
ご自身が旅立った後に残された家族の生活、心配になりますよね。特に永年連れ添った配偶者の生活が困らないようにしたいというのが人情というもの。
ご夫婦の一方が亡くなられても、遺された配偶者が家に住み続け、生活を維持していくためには、どんな手続きが必要になってくるのでしょうか?
今回は、ご自身亡き後も引き続き配偶者をご自宅に住まわせたい場合の遺言書の書き方について、クイズ形式で解説していきます!
「妻(夫)に家を残したい」という思いのある方は、ぜひお読みいただいて、遺言書作成のご参考にして頂ければと思います。
本記事は、通常の法律の文章は難しいことから、楽しくわかりやすくお伝えするためにクイズ形式にしています。
そのため、法律的な表現が少し変、厳密に言うとこうだ!等あるかと思いますが、そこは温かい心で読んでいただければと思います。
目次
夫が亡くなったあと妻が家に住み続ける方法
では、クイズ形式で出題しますので、家族やご友人とチャレンジしてください。さあ、あなたのまわりで、遺言書クイズ王になるのは誰だ⁉
今回も、司会の私と、解説の行政書士長岡さんでお届けしいたします! 長岡さん、よろしくお願いします!
では、第1問です!
Q:夫名義の不動産、夫が亡くなった場合、妻はその家に住み続けることができるでしょうか?
A:いままで住んでいたんだからローンさえ払えれば住めるでしょ
B:夫の名義なんだから所有者がいない今、何か対策をしないと住めないでしょ
正解は…Bの「夫の名義なんだから所有者がいない今、何か対策をしないと、妻は住めない」です!
長岡さん、やはり住宅が夫名義というのが、妻が住み続けるためにはネックなんですかね?
長岡「そこなんです。不動産も遺産相続の対象となりますから、妻が安心して暮らし続けるためには、家の所有権を確定させる必要があります」
でも一緒に長年住んでいたわけじゃないですか? そこに住みたいってのが人情ってもんじゃないですか。
長岡「その気持ちはよくわかります。でも遺された配偶者が自宅に住み続けるように対策をとることもできるんです。それが、遺言です」
どのような内容の遺言にするんですか?
長岡「配偶者を住まわせる場合、主に2通りの方法があります。1つめは遺言で不動産を相続させる方法。2つめは配偶者居住権を設定する方法ですね」
《遺言で不動産を相続させる方法》
・遺言書で不動産を配偶者に遺す
・遺言書で不動産の配偶者居住権を設定する
遺言で不動産を相続させる
長岡「遺言で不動産、つまり住居を相続させれば、配偶者亡き後に家に暮らし続けることに何の問題もありません。しかし不動産を相続させることで自宅に配偶者が引き続き住む場合、いくつか問題になりやすいケースがあります。1つめは遺留分侵害額請求をされる可能性があることです」
遺留分について詳しい説明はこちら:遺留分とは?遺言書作成時に知っておくべきポイントを行政書士が解説!
長岡「仮に土地・建物の自宅不動産は妻に相続させ、預貯金を含む他一切の財産は長男・次男で1/2ずつ相続させるとき、土地・建物の価額が4000万円、預貯金等の財産が800万円だったら相続財産は、妻4000万円、長男・次男がそれぞれ400万円になりますね」
遺留分は、一定の相続人に認められた「遺産を最低限受け取ることのできる割合」ですから、「配偶者+子2人」の場合、子ども一人あたりの遺留分は8分の1となりますね。
長岡「そうです。相続財産合計4800万円の1/8が子ども一人当たりの遺留分ですので、金額にすると600万円。つまり200万円、子どもたちが受け取ることができないないことになります」
このような場合、長男・次男はそれぞれ不足する200万円ずつを、妻に支払うよう請求することができるんでしたよね。ということは、妻がこの支払いに応じられる財産を持っていなければ、請求に対応できる資金を捻出することが難しいという事態になってしまいます」
もしかしたら自宅を売ってでも現金化しなくちゃいけなくなる…それだと遺言者の思いが実現できませんね。
長岡「そうなのです。そして2つ目の問題が、たとえ遺留分を侵害していないとしても、不動産のみを相続した場合、金銭で受領する財産がないため、遺された配偶者が今後の生活費を確保することができない場合もあるのです」
げげげ…の鬼太郎…!
長岡「スルーさせてもらいます(汗) 遺言で不動産を相続した場合、他に預貯金についてもある程度相続するか、遺された配偶者自身の預金を考慮して遺言書の作成をしたほうがいいわけですね。
配偶者居住権を設定する
長岡「遺留分を請求されたとして、もしも金銭を支払えない可能性が高いのであれあば、配偶者居住権を遺言書で設定するとよいのです」
ありがとうございます。ではここで2問目です!
Q:配偶者居住権とは、どのような権利でしょうか?
A:自宅に住む権利
B:自宅を賃貸として貸し出せる権利
正解は、Aです! まあ、文字通りで、配偶者が自宅に住む権利のことですね。
長岡「そうです。配偶者居住権は、2020年4月1日から施行された新しい制度です。
通常、建物の所有権には、不動産を使う(=住む)権利と、不動産を売却してその代金を受け取ることのできる権利である、その他の権利が含まれているんです。
でも配偶者居住権の仕組みは、この住む権利とその他の権利を別々の人が相続することを認めているんです」
《配偶者居住権》
・住む権利⇒配偶者居住権
・その他の権利⇒配偶者居住権が設定された所有権
例えば3000万円の土地・建物があるとしましょう。建物について配偶者居住権を1000万円、配偶者居住権が設定された所有権が2000万円だとすると、配偶者はいくらの配偶者居住権がもらえるんですか?
長岡「1000万円の配偶者居住権を取得することになります。」
配偶者居住権の4要件
長岡「もっとも配偶者居住権が認められるためには条件があるんです」
条件ですか? なんだかクイズのにおいがしてきたぞ…!
長岡「長年一緒に暮らしているご夫婦であれば、そこまで厳しい条件に感じることはないかと思いますが、認められるために次のような条件があります」
はい、ちょっと待ってください、長岡さん! それではここで3問目です!
Q:配偶者居住権が認められるための条件は4つ。
・相続開始時点で、配偶者がその自宅に住んでいたこと
・遺言または遺産分割によって「配偶者居住権」を取得すると定められている場合
・相続開始時点で、配偶者が居住する建物を配偶者以外の者と共有していないこと
では、残りひとつはなに?
A:配偶者居住権を買い取ること
B:配偶者居住権を登記すること
正解は、Bです!
遺産分割協議などで配偶者居住権の相続が決まったとしても、登記をしなければ効力を発揮しません。
「効力を発揮しない」とは、登記しないままでいた場合、新しい所有者である子どもが勝手に売却してしまう可能性があるということです。
配偶者居住権の登記は、建物所有者と共同で申請手続きをする必要があります。
配偶者居住権取得のメリット
配偶者居住権を取得するメリットを詳しくまとめると、次のようになります
- 遺留分問題の可能性を低くできる
- 生活資金も相続できる
遺留分問題の可能性を低くできる
配偶者が不動産そのものを相続する場合、配偶者の相続分が多くなってしまい、遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
これに対し建物に配偶者居住権を設定した場合は、不動産の価値を配偶者と所有権を相続する人との間で分けることになりますので、遺留分を侵害する可能性が低くなります。
生活資金も相続できる
不動産そのものの相続は金銭的価値が高い場合、配偶者の相続分が多額になりやすいです。
他の相続人とのバランスを考慮した結果として、不動産を相続する配偶者が、預貯金などを相続できないこともあります。
けれども配偶者居住権は不動産そのものよりも価値が低いため、預貯金等他の財産も合わせて相続したとしても、他の相続人とのバランスを保ちやすいことがポイントです。
生活資金となる預貯金等も相続させたい場合、配偶者居住権を活用することを検討してみてください。
配偶者居住権取得のデメリット
長岡「もっとも、配偶者居住権はいいことづくめではなく、デメリットもあります。次のようなものですね」
- 物件の売却が難しい
- 配偶者居住権は譲渡できない
- 所有者と配偶者の関係でトラブルが起きる可能性がある
配偶者居住権が設定されている間は物件の売却が難しい
配偶者居住権が設定されている間は物件の売却が難しいことは、代表的なデメリットです。
ただし、このデメリットは、配偶者居住権付きの所有権を相続した相続人からみた内容となります。
そもそも配偶者居住権が設定されている場合、所有権を相続した相続人は、その物件に住むことはできません。
そして建物を売りたくとも、そのような所有者が住めず、亡くなった方の配偶者が無料で住み続ける物件を購入してくれる買い主はいないでしょう。
配偶者居住権は原則的に配偶者の終身存続しますので、建物を相続したとしても活用する機会がなく、いつ活用できるようになるのか定まっていない点を知っておく必要があります。
配偶者居住権は譲渡できない
また、配偶者居住権は、第三者に譲渡することはできません。基本的には、配偶者が住み続けることになります。
したがって、途中で施設に入所するために譲渡する、というようなことはできません。
なお、譲渡ではなく第三者に使用収益させることはできますが、その場合、所有者の承諾が必要です。
所有者と配偶者の関係でトラブルが起きる可能性がある
さらに、配偶者居住権は所有者にとって不動産の活用を狭めるものでありますが、この他、建物の修繕や使い方などについて、所有者と配偶者の仲が悪い場合はトラブルになってしまう可能性も考えられます。
配偶者と所有者の関係がよければ問題はありませんが、疎遠だったりあまり関係が良くない場合には、トラブルが起こる可能性も考慮した上で、配偶者居住権を設定するべきかどうか十分検討することが必要と言えます。
配偶者に家をのこす遺言書の書き方
それでは実際に、配偶者に 家をのこす遺言書の書き方について見ていきましょう。
住居を相続させる遺言書
住居を相続させる遺言書であれば、次のように記述します。(あくまでも一例です)
第○条 遺言者は、遺言者の所有する下記の土地を、遺言者の妻 横浜 花子(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
記
所在 神奈川県横浜市△△△区
地番 △番△
地目 宅地
地積 ○○㎡○○
第○条 遺言者は、遺言者の所有する下記の建物を、遺言者の長男 横浜 花子(昭和○○年○○月○○日生)に相続させる。
記
所在 神奈川県横浜市△△△区
家屋番号 △番地△
構造 木造スレート葺2階建
床面積 1階 ○○㎡○○ 2階 ○○㎡○○
これらはあくまでも例ですので、実際に状況に即した具体的な記述方法は行政書士などの専門家に相談してください。横浜市の長岡行政書士事務所でも、遺言書作成をサポートしています。
配偶者居住権を設定する遺言書
配偶者居住権を設定する遺言書を書く場合、配偶者居住権を妻に設定し、建物の所有権については長男に渡すケースなどが考えられるでしょう。この場合の記述方法は次のようになります。
第○条 遺言者は、遺言書の所有する下記の建物の配偶者居住権を、遺言者の妻 横浜 花子(昭和○○年○○月○○日生)に遺贈する。
記
所在 神奈川県横浜市△△△区
家屋番号 △番地△
構造 木造スレート葺2階建
床面積 1階 ○○㎡○○ 2階 ○○㎡○○
第○条 遺言者は、遺言者の所有する下記の土地を、遺言者の長男 横浜 一郎 (平成○○年○○月○○日生)に相続させる。
記
所在 神奈川県横浜市△△△区
地番 △番△
地目 宅地
地積 ○○㎡○○
第○条 遺言者は、遺言者の所有する下記の建物を、遺言者の長男 横浜 一郎 (平成○○年○○年○○月○○日生)に相続させる。
記
所在 神奈川県横浜市△△△区
家屋番号 △番地△
構造 木造スレート葺2階建
床面積 1階 ○○㎡○○ 2階 ○○㎡○○
遺言によって配偶者居住権を取得させる場合は、相続ではなく「遺贈」という文言を使用します。ただし、相続という言葉を使ってしまったからといって、そのことで遺言内容が直ちに無効になることもありません。
しかし法律的に間違いのない文章を残すためには、やはり行政書士などの専門家に相談した方が安心でしょう。
遺言書で配偶者居住権を設定する場合は行政書士へ相談!
なるほど、配偶者と所有者の関係がよければ問題はないでしょうが、疎遠だったり、関係性が薄い場合は危険かもしれませんね。
長岡「そうですね。トラブルが起こる可能性もしっかりと考慮した上で、配偶者居住権を設定するべきかどうかを検討することが大事です。そのあたりご不安なことは行政書士に相談すると安心できますよ」
長岡さん、ありがとうございました!
横浜市の長岡行政書士事務所でも、残された配偶者が困らないような遺言書を残すための相談を承っています。少しでも不安なことがある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。初回相談は無料です。








