
「最近よく耳にする身元保証契約は、任意後見契約とどう異なるの?」
「おひとりさまの終活中で、身元保証と任意後見について関心がある」
高齢社会を突き進む日本において「身元保証契約」と「任意後見契約」に関心を持つ方が増えています。
この2つの契約はいずれも主にご高齢の方の生活をサポートするものですが、契約の内容については明確な違いがあります。
そこで、本記事では身元保証と任意後見の違いや、契約の選び方を行政書士がわかりやすく解説します。
身元保証契約と任意後見契約の違いとは
終活に関心を持たれる方が増えている今、身元保証契約と任意後見契約が気になっている方も多いでしょう。そこで、本章ではこの2つの契約について違いを解説します。
身元保証契約とは
身元保証契約とは、主に入院時や施設入居時の「保証人」を引き受けてもらう契約です。 身寄りがない方、親族と疎遠で迷惑をかけたくない方などが、民間団体や専門家と契約します。
入院・介護施設への入居の手続き代行、退去時の整理などを担い、「家族が行う役割」を代行してもらうイメージです。次に紹介する任意後見契約とは異なり、家庭裁判所が選任する監督人はいません。
任意後見契約とは
任意後見契約とは、将来判断能力が低下した時に備えて、自分の代わりに財産管理などをしてもらう人を決めておく契約です。
預貯金・不動産の管理や入院・介護施設入居などの手続きを中心に依頼できます。すでに判断能力が低下している人が利用する法定後見制度とは異なり、将来に備えて契約するものです。
任意後見契約の中には「移行型任意後見契約」もあります。「財産管理などの委任契約」と「任意後見契約」を一つに組み合わせた契約形態です。本人の判断能力がしっかりしているうちから支援を始め、認知症などで能力が低下した後は任意後見制度へとスムーズに移行させます。
判断能力があるうちは任意後見段階とは異なり、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」が付きません。そのため、監督人への報酬が発生せず、コストを抑えることができます。
契約の範囲内であれば、本人の希望に沿った財産管理や親族への送金など、比較的自由で柔軟な対応も可能です。
任意後見開始後は家庭裁判所が選任した任意後見監督人による監督が入るため、任意後見人本人のチェック機能を通して信頼性が高いことも大きな特徴です。
関連する記事はこちら:任意後見制度の活用方法とは?後悔しないためのポイントを行政書士が解説!
2つの契約内容の違い
では、この2つの契約の違いを図で見てみましょう。
| 委任契約 | 身元保証契約 | 任意後見契約 | |
| 主な目的 | 財産管理や事務代行 | 入院・入居の保証人確保 | 判断能力低下後の財産管理など |
| 開始時期 | 契約直後から | 契約直後から(必要時) | 判断能力低下後 |
| 法的な監督 | なし(当事者間) | 原則なし(民間契約) | あり(監督人) |
| 役割の 範囲 | 振込や手続きの代行 | 入院・入居の保証など | 金銭管理、福祉サービスの契約など |
身元保証契約と任意後見契約|どちらを選ぶべき?
実際にこれから年齢を重ねていく上で、どのような契約がご自身に適しているのか、悩まれている方も多いでしょう。そこで、本章では身元保証契約と任意後見契約について、「どちらを選ぶべきか」判断の基準となるポイントをわかりやすく解説します。
身元保証契約がおすすめされる人
身元保証契約がおすすめされる人は、「施設入居や入院時の連帯保証人・身元引受人」を中心にお願いしたい人です。
頼れる人がいない、あるいは疎遠になっている場合、施設入居や入院が上手く進まずご体調に影響するおそれもあります。入院後・入居後の安心感を得るためにも、お早めに契約先を探されることがおすすめです。
任意後見契約がおすすめされる人
任意後見契約は「判断能力が低下した際の財産管理・施設等を含む手続き」を安心できる専門家に任せたい方におすすめです。
法定後見制度ではご自身が希望する後見人が家庭裁判所から選任されるわけではありません。自分の意識がはっきりしているうちに、将来の財産管理(預金の出し入れ、不動産の管理)を任せる人を決めておきたい方に最適です。
また、身上保護(生活・療養の契約)をしっかりしたい方にも任意後見契約が適しています。どのような介護を受けたいか、ご自身好みの介護施設はどこかといった希望をあらかじめ伝えておけるため、実際の介護時に本人の意思を尊重した契約手続きを代行してもらえます。
すなわち、身元保証契約+財産管理+各種手続きといったイメージに近いと言えます。
契約内容に悩んだ時の対処法
どちらの契約が自分に適しているのか、実際に判断するのは難しいものです。
「今の健康状態」だけでなく「10年以上先を見据えたリスク」を予測する必要もあります。
そこで、契約内容に迷われたら専門家へ相談することがおすすめです。行政書士や司法書士などの専門家は、個人の資産状況や親族関係をヒアリングし、依頼者に適した契約内容を提案してくれます。
終活時には2つの契約を比較しよう
身元保証契約と任意後見契約は、いずれも「終活」の一環として行われることが多く、遺言書の作成や身辺整理など並行して契約を検討するケースも少なくありません。そこで、終活時に契約を比較する際のポイントをわかりやすく解説します。
求めるサポート内容をじっくり検討する
まずは「今、何に困っているか」「将来何に不安を感じそうか」をご自身なりに整理しましょう。
例えば、多くの財産を有しているものの、将来の管理・運用状況に不安がある場合は任意後見契約が適している可能性があります。年齢を重ねた自分がどのようなサポートを求めるか、じっくり検討されることが大切です。
相談先や費用を比較・検討する
契約には初期費用(公正証書作成費用など)に加え、月額の管理費や実際に稼働した際の報酬が発生します。また、依頼先によっても費用が異なるため、見積もりを取得し費用を比較・検討されることがおすすめです。
相談先の例として、行政書士や司法書士、身元保証サービスを提供する法人などが挙げられます。契約内容と費用を比較した上で、実際の契約に移ることが大切です。
契約時の比較のポイントとして、倒産リスクが低く安全性が高い法人や地域に根ざして親身に動いてくれる専門家を選ぶことがおすすめです。
口コミや契約実績なども確認し、安心できるライフパートナーを見つけましょう。
関連記事:身元保証契約とは?利用時のしくみや注意点を行政書士が解説
弁護士会が提言する身元保証契約の注意点とは
第二東京弁護士会では、身元保証契約について提言を行っています。提言内容は身元保証契約の注意喚起にもつながっているものです。
日本では、約9割の病院・施設が入院・入所時に身元保証人を求めていますが、超高齢社会・単身高齢者の増加という現実に合っていないと考えられます。
身元保証人がいなければ医療・介護を受けられないということは、権利を侵害していると言えるのです。身元保証人に依存する仕組みをやめ、成年後見制度・ホームロイヤー・保険・公的制度などを組み合わせて代替し、お金や家族がいなくても安心して入院・入所できる社会に改めるべきというものです。
上記の観点からも、当事務所では身元保証契約を単体でしていません。任意後見等の契約で包括的に賄えると考えており、ご依頼者様の不安に沿った契約内容をご提案しています。
参考URL 第二東京弁護士会 ゆとり~なからの9つの提言
身元保証や任意後見のご相談は横浜市の長岡行政書士事務所へ
横浜市を中心に活動する長岡行政書士事務所では、任意後見契約、遺言書の作成といった「終活」に関するトータルサポートを行っています。おひとりさまの相続に備えたご相談も可能です。
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