
「年齢を重ねたせいか、未婚であることに不安を感じている」
「テレビで身元保証契約について見かけた。自分にも必要なのか知りたい。」
未婚の方やすでに配偶者を亡くされている方など、年齢を重ねるにつれて老後のさまざまな手続きに漠然とした不安を抱える方は少なくありません。2020年の国勢調査によると、50歳時点の生涯未婚率は男性が約28.3%、女性が約17.8%で過去最高を更新しており、おひとりさまの老後に関心を持つ方も増加しています。
そこで、本記事では知っておきたい「身元保証契約」について、利用時のしくみや相談先、注意点を行政書士がわかりやすく解説します。
参考URL 総務省 統計局 令和2年国勢調査
身元保証契約とは?受けられるサポート内容
身元保証契約とは「家族に代わって、生活上の保証人としての役割を第三者と結ぶ契約」です。頼れる親族がいない、あるいは親族に負担をかけたくないというニーズに応える契約であり、近年関心を持つ方が増加しています。
本章では身元保証契約について、具体的に受けられるサポート内容を解説します。
病院・介護施設入所のサポート
身元保証契約では、医療・介護現場での入所サポート対応が可能です。
- 入院・入居時の保証人引き受け
病院や介護施設から求められる保証人、および身元引受人としての署名・捺印 - 緊急時やケアプラン作成などの対応
急変時や院内での事故が発生した際、施設からの連絡先となり、駆けつけや方針決定の相談に対応、介護計画(ケアプラン)の作成の同行など - 退院・退去時のサポート
退院時における医療費などの精算代行や、施設を退去する際のサポ―ト
高齢者の増加によって病院や介護施設における身元保証契約のニーズが高まっています。
アパートやマンションなどの賃貸契約
賃貸住宅の契約更新や住み替えの際にも、身元保証契約が役立ちます。高齢者の賃貸契約では「孤独死」や「家賃滞納」などのリスクがあるため、賃貸契約や更新時に保証人を厳格に求められるケースが少なくありません。身元保証契約があれば、おひとりさまでもスムーズに契約ができる可能性が高まります。
財産管理に関するサポート(任意後見)
身元保証契約は、「任意後見制度」とセットで運用される場合も少なくありません。任意後見制度とは、契約者の方が将来認知症などを理由に判断能力が低下した際に、財産管理などをあらかじめ契約していた第三者へ委ねる制度です。
認知症になる前でも、年齢などを理由に資産管理に不安がある場合は移行型任意後見契約の「委任契約」段階でも、さまざまなサポートが可能です。
成年後見制度とは異なり、任意後見制度はご自身の意思でどなたを任意後見人にするか見定めることができるため、希望に沿った方に財産管理などを任せられます。
関連記事:任意後見制度の活用方法とは?後悔しないためのポイントを行政書士が解説!
身元保証契約は誰に相談できる?
身近に信頼できる親族がいない、あるいはすでに死別している場合などの理由で、身元保証契約について関心を持っている場合、誰に相談をするとよいでしょうか。そこで、本章では身元保証契約で押さえておきたい主な相談先を紹介します。
行政書士・司法書士
相談先の1つ目は「行政書士・司法書士」です。行政書士や司法書士は、遺言書や契約書の作成、任意後見、相続などの相談先に適しており、身元保証契約についても相談できます。
ご相談者の個々の状況に合わせたオーダーメイドの契約設計が可能です。行政書士や司法書士は守秘義務が課せられた国家資格者であるため、プライベートな悩みも安心して相談できます。
身元保証の直接的な引き受けだけでなく、その後の「遺言」まで含めてサポートできることが多く、おひとりさまや終活に関しても気軽に相談できるメリットがあります。
NPO法人や保証サービス団体
身元保証契約を結べる非営利法人や一般社団法人もあります。こうした団体は組織として対応するため、担当者が変わってもサービスが継続される点にメリットがあります。また、契約内容がすでに「プラン化」されていることも多く、迅速な契約を希望される方に適しています。
ただし、本当に安心できる組織か、身元保証契約の実績が豊富かなど慎重に見極める必要があります。万が一、契約先の法人が経営悪化により法人破産に追い込まれた場合、大きなリスクが生じます。
破産手続きが始まれば、原則として身元保証や死後事務などのサービスは受けられなくなってしまいます。
葬儀費用や施設入居費として預けていた「預託金」が、法人の運営費に流用されていた場合、破産時に資産が残っておらず、返還されないケースが過去に社会問題となりました。
身元保証相談士などの民間資格
近年、身元保証の実務を専門的に学ぶ「身元保証相談士」などの民間資格を持つ人も増えています。身元保証を専門に扱っているため、高齢者の生活支援に特化した知識を持っており、福祉的な視点でのアドバイスが期待できます。
本資格は民間資格のため、どの程度のサポートが可能なのか不明瞭な点も多く、相談時にはしっかりと見極めることがおすすめです。
ただし、相談する際には資格そのものよりも、身元保証相談士が所属している組織の信頼性や顧問、アドバイザーなどに弁護士や行政書士が監修しているかを確認することが大切です。
身元保証契約を行政書士に依頼する場合の流れ
今後実際に身元保証契約を結ぶ場合には、一体どのような流れで契約からサポートの開始までつながっていくのでしょうか。そこで、本章では行政書士に依頼した場合における身元保証契約の流れについてわかりやすく解説します。
行政書士に相談する
まずは現状の不安や、将来どのような生活を送りたいかをご自身で整理し、行政書士へ伝えます。伝える内容の主なポイントは以下です。
- 家族構成
- 保有資産の状況
- 現在の健康状態(入通院の経歴や投薬のご状況など)
- 将来入りたい施設のイメージなど
事前に相談する際には、「してほしいこと・してほしくないこと」を伝えることで、実際の身元保証契約開始後の不満を減らせるでしょう。
保証契約の内容を決める
一口に「身元保証」と言っても、依頼する行政書士などによってサポート範囲が異なる場合があります。契約前にはどこまでの範囲(入院、入居、任意後見の有無など)をサポートしてもらえるかしっかり確認しましょう。保証内容が決まったら、契約書の取り交わしを行います。
推定相続人の調査
身元保証契約を結ぶ際に、推定相続人の調査を行うことが一般的です。おひとりさまだと思っていても、戸籍をたどると遠方の親族が見つかることがあります。将来の相続トラブルを防ぐため、戸籍謄本等を取り寄せ、誰が相続人になるのかを正確に把握しておきます。
遺言書の作成
身元保証契約は高齢となられた契約者の財産を管理する任意後見契約を兼ねることが多く、「遺言書」の作成も行うことが多いです。亡くなった後の残った資産をどう分けるのか、あるいは寄付するのかなどを行政書士と相談しながら決めていきます。
遺言書で「遺言執行者」を指定しておくことで、亡くなった後の遺産分配を身近な人や行政書士などへ依頼しておくことも可能です。
身元保証開始
身元保証契約を締結し、公証役場で公正証書(任意後見や死後事務を伴う場合)を作成したら、サポートがスタートします。
定期的な見守りや面談を通じて、信頼関係を築いていきましょう。小さな不安も相談することがおすすめです。いざという時(入院時など)には、行政書士が「家族」のような立ち位置で迅速に対応します。
依頼前に知っておきたい身元保証契約トラブルとは
身元保証契約は、長期間にわたる契約であり、かつ多額の費用が動くことも多いため、事前の確認不足がトラブルに発展するケースがあります。後悔しないためにも、よくあるトラブル事例とその対策を知っておきましょう。
求めるサービスが契約に入っていなかった
「入院時の保証だけだと思っていたら、実は財産管理の手続きまでは含まれていなかった」「緊急時の駆けつけが別料金だった」など、求めるサービスが実際の契約に含まれていないというトラブルが発生しています。
身元保証契約の範囲は非常に広く、依頼を受ける業者によって「どこまでが基本料金内か」が大きく異なります。契約前には「入院・入居」「日常生活の支援」「認知症対策」など、どこまでをカバーしているか、項目ごとに細かく確認しましょう。
高額契約だった
身元保証契約では、契約者の想像以上に「高額契約」となり、費用トラブルが発生しているケースも見受けられます。入会金、月額管理費、預託金(将来の費用)など、複雑な料金体系が設定されていることもあります。
複数の見積もりを取り、まずはしっかりと相場を確認しましょう。特に「何に対していくら払うのか」の説明を曖昧にする業者は避けるべきです。
解約時に返金されない
身元保証契約を途中で解約したいと思っても、事前に預けたお金が戻らないケースもあります。返金をめぐってトラブルとなる場合もあるため注意が必要です。解約時の返金の取り扱いも含めて、契約締結時にはしっかりと確認しましょう。
依頼していた法人が破産した
身元保証契約をめぐっては、依頼を受けていた法人が破産してしまうトラブルも発生しました。破産してしまうと預けていたお金はもちろん、受けるはずだったサービスも履行されなくなってしまいます。手に入れたはずの老後の「安心」が不透明な「不安」に変わってしまうおそれがあります
こうしたトラブルを避けるためにも、依頼先の選定はより慎重に行う必要があるでしょう。法律を遵守している士業へ相談することがおすすめです。
当事務所における身元保証契約の方針
当事務所としては身元保証契約を単体でしておりません。なぜなら、任意後見等の契約で包括的に賄えると考えているからです。
高齢者事業が活性化している昨今、実際には必要のない身元保証契約を交わしているケースもある現状で、必要のある契約だけを信頼関係を醸成しながら結んでいけたらというところです。
したがって、任意後見契約のなかで身元保証に近いことを実現していけると考えており、身元保証契約は不要との帰結です。
判断能力がしっかりしている高齢者に対し、一部の施設が特定の民間業者との「身元保証契約」を強制するケースも問題視されています。
必要のない財産管理などまでセットにされ、高額な費用を請求されるケースもあるため、信頼できる専門家にご相談されることがおすすめです。
身元保証の不安は横浜市の長岡行政書士事務所へご相談ください
身元保証契約は、老後を支える大切な「セーフティーネット」です。だからこそ、目先の安さや利便性だけで選ぶのではなく、法的な根拠に基づいた安全な設計が求められます。
横浜市の長岡行政書士事務所では、行政書士としての知見を活かした将来の転ばぬ先の杖(任意後見契約)をご提案しています。まずはお気軽にご相談ください。








