長岡行政書士インタビュー:うまく話せなくなってしまっても遺言書は作れるの?

記事更新日:

本日はどうぞよろしくお願いいたします。

さて、早速お伺いしたいのですが、話すことができなくなってしまったら、遺言書を作成するのはもう無理なのでしょうか。

実際、私の知人の親が脳梗塞で脳にダメージが残りうまくしゃべれなくなってしまい、相続の心配をしています。

 

長岡:

そうですね、このような場合は結論から申し上げますと、遺言能力があれば失語症等でうまく話せなくなってしまっても遺言書の作成は可能です。

 

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遺言能力とは?

遺言能力、ですか。あまり聞きなれない言葉ですが。

 

 

長岡:

はい、端的に言えば遺言を残す本人が、遺言の内容を理解して、その結果自分の死後にどようなことが起きるかを理解することができる能力のことです。

後遺症による失語症のような後発的言語障害は、理解や判断はできるけれど言語として発ることができないだけなんですね。

ところが同じ話すことができないでも、認知症は理解力や判断力が失われてしまう状態なので、この場合は遺言能力が否定されます。

 

なるほど、本当は理解しているのだけどしゃべれないだけなのか、そもそも理解できてないかの違いということですね。

 

長岡:

そのとおりです。ただ失語症にも、運動性(ブローカ失語)や感覚性(ウェルッケ失語)等の分類があり、前者は理解はできるが話すことができない、後者は言語の意味が理解できないため、後者では遺言書の作成が難しいとされています。

 

失語症といっても色々あるのですね。では、理解はできるのだけど話すことができない状態

の場合は具体的にどのようにして遺言書を作成したらいいのでしょうか?

 

長岡:

この場合は公正証書遺言がいいでしょう。民法の中にもこのような状況が想定されています。ちょっと見てみましょう。

 

第969条の2 口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第二号の口授に代えなければならない。

 

本当だ、確かにしゃべれない場合の遺言書の作り方も書いてありますね。でも失語症等であ

れば言いたいことも十分に言えないから実際に遺言書を作るのは難しいかと思いますが。

 

長岡:

聞く能力が残っており、かつ少しでも発声できれば、それをベースに筆談などで補い、総合的に意思表示をしていただくことになります。

 

 

実際の流れ

長岡:

イメージをつかんでいただくためにも、私がお手伝いさせていただいた実際のケースを紹介しさせてください。ご本人様は80代と高齢で高齢者施設に入所されていて、相続人である奥様から当事務所にご相談いただきました。

 

ご相談から打ち合わせまで

長岡:

ご心配されている点はご本人様が高齢かつ脳梗塞により失語症になっており、この状態ではたして有効な遺言書が作成できるのだろうか、という事でした。

奥様と一緒に打ち合わせをし状況を確認していく中で、今回は公証人に高齢者施設に出張してもらい公正証書遺言を作成することにしました。

 

公証人が出張して施設に来てくれるのですか?

向こうの事務所に行かないといけないと思っていました。

 

長岡:

はい、通常はこちらが公証役場に行きます。ただ、事情があり、また交通費や割増費用を負担することで、向こうから出張して来てもらうことが可能になります。

 

なるほど、わかりました。

ところで基本的な質問で申し訳ないのですが、なぜそこまでして遺言書を作る必要があったのでしょうか?

 

長岡:

実はこちらご夫婦にはお子様がおらず、ご本人様のご両親も既に亡くなっていたのですが、ご本人様のご兄弟がまだご存命でした。ご本人様は遺産の全額を奥様に遺したいお気持ちだったのですが、仮に遺言書がないと法律上相続権者は奥様とご兄弟になり、遺産分割協議という話し合いが必要になってしまうのです。

 

奥様もご高齢でしょうから、その状態で遺産をどう分けるかの話し合いに参加するのは大変でしょうね。

 

長岡:

まさしくその点を以前からご夫婦は心配されていたですが、運悪くご主人様が脳梗塞になってしまい、施設入所後のご相談となってしまったのです。

遺言書があれば状況は大きく変わります。実は兄弟姉妹には遺留分という法律で認められた相続で最低限もらえる遺産の権利がありません。なので遺言書の中で奥様に遺産全額を遺す旨を述べておけば奥様の負担なく円滑な相続が可能になるのです。

 

なるほど、わかりましした。次に事前準備に関してですが、奥様も高齢でしょうから大変な作業だったのではないでしょうか?

 

長岡:

そうですね、まず奥様との打ち合わせも一度で終わるとは考えておりませんでしたし、何度も事務所までご足労願うわけにはいかないので、私の方からも自宅を訪問させていただきました。また、奥様とだけでなくご本人様にも意思確認をさせていただくため、施設に訪問させていただきました。

 

入念な打ち合わせが必要だったのですね。ご本人様は失語症でも意思確認はできたのでしょうか?

 

長岡:

はい、その点は問題なかったです。

次に書類の準備にとりかかったのですが、ざっと挙げただけでも

必要書類備考
遺言者に関する書類戸籍謄本本籍地の市役所で取得
印鑑証明書作成後3か月以内のもの
財産をもらう人に関する書類

 

遺言者との関係がわかる戸籍謄本(※)

(遺言者の戸籍謄本に記載されている場合は不要)

 

財産をもらう人が遺言者の相続人である場合
住民票財産をもらう人が遺言者の相続人でない場合
不動産関係固定資産税の納税通知書市役所から毎年4月頃に郵送されてくるもの
登記事項証明書法務局で取得
預貯金等通帳などのコピー金融機関名・支店名のわかるコピー
預貯金等の内容のメモ預貯金等の現在の金額のわかるメモ。証明書は不要
その他財産財産の内容がわかるメモ内容と、現在の金額(価値)のわかるメモ

 

などが挙げられます。

 

我々行政書士は職務上請求という手段で、職権により必要な書類の交付を請求できるので代行させていただく事で奥様のご負担を減らすことができました。

 

また、専門知識や人的ネットワークも必要です。たとえば公正証書遺言には証人が2人以上必要なので、1人は私、もう1人は守秘義務がある専門職の先生にお願いさせていただきました。

 

遺言書作成当日

長岡:

約3週間ほどかけて書類及び遺言書案文を作成し、公証人、証人、奥様と日程を確認しました。ご本人様は施設に入所されているため、奥様を挟んでの段取りとなったのです。

 

当日はどのように進行したのでしょうか

 

長岡:

準備をしっかりしておいたので円滑に進みました。ご本人様には用意したホワイトボートを使い筆記でコミニュケーションをとらせていただき、その場で公証人が筆記を確認し、遺言者、つまりご本人様及び証人2人が署名捺印をして無事に完了した次第です。

 

なるほど、しゃべれなくても遺言書が作成できたわけですね。

 

長岡:

はい、一番うれしかったのは最後にご本人様も安堵されたのか、ジェスチャーでありがとうございますと私たちに言ってくれた時ですね。私も緊張がどっとほどけてつい笑顔になってしまいました。この仕事は法律を何回も調べたり役所に足しげく通ったり、また様々な調整に気を使って緊張することも多いですが、やっぱりこういう時にやりがいを強く感じますね。

 

 

今日のまとめ

失語症等でしゃべれなくなってしまっても、遺言能力が確認できれば遺言の作成は可能です。筆談により意思を示していただき、公証人や証人が遺言者の場所まで赴いてその場で公正証書遺言を作成することが可能です。

 

 

 

事前に日程等の段取りをつけたり必要書類を準備したりと専門的な経験や知識が必要とされる事も多いので、専門家を利用していただき円滑な相続をされることをお勧めします。

 

 

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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