不在者財産管理人とは|相続人が失踪し見つからない時はどうする?

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不在者財産管理人とは 相続人が失踪し見つからない時はどうする?

 

「行方不明になっている相続人がいるけど、遺産分割協議はできる?」
「不在者財産管理人について知りたいけど、どうしたらいい?」
「相続手続きの中で、所在がわからない相続人がいて困っている。」

 

相続は常に相続人同士が円満に協議し、解決できるとは限りません。相続人の中にはどうしても連絡がつかない、行方不明となっているケースもあります。遺産分割協議を進めるためには、「相続人全員の同意」が必要ですが、相続人が行方不明の場合には「不在者財産管理人」を選任し、遺産分割協議を進める方法があります。

そこで、今回の記事では「不在者財産管理人」について詳しく解説します。業務内容や選任方法などを紹介しますので、ぜひご一読ください。

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不在者財産管理人とは

「不在者財産管理人」とは、相続時に行方不明となっている方に代わって、財産を管理する人のことを指します。相続で遺言書が無い場合には、法定相続人を調査し特定した上で、遺産分割協議を行う必要があります。この時、連絡がつかない相続人がいたら、遺産分割協議を進めることができません。しかし、相続人の中には時に、所在が掴めず行方不明となっていることがあります。

このような事態を迎えた時に、登場するのが「不在者財産管理人」です。行方不明となっている相続人に代わって、遺産分割協議に参加できる人です。

 

合わせて読みたい:相続財産管理人とは?相続人がいない場合の手続きの概要と注意点

不在者財産管理人の業務内容

不在者財産管理人の業務とは、具体的にどのようなものでしょうか。主な管理業務は「不在者となっている方の相続財産を管理すること」です。また、遺産分割協議に行方不明となっている相続人の代わりに、代理人として参加できます。不在者の代わりに参加してくれることで、遺産分割協議の成立も可能です。

不在者財産管理人ができること

不在者財産管理人ができることとは、具体的にどのようなものでしょうか。

「保存行為と管理行為」
不在者財産管理人は、財産を預かり適切に保存することと、保全のために管理することができます。たとえば保存する財産の中に不動産がある場合、ただ預かるのではなく、修繕などを行って管理することができます。建物などを管理・改良する行為は民法で認められています。

続いて、不在者財産管理人ができないこととは、具体的にどのようなものでしょうか。

不在者財産管理人ができないこと

「遺産分割協議の成立や管理・保全する財産の売却」
不在者財産管理人は遺産分割協議を「無断で」成立させることはできません。成立させるためには、家庭裁判所の許可を得た上で実施します。また、保全・管理を行っている財産を勝手に売却する、譲渡することもできません。「今なら高く売れる」と思ったとしても、権限が与えられていないため、投機的に財産を運用することはできません。

不在者財産管理人の選任が必要なケースとは

不在者財産管理人が必要となるのは、一体どのようなケースでしょうか。以下の3つのケースで解説します。

相続人が行方不明

相続人の中に行方不明の方がいる場合は、遺産分割協議が進みません。しかし、相続財産を適切に相続し、管理していくためには遺産分割協議を進める必要があります。このようなケースでは不在者財産管理人が必要です。

相続放棄の完了を目指している

相続は常にプラスの財産ばかりとは限りません。高額の債務が残されているケースもあります。相続放棄は相続人が一人ずつ申立てを行いますが、不在者に高額の債務が残されてしまうようなケースでは、相続放棄を申述するために不在者財産管理人が必要となります。

相続財産の中に売却を目指すものがある

相続財産の中には、不動産が含まれていることがあります。空き家など、管理義務が残されてしまう住まいの売却を目指したくても、不在者がいると同意がないため売却できません。そこで、不在者財産管理人と協議を行い、方針を決めた上で、家庭裁判所の許可が下りれば売却ができるようになっています。無断の相続財産の処分を避けるために、は、不在者財産管理人が必要となる場合があるのです。

不在者財産管理人はどのように選任する?

不在者財産管理人はどのように選任するでしょうか。この章では、不在者財産管理人の選任について、方法やなれる人などを詳しく解説します。

不在者財産管理人の選任方法

不在者財産管理人の選任方法は、家庭裁判所に申立てを行うことから始まります。そこで、以下の点を確認する必要があります。

  • 不在者とは、少なくとも1年以上は音信不通であり、所在も掴めていないこと
  • 不在について証明する資料があること(不在者を探した郵便物が返却されている、などの資料)

申立てができる人は、利害関係者(相続人や不在者の配偶者など)もしくは検察官です。

申立先は家庭裁判所ですが、不在者が従来住んでいた住所地もしくは居住していた住所地を管轄する家庭裁判所です。

不在者財産管理人選任の必要書類

不在者財産管理人の申立てをする際には、不在者の戸籍謄本や戸籍の附票、「不在している事実がわかる資料」などを整える必要があります。詳しくは下記リンクをご参照ください。

参考URL  裁判所 不在者財産管理人の選任

不在者財産管理人になれる人

不在者財産管理人になると、適切に不在者の相続財産を保存・管理していく必要があります。そのため、不在者財産管理人は相続人との利害関係などにも考慮し、第三者が選ばれています。弁護士、司法書士などの専門家が選ばれることが多くなっています。

不在者財産管理人の申立て費用

申立て時には収入印紙800円、家庭裁判所が指定する郵券(切手)をご用意ください。なお、不在者財産管理人の申立ての際には、内容によって「予納金」が必要となるケースがあります。

通常、不在者財産管理人に支払われる財産から報酬が支払われますが、財産が無い場合などのケースでは20~100万程度の予納金を申立て時に家庭裁判所へ納める必要があります。なお、業務終了時に報酬額が決まり、予納金が余る場合には返金されます。

不在者財産管理人は急いで申立てが必要?

不在者財産管理人が必要となった場合には、急いで申立てする必要はあるでしょうか。結論から言うと、不在者財産管理人の業務は「長期化」することがあるため、相続人が行方不明などの事情が発覚した時点で、早急に申立てを検討すべきでしょう。

特に以下の3つのようなケースでは、早期の解決に向けて不在者財産管理人の申立てが必要です。

遺産分割協議を進めたい

遺産分割協議を進めなければ、不在者以外の相続人の相続手続きが進みません。事業継承や不動産管理などを予定されている方は、相続後の手続きも多いため、早期に遺産分割協議を終えるためにも、不在者財産管理人の申立てを検討する必要があります。

相続税の納付期限

相続税には納付期限があります。納付期限は「相続の開始があったことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内」です。相続税が発生するケースでは、早期に専門家に税理士などにも相談しながら、不在者財産管理人の申立てを検討しましょう。

参考URL    国税庁 No.4205 相続税の申告と納税

数次相続が予想される場合

高齢化社会を迎えている日本は、相続人の高齢化も進行しています。不在者がいるために相続手続きが進まない間に、相続人が亡くなってしまうと、次の相続が起きるため相続人が増えてしまうおそれがあります。

このような相続は数次相続と呼ばれており、相続がさらに複雑化する原因とされています。高齢者の多い相続は早期解決のためにも、不在者財産管理人の申立てを急ぐ必要があります。

生前の遺言書で、相続トラブルの回避を

この記事では、「不在者財産管理人」に焦点を当てて詳しく解説しました。すでに家族が行方不明となっており、相続時にはどうしたらいいのかと心配を抱えている方も多いでしょう。このようなケースでは、遺言書を遺しておくことで、遺産分割協議書を相続人全員で作成する必要がなくなります。生前から未来を見据えて、遺言書を作成してみませんか。

長岡行政書士事務所では、遺言書の作成について、丁寧にサポートしています。専門家とともに、思いを家族に託すための遺言書を作りませんか。

 

合わせて読みたい:相続人が不存在な場合の遺産相続手続き、どのような制度があるか解説!

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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