皆様、こんばんは。社会の構図をわかりやすくお届けするニュース番組「報道小路」のお時間です。アナウンサーの綾小路遺子です。
おかげさまで「私、調べましたけど」というセリフがずいぶん定着してきましたが、今日もしっかりと調べあげて、この合成皮の手帳にまとめております。通称、白革の手帳ですね。
本日の特集は「遺言予報~第一夜~」。「相続人がいない場合、死後はどのような手続きが必要になるのか?」というテーマに沿って、最新の相続動向をお伝えしてまいります。
令和5年4月1日に民法改正が行われ、相続財産管理人が相続財産清算人という名称に変わりました。
そこで、コメンテーターとして、相続財産管理人、改め、相続財産清算人のお仕事をなさっている菅野理人さんをお招きしております。菅野さん、よろしくお願いいたします。
菅野「よろしくどうぞ」
目次
相続財産清算人とはどんなことをする人?
遺子「菅野さんは、相続財産清算人をなさっているということですが、どんなご活動をなさっているのでしょうか? 相続財産を管理、いえ、清算する人ということでしょうか」
菅野「そうですね、その通りです」
相続人がいない場合に相続財産を管理する人
遺子「本来相続財産を管理するのは、相続財産を引き継ぐ相続人ですよね。しかし、何らかの事情で相続人がいない、そんなときに相続財産を管理する人が必要であり、相続人以外の誰かが相続財産清算人になる。菅野さんは、そのお立場であると?」
菅野「そうですね(全部言っちゃってるよ、この人)」
遺子「相続財産清算人の業務内容とは、具体的にどのようなものですか?相続人が相続財産を管理できない状態のとき、相続財産を適切に管理するということが大きな業務となるのでしょうか?」
菅野「あ、はい、そうです」
遺子「具体的にはどのような?被相続人が遺した預貯金や不動産などを管理するほか、いらなくなった賃貸借契約の解約などの行為も、業務内容に該当することが考えられますが。また、被相続人が債務を残している場合には、債権者に対して支払いも行うという理解でよいでしょうか?」
菅野「ええ…(俺、まだ一言もコメントしてないんだけど)」
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相続人がいないときと相続人全員が相続放棄をした場合に必要
遺子「そもそもですが、相続財産清算人はなぜ必要なんでしょうか? 相続人がいない場合と、相続人全員が相続放棄をした場合に必要だと聞きましたが」
菅野「ですので、はい、そうです」
遺子「遺言書が無い場合は法定相続人が相続人になりますよね。しかし、法定相続人が誰もいない場合には、相続財産を管理できる人がいないため、相続財産清算人が必要となる、と」
菅野「ええ、というか、はい…」
遺子「このようなケースは、被相続人が高額の債務を残していることが多いのでしょうね」
菅野「ううう、はい(喋らせてくれえ…)」
相続財産清算人ができること、できないこと
遺子「相続財産清算人が具体的にできること、できないことを整理します。フリップを用意しましたので、菅野さん、お見せくださいますか?」
菅野「えっと、フリップ、これですね(普通、フリップはコメンテーター持たないよな…)」
相続財産清算人ができること「保存行為と管理行為」
- 保存行為とは被相続人の財産を保存・管理する行為
- 具体的には、不動産の相続登記、預金口座の解約や払い戻しなど
- アパートやマンションなど賃貸契約があった場合には、契約の解除もできる
相続財産清算人ができないこと「処分行為」
- 処分行為とは相続財産を売却、破棄するなどで処分する行為
- 相続財産管理人に対して与えられている権限は保存や管理
- 処分行為は家庭裁判所の許可なく行うことはできない
処分行為は権限外許可が必要
遺子「なるほど。個々にある通り、処分行為 は権限外行為であるため、原則としてできませんが、許可が下りれば可能であると伺いました」
菅野「はい、処分行為は…」
遺子「家庭裁判所に対して権限外行為の申立てを行い、許可が下りれば処分行為が可能なんですよね。たとえば、不要となっている空き家の売却は、権限外行為が認められれば進められるといったような」
菅野「…はいー、はいいー、そうですー」
財産管理を求めて相続財産清算人を申立てする
遺子「さて、ここで相続財産清算人になれる人とは、どのような人かを見ていきましょう。菅野さん、相続財産清算人は選任されると相続財産の調査を行い、必要に応じて家庭裁判所などへさまざまな種類の手続きを行う必要がありますよね?」
菅野「あります。ですので…」
相続財産清算人に選任される人
遺子「法律の専門知識がある専門家が選任されやすい、と。選任後は1年以上にも及ぶ業務が続くことも多く、債権者への清算や必要に応じて財産の処分などを進めていくんですよね。こうした性格上、一般的には弁護士が選任されることが多いと聞きますが、そうでしょうか?」
菅野「…そうです(もう帰りたい、帰りたいよ)」
相続財産清算人の申立権者
遺子「相続財産清算人の申立てができるのは、債権者、利害関係者、検察官ですよね。申立先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に行うんですか?」
菅野「…です」
遺子「菅野さんのように相続財産清算人は多くの業務をこなしますよね。菅野さんは報酬を得ておられますか?」
菅野「はい、報酬は…(さえぎるなよ、さえぎ…)」
相続財産清算人の報酬と予納金
遺子「相続財産から支払われるのが一般的ですが、遺されている相続財産が少ない場合には報酬金、予納金を申立人が用意する必要があるんでしたよね?」
菅野「きー!にゃあああー!」
遺子「ど、どうしたんですか、菅野さん?」
菅野「し、失礼しました…」
遺子「いえいえ…さて、予納金の相場としては、20~100万程度とされており、報酬決定後に予納金に余りが出る場合は、申立人側に最終的に返金されるようですね」
菅野「ひゃい(はい)」
遺子「ここまで、いろいろお話をさせていただきましたが、相続財産清算人が新たに必要となる場合、解決までには1年以上の期間を要することもあり、予納金の負担などを考えると、未然にトラブルを防ぐためにできることをしていかなくてはいけませんね」
菅野「ふゃい(はい)」
自身に相続人がいない場合には遺言書を活用する
遺子「そのためには、やはり遺言書。遺言書は未来へのバトンであり、トラブルを避けるための地図と言われています。相続人が居ないようなケースでも、財産をお世話になった人や施設などに託すことができ、遺した財産が国庫に帰属されることもなくなります。ご興味がある方は、遺言について調べてみるのもいいかもしれませんね」
菅野「……」
遺子「菅野さん、本日はとても参考になるコメント、ありがとうございました」
菅野「……」
遺子「最後に、この番組のお約束のセリフ、ご一緒にお願いします」
菅野「……えっと、確か、私…」
遺子「私、調べましたけど!!! それではみなさん、おやすみなさい」
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