「自宅で遺言書を見つけたけど…」
「許可を得ずに勝手に開封しても問題ないの?」
「自宅で遺言書を見つけた場合の対処方法を教えて欲しい!」
上記のような疑問や悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか。
自宅で遺言書を見つけた場合、遺言書の種類によっては勝手に開封してはいけないとされています。しかしどのような遺言書であれば開封してはいけないのか、見つけた遺言書はどうすればいいのか、分からない方も多いでしょう。
この記事では自宅で遺言書を見つけたらどうしたらいいのか、開封可否や注意点を行政書士が解説します。
目次
遺言書の種類と開封方法
まず、遺言書は種類によって、開封のタイミングが異なります。代表的な遺言書の種類は、次の2つです。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
まずはそれぞれの遺言書の特徴と、自宅で見つけた場合の開封可否を紹介します。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言者本人が自分で書くタイプの遺言書です。遺言者本人が保管するケースが多く、自宅から見つかることも珍しくありません。
自筆証書遺言は検認の必要があるため、見つけても勝手に開封してはいけません。
検認とは見つかった遺言書を家庭裁判所に提出し、その内容や存在等を明確にする手続きのことです。
合わせて読みたい>>自筆証書遺言の検認とは?目的や必要な状況・流れを行政書士が解説!
申立人が家庭裁判所に検認を請求することで、手続きを進められます。検認期日には、申立人や相続人が立ち会いのもと、検認を行います。
なお検認期日当日、相続人は出席しなくても問題になりませんし、相続人は検認期日に出席をするのか自由に判断できます。
申立人は、戸籍や申立書を作成することから、法律の知識や経験を持っている人が望ましいです。
公正証書遺言
公正証書遺言とは公証人という法律の専門家が作成に関与するタイプの遺言書です。内容の不備がほとんどなく、原本は構成役場で保管されるため、確実性の高い遺言書です。
合わせて読みたい>>公正証書遺言とは?要件や注意点・メリット・デメリットを行政書士が分かりやすく解説!
公正証書遺言の「原本」は公証役場で保管されているため、自宅で見つかるのは「正本」「謄本」のいずれかです。
原本と同じ効力をもつ写しが「正本」、効力がない写しが「謄本」です。
遺言執行手続きでは「正本」を利用します。
そして公正証書遺言は検認の必要がないため、見つけたその場で開封しても問題ありません。
そもそも公正証書遺言の「原本」は公証役場に保管しているため、「正本」「謄本」などを開封したとしても違反になりません。
ただし、他にも相続人がいる場合はトラブルになる恐れがあるため、可能な限り全員の前で開封することをおすすめします。
開封する相続人の信用性にも影響するため、全員の承諾を得た上で開封しましょう。
自筆証書遺言を開封する流れ
自筆証書遺言を開封する、つまりは検認する流れは次のとおりです。
- 必要書類を揃える
- 家庭裁判所へ検認を申し立てる
- 家庭裁判所にて検認に立ち会う
- 検認済証明書を申請する
それぞれの流れについても紹介します。
必要書類を揃える
まずは検認に必要な書類を集めます。
- 申立書(裁判所のホームページからダウンロード可能)
- 遺言者の出生から死亡までの全ての戸籍謄本(除籍、改製原戸籍含む)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺言書が封印されてない場合は遺言書のコピー
被相続人の結婚歴・離婚歴などが複雑な場合、または相続人の本籍が遠方の場合など、相続人が自分で戸籍を収集するとなると手間がかかるかもしれません。
たとえば行政書士に相続関係図の作成を依頼していれば、被相続人の戸籍収集を代行してできます。
しかしあくまでも、検認申し立ては相続人・弁護士・司法書士が行うことがポイントです。
長岡行政書士事務所に相続手続きをご依頼いただいた場合は、信頼できる提携の弁護士等をご紹介するため安心してください。
家庭裁判所へ検認を申し立てる
検認の申し立てができる人は、次のいずれかです。
- 遺言書の保管者
- 遺言書を発見した相続人
そして申立先は「遺言者の最後の住所地の家庭裁判所裁判所」です。
家庭裁判所にて検認に立ち会う
家庭裁判所に申し立てると後日、検認実施日調整の連絡が来ます。そして「検認期日通知書」という正式案内が家庭裁判所より届くので、案内に従ってください。
なお、申立人は指定日時に家庭裁判所へ赴く必要があります。しかし、申立人以外の相続人は、必ずしも出席しなくても構いません。欠席することによって相続に関して不利益となることもないため、安心してください。
合わせて読みたい>>遺言書の検認は相続人全員が出席する必要がある?欠席したら罰則は?行政書士が解説
検認済証明書を申請する
検認完了後、検認済証明書を申請できます。
検認済証明書は金融機関や不動産等の名義変更手続きで必ず必要となるため、大切に保管しておきましょう。
自筆証書遺言の検認当日の雰囲気
遺言書検認時の開封に立ち会うことは長岡行政書士事務所でもたまにあります。
たまにというのは、公正証書ではなく自筆証書遺言を作成したいという依頼もあり、作成後に紛失や改ざんを防ぐために弊所で保管することがあるからです。
保管者は民法1004条による保管者として、遅滞なく提出し、検認を請求しなければならないという申立権者でもあります。検認当日は誰も来ないケースもありますが、多くは相続人の方が来られます。
以前、検認当日立ち会った際には、数十年という長い間、親と会っておらず、検認の期日呼出の連絡時に親の死亡を知ったという方が来られました。
検認時間になり、指定された部屋に入ると裁判官、裁判所書記官、ご相続人のお子様がおられました。
お子様は父親の遺言書を朗読している間に涙が溢れ出してきて、終了後、励ましの言葉をかけたことを覚えております。数十年経っても自分の親であることは変わらないですし、親子の絆なんだなぁと感じました。
こういった大事な場面に立ち会えて大変光栄であると共に遺言者の想いを引き継いでいきたいと改めて思いました。
遺言書の開封に迷ったら行政書士などの専門家に相談
結論として、自宅で遺言書を見つけた場合、それが公正証書遺言ならば開封しても問題なく、自筆証書遺言なら検認が必要であるため勝手に開封してはなりません。
しかし多くの方にとって、見つけた遺言書が公正証書遺言なのか自筆証書遺言なのか、判断が付かないのではないでしょうか。
検認の申し立てを出来る専門家は弁護士か司法書士ですが、長岡行政書士事務所でも安心できる提携の弁護士等をご紹介できます。
もし見つけた遺言書の開封に迷ったら、行政書士などの専門家に相談してみてください。
横浜市の長岡行政書士事務所でもご相談を受け付けており、そのまま相続手続きを代行することも可能です。初回相談は無料なので、ぜひお気軽にお問い合わせください。