在日外国人は日本で遺言書を作ることができるのか?外国人の相続について解説

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在日外国人は日本で遺言書を作ることができるのか?外国人の相続について解説

 

ご相談者様:50代男性

私は約20年間日本に暮らしておりますが、国籍は母国に残したままにしてにあります。

両親や兄弟姉妹は自国にて暮らしていますが、私はこのまま日本に住み続ける予定です。

私は日本で会社を経営しておりますし、日本と母国に不動産を持っています。

 

家族が母国にいることもあり、相続関係が複雑になるのではと心配になり、相談に参りました。

日本に国籍がない私でも日本で遺言書を書くことは可能でしょうか?

また、日本で書いた遺言書でも家族の暮らす母国において遺言書の成立が認められ、効力は生じるものなのでしょうか?

回答:長岡行政書士事務所 長岡

今回のご相談者様の事例は、日本に暮らしてはいるけれども母国に国籍がある。

母国に国籍を置いたままであっても日本において遺言書を作成できるか?

また、日本で作成した遺言書が母国でも有効に成立していると認められ、効力が発生するのか否か、というご相談です。

 

結論から申し上げますと、遺言書を書くことは可能です。

一方、遺言書の成立や効力については母国の法律によって判断が必要です。

 

遺言書の成立や効力について、日本の法律には『遺言成立当時の遺言者の本国法による』と規定されています。

つまり、遺言書の成立や効力の発生については母国の法律の規定を確認する必要があります。

今回は、在日外国人の方が遺言書を作成する際に気をつけなければならない点について解説していきます。

 

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有効な遺言書であると判断されるための必要な2つの要件

まず前提として、有効な遺言書であると判断されるためには、遺言の方式に則ったものである必要があります。

遺言の方式に則ったものであること

遺言書は、ご本人の死後、遺言書に記載されたご本人の意思に従って財産権などさまざまな権利に効力を有するものです。

それと同時に、ご本人の意思を法律で守りましょうというものでもあります。

 

そのため、遺言書の内容が確かに本人の真意であると確信する必要があるため、厳格なルールを定めているのです。

遺言書が有効であること

また、遺言書が成立し、効力が発生するためにも遺言書が有効であると認められる必要があります。

この遺言書は有効です。 ⇨ だから遺言書は有効に成立し、内容に従った効力が発生します。

という流れで判断がなされるのです。

 

したがって、遺言書の作成には、まずは遺言書の方式の要件を満たしている必要があります。

もしも遺言書に必要とされる要件が欠けている場合、無効とされる可能性もあります。

ご注意ください。

 

在日外国人でも日本で遺言書を作ることは可能

在日外国人の方でも日本において有効な遺言書を作ることは可能です。

 

しかしながら、外国人の方が日本において遺言を検討なさる場合、以下の2点について考えなければならない問題があります。

  • どこの国の法律に従った方式で作成しなければならないのか?
  • 遺言の効果はどの国の法律で判断されるのか?

以上のように、『国籍を有する国』と『現在お住まいの国』、2つの国に関与するため、いずれの国の法律が適用されるのか?ということが問題となります。

 

どこの国の法律が適用されるかは『遺言の方式』や『遺言の成立及び効果』を検討

母国に国籍を残している在日外国人の方の場合、国籍のある国と現住所がある国、というように複数の国が関与します。

したがって、まずはどこの国の法律が適用されるのかを決める必要があります。

準拠法と通則法とは

その際に適用される法律を準拠法と言います。

この準拠法は、遺言の方式について『遺言の方式の準拠法に関する法律』に定めがあります。

 

一方、遺言の成立及び効果については、『法の適用に関する通則法』に規定があります。

つまり、一言で遺言書に効力があるか?といっても、『遺言書は方式に従っているため有効であると判断されるためのルール』と『遺言書の成立及び効果が発生するためのルール』、それぞれに従っている必要があります。

準拠法に定める『遺言の方式』は日本の法律が適用

まずは遺言の方式について見ていきましょう。

作成する『遺言書の方式』については、以下の4つの法のいずれかに従って作成している場合に有効であると解されます。

①遺言を作成した場所の法

②遺言の成立時または死亡時に国籍があった場所の法

③遺言の成立時または死亡時に住んでいた場所の法

④遺産である不動産の所在地の法

 

在日外国人の方の場合、『③遺言の成立時または死亡時に住んでいた場所の法』・『④遺言の成立時または死亡時に住んでいた場所の法』に該当すると考えられます。

したがって、日本の方式に従って遺言を残すことが可能です。

 

日本の法律に従ったものであれば「自筆証書遺言」も「公正証書遺言」も作成することが可能です。

 

ただし、上記②の場合、『遺言書の成立時または死亡時に国籍があった場所の法』ということですから日本に住んでいるから日本の法でなければならないというわけでもありません。

つまり、日本に住んでいる場合であっても母国の法律に従った方式の遺言書を作成することも可能です。

 

上でもご説明しましたが、遺言書は厳格な方式が決められており、その方式に従ったものでなければ有効な遺言書であると判断されない可能性があります。

遺言書の方式について注意が必要です。

 

日本における遺言書の方式については以下のリンクを参照ください。

<参考>遺言書の書き方・方式・注意点を行政書士事務所の事例と共に解説!

 

通則法に定める『遺言書の成立・効力』の有効性は母国法で判断

作成方式とは異なり、遺言書の成立・効力については在日外国人の方の母国法の法令が絡んできます。

 

まずは遺言書における法の適用に関する通則法を確認しておきましょう。

 

法の適用に関する通則法 37条1項
遺言の成立及び効力は、遺言成立当時の遺言者の本国法による。

 

この法律からわかるように、相続の内容に関してはご本人の本国法に従う必要があります。

本国法とは、母国の法、つまり国籍のある国の法律のことを指します。

 

遺言書の効力については母国におけるルールのチェックが欠かせないため注意が必要です。

 

国際相続の場合に自筆証書遺言はおすすめできない

遺言書は、一般的に『自筆証書遺言』と『公正証書遺言』という方式が用いられます。

 

『自筆証書遺言』は、『公正証書遺言』に比べて費用もかからず、簡便な点がメリットとして考えられています。

署名・押印が必要などいくつかの要件は必要となりますが、難しいものではなく、在日外国人の方が作成する場合であっても法的な問題もありません。

自筆証書遺言は死亡後の手続きが大変

しかし、自筆証書遺言の場合は死後に家庭裁判所による検認手続きが必要となります。

検認手続きをしなければ内容を確認することはできません。

また、検認手続をしないまま勝手に開封してしまうと「5万円以下の過料」といったペナルティが課される可能性もあります。

 

裁判所による検認の期日に相続人全員が出席する必要はありませんが、申し立てた人は出席する必要はあります。

そのため、相続人が海外にいる場合には死後の手続きがとても大変です。

したがって、自筆証書遺言はあまりおすすめな方法ということはできません。

 

遺言者も相続人も相続財産も日本にしかない、という場合であれば自筆証書遺言であってもそれほど問題になることはないかもしれません。

しかし、どなたかでも母国にいらっしゃる場合には費用や手間はかかりますが、相続人である残されたご家族など、周囲の人が困らないためにも公正証書遺言を作成しておくことをおすすめします。

 

合わせて読みたい:自筆証書遺言の検認って何のこと? 検認の目的と具体的な流れを解説!

公正証書遺言の作成に利用できるのは日本語のみ

自筆証書遺言はあまりおすすめできませんとお話ししましたが、公正証書遺言であればこのような問題は生じにくいと考えられます。

日本の公正証書遺言は、多くの国で公的な書類と認められているからです。

 

したがって、外国籍をお持ちの方が日本で遺言書の作成を考えている場合、公正証書遺言の方式で遺言書を作成することをおすすめします。

 

ただし、公正証書遺言の場合は日本語で作成しなければなりません。

そのため、日本語を話すことが難しい場合には作成時に通訳の方が必要となります。

 

なお、遺言者の死後に海外において実際に相続手続きを行う場合には、翻訳や本国の認証が必要になる場合もありますのでご注意ください。

 

合わせて読みたい:公正役場で作る公正証書遺言とは何ですか?手続の流れ、必要書類、手数料等を解説!

遺言の成立や効果は本国の法律で確認する必要がある

在日外国人の方が日本の方式に従って遺言書を作成することは可能です。

しかし、そこに書かれた相続の内容については、原則として母国の法律に従わなければなりません。

日本で遺言書を作成するとしても、有効な成立や効果については母国の法を入念に調査しておく必要があります。

 

そのため、外国籍の方が日本において遺言書を残す場合には複数の国の法律が絡むため、複雑になる可能性も高いです。

どの問題が遺言書の方式に関するもので、どの問題が遺言書の内容や効力に関する問題なのか、判断することは一般の方には難しいと感じられるかもしれません。

 

遺言書を検討する際には、長岡行政書士事務所にご相談ください。

 

<参考文献>

横山潤著 三省堂 『国際私法』

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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