「遺言執行者を指名した方に就任を拒まれてしまった」
「遺言執行者に拒否された時、どのような対処方法があるのかわからない…」
「遺言執行者が就任を拒否した場合に備え、具体的な対処方法を教えて欲しい!」
上記のような疑問や悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか。
遺言者は遺言の内容を執行する遺言執行者を指定し、親しい人物を指名することができます。遺言執行者の指名を受けた方は就任するのか判断しますが、拒むことも可能です。遺言書に記載していた人物に拒まれた場合は、別の方法を取らなければなりません。
今回は、遺言執行者が就任を拒否した場合の対処方法を解説します。この記事を最後まで読んだ方は、正しく対処できるでしょう。
合わせて読みたい:遺言執行者としての手続きとは?遺言者が死亡したらやるべきこと
目次
遺言執行者とは
まずは遺言執行者について簡単に説明します。
遺言執行者とは遺言執行の目的のために特に選任された者です。
遺言執行者が定められていないと、相続人全員が協力して遺言の内容を実現することになります。しかし、相続人間に争いがある場合などは、遺言の実現が困難な時もあるでしょう。
そんな時に遺言執行者がいれば、遺言内容を実現してくれるのです。
遺言執行者になるには、次のようなパターンがあります。
- 遺言により直接指定される
- 遺言で第三者に遺言執行者の指定が委任され、その受託者によって指定される
- 家庭裁判所が選任し、遺言執行者として就任する
遺言執行者は拒否できる
遺言内容を実現する、と聞いて、遺言執行者への就任に不安を感じる方もいるかもしれません。ここからは、次の3パターンについて紹介します。
- 遺言執行者への就任を拒否
- 遺言執行者を辞任
- 遺言執行者の業務を第三者へ任せる
遺言執行者への就任を拒否
実は遺言執行者に就任するかどうかは、自由に決めることができます。
つまり遺言執行者に指定されたとしても、就任を拒否することは可能ということです。
遺言執行者の指定を受けた場合、遺言執行者は相続人に対して、就任を承諾するか拒否するか通知しなければなりません。
遺言執行者を辞任
遺言執行者を引き受けたものの、やはり辞めたいと考えることもあるかもしれません。
しかし結論からすると、一度遺言執行者への就任承諾をした以上、簡単にやめることはできません。
遺言執行者が辞任をするには、「正当な事由」が必要なのです。遺言執行者を辞任する正当事由としては、次のような例が挙げられます。
- 長期の病気
- 長期の出張
- 多忙な職務
正当事由については家庭裁判所が判断するので一概に言うことは難しいですが、やはり簡単には辞められないと認識しておきましょう。
遺言執行者の業務を第三者へ任せる
遺言執行者は簡単に辞任できないものの「やはり肩の荷が重すぎる」「遺言執行者に選任されたけど誰かに代わって欲しい」という場合には、遺言執行者の復任権によって、他の人に遺言執行を任せることが可能です。
この復任の際には、他の相続人や受遺者の同意は不要です。
ただし復任しても遺言執行者としての責任が免除されるわけではなく、あくまでも自分が遺言執行者として責任を持っていることは覚えておきましょう。
合わせて読みたい>>遺言執行者に選任されたけど誰かに代わって欲しい!法改正があった執行者の代理人
復任を行う時は、しっかりとした行政書士などの専門家を選ぶことをお勧めします。
もし遺言執行者の復任について悩んでいる方は、横浜市の長岡行政書士事務所へご相談ください。初回相談は無料です。
遺言執行者が就任を拒否した場合の対処方法
遺言執行者への就任は拒否できますが、拒否された相続人側は手続きを進められず困ってしまうかもしれません。
ここからは遺言で指定された遺言執行者が、就任を拒否した場合の対処方法について解説します。
長岡:「こんにちは!長岡行政書士事務所・代表の長岡です。」
Aさん:「こんにちは!よろしくお願いします。今回は、遺言執行者に関することで質問があります!」
長岡:「わかりました、遠慮せずに質問してください!」
Aさん:「遺言執行者って、遺言書で指定できますよね?遺言執行者の指名を受けた人物が拒んだ場合は、どうしたらよいのですか?」
長岡:「遺言執行者の指定を受けた人物が拒んだ際は、2つの対処方法があります。」
- 家庭裁判所へ申立てをする
- 相続人で手続きを進める
ここでは、2つの対処方法を項目ごとにご紹介します。
家庭裁判所へ申立てをする
長岡:「遺言書に記載されている人物に遺言執行者への就任を拒否された場合、家庭裁判所へ申立てをすると遺言執行者を選任してもらえます。
また、相続時に遺言執行者が亡くなっている場合も申立てすることが可能です。」
Aさん:「家庭裁判所が選任してくれるんですね!」
長岡:「はい、そうなんです!
家庭裁判所へ遺言執行者の選任申立てができる方は、相続人や遺贈を受けた方などの利害関係人です。
利害関係人は、遺言者の最後の住所地にある家庭裁判所へ申立てをする必要があります。
申立てをする場合は、提出書類と費用を準備しなければなりません。
家庭裁判所へ申立てをする際の必要な費用は、以下のようになっています。
・遺言書1通につき800円(※収入印紙)
・郵便切手(※連絡用)
郵便切手に関しては、家庭裁判所へ確認することをおすすめします。
以下には、提出書類についてまとめています。
- 申立書
- 遺言者が亡くなったことを記載している戸籍(除籍等)・謄本(全部事項証明書)(※1)
- 利害関係者を証明する資料(戸籍謄本等)
- 遺言執行者候補者の住民票もしくは戸籍附票
- 遺言書の写し(※遺言書の検認調書謄本の写し)(※1)
- その他(追加書類)
(※1)申立先の家庭裁判所において遺言書の検認事件の記録が保存されている場合、添付する必要はありません。
参考元:遺言執行者の選任|裁判所
上記の書類は標準的な添付書類のため、事案により異なるケースもあります。
申立人は申立てをする前に、必要な書類等を準備してください。
不明点がある方は、家庭裁判所へ確認することをおすすめします。
Aさん:「なるほど!家庭裁判所へ申立てをする場合の流れや提出書類・費用について理解できました。」
相続人で手続きを進める
長岡:「家庭裁判所へ申し立てる方法以外として、相続人同士で協力して手続きを進める方法があります。
複数人の相続人がいる場合は相続人全員で話し合いを行い、段取りを決めると良いでしょう。
ただし、相続の手続きは時間や労力がかかるため、トラブルになるケースもあります。」
Aさん:「相続人同士が冷静に話し合うことが大事ですね!」
長岡:「そうですね!
相続人の中には、遠方に住んでいることにより相続の手続きができない方もいます。
状況によっては、相続人の中で代表して手続きを執行する方を決めるケースも検討しましょう。
遺言の内容だけではなく、相続の手続きでトラブルになる可能性があります。
相続人同士が納得できる方法を取りながら、円滑に相続の手続きを進めてください。」
Aさん:「なるほど!わかりました!」
長岡:「相続人だけでは手続きが難しい場合は、行政書士など専門家に相談することも検討してください。」
合わせて読みたい:遺言作成時に入れておくべき条項とは? 付言事項、予備的条項、遺言執行者の指定
遺言執行者が拒否しても新たに選任することは可能
今回の記事では、遺言執行者が就任を拒否した場合の対処方法を解説しました。
もし遺言執行者に就任を拒否された場合は、相続人等は家庭裁判所へ申立てを行い、遺言執行者を選任してもらう方法も検討しましょう。家庭裁判所へ申立てをする方は必要な書類や費用を準備し、スムーズに手続きを進めてください。
横浜市の長岡行政書士事務所は遺言書の作成や相続の事案に関して、柔軟に対応しています。
事案の打ち合わせをした後、迅速に問題の解決に努めます。遺言や相続の不安を抱えている方は、長岡行政書士事務所へご相談ください。