認知症などで判断能力が低下した人が書いた遺言書は有効?親が認知症でも遺言書は残せるか行政書士が解説

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【吾輩家族の遺言事情1】遺言書が有効と認められるための判断能力とは?

高齢化社会が進み、親が認知症になるケースも増えてきています。認知症になると判断能力が低下し、さまざまな行為が制限されるようになりますが、認知症に親が残した遺言書が有効なのか気になる方もいるのではないでしょうか。

何らかの必要があって遺言書を残してもらいたいと希望するケースもあるでしょうし、反対に認知症の親が子どもにとって不利な遺言書を残していたら無効だと思いたくなる気持ちも理解できます。

この記事では認知症などで判断能力が低下した人が書いた遺言書は有効なのか、有効であればどのような基準があるのかについて、横浜市で遺言書作成・相続手続きをサポートしている行政書士の視点から紹介します。

難しい法律の話になりすぎないよう、物語風に解説しますので、ぜひ参考にしてください。

 

吾輩は猫である。

名前はまだな…いや、一応、つけられたな。でも気に入らないので名乗らない。

なんでも、わが主の人間(女性)が、薄暗いところでニャーニャー泣いているので、困っているのだ。どうやら主の父親が残した遺言書の内容が気に入らぬと見える。

まったくもってやかましい。昼寝のひとつもできやせぬ。

なので、わが主を静かにさせてもらおうと、横浜市の行政書士長岡真也とやらのもとに出向かせた。

ふむ、この男、なかなかシュッとしている。吾輩の次にいい男であることは認めよう。

さて、どうなることやら。頼むぞ、行政書士長岡とやら。

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遺言書が有効とされる条件

長岡「ようこそいらっしゃいました。おや、かわいい猫ちゃんですね」

 

かわいいではない。かっこいいと言うべきであろう。吾輩は男児である。

 

長岡「資料によると、お姉さまもご相談者様も50代で、横浜市の中区にお住まいですか。お亡くなりになったお父様は80代で間違いないですね。それで、どのようなことにお困りでしょう?」

 

わが主「はい。実は亡くなった父が遺言書を残していたことが分かったんです。遺言書が書かれたのは亡くなる少し前。だいぶ判断能力も衰え、一人で何かするのは難しく、日付からしても施設に入所した後です。もしかしたら、認知症が進んでいたかもしれません。」

 

長岡「なるほど。遺言書の内容はどういうものなんですか?」

 

わが主「父の遺産は土地を含む自宅不動産と預貯金のみです。遺言書の内容は、ほとんどすべての財産を姉に相続させるとあったんです。私には、ごく少しの預貯金を相続させるだけだって…。ひどくないですか?」

 

ふむ、要するに姉と妹で相続内容に大きな違いがあり、そこが気に入らんわけか。最近吾輩のカリカリが安物になったのも、そこが関係あるのか?

 

わが主「父がその遺言書の意味をどの程度理解して書いたのか分かりません。でも、何となく納得ができなくて。もしかしたら、父は判断能力が衰えていて、姉がそこに付け入って…」

 

そんなわけはないだろう。姉は吾輩に会うたびに高級猫缶をくれるのだ。あんないい人がそんな悪さをするものか。

 

長岡「つまり、お父様の判断能力が衰えていたことを理由に、この遺言が無効であると主張できるのか、ということですね?」

 

わが主「はい。可能なのでしょうか?」

まず、遺言書が有効とされる条件について見ていきましょう。主な条件は次の3つです。

  • 遺言者が15歳に達している
  • 遺言書の要件を満たしている
  • 遺言能力がある

認知症などに起因する判断能力の低下が疑われるケースでは、遺言者は老齢であるでしょうから、問題となるのは「遺言書の要件を満たしているか」そして「遺言能力があるか」の2点です。

遺言書の要件を満たしている

遺言書が有効と認められるためには、法律で定められた要件を満たしている必要があります。

たとえば自筆証書遺言であれば、次のような要件が定められています。

  • 全文を自書すること
  • 日付を自書すること
  • 氏名を自書すること
  • 遺言書へ押印すること
  • 加除その他変更の方法についても正しく行われている

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長岡「そもそも、遺言書は自由に書けるものです。でも、有効とされるには決められた形式があります。形式不備になれば無効になりますが、今回は形式が不備であるとは言えなさそうですね」

わが主「確かに」

遺言能力がある

長岡「加えて、遺言者に遺言能力がないと判断された場合も無効となります。遺言能力とは、遺言書を作成する能力のことですね。遺言書の内容とその結果を理解できる力のことを言えます」

 

ほほう、ではこのやりとりを理解している吾輩も遺言を残すことができるのだろうか。もし吾輩が虹の橋を渡るときは、隠している干物を、隣の家のかわいい娘にでも残してやろうか。

 

長岡「でも民法の条文では、遺言能力の有無をはかる判断基準についてまで言及していませんので、どのように判断するのかが問題になるのです。例えば、遺言作成者が高齢の場合などで認知症が疑われる場合などですね」

 

そういえば、隣町のシャムばあさんがボケたとき、隣町を仕切っていたミケのやつが言っていたな。「シャムばあさんは獣医からもボケてると言われてた。だから、ばあさんが話していることは、俺様がきちんと裏取りをしないといけなかった」だったっけか。

 

長岡「認知症などを含めた精神状態等について医学的な判断を考慮しつつ、裁判官が遺言書の内容や作成動機についても考慮した上で、遺言能力の有無を法的に判断することになります」

つまり、たとえ認知症だからといって、ただちに遺言能力が認められないわけではないのです。

認知症などが疑われるケースで遺言能力を判断する基準

つづいて、認知症などが疑われるケースで遺言能力を判断する基準について見ていきましょう。

  • 医学的な遺言能力の判断基準
  • 法的な遺言能力の判断基準

医学的な遺言能力の判断基準

長岡「お父様の診察記録や診断書、もしくは介護記録や要介護認定の資料といったものはありますか? こういう資料は医師などが客観的に遺言者を診察した結果が記されていますので、遺言能力の有無の判断にあたっては、とても大切なものとなります」

 

わが主「確認してみないとわかりませんが、お医者さんやヘルパーさんに聞いてみます。もし認知症だとはっきりしたら、遺言書はなかったことにできるんですね?」

 

まったく、もう必死じゃないか。そもそも姉ともう少し仲良くしてほしいものだ。そうしたら吾輩の元に運ばれる高級猫缶も増えるというのに。

 

長岡「認知症と一口に言っても症状や進行具合は様々です。個別の案件ごとに遺言能力の有無が判断されることになりますね。もっとも、医学的な判断は、それ単独では遺言能力の有無を決定づけるものにはなりません」

 

わが主「え? ほかにも何かあるんですか?」

法的な遺言能力の判断基準

長岡「遺言書の内容を理解していたのかどうか。それは、その遺言書の内容によっても異なるのです。例えば、こちらの猫ちゃんがどこかに干物を隠していて、それを隣の家にすむかわいい彼女にあげるというような単純なことであれば、理解はしやすいでしょう」

 

ぎくり。この男、なぜ吾輩の考えがわかるのだ? た、例えばの話だ。そ、そうするとは、まままままだ言ってないだろう…。そして吾輩は…単純などではないぞ。

 

長岡「しかし、複雑であれば理解が難しくなる場合があります。したがって認知症などの精神状態を明らかにしつつ、そのような状態で理解して書いた遺言書だと言えるのか、遺言内容について法的な見地から判断することも必要なんですね」

認知症の方が残した遺言書の内容から有効・無効が判断されるケースもある

認知症の方が残した遺言書の内容から有効・無効が判断されるケースもあります。

わが主「うちの場合、遺言書の内容はわりとわかりやすいほうかもしれませんね」

  • 財産は自宅不動産と預貯金のみ
  • ほとんどすべての財産を姉に相続させる
  • 妹には、少しの預貯金を相続させる

長岡「すべての預貯金を姉に相続させるというものであれば単純と言えるかもしれませんが、子どもに差をつけた理由が何であるのか、ここに合理的な理由がないのは気になるところです」

 

わが主「そう、そうなんです! 父は、こう言っては何ですが、決して頭の回転が速い人ではないのが一目瞭然だったんです! だって、日ごろからぼんやりして、趣味と言えばせんべいをかじりながらテレビを見るくらいでしたから」

 

わが主よ、それは、あなたのことではなかろうか…。

 

長岡「お姉様のことは今どうこう言えることはできませんが、遺言内容の複雑性と合わせ、作成した動機について思い違いなどがなかったかを検討してみる必要はありますね」

今回の事例でいうと、「全財産を姉に相続させる」という内容であれば、認知能力の衰えた遺言者が自らの遺志で記述した可能性もあるでしょう。

しかし、 「不動産の全てと、預貯金の大部分を姉に相続させる。預貯金の一部を妹に相続させる」という内容は、認知症が疑われる方が残す遺言書としては複雑だと考えられます。

このような差を付けることに対して合理的な理由があると判断されるか、もしくは第三者がそそのかして作成させたのか、遺言内容の複雑性も遺言能力の有無を判断する基準となるのです。

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遺言の有効性に疑問を感じたときの対応

もし遺言の有効性に疑問を感じ、遺言書の無効を主張したとしても、他の相続人が納得しない場合もあります。

このようなケースでは原則として、まずは家庭裁判所に調停を申し立てます。

そして調停でも折り合いがつかない場合は、地方裁判所へ「遺言無効確認訴訟」を提起します。

このようなケースでは弁護士の対応も必要になるため、可能であれば認知能力が疑われる事態になる前に、周囲の方へも自分の考えを伝えておき、それを遺言書として残しておいた方がいいでしょう。

遺言書の作成は行政書士へも相談できる

わが主「ありがとうございます。ぜひ引き続き相談にのってください」

 

とりあえずは第一歩というところか。人間の遺言で、特にお金とやらが絡むものについては、いざこざが少なくなさそうだが…わが主と姉に仲良くしてほしいのは吾輩の本心である。

きちんと解決するために、行政書士という人間は、なかなか役に立つようじゃないか。遺言書作成するのは元気なうちに相談にするのがいいのじゃな。

吾輩ほどではないが、まあ、認めてやってもいいだろう。

さあ、腹が減った。家に帰ってカリカリ食べて爪とぎでもしよう。

 

横浜市の長岡行政書士事務所では、遺言書作成を全面的にサポートしています。「余命宣告を受けたので、一刻も早く遺言を作りたい」というようなご相談にも対応経験があり、相続人の負担を減らしたいという方のご相談に病院で打ち合わせをすることもあります。

高齢ではあるもののどうしても遺言書を残したい方、高齢のご両親が生きている間に遺言書を残したいと考えているお子さん、どちらからのご相談でも大丈夫です。

ぜひ一度、ご連絡ください。初回相談は無料で対応しています。

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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