海外に相続人がいるなら遺言書を用意すべき!相続対策に遺言書を使うべき理由を行政書士が解説!

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海外に相続人がいる!そんなとき、遺言書があった方が良いって本当?

「子どもが仕事で海外にいる。将来の相続がどうなるのか心配。」
「海外に住んでいる場合、相続手続きは面倒なの?」
「相続人が海外にいる場合、遺言書は書いておいた方が良い?」

現在遺言の作成や相続について考えている方の中には、お子さんが海外で仕事をしている場合など、相続人が海外に居住しているケースもあるかと思います。

日本国内に居住している場合でも、相続の手続はよく分からず大変なイメージを持つ方も多いと思いますが、海外に居住している相続人がいた場合、相続手続はどうなってしまうのでしょうか。

今回は、海外に居住している相続人がいる場合の相続手続について解説しつつ、遺言書を書く利点についてお話したいと思います。

相談者:60代男性

私には、妻と二人の子ども(息子・娘)がおり、息子は仕事で海外に転勤し、娘は結婚し、実家を離れて暮らしています。私も60代後半になり、そろそろ自分が亡くなった後のことを考えるようになりました。
心配なのは、海外に住んでいる息子のことです。私が亡くなった時、海外に住む息子の相続はどうなるのでしょうか。手続が大変なのだとしたら、何か良い方法はあるのでしょうか。
回答:長岡行政書士事務所 長岡
今回のご相談内容は、ご相談者様が亡くなられた場合の海外に住む息子さんの相続手続についてと、より手続きがスムーズにできる方法について何かあるのか、ということでした。
結論から申し上げますとご相談者様の場合、遺言書を作成しておくことで、たとえ息子さんが海外に住んでいたとしても、スムーズな相続手続が可能となります。
では、この点についてくわしく説明していきましょう。
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海外に相続人がいて、遺言書がない場合の相続手続き

まず、相続人が海外に住んでいたとしても、遺産を相続することはできます。

転勤で海外に住んでいるからといって、相続人から外されることはありません。

ただし、海外に住んでいることを理由に手続が簡略化されることはなく、むしろ非常に手間がかかってしまうのです。

もし海外に相続人がいて、遺言書がない場合の相続手続きは、次のような流れになります。

流れ海外ならではの手間
遺産分割協議をする海外に住む相続人がいる場合、帰国できないとすると、電話やメールでやりとりをすることになります。

海外の場合時差がありますから、電話やメールでやりとりするのも一苦労です。

遺産分割協議書を作成し、海外に郵送する話し合いで決まった遺産分割の方法を記載する「遺産分割協議書」には、相続人全員が署名・押印をします。

そのため協議書の原本を、海外へ郵送しなければなりません。

送り先の国によっては、手書きの送り状では届かず、事前に通関電子データを送信する必要があるなど、非常に手続が大変です(米国およびヨーロッパ等)

必要書類を取得し、署名する遺産分割の対象となっている財産が預貯金や不動産の場合、相続手続の際、印鑑証明書の提出が必要となります。

さらに不動産の場合、相続する人の住民票も必要です。

しかし海外に住む相続人の場合、印鑑証明や住民票がありません。

代わりに日本大使館などで、サイン証明・在留証明を取得しなければなりません。

遺産分割協議書と証明書一式を返送する日本国内の相続人に返送する際も、相応の時間がかかります。

参考:海外に相続人がいるときの相続手続に必要な書類とは?行政書士が解説!

どのような手間が発生するのか、さらに詳しく見ていきましょう。

遺産分割協議をする(電話やメール)

被相続人(亡くなった人のこと)が遺言書を残していなかった場合、遺産は一旦相続人全員の共有状態となります。

その後、何もしなければ法律で定められた割合で分割する法定相続による相続となりますが、通常は、相続人全員で遺産を誰にどう分けるのかという話し合いを行います。

この話し合いを「遺産分割協議」といいます。

合わせて読みたい>>遺産分割協議とは?流れとポイントを行政書士が解説

遺産分割協議とは?流れとポイントを行政書士が解説

相続人が海外に住んでいる場合も、通常はこの遺産分割協議からスタートすることになります。

遺産分割協議は、相続人全員で行わなければなりません。

協議の際、できれば対面で行うことが望ましいですが、毎回全員が顔を合わせて行う必要はありませんので、海外に住む相続人がいる場合は、国内の相続人と電話やメールでやりとりをすることになります。

海外の場合時差がありますから、電話やメールでのやりとりは、その点も考慮する必要があります。
国内にいる場合よりもやりとりに時間がかかることを想定しておいた方が良いでしょう。

遺産分割協議書を作成し、海外に郵送する

相続人全員の話し合いがまとまったら、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書には、話し合いで決まった遺産分割の方法を記載し、相続人全員が署名・押印をします。
海外にいる相続人には、遺産分割協議書を郵送して署名してもらうことになります。

海外への郵送となりますので、日数がかかること、日本と違う郵便事情を考慮しなければなりません。なお日本から海外へ書類を郵送する際、日本郵便の国際郵便サービス「EMS」などを利用することになります。

さて、海外へ遺産分割協議書を送る際に考慮しておくこととしては、主に次のようなことが挙げられます。

  1. 受取人の住所、氏名、内容物名所を送り先で通用する言語で詳しく明瞭に記載する。
  2. 送り先の国によっては、手書きの送り状では届かない場合がある(米国およびヨーロッパ等)。
    この場合、事前に通関電子データを送信する必要がある。
  3. 世界状況によりEMS(国際スピード郵便)が差出不可・停止となる国や地域がある。
  4. 日本国内では20万円以下の荷物については通関の必要はないが、海外到着後は通関の手続きをとる。
  5. 相手国に荷物到着後は各国の郵便事業体が配達する。

特に4や5については、現地の職員が対応することになります。

日本の場合、荷物を放置するというようなことはありませんが、国によっては荷物について確認が必要な場合、相手と連絡がとれないと放っておくということもあるようです。

不在時や再配達の対応などについては、現地の郵便事業体の対応に委ねることになりますので、日本のサービスをベースとしていない点に気を付けましょう。

必要書類(サイン証明・在留証明)の取得と署名

遺産分割協議書が届いたら、署名・押印をし、必要な書類を集めます。

海外在住の相続人が準備すべき必要書類については、日本在住者とは異なるため注意しなければなりません。

遺産分割の対象となっている財産が預貯金や不動産の場合、手続きの際遺産分割協議書と合わせ印鑑証明書の提出が必要となります。

不動産の場合は、さらに不動産を相続した人の住民票の提出も必要となります。

しかし海外に住む相続人の場合、印鑑証明や住民票がありませんので、それらの書類を準備することができません。
この場合、印鑑証明と住民票に代わる書類を準備することになります。それぞれ、次の書類になります。

  • 印鑑証明の代わり・・・サイン証明
  • 住民票の代わり・・・在留証明

したがって海外在住の相続人は、サイン証明と、場合によっては在留証明も準備することになります。

サイン証明の取得

サイン証明の取得にあたっては、現地の在外公館(※1)で発行してもらいます。

(※1)日本大使館や日本総領事館など

サイン証明の種類には2種類あります。

  1. 割印(貼付)型
  2. 所定紙(単独)型

一般的に不動産登記の場合には1の割印型を要求されることが多く、預貯金の解約手続きの際には2の所定紙タイプで足りる場合があります。

また留意しておきたいのが、在外公館に出向くことは、日本の役所に出向くような近場の感覚ではない、ということです。

広い外国内では在外公館が遠く、行くだけでも飛行機などを使って半日かかる場合もあります

したがって遺産分割協議書が送られてきたからといってすぐさま在外公館に赴き、証明書を得る、ということは難しく、相続人の負担や時間がかかることを念頭に手続きを進める必要があります。

割印(貼付)型のサイン証明は、署名する書類(遺産分割協議書など)を持参して、在外公館が発行する証明書と綴り合せて割印を行う方法です。

この方法では、申請者本人が在外公館の担当官の前で遺産分割協議書にサイン(及び拇印)をします。

割印(貼付)型のサイン証明の場合、「署名・拇印したのは申請者本人です。職員が立ち会い、証明しました。」という証明書が協議書に貼り付けられます(そのため、貼付型ともよばれます)。言わば署名した書類専用のサイン証明書というわけです。

日本で発行される印鑑証明書のように色々な書類への使いまわしはできませんが、その書類のサインがたしかに申請者本人のものであるという証明力は強力といえます。

所定紙(単独)型のサイン証明書は、日本の印鑑証明書のように申請した人の署名を単独で証明するものです(そのため単独型ともとばれます)。

申請にあたって遺産分割協議書などの書類は必要ありませんので、事前に取得しておくことが可能です。

また、所定紙(単独)型のサイン証明書は、遺産分割協議書などもともとの書類とは一本化されませんので、サイン証明書のサインと、遺産分割協議書などの書類のサインの筆跡が同じであることを、手続き先の職員が確認することになります。

一般的には、金融機関での手続きは2の所定紙型で行えることが多いようですが、金融機関によっては1の割印型が必要な場合もありますので、事前の確認が必要です。

また、不動産登記の場合には、ほとんどの場合1の割印型が必要となります。

在留証明の取得

次に在留証明ですが、在留証明は、海外在住の相続人が、住民票の代わりに発行してもらう書類のことです。

在留証明も、サイン証明と同様、現地にある日本の在外公館で取得します。サイン証明と同時に申請することになります。
在留証明の発行には以下2つの条件があります。

  • 日本国籍があること
  • 現地に3か月以上滞在し、申請時も居住していること

発行を受けるにはパスポートのほか、滞在期間と居住地が分かる書類が必要になりますので、事前に申請先に確認すると良いでしょう。

遺産分割協議書と証明書一式を返送する

海外在住の相続人が遺産分割協議書にサインし、サイン証明を取得(必要に応じて在留証明の取得)したら、書類を日本国内の相続人に返送します。
この場合の郵送も国内より時間がかかりますので、この点を考慮しておきましょう。

また海外に住む相続人が複数いてそれぞれの住む国が異なる場合、遺産分割協議書の郵送が複数の国にまたがるため、郵送に係る時間や途中紛失してしまう危険性も高くなりますのでこの点も注意が必要です。

遺産分割協議書が国内の相続人の手元に届き次第、協議書の内容に沿った相続の手続きを開始することになります。

海外に相続人がいるなら遺言書を用意すべき理由

ここまでで説明した通り、海外に相続人がいて遺言書がない場合の相続手続きは非常に複雑で、多くの手間がかかります。

一方、遺言書があれば、遺言の内容に沿って相続手続きを進めることが可能です。

海外へ遺産分割協議書を送付する手続きなどは不要なため、スムーズな相続手続を図ることができます。そのため、海外に相続人がいる場合こそ、遺言書を用意しておくべきなのです。

海外に相続人がいる方が遺言書で工夫すべき事項

海外に相続人がいる場合、遺言書を作成する際のポイントは次のとおりです。

  • 遺言執行者を指定しておく
  • 遺産分割の内容を工夫する

遺言執行者を指定しておく

相続人が海外にしかいない場合、遺言書があっても、日本国内で相続手続をするためには帰国しなければなりません。

しかし、遺言執行者が遺言書で指定されていた場合、遺言に書かれている遺産分割の手続きは、すべて指定された遺言執行者が行います。

海外に居住する相続人がいる場合、この遺言執行者については、日本国内に住む弁護士や行政書士などの専門家を指定しておくといいでしょう。

例えば海外在住の相続人が遺言によって預貯金を相続した場合、預貯金の解約手続きは遺言で指定された遺言執行者が行いますので、相続人の印鑑証明は必要ありません。

遺言執行者が解約手続きをし、相続人の預金口座に振込みをすることになります。
海外在住の相続人がサイン証明を取得することなく手続することが可能となるのです。

また遺言書があれば、遺産分割協議書を郵送してサインするような書類のやりとりはありませんので、海外に郵送する途中での書類紛失の危険や、やりとりに長い時間を要することはなくなります。

遺産分割の内容を工夫する

また、海外在住の相続人がいる場合、相続手続きを考慮した内容の遺言を書いておくことも有効な手段です。

例えば相続財産が不動産の場合は、相続登記の際に住民票に代わる在留証明が必要となります。

在留証明は前述した通り在外公館で発行してもらいますので、飛行機で行かなければならないような距離に在外公館がある場合は、相続人の負担がかなり大きくなります。

したがってそのような場合には、次のような内容の遺言を書いておくことで、負担を少なくすることができます。

  • 不動産は日本国内に居住する相続人に相続させる
  • 預貯金は海外在住の相続人に相続させる

このような遺言書があれば、海外での証明書取得の手間が省くことができ、海外在住の相続人の負担を少なくしつつ、相続全体が安全でスムーズに進むことが期待できます。

相続人が海外にいる場合の遺言書作成は行政書士に相談できる

相続手続は、相続人全員が日本国内に住んでいる場合でも手間のかかるものです。
さらに海外に居住する相続人がいる場合は、対面での遺産分割協議ができず、書類のやりとりも難しく、相続全体がより煩雑なものとなります。

そのような場合には、今回の記事で示した通り遺言書を作成しておくことで、負担の少ない相続にすることが可能です。

しかし、ただ遺言書を作るのではなく、遺言執行者を指定したり、遺産分割の内容を工夫したり、いくつか注意点も存在します。

横浜市の長岡行政書士事務所では、海外に相続人がいる方の遺言書の作成や相続手続きについても、サポートしてきた実績がございます。実際に遺言書作成から関わり、結果的には、海外にいる相続人の方にも負担がなく、無事に最短の期間で手続を終わらすことができました。

もし海外にご家族がおり、相続手続の負担を最小限にしたいと考えている場合には、ぜひお気軽にお問い合わせください。初回相談は無料です。

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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