遺言書の優先順位とは?種類や日付、法定相続分との関係について行政書士が解説!

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「続・金の斧 銀の斧」で学ぶ! 複数の遺言書が出てきたときの優先順位

遺言書があると、相続手続きがスムーズになると聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

たしかに遺言書があれば遺産分割協議を経ずに相続手続きを進められるため、非常にスムーズに手続きを進められます。

しかし、もしも遺言書が複数枚出てきてしまったら、その優先順位はどうなるのでしょか。

また、相続人には「法定相続分」も認められていますが、遺言書との優先順位はどうなるのでしょうか。

この記事では遺言書にまつわる優先順位について、物語形式で分かりやすく解説します。

 

あるところに、とてもまじめな木こりがいました。

木こりは毎日せっせと木を伐り、仕事に励んでいました。

木こりのお母さんは、息子がまじめに働く姿を見るのが毎日の楽しみ。

今日も、泉のほとりの森で、息子が木を伐っているそばを散歩していたお母さんは、木こりに大切なものを渡すつもりで、胸にある紙を忍ばせていました。

そんなとき、お母さんは、小さな切り株につまづいてしまいました。そして、お母さんが手にしていた紙が、池に落ちて沈んでしまったのです。

「困ったわ、どうしよう…?」

お母さんが持っていた紙は、なんと木こりのお父さんの遺言書でした。

そのときです。きらきら、きらきら、と水面が光り、泉からとても美しい女神があらわれたではありませんか。

女神は、両手に2枚の紙を持ちながら、きこりとお母さんに問いかけました。

「あなたが落としたのは、こちらの一昨年書いた遺言書ですか? それともこちらの昨年書いた遺言書ですか?」

「遺言書? お父さん、遺言書を書いていたのかい?」

木こりは、お母さんと女神に言いました。

「ああ、お前のためにと思ってね。でもおかしいね…女神様、遺言書は1枚のはずで、お父さんが書いたのは昨年だったはずなんですよ」

女神は、木こりとお母さんにやさしげな微笑みをして言いました。

「あなたは正直者ですね。ほうびに、すべての遺言書をさしあげましょう」

きこりは女神から、一昨年、昨年にお父さんが書いた遺言書を受け取りました。女神さまは、微笑みながらゆっくりと泉の中に姿を消しました。

木こりとお母さんは、渡された遺言書を見てびっくり。

「遺言書が2通もあるなんて…どの遺言書に従ったらいいのかねえ?」

「お母さん、赤ずきんちゃんに聞いてみない? 最近、行政書士っていう仕事につくために勉強してるんだって」

木こりとお母さんは、さっそく赤ずきんちゃんの元へと向かいました。

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遺言書が複数ある場合の優先順位

さて、木こりとお母さんから2枚の遺言書を預かった赤ずきんちゃんは、師匠である横浜市の行政書士さんと相談をしました。

赤ずきん「木こりさん、お母さん、調べてみたよ。この2通は内容が違う遺言書ね。しかも遺言書の残し方も違ってる」

木こり「どんな風に違うんだい?」

赤ずきん「一昨年のは、公正証書遺言といって、公証人に代筆してもらったものね。内容はすべての財産を木こりさんに譲る、とあるわ。これを第1遺言と呼ぶわね」

お母さん「昨年のはどうなんだい?」

赤ずきん「昨年のもの、つまり第2遺言のほうは、自筆証書遺言。つまり、自分で書いた遺言書ね。内容は、財産は木こりさんとお母さんにそれぞれ譲るとなっているの」

木こり「つまり、お父さんは一昨年遺言書を書いたけど、考え直して、昨年書き直したってことなんだね」

最新日付の遺言書が優先される

赤ずきん「そうね。原則としては日本の法律では、最後に書かれたもの、つまり最新の日付のものが優先されるの。遺言として効力があるのは、第2遺言になるのよ」

 

法的に効力がある、つまり法的に有効とは、法律で定められた遺言の要件・形式等を満たし、執行するのに適した有効な遺言であることを言います。

 

お母さん「公正なんとかと、自筆のものじゃ、何か違いがあったりするのかい?」

赤ずきん「公正証書遺言と自筆証書遺言ね。違う種類の遺言だけど、この違いで優劣が決まることはないわ。最新の日付であるかどうかが大事なの。でもね、ちょっと日付を見てみて」

法的に認められる日付の記載方法

木こり「なるほど、第1遺言が令和3年4月1日になっていて、第2遺言が令和4年4月…ん? 4月吉日となってる?」

赤ずきん「そう、吉日って、日付を特定できないでしょ? ということは…」

木こり「第2遺言は有効な遺言ではない、と言えるのね」

・有効性が認められる日付:令和3年4月末日、令和3年春分の日(など特定指定日)、令和3年自分の誕生日など

・有効性が認められない日付:令和3年4月吉日など

 

お母さん「そうかい…いや、私はもちろんいいんですよ、息子が相続してくれるのが一番だから」

木こり「お母さん、ありがとうな…」

 遺言書と法定相続分の優先順位

木こり「すべての財産を木こりに譲る、という遺言書が有効となった訳だけど、母さんには配偶者として法定相続分があるよね?遺言書と法定相続分は、どちらが優先するんだろう」

 遺言書は法定相続分に優先する

民法964条において、「遺言者(被相続人)は遺言によって、財産の全部または一部を処分できる」とされています。

これは遺産相続における最優先は「遺言者の意思」であり、基本的に 遺言書は法定相続分に優先するのです。

遺留分を行使すれば一定の財産を受け取れる

遺言書は法定相続分に優先するものの、たとえば赤の他人に全財産がわたってしまったら、生活に困ってしまうかもしれません。

そのため兄弟姉妹以外の法定相続人には、最低限受け取れる遺産割合が決まっています。これが「遺留分」です。

遺留分を行使すれば、たとえ遺言書が優先されるとしても、法定相続人として一定の財産を受け取れることも知っておきましょう。

合わせて読みたい>>遺留分とは何か?遺留分の割合と遺留分侵害請求について解説!

遺言書が複数あることを知らずに執行した場合

赤ずきん「ちなみに、木こりさん。もう遺言書はないと思って間違いないよね」

木こり「うん、女神さまからこの2通を渡されたからないと思う」

赤ずきん「それならよかった。今回、有効になるのは第1遺言のほうだけど、もし新たに最新日付の第3遺言が出てきたらややこしくなるんだよね」

遺言執行のやり直しが必要になる可能性がある

お母さん「もし遺言書が複数あることを知らずに執行したら、どうなるんだい?」

赤ずきんちゃん「最新の日付の遺言に基づいて執行をやり直す必要があるの」

・銀行等の金融機関で、有効な遺言の内容通りに分割し直す

・法務局の手続気を行い、移転した所有権を錯誤抹消した上で、正しい権利者へ所有権を移転

・相続税申告を済ませていた場合には、修正申告も必要

 

お母さん「なんだかややこしいのねえ…」

赤ずきんちゃん「そうなの、すっごく手間なのよね。手間がかかるのは悪いオオカミだけでたくさん…あ、何でもないわ」

遺言書有無の調査方法

木こり「遺言書がさらに残されていないか、一応、念のため調べておいた方がいいかもしれないね」

お母さん「そうだねえ。でもどうやればいいだい、赤ずきんちゃん?」

赤ずきん「遺言の調査方法は、公正証書遺言と自筆証書遺言の場合で変わってくるの」

 

・公正証書遺言:公証役場に問い合わせるか、公証役場が遺言検索システムで調査する

・自筆証書遺言:自宅等で遺品の中から探索する

・自筆証書遺言(法務局保管):法務局に証明書の交付請求をする

 

赤ずきん「もし遺品の中から探し出している最中に遺言が見つかっても、中身を開封しないでね。家庭裁判所で確認をとらなきゃいけないから」

木こり「うん、わかったよ」

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遺言書の有無はどう調べる?遺言書の探し方と遺言検索システムについて行政書士が解説

2通の遺言書の内容が抵触していた場合

赤ずきん「あと、さっき新しい遺言が優先されて、古い遺言は無効になると伝えたよね?」

お母さん「ええ、そうね」

赤ずきん「今回の場合は新しい遺言書が出てこない限り当てはまらないけど、例外もあるから注意してね。民法第1023条で規定された遺言書の抵触というものがあるの」

 

「前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす」(民法第1023条)

・古い遺言と新しい遺言で、内容が抵触する部分については古い遺言は撤回され新しい遺言が優先される

・ただし内容が触れない部分については古い遺言も有効となる

・前後の遺言がまったく無関係な内容である場合や、どちらの遺言も両立するような場合は、どちらの遺言も有効になる

 

相続手続き前の遺言書調査は必須

木こり「そうかあ、じゃまずはお父さんの遺品を一度整理してみるところから確認を始めようか」

お母さん「そうねえ、お父さんの思い出を振り返りながらね」

赤ずきん「もしよかったら、私が教えてもらっている行政書士さんを紹介するわよ。一緒に間違いないよう、お父さんの気持ちを大切にしましょう!」

こうして、木こりとお母さん、そして赤ずきんちゃんは、行政書士の指導のもと無事にお父さんの遺言を執行することができましたとさ。

おしまい。

 

横浜市の長岡行政書士事務所では、遺言書作成から相続手続きまで一貫して対応しています。

遺言書の優先順位はもちろん、法定相続人との関係についても分かりやすく説明しながら遺言書作成をサポートしますので、お気軽にお問い合わせください。初回相談は無料で対応しています。

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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