嫡出子と非嫡出子とは|相続における法定相続分について行政書士が解説

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新人補助者ひまりの事件簿⑦法定相続人の相続分~嫡出子と非嫡出子とは~

「たまに聞く認知ってなんでしょうか」

「相続における嫡出子と非嫡出子の違いは」

「嫡出子と非嫡出子って相続にどう影響するの」

 

今回は法定相続人に関し、嫡出子と非嫡出子について学びます。

あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、ゆっくり見ていきましょう

今日も長岡行政書士事務所は朝からにぎやかですよ。

ユウ:「あら!?」

 

ヨーコ:「ユウさん、どうしたの朝から」

 

ユウ:「いえ、スマホでSNS見てたのですが、これ、ひまりちゃんかと・・・」

 

どれどれ・・・とユウの周りにあつまるヨーコとマリ

 

家永ひまり

東京生まれ、Hip Hop育ち

かわいい人は大体ともだち!

好きな言葉はYes we can、嫌いな言葉はNo we can’t

好きなところはみなとみらい、嫌いなところは給湯室

現在横浜の行政書士事務所で元気いっぱい働いてます

小鳥さん、きょうもおはよう

・・・

 

ヨーコ:「書き出しから虚偽表示があるわね」

 

マリ:「韻を踏んでますね、なかなかやるわ」

 

ユウ:「ポエムが始まってます・・・」

 

ひまり:「おはようございます! あれ、みなさんお揃いで何を見てるのですか?!」

 

皆、一斉に散る

 

ユウ:「な、何でもないのよ。さあ、今日は私と一緒に勉強しましょう!」

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相続における嫡出子と非嫡出子とは

ユウ:「ひまりちゃんは嫡出子と非嫡出子って、聞いたことありますか」

 

ひまり:「いえ、残念ながら・・・」

 

ユウ:「嫡出子とは法律上の婚姻関係にある夫、妻の間で生まれた子どもをいいます。具体的には下記のとおりです」

 

  • 婚姻中に妊娠をした子
  • 婚姻後201日目以後に生まれた子
  • 父親の死亡後、もしくは離婚後300日以内に生まれた子
  • 未婚時に生まれて認知をされ、その後に父母が婚姻した子
  • 未婚時に生まれてから、父母が婚姻し、父親が認知をした子
  • 養子縁組の子

 

ユウ:「そして、上記条件に当てはまらない子でかつ法律上の婚姻関係のない男女の間に生まれた子を非嫡出子、といいます」

 

ひまり:「婚姻関係のない男女というと・・・授かり婚などでしょうか」

 

ユウ:「そうですね、最近は結婚観の変化なども影響して、非嫡出子も増えています」

 

ひまり:「でも、この婚姻後201日とか、離婚後300日とか日付がついている条件は何を意味するのでしょうか」

 

ユウ:「いいところに気づきましたね。これは嫡出子推定といい、一定の時期に生まれた子について嫡出子であることを推定する制度です。ここで民法の722条を見てみましょう」

 

民法772条(嫡出の推定)
1項      妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2項      婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

 

ひまり:「なるほど・・・昔から赤ちゃんがお腹にいるのは10か月と10日って言いますものね。だから確かにそれくらいの期間があれば当該男女の子である、と推定できるのですね」

 

ユウ:「そういうことです。ただ、この嫡出子推定はDNA鑑定技術等が発達していなかった法律制定時の状況を反映したものです。父子鑑定が発達した近年では、親子法制のあり方に関して議論が存在することは覚えておいてください」

 

ひまり:「わかりました」

嫡出子と非嫡出子の法定相続分は同じ

ユウ:「さて、この嫡出子と非嫡出子の間で法定相続分に違いはあると思いますか」

 

ひまり:「個人的には相続分に違いがないといいと思いますが、一昔前の小説を読むと非嫡子だから相続で不利になる、という記述があったような・・・」

 

ユウ:「実は以前は非嫡出子の相続分は嫡出子の半分だったのです」

 

ひまり:「同じお母さんから生まれたのに、不公平な気がしますが・・・」

 

ユウ:「そうですね。実際法の下の平等に反するのではないかという指摘が以前からあり、平成25年9月4日の最高裁判所の判決において、今までの法律が「非嫡出子」に対して不公平であり、違憲であるという判断が下されました」

 

ひまり:「わかりました。法律はその時代を反映して変わっていくものなのですね」

 

相続における認知とは

 

ユウ:「さて、ここで認知に関して勉強しましょう。先ほど嫡出子の条件で何回か出てきましたが、認知とは誰が行う、どのようなものでしょうか」

 

ひまり:「誰が行う、ですか・・・当事者である男女でしょうか」

 

ユウ:「いえ、違います。子は出生によって当然に母親との間に親子関係を生じますから、たとえ非嫡出子とされていても母親の相続に関しては相続人となります」

 

ひまり;「なるほどです。そういえば、私のお母さんも夫婦喧嘩すると「母親はいつでも本物なのよ」って言います! なんかお父さん悲しそう」

 

ユウ:「そ、そう・・・。でもそれは確かに真実の一片ではありますね。非嫡出子と父親の間には法律上の親子関係がありませんから、このままの状態では父親が亡くなって被相続人になっても非嫡出子は相続人になれません」

 

ひまり:「お母さん、なんかすごい」

認知とは父親が「実の子である」と認めること

ユウ:「・・・なので、認知は父親が「実の子である」と認めることです。そしてこの認知により、出生の時にさかのぼって両者は法律上の親子であったことになります。民法第784条をみてみましょう」

 

民法784条 (認知の効力)認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。

 

ひまり:「よくわかりました」

相続における認知の効果

ユウ:「さて、子供を認知することにより、以下の効果が発生します」

  • 認知がなければ父親の財産を相続できない
  • 認知がなければ父親に扶養請求ができない

認知がなければ父親の財産を相続できない

非嫡出子とは「法律上親子関係が認められていない状態」であるため、認知されていない状態では父親の財産を相続できません。

父親による認知を受けることで親子関係が認定され、相続できるようになります。

認知がなければ父親に扶養請求ができない

認知されていない場合、その子供は父親に対して扶養請求できません。

たとえ母親が「夫は子供の父親である」と確信していても、夫から否定されることもあります。

父親が認知しなければ子供は扶養を受けられないため、どうしても認知してもらいたい場合には認知の訴えを起こす必要があります。

この手続きによって父子関係が認められれば、裁判所の命令により認知の意思表示がされたことになり、扶養請求が可能です。

 

ひまり:「なるほど。さきほど非嫡出子の相続の事を勉強しましたが、そもそも認知がないと相続の権利が生じないのですね」

 

ユウ:「そうですね。また、男性からすると扶養の義務、つまりその子を養っていく義務が生じますので、場合によっては認知をする、しないで揉めるケースもあります」

 

ひまり:「うーん・・・」

 

ユウ:「認知とは具体的には認知届を提出する行為ですが、それ以外にも下記3通りのパターンがあります。今日はそれぞれを細かくは見ていきませんが、認知にはいろいろな方法があるという事を覚えておいてください」

認知の3パターン

認知には、次の3パターンがあります。

  • 遺言書に書いてもらう「遺言認知」
  • 家庭裁判所により「強制認知」
  • 認知しないまま亡くなってしまった場合の「死後認知」

 

ユウ:「また、再婚時に連れ子がいる場合は認知でなく養子縁組になることは注意してください」

 

ひまり:「そっか、連れ子と新しい親との間には血縁関係があるわけではないので、この場合は養子縁組なのですね」

 

女性の再婚禁止期間は撤廃される

 

ユウ:「さて、今日は最後に再婚禁止期間について勉強します」

 

ひまり:「再婚ができない期間があるのですか?!」

 

ユウ:「そうですよ。いや、厳密に言うとそうでした、かな。そしてそれは女性だけが再婚できない、という制度だったのです」

 

ユウ:「女性には再婚禁止期間が設けられていました。これは離婚後、つまり婚姻関係の消失後100日以内は新たに結婚できない、というものです」

 

ひまり:「いったい何のためでしょうか」

 

ユウ:「子供の父親が誰なのかを明らかにするために必要な期間、としてですよ。民法第733条を見てみましょう」

 

第733条(再婚禁止期間)
1.女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して100日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2.前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
⑴.女が前婚の解消又は取消しの時に懐胎していなかった場合
⑵.女が前婚の解消又は取消しの後に出産した場合

 

ひまり:「そもそも、女が、女が、って言い方が失礼ですよ!」

 

ユウ:「(苦笑)法律にそこで他意はないわよ。ただ、書き方も今後かわってくるかもしれませんね」

 

ひまり:「うーん、それはいいとしても、なんか不公平な気がします。特に女性だけが禁止されているという点にです。例え子供の父親を明らかにするためという趣旨があっても、今は医学の発達もあるのだからもう少し柔軟に対応することはできないのでしょうか」

 

ユウ:「実際、再婚禁止期間中であっても離婚後以降に妊娠していること等の医師の診断書があれば婚姻届けを受理してももらえます。ただ、それでは今ひまりちゃんが感じている違和感の解決にはならない、という声が根強くありました」

 

ひまり:「やっぱりそう感じる人は多かったのですね」

ユウ:「 1995年から再婚禁止期間の是非を問う訴訟が何度もおこされています。また、他の先進国の多くでは再婚禁止期間自体が廃止されています。このような時代の背景もあり、2022年2月には法制審議会にて「再婚禁止期間の廃止」について見直し案を法務大臣へ提出し、2022年10月14日に再婚禁止期間が撤廃されることが閣議決定されました」

 

ひまり:「そうだったのですね!」

 

ユウ:「明確な改定時期は不明ですが、早急に国会での成立を目標に準備を進めているようです。だから最初に私がそういう期間がありました、と過去形で言ったのですよ(笑)」

 

ひまり:「法律って、おもしろいですね!」

 

・・・

 

一日が終わり、事務所でひとり仕事の後かたずけをするユウ

 

ユウ:「やれやれ、ひまりちゃんはいい子なんだけどね・・・そういえば今朝のSNSの続き、見てみようかな」

 

小鳥さん、きょうもおはよう

直ぐ調子に乗っちゃう私だけど、いい先輩に囲まれて幸せです

早く一人前になって、恩返ししたいです

・・・

 

目頭を押さえるユウ、涙で画面がにじみ最後まで読めないのであった

嫡出子か非嫡出子かは婚姻の有無と諸条件によって定義

 

嫡出子か非嫡出子かは、婚姻の有無と諸条件によって定義されます。

 

民法改正によって相続における非嫡出子のデメリットは解消された部分もありますが、認知の有無などにより思わぬトラブルに発展する可能性があります。

 

相続をスムーズに進めるためにも、手続きなどで不安な点があれば経験豊富な長岡行政書士事務所にご相談いただければと存じます。

 

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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