください。

財産管理人を選任する注意点

相続財産管理人や不在者財産管理人は、相続手続きをできる限り円満に解決するために、時にはどうしても必要となってしまう職務です。しかし、管理人が選任されるデメリットもあるため、予め知っておきましょう。デメリットは以下の3つです。

  • 財産管理人のを選任すると解決まで時間を要する
  • 財産管理人を選任すると予納金が必要な場合がある
  • 財産管理人を選任できるまで管理義務は残る

財産管理人のを選任すると解決まで時間を要する

管理人を要するケースでは、多くのケースで解決までの時間を要しています。

申立てから解決まで、1年以上の期間を要することも少なくありません。一般的な相続と比べると、負担感が大きな手続きです。

財産管理人を選任すると予納金が必要な場合がある

先ほども触れましたが、管理人が選任されると予納金が必要となる場合があります。

被相続人が遺した相続財産がマイナスの状態であっても、相続問題の解決に向けて管理人を要することも少なくありません。

その場合には、申立人が高額の予納金を負担せざるを得ません。

財産管理人を選任できるまで管理義務は残る

相続財産管理人は家庭裁判所に選任を依頼しても、すぐに選んでくれるわけではありません。

この間、空き家などの管理は相続人が相続放棄をしていたとしても管理する義務が残されています。

遠方に居ても、草刈りに行ったり、防犯管理をしたりとトラブルの回避に努める必要があります。

財産管理人に頼らず円満な相続を目指すために必要なこと

やむを得ない事情で管理人が必要となる場合はありますが、予納金などのデメリットを踏まえると、回避できる方法は知っておきたいものです。

では、財産管理人に頼らず円満な相続を目指すためにできることはあるでしょうか。

代表的な対策としては、次の2つが挙げられます。

  • 遺言書を作成する
  • 生前から家族間で話し合う

遺言書の作成

遺言書があると、遺産分割協議を行わなくても良いため、相続人全員の同意を得た遺産分割協議書は不要です。

つまり、相続財産清算人(相続財産管理人)や不在者財産管理人に頼る必要がありません。

とくに、すでに行方不明となっている相続人以外にスムーズに相続をさせたい場合は、遺言書を用意しておきましょう。

合わせて読みたい:遺言書を作成しないケースの4つのデメリットに注目!行政書士が解説!

生前から家族間で話し合う

相続財産管理人や不在者財産管理人が必要となるケースでは、相続人の多くが生前に「こんなことは聞いていなかった」というトラブルに直面しています。

面識がなく所在もわからない相続人がいたり、相続人が全く知らなかった高額の隠された債務があり、慌てて相続放棄に臨んだりするケースも少なくありません。家族には隠しておきたい出来事があったとしても、相続時に大きな負担を強いらせてしまいます。できれば生前から、家族みんなで相続に向けて話し合う機会を持つことが理想でしょう。

合わせて読みたい:親に遺言書を書いてもらう意味とタイミングを行政書士事務所として相談を受けた経験から解説

遺言書はトラブル回避の処方箋|横浜市の長岡行政書士事務所へご相談ください

遺言書は家族に思いを託すだけでなく、複雑な相続トラブルを回避するための「処方箋」としても活用できます。複雑なトラブルに家族が頭を悩ませてしまう前に、遺言書の作成を考えてみませんか。

横浜市の長岡行政書士事務所では、未来を明るく照らすための「遺言書の作成」について、丁寧にサポートしています。私たちと一緒に遺言書を作りませんか。初回相談は無料で対応しています。

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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