相談者70代Cさん(男性)
こんにちは。先日70歳を迎えました。最近、ネットで遺言書は認知症になってからだと作成ができない可能性があることを知りました。私の両親はどちらも70代で認知症を発症してしまい、自分もいつ発症してもおかしくないと思い、なるべく早く遺言書の作成を行いたいのですが、どこでどのように作成したらよいでしょうか?あと必要な書類など用意するのが大変で・・・負担少なく作成することは可能でしょうか?
回答:長岡行政書士事務所
この度はご相談ありがとうございます。
ご自身が認知症を発症してしまう前に、なるべく急いで遺言書を作成したいとのことですね。
長岡行政書士事務所としても遺言能力のあるうちに遺言書を作成なさることをおすすめしています。
早速ですが、もしお元気なうちに作成するのであれば、無効になりにくく改ざんを防げる公正証書遺言をお勧めいたします。
そこで、公正証書遺言を作成するために、一連の流れを把握しておく必要があります。公正証書遺言を作成する際には事前に準備する書類もあるからです。
では、一連の流れをこれからご紹介いたします。
公正証書遺言を作成する際は、次のような流れになります。
- 自分の考えを示したメモを作る
- 必要な書類等を準備する
- 公証人への相談・依頼
- 遺言者と公証人との打ち合わせ・作成日の確定
- 公正証書遺言を作成する(※作成日の当日)
この記事では、公正証書遺言の作成に必要な書類、その他具体的な作成方法や流れを項目ごとにご紹介します。
合わせて読みたい>>公正証書遺言とは?要件や注意点・メリット・デメリットを行政書士が分かりやすく解説!
目次
自分の考えを示したメモを作る
公正証書遺言を作成する遺言者は、事前に遺言の内容を記載したメモや必要な戸籍や住民票等の書類を準備します。
まずはどのような遺言内容にしたいのか、自分の考えをまとめたメモを作ってみましょう。
遺言作成には法律的な要素も絡みますが、最も重要なことは自分の遺志を示すことです。
どのような遺言内容にしたら自分の遺志通りになるか分からない場合は、ぜひ長岡行政書士事務所へご相談ください。それぞれのケースに沿って最適なご提案をいたします。
公正証書遺言に必要な書類を準備する
公正証書遺言を作成する時、自分の遺志を記したメモや、身分確認書類などを公証人に提出しなければなりません。
公正証書遺言を作成する際に必要となる書類として、以下のようなものが挙げられます。
- 遺言者本人の印鑑登録証明書(※3カ月以内)
- 戸籍謄本
- その他状況に応じた書類(遺贈者の住民票・不動産の登記簿謄本など)
なお、行政書士などの専門家へ依頼した場合は、自分で必要書類等を取得することなく専門家が代行取得してくれます。
遠く離れた戸籍や住民票等は慣れない方にとっては大変手間となりますので、これらも丸ごと依頼したほうが迅速に手続きを終えることができると言えます。
ご存じないかもしれませんが、各士業には職務権限で戸籍や住民票が取得できるようになっております。
もちろん不正請求はだめですが、私たちはこれらを用いて迅速に手続きを完了させるようにやることができています。
遺言者は早めに必要な書類等を用意し、時間にゆとりを持ちましょう。不明点があれば、長岡行政書士事務所にご連絡いただくか、お住まいの近くにある公証役場に確認してください。
ここからは、公正証書遺言に必要な書類についてそれぞれ詳しく解説します。
遺言者本人の印鑑登録証明書
遺言者に関する書類として、印鑑登録証明書が必要です。
また、「運転免許証」・「マイナンバーカード(※個人番号カード)」・住民基本台帳カードなどの顔写真付きの身分証明書が必要になるケースもあります。
戸籍謄本
遺言者本人と相続人との続柄を把握する情報として、戸籍謄本も必要です。
遺贈者の住民票
相続人以外の方に遺贈する場合、遺贈者の住民票が必要です。
仮に、法人へ遺贈する場合は、法人の登記事項証明書(※登記簿謄本)を用意してください。
登記事項証明書・固定資産評価証明書
財産に不動産が含まれる場合は、登記事項証明書(※登記簿謄本)と固定資産評価証明書(※もしくは固定資産税等の課税明細書)が必要です。
公証人・専門家への相談・依頼
公正証書遺言を作成する方法としては、「遺言者本人等が行う」と「士業等や銀行に依頼する」の2つがあります。
遺言者本人が公証役場に出向いた上で手続きを進める場合、公証役場に連絡(電話やメールなど)を入れ、予約を取ります。
予約日の当日、遺言者は公証役場に足を運び、公証人に依頼したり、相談したりします。
この際には、あらかじめ用意しておいた遺言の内容のメモや必要な書類を提出してください。
提出方法としては、「公証役場へ持参」・「メール」・「ファックス」・「郵送」などが挙げられます。
なお、多くの方が誤解されていることですが、公証人は依頼者が持ってきた文案や口述した公正証書の内容を作成するにとどまり、士業等の専門家みたいに「このような遺言書にした方がいい」「遺留分があるから〇条はこういう文言にしたほうがいい」等のアドバイスはしてくれません。
自分だけで公正証書遺言を作る場合、費用的には安く済むかもしれませんが、遺言内容にアドバイスがもらえないことはデメリットと言えばデメリットかもしれません。
公証人の立場は次にように定められているのです。
職務の性質上、一方当事者に偏ることなく、中立・公正でなければなりません。この点で、一方当事者からの依頼を受けて、依頼者の代理人等として依頼者の公正な利益のために活動する弁護士や司法書士等とは異なっています。(日本公証人連合会HPより)
したがって、もし遺言書の内容について決まっておらず、内容から相談したいと思われる方はぜひ専門家へ相談ください。
皆様の目指すゴールにたどり着けるよう一生懸命アドバイスさせていただきます。
公正証書遺言の原案を作成
公証人は遺言者から提出されたメモや必要な書類を確認します。
その後、公正証書遺言の原案を作成します。
そして、遺言者へ原案をメール等で提示し、内容を確認してもらいます。
(※内容に誤りがある場合は、公証人に修正してもらってください。)
公正証書遺言の案が確定した後、公証人は遺言者と打ち合わせを行い、作成日を確定させます。
また、作成日が決定すると同時に手数料も確定します。公証人は遺言者に対し、確定した手数料を伝え、作成日の当日に持ってきてもらいます。
手続場所は、公証役場もしくは出張で遺言者の自宅や病院等も可能です。
なお、行政書士などの専門家に依頼している場合、公証役場に必要書類や案文等の打ち合わせや段取りをやってくれますので、皆様は当日に公証役場または出張先にて手続きを完了させることができます。
余談ですが、過去に長岡行政書士事務所で遺言書を作成されたお客様で、当初は他の事務所に相談された方がいました。
他の事務所の先生は「それぐらい自分で公証役場へ行った方が安い、そっちに行った方がいい」と言われたそうです。
そのお客様は自分である程度案文は作っていたものの、やはり相談に乗ってほしい、必要書類を取得するのが面倒ということで、他の事務所ではなく長岡行政書士事務所に来られました。
「安く作りたいわけではなく、安心したものを作りたい」とおっしゃっていたことが印象的でした。
もし、安心した遺言書を作りたいのであればやはり専門家がいいのかもしれませんね。
公正証書遺言を作成する(※作成日の当日)
予約日の当日、遺言者は公証役場において、公証人と2名の証人とともに作成します。遺言者は公証人と2名の証人の前で、遺言の内容を口頭で伝えるのです。
(遺言者の体調等により、自宅や病院で作成することもあります。)
公証人は、その内容が遺言書の真意であるのか確認します。その後、原案に基づき作成していた公正証書遺言の原本を遺言者と2名の証人の前で確認してもらい、誤りの有無をチェックします。
この時の確認方法としては、原本を見てもらったり、聞いてもらったりします。修正の部分があれば、その場で修正することもあるので安心してください。
公正証書遺言の原本に誤りがない場合は、遺言者と2名の証人が公正証書遺言の原本に署名・押印します。さらに、公証人も公正証書遺言の原本に署名と職印を押印し、完成します。
(なお、遺言書を作成する場合、利害関係人には席を外してもらいます。
なお、証人はご自身が手配することも出来ますが次の方は証人になれませんので注意が必要です。
- 未成年者
- 推定相続人
- 遺贈を受ける者
- 推定相続人および遺贈を受ける者の配偶者および直系血族等
長岡行政書士事務所に依頼された場合は、専門家等の中立な第三者を手配いたしますので遠慮なくご相談ください。
合わせて読みたい>>公正証書遺言の公証人とは?スムーズに公正証書遺言を作る方法を行政書士が解説
公正証書遺言作成には事前の準備が大事
相談者:70代Cさん(男性)
戸籍などは自分で用意しなくても良いのですね。とても助かります。遺言書の内容も専門家の方たちが一緒に確認していただけるのであれば安心です。
1から全て私が自筆で書く必要も無いのですね。すっきりしました。
相談者:長岡行政書士事務所
安心なさったようで、私も嬉しく感じます。
遺言書作成の際にお急ぎの方は、ご相談時にその旨をお伝えしていただけたらと存じます。私たちはまずお客様一人一人の気持ちに寄り添い、心の安心感も得られるように心がけて参ります。
今回の記事では、公正証書遺言の作成方法についてご紹介しました。
遺言者が公正証書の手続きを進める場合は、事前に自分の考えを示したメモを作ったり、必要書類を用意する必要があります。
その後、公証役場に連絡をするとスムーズに手続きを進められるでしょう。
遺言者は、自らが納得できる公正証書遺言を作成できるように早めから用意を行ってください。一人では手続きができない場合は、行政書士等の専門家に相談することをおすすめします。