遺言作成能力の有無を検討するのに必要な資料とは?ポイントを行政書士が解説!

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遺言作成能力の有無を検討するのに必要な資料とは?ポイントを行政書士が解説!

 

遺言書を作成するにあたり、判断能力がないと作成できないと聞いたことがあります。ひとえに判断能力と言っても、どのような状況やどのような資料があればこの判断能力を検討できるでしょうか。この記事では、遺言書を作成するにあたって必要な資料について、「物語風」に解説します。遺言作成時の能力を検討する資料について分かりやすく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

みなさん、どうも。ぼくは名探偵として知られる明智小五郎先生の事務所で働く、助手の小林です。

突然ですが、みなさんはどんな「能力」をお持ちですか?

誰だって得意なことってありますよね。計算が早いとか、パズルが得意とか。

うちの明智先生みたいに、推理で犯人を当てる…ようなことはなく、人の神経を逆なですることが得意だとか。

今回は、そんな「能力」にまつわるお話です。能力といっても遺言能力。つまり遺言の内容を理解して、その結果自分の死後にどのようなことが起きるかを理解することができる能力のことですね。

実は、遺言書を作成するには遺言能力が必要不可欠なんです。

今回の相談者は、なんでも、亡くなったお父さんが遺言書を書いていた時点で認知症を発症していたそうで、遺言は無効なんじゃないかと心配になっているわけなんです。

そろそろお見えになると思うのですが…あ、いらっしゃいました。

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遺言能力の有無はどうやって判断される?

相談者「お忙しいところすみません。事前にお伝えしていた相談内容なんですが…」

小林「ええ、いろいろ資料を準備しています。そうですね、まずは遺言能力そのものから解説しましょうか。あ、コーヒーどうぞ。お砂糖とミルクもこちらに」

相談者「ありがとうございます」

さまざまな要素を総合的に判断する必要がある

明智「能力とはいっても、遺言能力は自分が書いた遺言の内容を理解して、自分の死後にどんなことが起きるかを見通すという力のことだ。超能力だとかそういう妙な話ではないからな」

小林「先生、最近超能力番組を見てハマるのはいいんですけど、事務所のスプーンを何本もへし折るのはやめてもらえませんか?」

明智「ユリ・ゲラー! うりゃっ!」

小林「古っ…しかも完全に力頼みだし」

相談者「あの…」

小林「ああ、すみません、話を続けますね。遺言能力は、一般的に商取引において判断を下すような能力よりは低い程度のものを意味するとされています」

相談者「理解力、判断力という感じですか?」

成年被後見人等でも遺言書を作成できる場合がある

小林「そう考えても差し支えないでしょう。認知症などで成年被後見人、被保佐人、被補助人がついていても、一定の状況、遺言内容であれば、遺言能力は肯定されることがあります

相談者「明確な線引きはないんですか?」

小林「それが難しいんですよね。いまだに絶対的な判断基準は確立されていないんです。だから、実際は裁判において様々な要素を総合的に判断したうえで、遺言者に当該遺言に関する遺言能力があるかどうかが判断されているんですよ」

明智「そうだ。スプーンひとつ曲げるにも、超能力に加えてハンドパワーを使うこともある」

小林「先生のいうハンドパワーって、要するに筋力でしょ。Mr.マリックさんに失礼ですよ」

明智「む。失敬」

合わせて読みたい:成年被後見人になったら遺言書を作ることができるの?ポイントと対策も行政書士が紹介!

遺言能力の有無を判断するのに使われるのは?

小林「遺言能力の有無を判断するために、いろんな資料が使われるんです。たとえばこんな感じです」

遺言能力の有無を判断する資料

  • 長谷川式認知スケール
  • 医者によるカルテ、検査結果など医学的見地から残された資料
  • 介護記録や看護記録、故人が遺言作成当時に書いていた日記など
  • 偽造でないことが証明された自筆証書遺言、公正証書遺言

長谷川式認知スケール

小林「まずは長谷川式認知スケールから見ていきましょう。実際にやってみますね。明智先生、今日は何日ですか?」

明智「うむ。縁日」

小林「明智先生、私たちがいるところはどこですか?」

明智「うむ。京都太秦映画村」

小林「このような場合は、遺言能力なしとなります。要するに医師から本人に対して自分の年齢、今日は何日であるか、今自分がどこにいるのかなどの質問をして、その回答内容に点数をつけ点数によって認知機能の低下の具合を計測するわけです。『いま家ですか? それとも病院ですか?』など誘導を含むヒントによって正解できても加点になります」

明智「…ですかといえば…元気ですかー! 元気があれば何でも…」

小林「うるせえ」

相談者「本人の記憶力、計算能力、言語理解、空間認知、判断力、思考力、認識力などを数値化するというわけですね」

小林「はい。一定の点数以下の場合は遺言能力を認めないことが多く、点数が高いと認められる可能性が高くなります

医者によるカルテ、検査結果など医学的見地から残された資料

相談者「2番目の医学的見地のある資料というのは?」

小林「本人の入院通院していた病院等医療機関のカルテ(看護日誌、CT・MRI、各種検査内容を含む)ですね」

相談者「でも入手するのが大変なのでは? 外へ持ち出せない情報でしょうし」

明智「黄金仮面やルパンの奴なら、いともたやすく持ち出せるだろうがな」

小林「黄金仮面やルパンはカルテ狙いませんって…。本人が生きているときは相続人が遺言者のカルテのコピーを請求することはできませんが、死亡した時は法定相続人は、カルテの開示を求めることができるんです」

明智「わからんぞ。宿敵であるこの私のカルテなら対決のための資料に…」

小林「あんたピンピンしとるがな。カルテの開示については、日本医師会の「診療情報の提供に関する指針」及び厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」の2つのガイドラインがありましてね。ガイドラインによると、医療機関は死亡に至るまでの診療経過や死亡原因等の診療情報を提供しなければならないとされているんです」

介護記録や看護記録

相談者「なるほど。だったら3番目の介護記録や看護記録なども理解しやすいですね」

小林「ええ、自治体の介護認定を受けていた場合は介護認定票も重要な資料となります。医療従事者による資料ではないですが、遺言者が日記などをつけていた場合も参考になります。その内容と遺言内容に矛盾がないか、あれば合理的な説明がつくのかという点もチェックしたほうがいいですね」

偽造でないことが証明された自筆証書遺言、公正証書遺言

相談者「自筆証書遺言は、認知症患者をだまして自分に有利なように書かせる悪質な行為があったりしますよね」

明智「何⁉ そんな不逞の輩はこの明智小五郎が成敗してくれる! どこだ、どこにいる?」

小林「今ここにはいませんよ…。確かにそのような残念な事件は後を絶ちませんね。でも考えようでしてね」

相談者「考えよう?」

小林「特定の相続人が誘導して書かせた自筆証書遺言のほとんどは極めて短い文言です。それに全部自分に相続させる遺言であることが大半なんですよ。つまり…」

明智「遺言能力がない本人に細かい指示をして誤字脱字なく書き切ることには限界があるのだ」

小林「やっとまともなこと言った…。逆にいえば、ある程度細かい内容の自筆証書遺言が作成されている場合、偽造でないことが証明できれば遺言が有効となる可能性が高くなるのはわかりますよね?」

相談者「はい。では公正証書遺言のほうも…」

小林「公正証書遺言は公証人などの客観的な第三者の関与がありますから、だまされている危険性は少ないと言えます。また、いつから連絡を取って準備をし始めたかなどの時期もわかるので、問題とすべき遺言作成時の状況が特定しやすいんですね」

相談者「だったら遺言を書くときには公正証書遺言にすべきだな」

小林「確かにお勧めは公正証書遺言ですが、事前に文面の準備は可能であり、また遺言者本人が遺言作成の準備段階に参加してないこともあります。公正証書遺言であるから確実に有効というわけではないことは頭の片隅に入れておいたほうがいいでしょう」

遺言書は遺言能力があるうちに作成する

相談者「いろいろと教えていただいてありがとうございました」

小林「いえいえ、遺言能力の有無を検討するための資料を解説しましたが、あくまでも証拠となり得るということであり最終的には裁判所の判断に委ねられるんです。だからできるだけ遺言能力に疑いがないうちに遺言を書いておくのが一番ですね」

相談者「そうですね」

小林「もしも既に遺言をするときに高齢になっている、もう認知症の症状が出始めているなど、遺言能力に疑いを抱かせるような事情がある場合には、医師の診察を受けて、本人のその時の状態を後で証明しておけるようにしておくのも大切ですね」

相談者「はい。そのようにします」

小林「あら、すっかりコーヒーが冷めてしまいましたね。淹れ治してきますね。ん? スプーンがない…?」

明智「ふははは、最後の1本もこの私の超能力で曲げてやったぞ!」

小林「あーけーちー! ちょっと事務所の裏にこい!」

 

この記事を詳しく読みたい方はこちら:遺言能力の有無を検討するのに必要な資料って?行政書士が解説!

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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