「半血の兄弟ってどういう意味」
「半血の兄弟ってどのような時に問題になるの」
「半血の兄弟だと相続割合は違ってくるの」
半血の兄弟、なんていきなり言われても、わかりませんよね。
いったい半血とはなんなのか、それが相続にどう影響してくるのか、今日もじっくりとひまりたちと一緒に学んでいきましょう。
今日も横浜の長岡行政書士事務所は朝からにぎやかですよ。
朝の賑やかな横浜の通りを窓から眺めながら、ヨーコはそっとため息をついた
私、あの新人に厳しすぎるかしら・・・
バン!
ひまり:「ヨーコさん! おはようございます」
ヨーコ:「あ、あら、ひまりちゃん、おはようございます。今日も元気ね」
ひまり:「ヨーコさん、すごいこと発見したんです! 対義語なんですが、白い恋人の反対って何だと思います?」
ヨーコ:「は、はい? えーと、わからないわ・・・」
ひまり:「赤の他人です! じゃあ、その中間は?」
ヨーコ:「お、おもしろいわね。え、えーと、・・・」
ひまり:「ピンクなふたり、ですよ!」
顔を合わせて笑う2人。そっか、この子の明るさに私も救われていたんだ
・・・
ひまり:「あー笑った笑った、逆の意味にすると面白いですね。ねえ、いつも優しくてお肌つやつやのヨーコさん」
ヨーコ:「ひまりさん、ちょっと向こうでお話しましょうか」
目次
法定相続人の半血と全血とは
ヨーコ:「さて、始めましょう。今日は法定相続人の半血と全血について解説します。半血の兄弟とは、父母のどちらか一方のみを同じくする兄弟姉妹のことをいいます」
ひまり:「どちらか一方・・・ですか」
ヨーコ:「そうです。例えば被相続人である夫に先妻と後妻がいた場合で、先妻と後妻との間にそれぞれ子が2名いたとします。この場合、先妻の子と後妻の子は、父は同じですが、母は異なります。そのため、半血兄弟といわれています」
ひまり:「なるほど、わかりました。半血というのはこの兄弟間の関係のことで、お互いに血が半分しかつながってないということですね。ということは、父母の双方を同じくする兄弟姉妹が全血ですね」
ヨーコ:「そのとおりです。飲み込みが早いですね」
半血の兄弟は法定相続分が変わる
ヨーコ:「さて、半血兄弟の法定相続分は、全血の兄弟の2分の1と定められています」
ひまり:「そ、相続分・・・はい、覚えてます。覚えてますとも」
ヨーコ:「一緒に復習しましょうか(笑) まずは民法の900条を見てください」
第900条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
1.子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。
2.配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、3分の2とし、直系尊属の相続分は、3分の1とする。
3.配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は、4分の1とする。
4.子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。
ヨーコ:「4項の但し書きの部分が今学んでいる半血兄弟に該当しますね」
ひまり:「本当ですね。こんなにはっきりと条文に書いてあるとは思いませんでした」
半血の兄弟は第3順位の相続で問題となる
ヨーコ:「さて、ここで気を付けてもらいたいのは、全血か半血かで相続分が異なるのはあくまでも第三順位の兄弟姉妹の相続の場合のみ、ということです」
ひまり:「うーん・・・どういうことでしょうか・・・」
ヨーコ:「例えば父、母が亡くなった場合、第一順位の子としての相続であれば全血、半血の区別はせず法定相続分は同等となります」
ひまり:「半分でも全部でも、血がつながっている以上等しく相続させるということですね」
ヨーコ:「しかし、兄弟姉妹の相続の場合、例えば父親が同じで前妻の子AとB、後妻の子CとDがいたとして、Aが死亡し親や子、配偶者がいない場合は、第三順位のB、C、Dが相続をしますが、両親が同じBは4分の2,母が違うCとDはそれぞれ4分の1となります」
ひまり:「ちょっと図をかかせてください・・・」
ひまり:「なるほど、確かに同じ第3順位の兄弟姉妹でも相続分が変わってきますね。理解できました」
ヨーコ:「相続においては様々なトラブルが発生しうるけど、この半血兄弟絡みのケースもトラブルに発展しやすいです。例えば、これまで存在を知らなかった半血兄弟がいることが戸籍を調査していたらわかったり」
ひまり:「お父さん、隠し子・・・」
ヨーコ;「こら、なぜあなたがショック受けてるの。もしくは、存在は知っているけれどもあまり交流がなかったりする半血、全血の兄弟同士が突然会って話し合いをしてもまとまらないことが多いでしょう」
ひまり:「特にお金がらみの話し合いですものね」
ヨーコ;「遺産分割協議は相続人全員が参加し、同意しないと無効になってしまうので注意が必要です。我々のような専門家に是非相談していただきたいとことですね」
合わせて読みたい>>遺産分割協議とは?流れとポイントを行政書士が解説
半血の兄弟を混同しやすいケース
ヨーコ:「では、ここで似たようなケースのおさらいをしてみましょう。この半血兄弟と混同しないように気を付けてください」
前婚の子の相続分
夫婦間の婚姻関係が離婚により終了しても、子がいる場合は必ず相続人になります。
(相続放棄や相続欠格、廃除に該当する場合はそのかぎりではありません)
合わせて読みたい>>相続廃除とは?特定の相続人に相続させない方法を行政書士が解説
たとえ離婚時に扶養義務の免除の取り決めを交わしていたとしても親子関係は消滅しないので、相続人としての地位に影響はありません。
また、親といえども相続権を阻害する取り決めは勝手にできません。
配偶者の連れ子の相続分
結婚相手の連れ子はそのままでは親子関係が成立していないので、相続人にはなれません。
養子縁組をすることで法律上の親子となり、実子と同じ権利義務を持ちます。
共に子がいる男女が婚姻をした場合には、夫は妻の子と、妻は夫の子とたすき掛けで養子縁組をしないと子は実親の配偶者との血族関係は生じません。
非嫡出子の相続分
婚姻関係にない男女から生まれた子は非嫡出子となります。
母親とは生まれたという事実により当然に親子関係となりますが、父親とは認知手続きを必要とします。
嫡出子と認知された嫡出子との間に相続分の違いはありません。
半血兄弟の法定相続分が全血兄弟の半分になるのは第3順位相続のみ
ひまり:「あらためて見ると色々ありますね。そっか、半血兄弟も離婚や死別、再婚があり、もしくは前妻との間に養子縁組した子がいてから再婚して・・・」
ヨーコ:「こらこら、ひとりで考え込まない。いいですか、半血兄弟だからこう、非嫡出子だからこう、とそれぞれが結論に直結しているケースもありますが、いくつもの要素が同時発生し複雑になっているケースも多々あります。まずは事実関係をきちんと確認し、法律の原理原則を一つひとつあてはめて考えるのが大切ですよ」
ひまり:「はい、今日習ったことをきちんと自分の中で消化して理解するように努めます」
半血兄弟の法定相続分は全血兄弟の半分ですが、これはあくまでも第3順位の「兄弟姉妹の相続」の場合です。父または母の財産を相続する場合は半血、全血の区別はせず、法定相続分は同等となります。
相続人確定時にきちんと調査しておかないと突然交流のない半血兄弟がみつかったり、また遺産分割協議で感情のもつれにより紛糾してしまったりといったケースが考えられます。
円滑な相続を実現させるためにも、経験豊富でお客様に寄り添うことを第一に考えている横浜市の長岡行政書士事務所にご相談ください。