相続放棄とは?遺産相続で負債がある場合の対処法を行政書士が解説!

記事更新日:

相続放棄とは?遺産相続で負債がある場合の対処法を行政書士が解説!

 

「相続することになったものの、財産よりも借金のほうが多い…」

「親の死後、郵送で受任通知と書かれた書類が届き債務が発覚!私が支払い義務を継ぐことに…」

「相続開始の通知が来たものの、故人は多額の借入れの保証人だった」

 

こんなお困りごとはありませんか?

家族が亡くなりいざ遺産を確認したところ、資産より借金のほうが多かった…なんてケースもめずらしくはないのではないでしょうか。

このような場合、必ずしも相続をしなければならないのでしょうか?

今回はそんなお悩みの解決策として、相続放棄について探ります。

遺言のご相談
LINE導線
お問い合わせフォーム
受付時間:平日9時-21時(土日祝予約制)メール・LINEは24時間受付
対応エリア:横浜市・神奈川県全域・東京23区

相続は放棄できる

相続というと『金銭や不動産などプラスの財産を引き継ぐ』といったイメージをする方が多いかもしれません。

しかし実は、相続は『借金や保証人などマイナスの財産も引き継ぐ』制度でもあります。

 

プラスの財産しかない場合はいいとしても、マイナスの財産がプラスの財産を上回ってしまう場合だと、せっかく相続したのに負債しか残らなかった…ということにもなりかねません。

 

そんな場合に使える制度として相続放棄というものがあります。

相続放棄とは、亡くなった方(被相続者)の財産や権利義務を一切相続しない意思表示のことをいいます。

相続放棄をすることで初めから相続人ではなかったことになり、被相続者の負債を抱えなくて済むのです。

そしてこの相続放棄は、相続人それぞれが単独で申請することができます。

あわせて読みたい:相続財産の調査と財産目録とは?調査が必要な理由も含め行政書士が解説!

遺言作成時の財産調査と財産目録とは?負債調査も必要な理由を含め行政書士が解説!

また、相続人全員が相続放棄した場合、最終的にその相続財産は国庫に帰属します。

要するに、国のものになるということです。

 

ただし、国のものになる前に、債権者への精算や特別縁故者(故人と生計を共にしていた者や介護等に努めた者など)への財産分与などの手続きがあります。

この債権者や特別縁故者に該当する場合は、相続財産管理人の選任が必要になってきます。

相続財産管理人を平たく説明すると、相続人の代わりに被相続人の財産の精算をする者のことです。法律に従って債権者への支払いや特別縁故者への財産分与の手続きなどを行います。

 相続財産管理人を選任してほしいという申立て自体は『利害関係者』や『債権者』などに該当すれば可能ですが、専門的な知識を要するため、専門家に依頼することをおすすめします。

相続財産管理人を知りたいかたは:相続財産管理人とは?相続人がいない場合の手続きの概要と注意点

相続財産管理人とは?相続人がいない場合の手続きの概要と注意点

相続放棄の注意点

相続放棄を利用するためには、いくつか注意点があります。おもわぬトラブルに巻き込まれないよう、次の点は知っておきましょう。

  • 相続放棄の期限は相続開始を知ってから3か月以内
  • 相続放棄できなくなる行為がある
  • 「相続放棄」と「遺産を放棄」は異なる

それぞれの注意点について詳しく解説します。

相続放棄の期限は相続開始を知ってから3か月以内

相続放棄はいつでもできるわけではなく、相続の開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所へ相続放棄する旨の申述書を提出しなければなりません。

 

そして特に手続きを取ることなくこの3か月を過ぎてしまうと、原則としてプラスの財産もマイナスの財産も相続すること(単純承認)になりますので注意が必要です。

 

そもそも相続には『相続放棄』・『単純承認』・『限定承認』という3つの選択肢があります。

相続が開始されると、基本的に相続人はこの3つの方法のいずれかを選択することになります。

それぞれの特徴は次のとおりです。 

単純承認

  • プラスの財産もマイナスの財産もすべて無制限・無条件で引き継ぐ

相続放棄

  • プラスの財産もマイナスの財産もすべて放棄する
  • 相続人単独で申請可能

限定承認

  • マイナスの財産がある場合にプラスになる範囲内で引き継ぐ
  • 相続人全員での申請が必要

単純承認は、皆さんがイメージする相続の形に近いのではないでしょうか。

限定承認は、相続放棄と異なり、一定の財産を引き継げることが特徴です。

合わせて読みたい:限定承認とは何か?資産もあるが負債もありそうな時の対処法を行政書士が解説!

限定承認とは何か?資産もあるが負債もありそうな時の対処法を行政書士が解説!

相続開始を知ってから3か月が過ぎると、自動的に単純承認することは覚えておきましょう。

相続放棄できなくなる行為がある

実は相続放棄をする前にやってはいけない、つまり相続放棄できなくなる行為もあります。相続放棄前に一定の行為をすると単純承認とみなされてしまい、相続放棄ができないケースがあるのです。

  • 財産の処分すること
  • 財産を故意に隠したり、勝手に消費したりすること

 

民法921条1項 相続人が相続財産の一部もしくは全部を処分したとき

ここでいう処分というのは、被相続人(故人)の使用したり財産を売って現金化したりするなどの行為を指します。

 

民法921条3項 相続人が、限定承認又は相続の放棄をしたあとであっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき

つまりこれは、被相続人の財産を故意的に隠したり、勝手に消費したり、相続財産と知りながら財産目録に載せなかったりした場合を指します。

上記のようなケースでは、基本的に単純承認したものとみなされ、負債も含めてまるごと相続する形になります。

相続放棄をするためには、単純承認したとみなされないように注意してください。

「相続放棄」と「遺産を放棄」は異なる

「遺産を放棄する」という表現が使われるケースもありますが、これは相続放棄とは別物なので注意しなければなりません。

相続放棄は家庭裁判所の手続きを必要とする制度で、相続放棄が認められると、その者は最初から相続人ではなかったこととして扱われます。

一方、「遺産を放棄する」という表現は、遺産分割協議で、ある財産を他の相続人へ譲ることを意味しているのです。

遺産を放棄したからといって、相続人であることに変わりありません。つまり、債務を履行する義務は残るのです。

単純にプラスの財産がいらない場合は「遺産を放棄する」ことで足りますが、マイナスの財産からも逃れるためには「相続放棄」という手続きを取らなければならないことは覚えておきましょう。

相続放棄の流れ

では実際に相続放棄をしたいと考えた場合、3か月という期間の中でどのような手続きを進めるのでしょうか?

  • 相続財産の調査
  • 添付書類(戸籍謄本など)の収集
  • 相続放棄申述書の作成
  • 相続放棄申述書を家庭裁判所へ提出
  • 家庭裁判所からの照会

まず上記が3か月の期限内にしなければならない手続きです

相続財産の調査

相続放棄は、相続財産の調査から始まります。

相続放棄は、一度承認されると撤回することができません。

たとえば借金が500万円あるから相続放棄したものの、あとから600万円のプラス財産が見つかったとなれば、相続放棄しなくてもよかったかもしれません。

このような事態を避けるため、まずは被相続人の財産の調査をしましょう。もちろん、マイナスの財産についても漏れなく調査します。

プラス財産の調べ方

  • 預貯金・株式:残高証明書(金融機関で発行)
  • 不動産:固定資産税の納税通知書

マイナス財産の調べ方

  • 全国銀行個人情報センター:銀行からの借入れなど
  • 日本信用情報機構:消費者金融からの借入れなど

添付書類(戸籍謄本など)の収集

相続放棄の手続きに必要な書類は次のとおりです。

  • 相続放棄申述書
  • 戸籍謄本など被相続人との関係が分かる戸籍書類
  • 収入印紙
  • 郵便切手
  • (場合によってその他の追加資料)

自分で収集することが難しい場合は、行政書士などの専門家に頼りましょう。

相続放棄申述書の作成

相続放棄申述書は裁判所サイトからダウンロードできますし、家庭裁判所の窓口でももらえます。

書き方(記載例)についても裁判所サイトに掲載されていますが、不安な方は弁護士や司法書士など法律文書作成の専門家に相談してもいいでしょう。

相続放棄申述書を家庭裁判所へ提出

相続放棄は家庭裁判所で手続きします。相続放棄申述書を家庭裁判所の窓口へ提出するか、郵送してください。

裁判所での手続きとなると、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

横浜市の長岡行政書士事務所でも、提携している弁護士や司法書士などの専門家をご紹介できますので、お気軽にお問い合わせください。皆様の不安が解消できるようにいたします。

家庭裁判所からの照会

「相続放棄の照会書」については、家庭裁判所が相続人の意思を確認するものです。

相続放棄が本当に自分の意思で行われているのかや、なぜ相続放棄したいと考えているのかが確認されます。

真摯に回答しないと相続放棄の申し立てが却下される可能性もあるため、注意してください。

照会書を家庭裁判所へ返送後、続放棄申述受理通知書が届きましたら、晴れて相続放棄の手続き完了です。

相続放棄をしても受け取れる財産

財産の中には、たとえ相続放棄をしたとしても受け取れるものもあります。

例)

  • 死亡保険金
  • 遺族年金
  • 死亡一時金
  • 未支給年金
  • 国民健康保険、健康保険組合等からの葬祭費や埋葬料

どのような財産を受け取れるかはそれぞれのケースによって異なりますから、まずは行政書士などの専門家に相談してください。

横浜市での相続は長岡行政書士事務所へ相談

相続放棄は亡くなられた方の借金などマイナスの財産を引き継がなくて済むメリットがある一方で、プラスの財産があったとしても相続できないというデメリットもあります。

また、相続放棄は相続人単独ですることができますが、結果として相続順位が変わるなど他の相続人に影響が出るものでもあります。

3か月という限りある期間の中で最善の相続方法を選ぶためにも、相続人同士での話し合いはもちろん、提携できる専門家をご紹介できますので、安心してご連絡ください。

横浜市の長岡行政書士事務所では、初回無料で相談できます。相続について不安を感じている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

横浜市の相続手続きなら長岡行政書士事務所

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
遺言に関するお問い合わせ

初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

ご相談はご来所のほか、Zoom等のオンラインでの相談も承っております。

お電話でのお問い合わせ

「遺言のホームページを見た」とお伝えください。

受付時間:平日9:00-21:00(土日祝予約制)
メールでのお問い合わせ

    初回相談は無料です。お気軽にご相談ください。ホームページからのご相談は24時間受け付けております。

    お問い合わせ種別必須

    プライバシーポリシー

    長岡行政書士事務所(以下「当事務所」といいます)が運営する「横浜で遺言の遺言を専門家が支援」(以下「当サイト」といいます)は、以下のとおり個人情報保護方針を定め、個人情報保護の仕組みを構築し、全従業員に個人情報保護の重要性の認識と取組みを徹底させることにより、個人情報の保護を推進致します。なお、本プライバシーポリシーにご同意いただける場合にのみ当サイトをご利用くださるようお願いいたします。ご利用された方は、本プライバシーポリシーの条件にご同意いただいたものとして取り扱いさせていただきます。

    個人情報の管理

    当事務所は、お客さまの個人情報を正確かつ最新の状態に保ち、個人情報への不正アクセス・紛失・破損・改ざん・漏洩などを防止するため、セキュリティシステムの維持・管理体制の整備・従業員教育の徹底等の必要な措置を講じ、安全対策を実施し個人情報の厳重な管理を行ないます。

    個人情報の利用目的

    お客さまからお預かりした個人情報は、当事務所からのご連絡や業務のご案内やご質問に対する回答として電子メールや資料のご送付に利用いたします。利用目的は主に以下に定めるものに限ります。

    • 行政書士法に定められた業務及びそれに付帯する業務を行うため

    • 当サイトを通じたサービスの提供

    • 当サイトの品質向上とそれに基づくお客様の声の実施

    • その他、当事務所の業務の適切かつ円滑な遂行

    個人情報の第三者への開示・提供の禁止

    当事務所は、お客さまよりお預かりした個人情報を適切に管理し、次のいずれかに該当する場合を除き、個人情報を第三者に開示いたしません。

    1. お客さまの同意がある場合

    2. お客さまが希望されるサービスを行なうために当事務所業務を委託する業者に対して開示する場合

    3. 法令に基づき開示することが必要である場合

    個人情報の安全対策

    当事務所は、個人情報の正確性及び安全性確保のために、セキュリティに万全の対策を講じています。また、当事務所は個人情報の取扱いに関し、従業員全員に対し適切な監督をします。

    ご本人の照会

    お客さまがご本人の個人情報の照会・修正・削除などをご希望される場合には、ご本人であることを確認の上、対応させていただきます。

    法令、規範の遵守と見直し

    当事務所は、保有する個人情報に関して適用される日本の法令、その他規範を遵守するとともに、本ポリシーの内容を適宜見直し、その改善に努めます。

    個人情報保護に関するお問い合わせ

    当事務所の本プライバシーポリシー(個人情報保護指針)に関するお問い合わせ、連絡、意見などは下記までご連絡ください。

    長岡行政書士事務所 代表 長岡真也
    233-0003
    横浜市港南区港南5-1-32港南山仲ビル202
    電話 045-844-5616



    ページトップへ戻る