遺言書の貸金庫の開扉に関する文言を解説!遺言書に記載するべき事項とは?

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遺言書の貸金庫の開扉に関する文言を解説!遺言書に記載するべき事項とは?

 

「銀行は問題なく相続した人に貸金庫を開けてくれるのでしょうか」

「貸金庫に関して遺言になにか記載しておくべきですか」

「遺言書は大切に保管したいので貸金庫に入れておきたいのですが、問題ないでしょうか」

 

・・・

 

時折、相続を経験された方から、

「そんなこと知らなかった!」

「知ってれば手を打っておいたのに」

との声をお聞きする時があります。

 

例えば、自筆証書遺言というのはその名の通り自分で書く遺言書の事ですが形式や要件が決まっており、自筆だからと自由に書いてしまうと遺言書が無効になってしまいます。

これは自筆証書遺言がどういうものかを知っておけば避けられるケースですよね。

 

本日のコラムでは遺言書に記載すべき貸金庫の開け方について解説します。

 

貸金庫といってもなにか特別なことを遺言書に書く必要があるのかと思われるかもしれませんが、上記のような「しまった、知らなかった!」とならないためにも、これを機に安心して貸金庫の中味を相続させる方法をお伝えできればと思います。

 

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遺言執行者を遺言書で指定しておく意味

遺言を作成するときには、遺言執行者という遺言を書いた本人(=遺言者)に代わって遺言を執行してくれる人を指定することができます。

 

遺言は遺言者の死亡により効力を発揮しますので、遺言者自身はその実現を図ることはできません。自分の意思を実現してもらうため、作成する遺言の中に遺言執行者を指定する内容を入れておけばより安心です。

 

そして、遺言執行者には遺言執行の為の権限が与えられることが民法に定められています。

 

第1012条
1.遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

 

遺言執行者の役割に関しては下記リンクでも解説していますので、参考にしてみてください。

あわせて読みたい>>>遺言執行者が単独で執行できる手続きとはなにか?行政書士が解説!

 

さて、多くの権限が与えられている遺言執行者なら貸金庫も問題なく開けられるのでは、と思われるかもしれませんが、貸金庫に関しては貸す側の銀行の事情も関係してくるので注意が必要です。

 

銀行によっては遺言執行者でも貸金庫を開けてくれない可能性もある

仮に遺言がなかった場合は遺産分割協議や法定相続といった手続きにより相続を進めることになりますが、これらの場合は原則相続人全員の立ち合いがなければ貸金庫を開けることができません。

貸金庫を開扉する時は相続人全員の同意が必要

相続人が生前、貸金庫の契約の中でを貸金庫を開けるための代理人を定めている場合もありますが、この代理人の権限は貸金庫の名義人が生きているときのみなので、相続人死亡の時からこの代理人は貸金庫を開けることができなくなります。

 

相続人全員が同じ日に集まって貸金庫の開扉に立ち会う事が難しい場合は、相続人全員から同意書をもらうことで貸金庫を開けてもらうことができますが、この方法では銀行によっては貸金庫の中身を確認するだけで、中身をそのまま持ち帰ることができない場合があります。

 

そして、このような相続人全員の立ち合いや同意書が求められるのは、遺言があって遺言執行者が定められている場合でも起こり得ます。

貸金庫の開扉は遺言執行者がいても遺言書の書き方次第

銀行によっては、貸金庫の内容物が分からない以上、遺言で財産分けの対象とされた特定の財産がその貸金庫内にあるのか無いのか不明なので、遺言執行者による貸金庫の開扉に難色を示す場合があるのです。

 

また、一部の相続人からのリクエストに応じて開扉した結果、内容物の紛失、滅失、損傷などの事態が生じた場合に銀行に損害賠償責任が発生する可能性があるので、共同相続人全員の同意がなければ銀行が開扉に応じないというのも銀行側の理由です。

 

仮に相続人の一部が同意をしてくれない、もしくは認知症等で有効な意思表示ができず同意ができない場合は相続を進める上での障害となります。

 

このように、遺言執行者が選任されているだけでは貸金庫の開扉は遺言がない場合と同じ手続きを踏まないといけない可能性があり、限られた期間内に完遂させる必要のある相続手続きが滞ってしまうおそれがあります。

 

また、遺言者によっては遺言書を作成した際に大切なものだからと貸金庫に保管される方もいらっしゃいますが、これではそもそも遺言者が亡くなった際に遺言書を取り出すことができず、相続の出だしから大いに躓いてしまうことになります。

 

遺言書の中で開扉の権利も遺言執行者に与えておく

これらの貸金庫の開扉に関する課題は、遺言書に貸金庫についての記載をしておくことで解決することができます。

 

具体的な文言に関しては専門家のアドバイスを求めることをお勧めしますが、一例としては下記のような文言が挙げられます。

 

第○○条 遺言者はこの遺言を執行するものとしてXXを指定する。
第△△条 遺言者はこの遺言を執行するため、遺言執行者に対して次の権限を与える。
(1)遺言者名義の預貯金その他の相続財産の名義変更、解約及び払い戻し
(2)遺言者が契約する貸金庫の開扉、解約および内容の取り出し
(3)その他この遺言の執行に必要な一切の行為をすること

 

このような文言を付け加えることにより遺言者が明確に開扉の権限を遺言執行者に与えたことが示せるので、遺言執行者は単独で貸金庫を開扉することが可能となります。

 

相続人が生前に貸金庫の契約をしている場合には、その貸金庫内に相続にとって重要なものが残されている場合が多いです。

 

よって、貸金庫の開扉は相続手続きをする中で避けては通れませんが、遺言者も遺言作成時に貸金庫の事までは気がまわらず、もしくは遺言執行者を指定しておけば当然に開扉できるものと勘違いして対策が疎かになってしまう可能性があります。

 

遺言書にたった一文を付け加えるだけで後々大きな違いがでますので、遺言書を書く際にはぜひ注意をしてください。

遺言を書く時は専門家のアドバイスを受けることが大事

普通に暮らしている分にはそこまで相続に詳しくなることはないかもしれません。

ただ、多くの方にとっていずれは相続をしたり、受けたりすることになると思います。

 

そのような時に備え、是非専門家のサポートをご利用ください。

 

相続には本日触れた貸金庫の開扉以外にも、戸籍の収集や財産目録の作成といった諸々の手続きが伴います。また、平日昼に時間をとって役所にいったり、相続人間の連絡や調整をするのは相続人にとって負担になるでしょう。

 

長岡行政書士事務所は相続の経験が豊富にあり、相談者様に寄り添う相続を数多くお手伝いさせていただいてきました。

また、お客様の負担を極力少なくするために、我々が動いて相談者様には印鑑を押していただくだけ、という相続を心がけています。

 

少しでも不明な点があったり不安を感じられたら、是非当事務所にご相談ください。

 

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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